宇宙は本の箱

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メリハリ・ポイント


親の私もびっくりした一年が終わり、中二になって少しした頃だったでしょうか。

長男は小学校の頃すでに、きちんと間違わずに私の言葉を理解する子でしたので、
一個の同等の人間として向き合うのになんの苦労もなかったのですが、
その日、学校から帰ってきて夕飯までの間、
久々に一個の人間としての話をしようかと言って向かいあったのでした。

長男は、いきなり、自分はお母さんのいうようには生きられないのだと言いました。
そんなふうに生きたら、自分は学校であの○○君のようになってしまう、
自分は学校が好きだし、お母さんのようは強くないと言いました。

私は、どんな時にそういうことを感じるのか、聞いてみました。
息子は、先生とのこと、友達とのこと、友達のお母さんとのこと、
日常の些細な出来事を具体的に話してくれました。
私はそれに対して一人の人間としての意見を言ってみました。
そうして、その人達とお母さんとはどちらが正しいか、
どちらが正しいか、それを判断するのはおまえだ、
どちらが正しいか、おまえが答えを出しなさいと言いました。

息子はしばらく下を向いて黙っていましたが、やがて顔をあげて
お母さんが正しい、と言いました。
よろしい、では、その正しいと思ったことを心の一番奥の深い所にしまいなさい。
そうしてその正しいことは普段は忘れなさい。
誰かが少々気にいらないことを言ったりしたりしても、
小さなことを一々取り上げて目くじら立てなさんな。

でもね、人間にはすごく大切な時がある。
卒業、進学、就職、結婚、誰にとっても大切だってものもあるし、
自分だけは大切だってことも、生きてりゃある。
ここ、ここを間違えたら自分は男じゃない、自分は人間じゃない、自分が自分でなくなる、
人間にはそういう時がある。それがいつかは分からない。
分からないけど、その時!その時、心の一番深い所から、
お母さんの言った正しかったこと、その正しい心を出して頑張るんや。
孤立無援でも頑張るんや。その時だけは踏ん張る。
そういう大切な事が毎日山のようにあるもんじゃないって分かるやろ?
○○君はなぜああなったのかな?
あの子は毎日毎日自分が正しいって、正しいことばかり主張して、
他を排斥していないかな?


この後、あと一度だけ、長男と大真面目に向かいあった会話が中三の時ありました。
子育ては十五までと心に決めていましたので、私の子育てがそこで終わりました。


長男は高校二年の時、
お母さんに育てられて良かった。自分は二回、道をそれそうになった時があったけど、
自分はもう一生、どんな時にも自分でいられる人間になったから・・・
そう言ってくれました。
そうして、本当にそのように親の私に見えました。
私は以後、長男が食べられようが食べられないが、死のうが生きようが、
それはおまえの勝手であると、大雑把には何も言わないで今日に至っております。

きょうはなぜか、こんな事を書いてみたくなりました。






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