福井県民国~for maniac people~

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鳥になりたい


 と考えながら有也は近所の土手沿いに寝転んでいた。辺り一面青い空。雲一つ無い。何羽かの鳥が戯れている。あぁ、いいなあ。あんな翼があれば僕も強くなれるのかな。どこにでも行けるのかな。

 鳥になってみたいな。

 その時だった。
「ちょっとそこのお前さん、話聞いてくれる?」
誰かに声をかけられた。起き上がると初老のスーツを着た老人がかがんで自分の顔を覗き込んでいた。
「何ですか?」
「あなた今鳥になりたいって言ったでしょ」
「そうですけど・・・何か」
「なってみる?鳥に」
はぁ?何言ってんだこの老人は。関わるのはやめてお・・・いや待てよ、ママには学校へ行ってるってことにしてるから十分時間がある。暇つぶしにはなるかな。
「まぁ、なれるのなら」
有也はわざととぼけた声で答えた。それを知ってか知らずか、老人は笑みを浮かべながらこう言った。
「じゃ、頑張ってね」
そう聞いたとたん有也は意識が薄れていった。

 有也は何も見えない暗く狭い場所で目を覚ました。揺れ具合からしておそらく車の中だろう。
「さあ、着いたよ」
 ドアを開けられるとそこにはあの老人がいた。ドアの向こうには焼き鳥屋があった。そして自分の体を見ると、串が刺さっていた。
 その日から有也を見た人はいないという。

「そんな話があったんだって」
「でもそんなのウソだろ、どうせ」
土手で男子学生がそんな話をしていた。その時、

「ちょっとそこのお前さん、話聞いてくれる?」


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