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遅ればせながら見て来ました。簡単感想です。映画感想『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』(2023年、片桐崇監督、東宝)世界各国が水面下で熾烈な情報戦を繰り広げていた時代。西国ウェスタリスの情報局対東課〈WISEワイズ〉の敏腕諜報員エージェントの〈黄昏たそがれ〉ことロイド・フォージャーがいつものように任務に当たっていたところ、進行中のオペレーション〈梟ストリクス〉の担当を変更する、という指令が。しかし新たな担当に選ばれたのは、無能な男だった――。その頃イーデン校では、優勝者に〈星ステラ〉が授与されると噂の調理実習が実施されることに。少しでもオペレーション〈梟ストリクス〉の進展を示し〈WISEワイズ〉へ任務継続を交渉する為、ひいては世界平和を守る為、ロイドは審査員長を務める校長の好物である“フリジス地方”の伝統菓子≪メレメレ≫を作ることをアーニャに提案。本場の味を確かめるため、フォージャー家は家族旅行でフリジスへ向かうことに。その一方でヨルは、出発前にロイドと謎の女のやりとりの一部始終を目撃してしまい、仮初めの関係に一抹の不安を覚えながらの家族旅行となってしまう……。そんな家族旅行の途中、列車内でアーニャは怪しげなトランクケースを発見。その中にはなぜかチョコレートが……。不思議に思っていると、トランクケースの持ち主が戻って来てしまい、驚いた拍子にアーニャは誤ってそのチョコレートを飲み込んでしまう……。ところが、そのチョコレートには世界平和を揺るがす重大な秘密が隠されていた――!?そしてたたみかけるように、旅先で起こるハプニングの連続!!世界の命運は、またしてもこの仮初めの家族に託されてしまった――。(公式サイトより)公開直前PV*以下、公開中の映画作品のネタバレ有感想です。未鑑賞の方はお気をつけください*SPY×FAMILY初の劇場版。お正月明け、池袋のサンシャインシティの暁のヨナ大原画展に伺ったのですが、街中、 SPY×FAMILYだらけでした。いきなり、お正月映画の大本命扱いですね。鑑賞した一番の印象としては、もう本当に公開直前PVがすべて…というか。本編の設定の中で、本筋に影響は与えない形での、スケールの大きなサイドストーリー。ジャンプ作品の古き良き映画作品の作り(東映アニメフェア的な)と感じました。安定安心・劇場版スケールならではのアクションシーン等、期待したものがきちんとある、家族・友人と観に行って、1日を費やして満足できる映画作品だったのではないかな、と思いました。■子ども目線について1点、鑑賞していてとても印象深かったのが、非常に「子ども目線」を意識したのだろうな、と感じるシーンが多かった点。アーティスティックな映像で盛大に魅せる、うん●の神様(だったっけ?)のシーンとか、あとはひたすら、アーニャちゃんが旅行先でいちいちキラキラはしゃぐシーンとかですね。本作品はWEBマガジン掲載であり、主人公も成人男性ということで、基本的には「大人向け」の正当な少年漫画というか、読者層は年齢高目な印象で受け取っておりました。ただ、今回ここまで明確に小学生以下(中でも小・中学年)を意識したシーンを盛って来ていたので、「ファミリー層向け」作品としてのポテンシャル…というか、期待感を持って製作しているんだな、ととても伝わってきました。確かに、アーニャちゃんが居れば、小学生低学年の子も入っていける。私自身の子どもの頃の記憶を思い起こしても、主人公たちが基本大人であっても、自己投影できそうな「子ども」が主要キャラクターとして活躍できていれば、楽しく入っていけていました。中~高生になれば、年齢・性別が離れた大人ばかりの作品でも楽しめるようになって来ますが、やっぱり小学生にとって、作中に「子どもの目線」が用意されているかって本当に大事で。今から思えば、「子ども」キャラクターがメインビジュアルに居る作品から、「私たちが読んでも/観てもいい作品だな」と認識して、手に取っていたような気がします。ドラゴンボール(ハイスクール編~)とか、話ぶっ飛んでてよく分かんないけど、悟天くん&トランクスくんが居てくれるからアニメ観れたり、るろうに剣心とか、大人キャラばっかりだし、幕末も明治維新も全然よく分かんないけど、弥彦くんが居てくれるから、原作を一生懸命読むことが出来たり。この点で考えると、大人たちの小難しい世界にガンガン主体的に絡んでいけるアーニャちゃんは、子どもたちの視線も鷲掴みにできる存在なんだな~、改めて素晴らしい設定だな~、とひしひしと感じました。■脚本と子ども視点の演出について。脚本の印象としては、まぁ…非常に無難というか。飛行機を使ったスケールの大きなアクションシーンを魅せ場とした、期待したいものをきちんと落とし込んである脚本だな、と感じました。SPY×FAMILYは、ほとんどのキャラクターが本性をお互いに隠しており、また所属組織が全くバラバラという特性上、お話を回す際の、各キャラクターのインセンティブ・感情筋作りが、非常にややこしくもあり、腕の見どころになる作品だな、と思っています。そもそも、主人公・ロイド・フォージャーにとって仕事と家族が同じ方向性の中にあり、「仕事」と言いながら家族サービスをやる、「仕事」と言いながら生まれる一つの家庭があり、動く個人感情がある、という点が、とても良くできた面白い設定だと思っています。その中で、やはり視聴者として期待したい・観たい萌えポイントは、仕事と家族に向かうベクトルがズレる、もしくは相反した場合の主人公の動きになるだろうと思って読み進めています。もちろん、主人公が仕事命で、陰に徹して生きることを決めているのは分かっていますし、そこがカッコイイところなんですが、でももし仕事と家族のベクトルがズレたとき、どっちを取るかの選択で、やっぱり「家族」を大事にする方に向かって欲しいじゃないですか。もちろんこれはまだ先々の話だと思っていますが、それにしてもやっぱり、主人公の行動言動の中で、仕事ベクトルには本来必要ない…「家族」ベクトルの感情を立たせるシーンを作る、その感情を強烈に焼き付けるのが、脚本の腕の見せ所…だと思っています。今回の映画作品でも、当然この部分は意識して入れ込んで来てあったと思っています。冒頭から、黄昏さんがオペレーション梟を外れる…疑似家族終了の話が出て来ていて、それもあって、アーニャちゃんの調理実習課題の成功に向けて一生懸命になる、という作りになってました。ちゃんと萌えポイントを抑えているな、と思う反面、脚本好きとして高望みをするのであれば、ちょっと要素の掛け合わせが直接的というか安直…というか。もうちょっと捻って、繊細に上手いことキュンポイントとして入れ込めたんじゃないかな…もうちょっとこう…インセンティブの作りや魅せ方としてもうちょっとこう…王道ですけど、最後に「あれ?これロイドさんこっちの方が気になってて、それであんな少し不自然な動きしてたのかな?」って分かるような出し方するとか。あとは、先に書いた子ども目線について。子ども目線を意識したシーンが入っていたのは確かなのですが、やるなら…もっと徹底的に、本気で子どもを釣る心情の動線作り、シーン/画面作りをしても良かったのかな、と感じました。今回の映画は、公開時期に合わせて雪国モチーフだったのだと思っていますが、折角、遊園地・クリスマスマーケットや、ケーキ(メレメレ)等を出して、楽しいシーンを作っているのに、かなり現実的な空気感/描写になっていまして。もうちょっとこう…子ども目線で、ウキウキの空気感を描いてもいいんじゃないかな、と感じたというか。また、子どもにとって、クリスマス最大のわくわくといえば、「サンタさん」と「プレゼント」。折角のクリスマスモチーフなんだから、主人公にサンタさんとしての役割/心情づくりを与えて、アーニャちゃんに感情移入して鑑賞している子どもたちに、最後、とっておきのプレゼントを渡して喜ばせよう!という作りにすれば、もっともっと観客に嬉しい感情を焼き付けることが出来る、印象深い映画になったんじゃないかな、と思ったんですよね…。(お正月に係る映画のため、クリスマスモチーフ一辺倒に出来なかったという事情もあったのかもしれませんが…)私の好みで語ると、ちょっとこの辺が「SPY×FAMILYのポテンシャルなら、もっと出来たんじゃないかな…!!」と感じる部分でした。■エンディング主題歌について本作、主題歌はOfficial髭男dismの♪SOULSOUPとのことですが、別にエンディングの前半では星野源さんの♪光の跡が流れました。『劇場版 SPY×FAMILY』/星野源「光の跡」コラボムービーこの楽曲が素敵で、とても気に入りました!映画の内容も踏まえながら、まったりテンポの中で、上述したような萌えポイントに繋がりそうな感情をじっくりゆっくり歌い上げる内容でした。少しマイナスちっくなことも書いてしまいましたが、本当にSPY×FAMILY、コナンのように(長寿は無理にしても)、ファミリー向けとして定番化も出来るのではないかという、ポテンシャルのある作品だと思っています。劇場版第2作もあれば、是非また劇場に足を運びたいと思っています。by姉
2024.01.14
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鑑賞しました!Netflixオリジナルドラマ『御手洗家、炎上する』(2023年、全8話、平川雄一朗・神徳幸治監督)今でも覚えている 燃えさかる炎の前で土下座する 母の姿を代々病院を経営する名家・御手洗家(みたらいけ)。この家の長女・杏子(あんず)は、12歳の時に両親の離婚により御手洗家を離れた。彼女の母親による火の不始末が原因で、家が全焼するという不幸な出来事があったからだ。しかし彼女は、外部の人間による放火の可能性を疑っていた。火事から13年後、杏子は偽名を名乗り、再建された御手洗家の門をたたいた。家事代行として。出迎えた御手洗家の後妻・御手洗真希子(まきこ)は、杏子の母のかつてのママ友だった。杏子の目的はひとつ。この女によって奪われた母の人生を、全て取り戻すため-・・・!嫉妬・羨望・野心・憎悪・・・・・・全てが絡まり、もつれ合う、本格ホームサスペンス!連載時より追いかけていた講談社Kissの漫画作品・『御手洗家、炎上する』がNetflixでドラマ化されました!予告編→こちら。*以下、結末についてまでのネタバレあり感想です。未鑑賞の方はお気をつけください!*原作に関しては、妹が3巻発売時に電子の立ち読みで見つけて、一気に既刊コミックを買い揃えました。私&妹の間では、絶妙な人物配置と生命力のあるキャラクター描写、漫画作品離れした話回し(脚本力)、力強い漫画画面と、読み応えという点で絶大な信頼感の置ける作品として、大人気だったのですが、世間的には…最新刊の単行本が、発売日に田舎の本屋では買えないかもしれない、と毎回心配する…くらいの知名度でした。(もちろん、コアなファンの方は大勢ついていたと思いますが。)こちらが、Netflix…世界市場を念頭に置いている、巨大配信サービス主体のオリジナルドラマとして実写化されるとのことで、素直に「嬉しいなぁ!」と思っています。スタッフ様・キャスト様や、公開される予告映像を見ると非常に誠意を持って、関係者たちがノリノリで製作されたことが伝わって来まして、これは面白そうだな!と、初めてNetflixを契約して鑑賞しました。鑑賞してみて、なんていうか…ちゃんとした作りで…「ちゃんとした」…って、ものすごく普通に、「原作の良さ」に惚れこんだ方(プロデューサーの方とか)が、きちんとその良さを形に出来るキャスティングが出来て、監督・演出家さまやスタッフ様たちや、キャスト様達が、「良いもの作ってる!」と思いながら作れてる…という、ものすごく普通のことを言っているだけなんですけど…。日本のTV局製作の地上波ドラマとか…もう、なんていうか…企画とキャスティング観るだけで、ひしひしと伝わる…隠す気もない、業界内・外パワーバランスへの妥協と忖度と、作り手の「言われた通りやったよ、これでいいんでしょ」というへし折った心の残骸の寄せ集めみたいな…見てるだけでこっちの心が折れるから勘弁してくれ、と思うというか…。今回のドラマ作品からは、そういった負のオーラみたいなのを感じないので、とても嬉しいというか…。(もちろん、地上波TVもそんなのばっかりじゃないのは分かってるんですが…ちょっと私にはもう、今の日本の民放TVを観れるほどの鋼のメンタルはありません。)以下、諸々&各キャラクター&俳優様の印象深かったところについて、簡単に。■脚本基本的には、かなり原作準拠な作りでした。全8冊のコミックスが、全8話にコンパクトにまとめられていました。各話の区切りも、しっくりくるところで見やすく区切られていたと思います。特に最終話の辺りは、原作もスピーディに畳むことを意識した作りになっていましたが、それよりも更にコンパクトさを感じました。かなり意識的にだと思いますが、13年前の真紀子さんたち3人親子の生活感を推し量る描写…真紀子さんのパートの描写、希一さんが部活を諦めたり、あまりものを突っ込んだひじきのカレーだったり…あとは、御手洗家が盗難を疑って、警察に届け出ようとしているかもしれないと噂話を聞くシーンですね。そのあたりの描写は省かれていました。個人的には、13年前の火事が起こるに至る背景として説得力が増す、とても好きな描写たちだったのですが、この辺りは、コンパクトさ重視によるものなのか、世界配信を意識しており、シングルマザー描写が日本国内でしか通じづらい点への配慮なのかもしれないな、と感じました。(ただそういった「裕福な豊かさ・貧困の苦しさ」は、実写ドラマでは舞台や画面に散りばめられた小道具によって、多くを語らずも説得力が出るようになっていたと思います。)■村田 杏子(永野芽郁さん)可愛らしい杏子ちゃんでした…!こんな娘が、家の中でメイドさんみたいなエプロン付けてぴょんぴょんしてたら、長年の引き籠りも、そりゃふらふらと部屋から出て来るわ!と思いました。(↑希一さん目線)とにかく可愛いし、原作より泣くシーンが印象的でした。だからこそ、7話冒頭、逃げる真紀子さんを追いかけるシーンの迫力が、ギャップがあって最高でした!■御手洗真希子(鈴木京香さん)作品の魅力の中核を担うキャラクターです。…最高でした!この鈴木京香さんを拝み倒せるのであれば、それだけでわざわざNetflix契約したかいがあるってもんです!本作、基本的に釣り文句としては「復讐劇」となっていますが、その対象者が鈴木京香さんの時点で、単なるめちゃくちゃなスカッとするような復讐劇なわけないので。真希子さんの、虚栄の奥にある愛情と不安定さ、必死さが常に伝わってきました。原作ファンとして、大満足でした!■御手洗希一(工藤阿須加さん)本作、皆さんナイスキャスティングではあるのですが、特にこの希一さんは、原作からそのまま飛び出て来たかのような素晴らしさでした。元々、非常に爽やかな役どころの多い俳優様なのでしょうか?実写作品をほとんど見ない人間なので、存じ上げなかったのですが…だとしたらもう、工藤阿須加さんご本人の演技力としか言いようがないと思います。10年部屋に引き籠り、人を窺うギョロっとした目つきと、最終話の劇的ビフォーアフターっぷり(←もともと社交的な優等生)が凄かったです。■御手洗真二(中川大志さん)元々原作ファンなので、出て来る度にじっと見てしまいました。原作よりも「強い子・しっかり者」のイメージです。最終回を迎える以前より、この子なりに贖罪に向けた確固たる信念があって医師を目指して、ここまで努力しているんだ、ということがとても伝わって来ていましたので。真二くんの一環した態度に、その説得力があるからこそ、最終話のコンパクトな締めだったと思いますし、真二くんの向かう先に、御手洗家の未来への希望を見出せるような、憎悪を希望に転換させるようなパワーがあったと思います。■村田柚子(恒松祐里さん)お名前をどこかで見たことがあるな~と思っていましたが、映画『凪待ち』の娘さん役の女優さんだったんですね!印象が違うので、気づかなかった。原作を読んでいた時から、とにかくこの柚子ちゃんの設定が素晴らしいと思っていました。すごく好きなキャラクターです。「復讐劇」という謳い文句からは想像も出来ないような、隙だらけで、基本的に人を信じていたい「良い子」です。作中では、お父さんに裏切られたり、真希子さんに出し抜かれて追い詰められたり…可哀そうなシーンも多いのですが、ただやっぱり、この子が居るから、この作品が「憎悪だけの復讐劇」にならない。この子が居なかったら、杏子ちゃんもお母さんが病気になってしまった時点で折れてしまっていたと思いますし、もっと憎悪の感情で動く主人公になっていたと思います。またラストの帰結についても、この子があまりにも「憎悪・復讐」と相入れない存在だからこそ、今後御手洗の家に戻れるとしたら、この子だけだな、と感じさせられるのだと思います。(この人物配置・話回しで、それをきちんと感じさせられるのは、凄いことだと思っています。)■御手洗治(及川光博)及川光博さんのキャスティングが素晴らしかったです!作中一貫して、家族がどうなったとしても、そこに責任は持ちたくないクズでしたが、ただ、病院の仕事は命がけでやってる方なんだろうな、というのは、今回のドラマで凄く伝わって来ました。御手洗の病院は、この方の命ですから。他の家族は全員、誰一人残らなかったとしても、最後、「病院運営」に必死にしがみつこうとしてくれる真二くんだけは、「家族」という枠を超え、この人と繋がっていけるんじゃないかな、と感じられました。■村田皐月 (吉瀬美智子さん)なんか…お母さん、かなり「強かった」ですね…!全然、真希子さんと素で渡り合えそうでしたよ…。いやぁ~、俳優様お一人お一人の力強い演技!大変見応えがありました!!こちらのドラマ、7/13から公開されておりますが、本当に好評のようで、Netflixの国内・外ランキングもまだかなり上位に居るみたいです。原作大好き民としては、作品の羽ばたきっぷりが嬉しい限りです。興味のある方は、是非!by姉
2023.07.23
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公開2日・土曜日初回に鑑賞して来ました!映画感想『君たちはどう生きるか』(2023年・宮崎駿監督作品)*以下、公開直後の映画のネタバレあり感想です。本映画作品は、タイトルとポスターを除いて一切情報を出さずに公開されています。また、私自身鑑賞してみて、絶対に前情報なしの方が楽しめる作品だと思います。必ず、本編を鑑賞してから、下記感想をご覧ください。*戦争初期、東京。病院の火事で母を亡くした少年・真人(まひと)は、父に連れられ、母の実家のお屋敷へ身を寄せる。父は、母の妹・ナツコと結婚する予定だと言い、彼女のお腹には新たな命が宿っていた。亡き母への思いと、慣れない田舎で居場所を見つけることが出来ず、自傷行為に走る真人。そんな彼の前に、謎の「青サギ」が現れる。青サギは、真人を庭の廃墟…「塔」へと誘う。昔、大叔父が建てたというその「塔」は、不可思議な空気を纏っており…。※以下のメタ考察は、本日観た映画に関して姉・妹内でディスカッションして辿り着いた短絡的な結論です。何回も観たり、他の方の考察を読んだら「やっぱこうかも…!」とか言い出します※この作品はもう…この一言に尽きると思います。スタジオジブリのお墓!!スタジオジブリというか、「宮崎駿監督のイマジネーション」の帰結地点の記念碑…まぁ、お墓(自作自演)かな、と思って鑑賞しました。1回目の鑑賞後の印象としては、こんな感じなのかな?と受け取りました。↓・主役・真人くん…息子の宮崎吾朗監督・青サギ …鈴木プロデューサー。口から生まれたような人。 言うことが嘘かホントか分からないけど、ずっと協力してくれる超重要人物。・大叔父…宮崎駿監督 ・大叔父の塔 …スタジオジブリ(の宮崎駿監督作品部分。高畑監督作品は絡めてなかったと思います。)・13個の積み木(石)…歴代の宮崎駿監督作品・ヒミ様(真人くんの母)…宮崎駿監督が一番信じたい芸術性。 生産の源泉にある一番大事にしたい精神性・創造への情熱のようなもの。 作品冒頭で既に燃え尽きている。 でも真人くんが塔に入った際に、少女の姿で奇跡的に出逢えた。・ナツコさん…ヒミ様の妹。 ヒミ様と似てるんだけど、「違う」と言いたいんだけど、今新しい命を生み出せる母体。 吾朗監督や米林監督、ジブリイムズを引き継いだ監督様の生産性・創造性のイメージ。・屋敷のお婆さんたち …日本アニメーションの創生から作り上げて来たような、 宮崎駿監督の盟友といったアニメーターたち。・塔の地下(?)世界にあった、誰かのお墓…故・高畑勲監督のお墓(?)。・ペリカンたち …宮崎駿監督に憧れてアニメーションの世界に飛び込んだ、後進のアニメーターたち。・塔の地下(?)世界の海原 …宮崎駿監督のイマジネーションの海原。 老いて色褪せ、死者と生者が半々に入り乱れる世界。 生き生きとした美しいものを生み出し、多数のペリカンたちを満足に養うことは とっくに不可能になっている。 ・わらわら …宮崎駿監督のイマジネーション世界で生まれる「ひょっとしたら形になるかもしれない」未成熟のアイデアたち。・傷ついて力尽きるペリカン…故・近藤喜文監督(?)。・インコたち …ジブリが大好きなファンや協賛企業たち。 ジブリブランドに常に餓えた消費者・鑑賞者たち。以下、印象深かった点の列記です。■児童文学・ファンタジー作品青サギに誘われて不思議な塔に迷い込み、異世界を旅する…という、基本的には王道の児童文学作品、アリス、という印象でした。宮崎駿監督作品の王道である、主役主観でワールドに入っていく、「千と千尋の神隠し」に近い、異世界を旅する、という作りですね。かわいいウサギに誘われるか、胡散臭い青サギ(おっさん)に誘われるかの差って感じ。アニメーションの基本は、これだろ!現実にない世界を主観で旅することだろ!という現在のアニメーションへのメッセージも含めてあったのかな?(妹談)■これまでの宮崎駿監督作品のオマージュシーン「トトロだ!」「ラピュタだ!」「紅の豚だ!」「もののけ姫だ!」「長靴をはいた猫だ!」と、歴代の作品のオマージュシーンが、そこかしこにあふれていました(走馬灯)。また舞台設定も、いちいち和洋折衷・つぎはぎだらけの「ロマン」で構成されていて、「気持ちのいい世界感」に構築しきる体力はもうない…けど、そこに見て取れる、無限のイマジネーションの残骸が、本当に面白かったです。こんなものを、こんな素晴らしいアニメーション映画作品として形にできることこそ、宮崎駿監督のこれまでの軌跡の成せるわざだと思います。■絶対に大叔父にしか積み上げられない積み木(石)を指しながら 大叔父「君はこれに1個付け足すことが出来る。 この世界を継いでほしい…」 ↑真人くん「自分の世界で生きます」勿体ぶって、最後の方で出てきた大叔父のお願いが、全く大したことなくて、一気にこの作品の根幹が見えた気がして、すごくかわいかったです。いや、宮崎駿監督的にはもう何十年も苦しんだ挙句に、諦めをつけて、その上で出してきたものだとは思うのですが、だって…球体とかも使って積んであるその積み木は、どう見ても天才・宮崎駿監督本人にしか積むことが出来ないものなんですよ。私たちのような、外の一般人目線で見てても、何十年も前から分かってたんです。そんなことは。■青サギ&真人くんについて本作を鑑賞して、一番に焼き付いた感情は、コレ↓でした。これは、宮崎駿監督の、青サギ(おそらく鈴木プロデューサー)と真人くん(おそらく吾朗監督)への想いがあって、形に出来た映画だな…。2008年のポニョ・2013年の風立ちぬの2作も、そうだったと思うんですけどね。2006年に、鈴木プロデューサーと吾朗監督が、わざわざ自分たちが表に立って「ゲド戦記」を公開して…あれは、宮崎駿監督がどうしても守りたかったジブリブランド・品質を、(分かった上で)傷つける作品だったと思うんですよ。宮崎駿監督自身、イマジネーション・体力も枯渇してるよ、という状況で、でもまだまだジブリでスタッフも大勢抱えていて、新しいジブリ作品を求めているファンも協賛企業もあって、「どんな出来でも、とにかく作って出さなきゃいけない」「誰かがブランドに傷をつけて、ハードル下げなきゃいけない」という意識で、お2人が責任を負う形で、世に出した作品だったのだろうな、と(勝手に)思っています。ゲド戦記を出せたから、2010年のアリエッティ、2011年のコクリコ坂、2013年のかぐや姫も、2014年のマーニーも出すことが出来たと思っています。お2人に共通する想いは、コレ↓だったと思うんです。「どんな出来でもいいから、天才・宮崎駿の新作が観たい・世に出したい。」それも受けて、宮崎駿監督はここまで映画製作を続けて来られたんじゃないかな、と思っています。「ポニョ」も、これで最後にするぞという意欲を持って作った「子供向け」映画作品だったと思っていますし、「風立ちぬ」も、今形に出来る「自分の好きなものだけ」を詰め込んだ、最後の映画作品だったと受け取っています。ただ、どうしても商業的側面は切り離すことが出来ずに制作した作品だと思いますし、鈴木プロデューサー的にも、「これが宮崎駿のラストワークス」としてしっくり来る作品ではなかったんじゃないかな、と想像しています。今回の「君たちはどう生きるか」は、宮崎駿監督に「商業的な部分は全く考えなくていいよ」と言ってあげられる形で制作することに意味がある作品だったと思いますし、鈴木プロデューサー的にも「これが宮崎駿のラストワークス」と納得のいく形で出せた、大満足の作品なのではないかな、と感じました。真人くんは…おそらく吾朗監督だと思うのですが、彼に対して、宮崎駿監督が、この上ない愛情と尊敬と、「自傷行為」への申し訳なさの念を持って、「大叔父の世界を継がない」それが正解だ、「ナツコさん…新しい(今、自身の目の前にある)生産性・創造性」を、愛して欲しい、大事にして欲しい、と言いたかったんだな、と感じました。いやぁ…本当に、本当に、面白かったです!!これが「天才・宮崎駿監督のラストワークス」と言われて、もうもう、この↓感情しかありません。アンコールに応えてくれて、餓えたインコたちに、塔の中をもう一度冒険させてくれて、きちんと未来へ向けて解き放って(追い出して)くれて、本当にありがとうございました!!インコの末端の一羽として、大満足!でした。もう何回も鑑賞すると、上記の認識もいろいろ変わってくるところもあるかと思います。是非、複数回劇場に足を運びたいな、と思っています。by姉
2023.07.15
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公開初日に鑑賞して来ました!『THE FIRST SLAM DUNK』(原作・脚本・監督 井上雄彦、東映、2022年)予告編⇒こちら*以下、公開直後の映画作品のネタバレあり感想です。本作は、公式が意図を持って概要について事前公表しておりません。映画概要についての事前知識が少ない状態で鑑賞する方が楽しめる作品だと思いますので、未鑑賞の方は読まないでください。*数年前・沖縄…3つ年上の兄とバスケットをしていた少年・宮城リョータ。中学で神奈川へ引っ越し、高校2年生になった彼は、インターハイで最強・山王工業と対戦することになる。無名の湘北高校が、山王工業にどこまで食いつけるか。最強のPGと名高い山王キャプテン・深津と対峙したリョータは…。観て来ました。…はい…はい…。何から語れば良いのかな…。まず、今回の映画作品ですが、基本的には原作最後の試合である、インターハイ2戦目・「湘北VS山王工業戦」の映像化です。山王工業戦は、TV・劇場アニメとして映像化されていなかったと思います。ですので、本劇場版の製作が公表された際、「山王工業戦の映像化か」と真っ先に思いました。ただその後、あらすじ等がなかなか公開されず、また映画タイトルが『THE FIRST SLAM DUNK』とのことで、「FIRST??山王戦じゃないのかな?」と不思議に思っていました。本編を鑑賞して、やはり当初想像していた通り、原作一番の盛り上がりであり、最長の試合である山王工業戦を、今の発達した3D技術で、井上雄彦先生の納得のいく形で、思いっきりこだわって映像化し切る作品だったな、と思いました。連載終了が96年ですから、26年越し…ですね。ファンの悲願でもあったと思いますし、井上先生にも、きちんとした形(映像)にしたいという思いがずっとあったのだろうな、と感じました。ただ…本映画作品、それ(映像化)だけじゃなかった!!これは、概要について事前公開をしないわけだ…と納得するような作品でした。主観・宮城リョータ。原作既読者も知らない、彼のバックグラウンドについて、ガッツリ新エピソードを試合シーンと同時並行で魅せて行きます。これがですね…超重いっっっ!リョーちん…そんなっ…まさかそんなバックグラウンドを抱えていたなんてっっ…!いや、原作でも、安西先生が倒れたときに、ちょっとだけ描かれた桜木花道の中学生エピソードが超重かったよなぁ…と、それを思い出すような感じです。かなり強いエピソードと感情で、従来読者の情緒をタコ殴りにしながら、「既に知っている」山王との試合が、ハイクオリティ映像で進んでいきますが、まぁもう…全然違うシーンやセリフに感じられますよね…。新鮮でしたし、とにかく驚きがいっぱいでした。試合シーンの映像ですが、本当に素晴らしかったです。今回、よりハイクオリティで、より立体的になったSLAM DUNKを体感して、何故本作が宮城リョータ目線だったのかも、しっくり来ました。もちろん、(原作ではほぼ描かれていなかった)彼のバックグランドについて描きたいというのもあったと思いますが、試合シーンの大迫力映像を、彼の「小さな」目線・主観を軸にして魅せるのが妥当という考え方だったのかな、と思いました。対戦相手のでかさが、すごく怖いんですよ。また、山王戦ですが、他のチームメイトたち…三井・赤木・桜木・流川は、それぞれのターンというか、魅せ場がかなりはっきり存在します。ただ、宮城リョータは、ドリブル突破のシーンが印象的ではありましたが、エピソードとして、そこまで大々的に描かれていた印象はありませんでした。彼目線で、他のチームメイトたちをしっかりと見る…そこにあるリスペクトの視線も、原作で読むより非常に際立っていました。特に、立体世界で体感する三井寿の3Pシュートの威力。そして何より、素人・桜木花道の動きの異常性・天才性です。リバウンド時の瞬発力がとにかく凄くて、動きが異質で…原作でももちろん実体感出来てはいたのですが、改めて「天才・桜木花道」を堪能することが出来ました。今回、この目線の持ち主である宮城リョータ…彼のバックグラウンドをガッツリ観て、年上・年下のチームメイト(問題児)への非常に寛容的な目線も凄く納得がいきました。ここから…まだ年齢も身体も小さく、不安な中で大きなものを背負おうとしていたお兄さんの存在、彼への憧れが、リョーちんを大きくしていくんだな…としっくり来ました。SLAM DUNK…私にとっては、小学生低学年の頃から読んでいた、「思い入れが強い」という次元も超えた、もはや「神話」のような存在の作品です。インターハイ予選の陵南戦あたりからだったと記憶していますが、当時、父が元バスケ部だったこともあり、ハマりにハマって、コミックスを揃え、特にこの山王工業戦のあたりは、週刊少年ジャンプを毎号購入していました。後にも先にも、父が漫画雑誌を購読する姿は、この時しか観たことがありません。私の、スポーツ漫画…いや、少年漫画との出逢いが、SLAM DUNKだったのだろうと思います。それどころか、実際のスポーツ観戦もまともにやったことがない状態だったと思いますので、最初の「スポーツ観戦」がSLAM DUNKだったんじゃないかな、と思います。(それか、キャプテン翼のアニメ鑑賞が先か…どっちか、という感じ)四半世紀を経て、神話のように染みついた名場面の数々を、こうして劇場の大スクリーンで、ド迫力の映像として鑑賞できる、というのは…なんというか…真の名作を、幼い頃に鑑賞出来た幸せを改めて感じるというか…。「感慨深いなぁ」…というのが、映画を鑑賞して一番に残った感情です。山王戦、ラスト無音の20秒…圧巻でした…っっっ!!!!…すみません。私の語彙力では上手く表現できませんので、是非劇場で鑑賞してみてください。2022年は、東映のジャンプ映画(全てレジェンド級)がお祭り状態でしたね。6月に『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』8月に『ONE PIECE FILM RED』そして12月に『THE FIRST SLAM DUNK』3作品とも、公開直後にウキウキと鑑賞しましたが、原作者の作家性・色が本当によく見て取れて…考え方も全然違っていました。それぞれ単体としてももちろん面白かったのですが、3作品を見比べるのも、非常に面白かったです。80~90年代の漫画発ヒーローたちが、こうして2020年代になっても、ヒーローを現役でバリバリにやってくれちゃって…幸せです!こうやって、これからもどんどん(私のような)大人になりきれない童心を忘れない漫画好きを、量産していってください!by姉
2022.12.04
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映画感想『ONE PIECE FILM RED』(2022年、原作・総合プロデューサー 尾田栄一郎、監督 谷口悟朗)音楽の島、エレジア。電伝虫を使用した個人発信で、世界的な人気を獲得しているシンガー・ウタの、初ライブが開催されることになった。麦わらの一味をはじめ、世界中から彼女の歌を聴きにファンが集まり、あるいは電伝虫で会場の様子を見守る中、ライブが幕を開ける。姿を現したウタに、ルフィが駆け寄り、「昔馴染みで、コイツはシャンクスの娘」という衝撃の事実を明かすが…。予告編→こちら。*以下、公開間もない映画作品の、ネタバレを含む感想記事です。未鑑賞の方はお気をつけください。*いやぁ…これはこれは…天下の『ONE PIECE』がらしくないことして来たなぁ~!!いや…流石、天下の『ONE PIECE』というか…なんてオモシロいんだ!!!予告編を見ていただくと分かると思いますが、ネット展開を意識した歌姫…とか、明らかに、「ONE PIECEファンが、ONE PIECEに求めているもの」ではないんです。私も、「なんなのかな、コレ?」と不思議に思ってて。いちONE PIECEファンとして、全然惹かれるパッケージじゃないですし。公開日を迎えるまで、全然、映画館へ行く気はありませんでした。ただ、前作の『ONE PIECE STAMPEDE』の時に、海賊たちの共闘とか言われても、あまりそそられないしな…と思って、観に行かなかったのですが、配信で鑑賞したら、これが超オモシロくて。『STAMPEDE』は、とにかく尾田栄一郎先生が漫画で描くアクションシーン…同時多発的にあちこちで、間髪いれずに展開されるド派手アクション。そのノリを、想像の通りに、そのままの形で見事に映像化してやろう、という映像意欲作でした。3D技術の進歩と、劇場版という潤沢資金・製作期間でしか実現できないド迫力なアクションシーンがエンドレスで展開し、やりたいことが明確で、仕上がりも素晴らしい作品でした。…しまった、これは劇場に行けば良かった!と後悔してたんです。今回の「FILM RED」も、なんかよく分からないけど、気になるし…『STAMPEDE』の二の舞を踏むのは嫌だ、ということで、公開2日目・まだまだ非常に劇場が混んでおりましたが、行ってきました。本編をしっかり鑑賞して、うなりました。なるほど。そういうことか…!うん。オモシロい!!!これは、天下の『ONE PIECE』が、怖いものを「怖い」と言って、迎え入れている作品、というか。でも「俺は負けない」と言っている…「マウントの取り合い」をセルフで演じている作品、というか。要は、今回メインで描かれるウタちゃんという歌姫の持つ力…ネットワークを通じた個人発信で、世界規模の人気(興味)を生み出せてしまう力。彼女は、音楽とダンスを中心とした映像、そして「世界に対するアンチ心の共感」という武器で、クローズドワールドと言いますか、「自分の世界」を作って、アプリゲーム文化にも通じるような「囲い込み」をしてくるんです。そこに意識を傾ける人の規模が、シャレにならないくらいでかい。個人発信で、「トレンド」を作ってしまう。たかが「世間知らずの小娘」の作り出す世界ですから。はっきり言って、「軽薄・浅はか」ですし、危ういんです。ものすごく軽く、他と比較対象があるわけでもなく、「私が最強!」の世界を作って来る。集英社・ジャンプというNo.1の漫画雑誌で、25年キングとして君臨し、全世界発行部数5億部突破の、明確に歴代No.1漫画作品である『ONE PIECE』からしたら、勝負する相手じゃない。内容で勝負をすれば、積み上げた歴史とコンテンツの質・深さで、絶対に勝てるんですよ。…でも、怖い!!!個人端末から、「クローズドワールド」にシャレにならない規模の人々が直にアクセスして、意識が「その世界」で完結しちゃう。そこで完結した意識の中に、エンタメNo.1作品として『ONE PIECE』はないので。今回の映画ですごく印象的だったのが、「ウタちゃんの世界」の中で、「海賊とはこういうもの!古臭くて滑稽なもの!」と勝手に色付して来たり、勝手にキャラクターを「矮小化」して、マスコット的に落とし込んだりして来る描写です。これは面白かった。この脅威は、『ONE PIECE』が連載を開始した25年前・97年には、存在しなかったんです。ジャンプでNo.1作品として、アニメ化されて、「大人気!」って言われれば、世間一般の意識の中でも、「みんな読んでる」作品だったんですよ。私が、超『ONE PIECE』初期世代なので。アニメ化された段階で、私からしたら「天下を獲った作品」でした。当時、朝5人くらいで学校に登校してましたが、全員コミックス買ってましたから。25年間…四半世紀です。2020年代…この令和の時代に、「みんな読んでる」「みんな観てる」なんてものは、漫画にもTVにももうない…時代が変化し、個人が使用するメディアが全然違う世界線に来て、当然です。『ONE PIECE』を自分たち向けコンテンツだと認識していない、物心ついた時からスマホ等の個人向け情報端末が当たり前な世代からしたら、『ONE PIECE』もなんかよく分からない、自分には関係のない、他の「クローズドワールド」の一つに過ぎない。当然のことで、別に、否定することじゃない。でも、尾田栄一郎先生・『ONE PIECE』が、「だから仕方がない」って言いたくないんだな、と。『ONE PIECE』という作品は、私の知る限り、25年に渡り、「我」を貫き通し続けて来ました。特に、尾田先生自身が繰り出してくるものに関しては、「俺が通る道、それが『王道』だ!!」というスタンスです。「もう『最高の道』を突っ走ってるんだから、外から余計な口出しすんな!」と。それが今回、このタイミングで、明らかに「我」ではない外部のものを、「怖い」と言って、「物語の始まり・シャンクス」とドッキングさせながら、抱きかかえようとしてきた。これまでのスタンスでは考えられない、らしくないことやって来たなぁ…!と。これから、『最終章』…史上最強のエンディングに向けて走り出す『ONE PIECE』が、名実ともに、「みんなが観てる」No.1エンタメ&トレンドであり続けるがために、『ONE PIECE』に興味がない視線にまで、マウントを取りに来てる…というか、『ONE PIECE』に取り込もうとして来てる…というか。時代変遷にすら抗って、「みんな」の作品であり続けよう、とか、別に、ここまでやんなくてもいいんですよ。「いち漫画作品」に、…ファンも、誰もそこまで求めてないし。でも、こうやって「らしくないもの」が、映画作品として公開されましたので。…分かってるつもりでいたけど、全然分かってなかったな。なんっっっって貪欲なんだ。『ONE PIECE』、超オモシロいな!!と思いまして。ちょうど昨年、「テニスの王子様」の許斐剛先生が製作総指揮をした映画、『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』が公開されました。こちらの作品は、ハッピーメディアクリエイターを名乗る許斐先生が、メディア変遷を「味方につけてやろう」というか、「3D」「多メディアの咀嚼」「時代変遷」を使って、「作品の自己実現・自己再生」を仕掛けてくるような映画作品でした。今回の『ONE PIECE FILM RED』も、『リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様』も、語りどころとしては、「メディア変遷」という観点だと思っているんですが、これまでの作品展開・歴史の違いもあって、アプローチの仕方がかなり真逆を行っていて、なんともオモシロいな、と思っています。結局、『ONE PIECE』は、No.1漫画作品として、ピコピコサウンド・映像、3Dダンス、共感を促す個人発信のメッセージといった文化を使って、作品として自己実現していくことは不可能なので。映画のラストのアクションシーンが、かなり漫画劇画調・墨絵風で描かれていたのが面白かったです。「勝負」じゃないんですが…「マウント合戦」しか出来ないんだな、と。それがよく分かりました。というわけで、今回の映画作品は、たぶん、元からの『ONE PIECE』ファンには大不評だと思います。「は?何コレ?」「なんで『ONE PIECE』でこんなもんやんなきゃいけないんだ?」って感想であふれかえると思います。「いらんやろ、これ以上のファンは」という天下の『ONE PIECE』が、わざわざ他の畑を荒らしに来てるような…、戦ったら絶対勝てる、「相手にしなくていいもの」を、わざわざ欲しがって、丁重に迎え入れているような作品なんで。もちろん、出し手は分かっててやってます。まぁ…ファンが思っているより、『ONE PIECE』は「他の畑」まで欲しがるような、貪欲な「海賊」なんだな、ってことだと思います。本当に、90年代後半からのジャンプ作家様たちは、「漫画家」と言うに留まらない…いや、逆ですね。「漫画」に生み出されたワールドが、全トレンドの支配者として、No.1でないと気が済まない。故に、漫画媒体以外の、畑違いの分野・メディアにまで手を出してきて、自分のワールドに引き寄せようとして来る…もしくは、マウントを取ろうとして来る。メディア最前線・トレンド最前線が体感できました。鑑賞しながら、尾田先生・『ONE PIECE』の想像を絶するあまりの貪欲さに、思わず笑ってしまいました。興味がある方は、是非、劇場で鑑賞してみてください。by姉
2022.08.07
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去年の夏から『リョーマ!新生劇場版テニスの王子様』にドハマリして、2人して踊り狂っていた訳ですが・・・この度なんと円盤発売記念twitter企画に当選し越前リョーマ君役・皆川純子さんのサイン入りB1ポスターをいただいてしまいました・・・!あわわ ななんか20年以上愛されている作品でこんなにわかファンがすみません!! ーと思いましたが・・・いや 本当に嬉しいです!!この映画、本当にこのポスターそのままの作品なので。しかしこのメインビジュアル見たときの衝撃は凄かった。「いや嘘だろ・・・!?」って素で声が出ました。そうですコレです・・・これなんです私達はこれが見たかった!いやコレが見たかったの・・・か??こんな出し方してくるとは想像だにしてなかった!!早速ポスターフレーム買って収納しました^^ーっていうか デカっ!!!円盤特典のB2ポスター(2枚)と並べるともう圧巻の迫力です!並べているのは映画のパンフレット(A4サイズ)。リョーマ君のお顔、原寸大サイズです・・・!皆川純子さんのサインを眺めていると・・・ テレビアニメ1話放送時、ウキウキしながらVHSビデオ録画待機してた在りし日が思い起こされました。「リョーマ君の声合ってるね」って2人ではしゃいだなぁ。ゴールデンタイムに「ヒカルの碁」と2本立てで放映されてテニスと囲碁を始める子続出!・・・とそんな世代でした。この度はありがとうございました! 大切にします!by妹
2022.04.28
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★祝・円盤発売!!★GAGAオンラインストア限定のプレミアム・エディション(3枚組)姉・妹ともにゲットしました~!嬉しい!結局、私・姉の方は映画館には21回通って、その後、U-NEXTで配信(鑑賞期限2日間)されてから、5回(6回?)くらい購入して、観たくっていましたが…それでもなお、まだ鑑賞し足りない!この映画の価値・情報量を咀嚼しきれない。本当にすごい。お話フェチのいち鑑賞者として、この作品の「話筋」に関して、書きたいことができたので、追記記事です。映画感想『リョーマ!新生劇場版テニスの王子様』-その6前に書きたくって来た、映画感想その5までの記事や、漫画原作「新テニスの王子様」の感想記事(1~3)で、この映画作品の背景・作り方に関してはぐるぐる考えて来ました。この映画作品には、「テニスの王子様」という作品の在り方の概念戦が詰まっていると思っています。この認識は、全くブレてません。本記事は、本映画作品の「話筋」について考えを巡らせると、「作品の在り方の概念戦」という部分が、きれいに浮かび上がるな、と思ったため、その辺を追加補足的に書き記したいな、という記事になります。映画感想その5の記事に書いた内容を、もうちょっと整理したくなった感じ。なんでこういう話筋になったのかな、とかどっからこの要素が出て来たのかな、とかそういう余計なことを考えながらエンタメ作品を鑑賞するのが、大っっっ好きなもので…。この映画はもうほんと、こんな↑私にとってはもう…面白過ぎます…!語りがいがあり過ぎて、最高です…!!*相変わらずですが、この記事上の、どこで誰が、どういう順番でこの映画作品を構築していったか、というのは本当に私たちの中での、ただの「想像」「いち鑑賞者の解釈」です。この作品を観て、こういう風に捉えている人も居るんだな、と思っていただければ。*◆想定される2パターンの話筋についてまず、本映画作品ですが、許斐先生のインタビュー等から連想すると、実際に形になった話筋とは別に、もう1パターン、「許斐先生の中で、最初になんとなく想定していた話筋」というものが存在するんだろうな、と思っています。時系列順に、当初想定していたパターンを「A」、実際に形になった話筋を「B」とします。この2パターンを比べると、各キャラクターやシーンの意義…大きな視点では、本映画作品に込められたメッセージが、より明確に整理できるようになるのかな、と思っています。★話筋「A」について許斐先生が本映画作品を立ち上げるに至った経緯については、これまで書いてきた映画感想記事・漫画感想記事にあれこれ想像が書いてあるので割愛しますが、2016年2月の企画立ち上げ時に、映画会社のプロデューサー様には、その場ではっきりと「子ども向け映画」と明言されているようです(パンフレット情報)。とにかくやりたかったのは、少年・少女…いや、「王子様とお姫様」の大冒険…ですね。この映画で、最初にイメージとして出来上がっていたシーンは、「リョーマくんと桜乃ちゃんの路地裏逃亡シーン」、「一所懸命、お姫様を守る『王子様』」だろうと思っています。新テニスの王子様コミック34巻の巻末に、月刊プロテニスのインタビューという体で、映画についてひたすら解説する力作作文が掲載されています。そこで、なるほど、と思ったのが、下の記載でした。今回の映画では、『リョーマの格好良さ』と『アメリカを横断する大冒険』を描きたかった…この、『アメリカを横断する大冒険』という記載を観て、立ち上げ時の構想案というものが、ありありと想像できるな、と思いました。私にアメリカの地理感が全くないので、最初ピンと来なかったのですが、本映画作品、アメリカ西海岸のカリフォルニア州・ロサンゼルスに始まり、アメリカ北東に位置するニューヨークの全米オープン会場がクライマックスの舞台となります。地理的に、作中でアメリカ大陸を横断してます。おそらく初期の構想では、この「大陸横断」…なんらかの理由で追手から逃げる「逃避行」であり、同時に、「目的地(全米オープン会場)を目指した移動」のシーンを、もっとガッツリ描写していくものだったのではないかな、と想像しています。リョーマくんが桜乃ちゃんを連れて、様々な街・景色を経ながら、東に向かってどんどん移動していく…イメージとしては、ルート66(今は使ってないのか?)のような、国道でのヒッチハイクとかかな、と思います。想像するだけで、非常にワクワクする、面白そうな絵面・話筋だな、と思います。この話筋Aの場合、いち映画作品として、鑑賞者の頭への収まりはずっと良かったと思います。おそらく、・目的地への旅(アメリカ大陸横断)を軸にしたアドベンチャー作品・明確に勧善懲悪。 エメラルドさんの立ち位置のキャラクターは存在せず、 追手は、アダム・アンダーソンにあたるキャラクターの直属の部下。本映画作品の存在意義を、「子ども向け」「新規ファン獲得」と定義するのであれば、絶対にこちらの話筋を採用する方が正解だったと思います。★話筋「B」について実際に採用された話筋です。この話筋Bに関しては、おそらく…脚本家様・秦 建日子さんの感性が色濃く出てるのかな…というか、「話」「物語」というものの可能性・力を信じ切った方の思考回路だな、と思うのですが、映画作品の「存在意義」を、話筋自体に組み込もうとして来ています。本映画作品の意義は、許斐先生が口で言うような、「子ども向け」「新規ファン獲得」…だけじゃないだろ?ってことです。ロサンゼルスからニューヨークまで、格好良く「逃げ切る」作品じゃ、ダメなんですよ。この映画作品は、「テニスの王子様」というパッケージにとって、「一度逃げたけど、腹をくくって、自ら闘いに戻って来る」ための作品だろ?…と。脚本家様発信で、その後に監督様の手で作り込んだのが、「エメラルドさん」というキャラクターなのかな、と思っています。エメラルドさんは、「戻って来る」という話筋を作るため、「逃げて、戻る」対象として設定されたキャラクターだろうな、と。エメラルドさんは、かなり入り組んだ設定を背負っています。南次郎さんの全米オープンの試合を妨害する「悪役」が、南次郎の子どもの誘拐を依頼したマフィアの娘。おそらくエメラルドさんは、「ファン(の目線)」の体現ですので、リョーマくんと対峙はしますが、彼女自身が悪行に絡むような描き方は、ダメ。それは違う。そのため、南次郎さんへの妨害の意図と、実働部隊を切り離し、更に、実働部隊の中で悪行を引き受けた主体とも、実際に悪行を行う主体とも、切り離した存在として設定しています。・悪行を意図した主体→アダム・アンダーソン・悪行を引き受けた主体→ベイカー・ベイカーの指示により、悪行を行った主体→ウルフ・ブー・フー↑エメラルドさんは、この悪行筋には絡めない存在として設定されています。設定が入り組んでいる分、これらゲストキャラクターの立ち位置の説明にかなり尺が必要となっています。エメラルドさんとベイカーさん(父)との関係性、アダム・アンダーソンとベイカー(エメラルド父)の対話シーンも含め、悪行を行うに至る責任の所在をはっきりさせる説明が必要でした。また、リョーマくんとエメラルドさんの対話シーンも、私は、リョーマくん×ファン(の目線)という含みを持たせているのだろうと認識しています。ここも、ただ話を回すだけにしては、かなり尺を取った作りになっています。要は、エメラルドさんというキャラクターがややこしい考え方に立って設定されているので、説明・対話シーンにかなりの尺が必要になっている、ということです。これでも、裏設定の描写はかなり省いてると思うんですよ。エメラルドさんについては、明言はされていませんでしたが、そもそも病気かケガか…なんらかの理由で、「足が少し不自由」なキャラクターとして設定されているのではないかと思っています。エメラルドさんは、経営しているバー→自己保有の倉庫への移動はしていましたが、リョーマ君と桜乃ちゃんが逃げた後、追跡を部下3人に任せ、自身はずっと倉庫に残っていました。話筋として、リョーマくんたちが「逃げて、自ら戻る」対象です。この方自身がバリバリ移動することができない、「自身で追いかける」ことを躊躇する状況のキャラクター、という設定があったからかな、と思っています。おそらくですが、この「足が少し不自由」な設定を元に、「足の踏ん張りが効かない」から、「足テニス」という発想や、最初の未来においては、より状態が悪化した、「車椅子」テニスプレイヤーとしての姿が描かれていたのだろうな、と思っています。存在自体が複雑で、捻った設定を詰めてあるキャラクターですが、本映画作品の中での役割は、あくまで「リョーマくんが逃げて、戻る、その対象」です。リョーマくん軸として、「逃げて、戻る」という流れに必要のない情報は、作中では匂わせるだけに留めています。★話筋Aと話筋Bの比較・違い話筋Bを、元の構想・話筋Aと見比べた際、下記の特徴があります。・話筋が、Aに比べ複雑。鑑賞者の頭への収まりは悪い。・複雑な人物配置の設定説明に尺が必要で、 単純にその分、ワクワクするシーン・描写に取れる尺が短くなる。・逃亡→戻るまでのすべてのシーンが、ロサンゼルス市街内になる。 リョーマくんと桜乃ちゃんの2人で、町を移動していくシーンの描写はできず、 作品として、「大陸横断」感は出ない。 (おそらく、教会までのヒッチハイクシーンは、話筋Aの「大陸横断」「移動」シーンの名残なのではないかと思っています。 許斐先生の描くメインビジュアルの背景にも、 「大陸横断」「移動」を想起させるイメージとして残っていますし。)上記は、子ども向け作品として構築する際のデメリット要素です。でも、結局今回の映画作品は、こちらの話筋Bを採用しています。Aになくて、Bに盛り込んだもの…それが、前述したようなメタの観点。これは、「ただの子ども向けアドベンチャー」ではなく、「ファン(の目線)と闘う、闘いに戻って来る」ための作品だ、という観点であり、言い換えると、「これまでの20年間の作品展開と、形成されたファン・周囲の目線、それがリョーマくんの目の前に『壁』として存在し、それを越えようとする・闘う」という概念を、話筋自体に明確に盛り込む、という点です。この、A/Bのどちらの話筋で行くか、というのは、この映画作品の存在意義を、「闘い」と定義するか、しないか と同義であり、本映画作品の存在意義を決定づける、重要な分岐だと思っています。そもそも、「ファン・周囲(の目線)と闘う」というのは、許斐先生の感性から出て来るものではないだろうな、と思っています。これは、先ほども書きましたが、第三者…おそらくですが、脚本家様と、監督様の感性なんじゃないかな、と思っています。「これまでのテニスの王子様」の第三者だからこそ、言えること、というか。「たとえ受け手と闘うことになったとしても、作品とキャラクターは、譲れない軸を貫き通すべきである。」「この映画作品は、『テニスの王子様』というパッケージをただ子ども向けアドベンチャーとして魅せる作品ではなく、リョーマくんと、『テニスの王子様』というパッケージが、ファン・周囲(の目線)と『闘う』ための作品である」話筋B案が出て来た時に、許斐先生の方でやっぱり「あくまで『子ども向け作品』として構築したい」と、話筋Aの方で押し切ることも、出来たと思うんですよ。たぶん。…でも、それをしなかった。たぶん。これは、『闘う』ための作品だ、ということだと思います。★話筋Bにしかない「折り返し地点」話筋B…「逃げて、戻る」話筋になったことで、初めて登場してくるのが、話筋としての「折り返し地点」です。話筋Aでは、ロサンゼルス→ニューヨークという直線の動きになりますので、「折り返し地点」はありません。話筋Bでは、「逃げて・戻る」…それも、「自ら」。この折り返し地点で、一度は逃げた場所に、再び戻る決意・覚悟を固める必要があるんです。心情の作り込みとして、話筋Aの「逃げ切る」という一直線の筋と、全然違う次元の作り込みが必要になります。また、ここまで書いてきたように、「逃げて、戻る」という概念自体が、そもそもメタ的な観点で作られていますので、その重みは凄まじいものになります。リョーマ君は、桜乃ちゃんを連れて、「テニスの王子様」から、この映画に逃げて来てる…とも言える状況だと思っています。「テニスの王子様」から逃げて、ここ・映画の折り返し地点に来て、そして戻る…戻る…どこに?…「テニスの王子様」に、ですよね。↑要は、メタでの「逃亡劇の最果て」が、この「折り返し地点」なんだと思います。3Dなんて次元を飛び越えた媒体で、映画作品なんて、人もお金もすごくかかる企画を立ち上げて、何をしに、ここまで来たのか、です。だから、『教会のシーン』なんて強烈なものが、生み出されてしまったんだろうな、と思っています。リョーマくんと桜乃ちゃんの2人のシーンは、元々一度追手から逃げて、一息つくシーンとして設定されていたんだろうな、と思います。時間軸的には、夕方~夜にバーのシーン・エメラルドさんとの1度目の邂逅があり、一夜明けて、朝方~昼頃に戻る…その夜の部分ですね。全部想像ですが、おそらく筋立ての素案の中で、「桜乃ちゃんがリョーマくんを励ます」シーンという枠組みだけ作り、シーン自体の中身は、(楽曲も含めて)許斐先生に任せます、という振り方だったんじゃないかな…と想像しています。この2人の描写については、許斐先生以外の方が匙加減を決められる部分でもないと思いますので。オモシロいのが、許斐先生のTwitterでポロっと書かれていた、こちら↓の情報。『peace of mind-星の歌を聴きながら-』の、最初曲を作った時の歌詞は↓だった。今勇気出して行こうonce again 星の歌聴こう♪それが、本編新テニ13巻の桜乃ちゃんのセリフを持ち出して、実際に楽曲になったのがコレ↓大丈夫だからpeace of mind 星の歌聴こう♪一見似ているようで、考えると、前後の文脈やシーンとしての意義は、全然異なるものだったのだろうな、と想像しています。【元】今勇気出して行こうonce again 星の歌聴こう♪歌詞の内容を見るだに、当初は桜乃ちゃんが、リョーマくんを「前向きに」励ますシーンを想定していたのかな、と思っています。・桜乃ちゃんに励ましてもらうシーン・電話で、手塚部長/跡部さんに励まして(焚きつけて)もらうシーンこの2つのシーンで、話筋上の折り返しのカーブを作る、という想定だったのかな、と。また、夜のシーンは、素直に歌詞を受け取れば、この時点では本当に「星空の下」のシーンだったんじゃないかな、と思っています。今勇気出して行こう という言葉の後に、「星空を見る」ことを促す流れですので、明日へ向かうパワーを得られるような、力強さを感じさせる星空だったのではないかな、と。【新】大丈夫だからpeace of mind 星の歌聴こう♪話筋上の意義として、上記「前向きに励ます」シーンが来ることについて、不自然さは感じません。ただ、おそらくですが、リョーマくんと桜乃ちゃんのキャラクター性と照らし、「前向きに励ます」というのが、しっくり来なかったのかな、と思います。そこで、既に新テニ13巻で登場していた、桜乃ちゃんに「励ましてもらう」シーンの、「大丈夫だから」というフレーズを持ってきた…。分かります。「星の歌聴こう」の意味合いも、「心を落ち着かせよう」という、どちらかというと「静寂」「安寧」を促すイメージとなり、この2人のキャラクター性・関係性と照らしても、こちらの方がしっくり来ます。妹とよく話すのが、↓これ。「この『大丈夫だから』で決壊したんだろうね」新テニ13巻では、桜乃ちゃんが「(リョーマくんが)大丈夫だから」と言っていて、つまり、「大丈夫」な主体はリョーマ君なんですが、この♪peace of mindでは、反転しちゃってます。「大丈夫」の主体は、主には桜乃ちゃんです。ここで桜乃ちゃんが「大丈夫だから」と言うってことは、桜乃ちゃんには、リョーマくんが「大丈夫じゃなさ気」に見えているということで、じゃあ、リョーマくんはなんで「大丈夫じゃない」んだろう?…って掘り下げて行った結果、リョーマくんが落ち込んでる理由が、自分への負い目であることを察した桜乃ちゃんが、「大丈夫だよ」「大丈夫だよ」って、繰り返し伝えるニュアンスに変遷してっちゃったのかな、と・この二人は、お互いに気を使い合える、すごくイイ子たちなんだな、イイ関係性なんだなと、もちろん思うんですけど…ただ、こんな、傷の舐め合いみたいな…「ごめん」と「大丈夫だよ」の応酬、いち大ヒットエンタメ作品の、ヒーローとヒロイン(中学1年生)から、普通の状態で出て来る会話じゃないですよね。「大丈夫じゃなかった」んだな、と思います。私のような、(ファンでもない)傍の目線から観ていても、20年間、「テニスの王子様」という作品の、桜乃ちゃんというヒロインの置かれた状況は、大丈夫ではなかった。…あまりに可哀想だった。「王子様が守る」ためにと設定した、ヒロイン・お姫様ですよ。こんな状況、許斐先生はもちろん、ずっと守りに行くことが出来なかったリョーマくんも、全然「大丈夫じゃなかった」んだ、ということだと思います。桜乃ちゃんが、「大丈夫だよ」って言った瞬間に、許斐先生とリョーマ君の中で、「20年間」が、決壊しちゃったんだろうな…と。(※製作時点では15年間くらい?)3Dなんて次元を飛び越えた媒体で、映画作品なんて、人もお金もすごくかかる企画を立ち上げて、こんな最果てまで、何をしに来たのか、です。桜乃ちゃんに「絶対に守るよ」って、誓いに来たんだな、と。妹とは、「ここの『誓う』までたどり着いて、『教会』は建ったよね」と話しています。背景が星空ではなく、「十字架とステンドグラス」であったことに気づいた…というか。もともと、2人の会話・ミュージカルシーンや、ポニーテールを魅せるという部分は、やりたいこととしてあったと思いますが、ただやっぱり、話筋的にも、『教会』はあまりに飛んでる。いきなり20年決壊させて、すごいテンションでミュージカルに突入するので、「20年間のリョーマ君と桜乃ちゃん」の観点がない観客がついて行けるわけがない。そもそも、楽曲では「星の歌聴こう」って言ってるのに、教会が建ってしまったものだから、猫マジックで、星のファンタジーワールドに2人を連れ出すという荒業まで使って来てますし。ただもう『教会が建っちゃった』ものは仕方がないというか。 「あ、ここ『教会』だったのか。じゃあもう仕方がない…誓うしかない!!」全部想像です。ただ、元歌詞のニュアンスを見る限り、ここまで来て初めて、楽曲の構築と一緒に2人のやり取りが定まって、『教会』が建って、この映画作品の存在意義が、これほどまでの美しく、見事な概念のシーンとして形になったんじゃないかな、と思っています。「決壊しちゃった」というのも、ここまで意図的・恣意的にセルフで仕掛けまくってますので、「決壊させた」というか、必然と言えば必然ですが、ただやはり、脚本家様・監督様の感性でのお膳立て…というか、話筋Bの提示・「ここまで踏み込むべきだ」という強い提案がなければ、この『教会』までは辿りつけなかったと思います。話筋Aのままで製作していたら、リョーマくんの気晴らしはさせてあげられますが、「逃げて、戻る」という観点はなく、「リョーマくんが『テニスの王子様』に戻る」ための映画作品という位置づけにもならなかったんじゃないかな、と思います。監督様・脚本家様も、許斐先生がこの「教会」のシーンを出して来た時には「すげーーー!!!」って、震えたんじゃないかな…と。全部想像ですけど。当然ですが、話筋を構築していくこの段階では、許斐先生と監督様・脚本家様で、キャッチボールというか、全体の流れ・バランスの調整をぐるぐると繰り返していると思います。リョーマくんが桜乃ちゃんに「謝る」に至る、その前の逃亡シーンのエピソードの作り込みもそうですし、あとは、折り返しシーンが『教会』になったことで、1、幼少期を過ごした家・父のテニス2、教会(結婚式)3、全米オープン会場(未来で活躍する場所)という流れが出来上がり、話筋自体が「リョーマ君の人生軸」を示唆するものになりました。最初から、裏テーマとしては想定していたとは思いますが、あれほどまでに憧れの対象としての「家族を守る父親」像を強調し、「結婚」「家族」を思いっきり示唆してくるバランスは、『教会(結婚)』モチーフありきで、組み直した部分も多いんじゃないかな、と思っています。◆DANGER GAMEこの楽曲について、あまりしっかり書けていなかったので、補足です。上述して来ているような、話筋A/Bの違い…というか、話筋Bにしかなかった要素を象徴するのが、対エメラルドさんの試合シーンで流れる、この楽曲♪DANGER GAME だと思っています。オモシロい楽曲です。この楽曲は、聴けば聴くほど、ヤバい。内容が。基本的には、リョーマくんとエメラルドさんの対峙を歌っています。サビまでは、お互いに挑発をし合う会話のようになっています。作品冒頭の♪RAP FESTIVALで描写されているものもそうですが、この好戦的で挑発的な態度という部分は、越前リョーマくんというキャラクターの大事なアイデンティティだな、と思っています。この子は…相手が居たら、壁があったら、「闘いたい」子なので。そして、サビの歌詞。何度反芻しても、凄い。明らかに、「テニスの試合」のことを歌ってはいません。歌詞中で、「ギリギリの命の駆け引き」とか言ってますけど、命の駆け引きなんて、テニスとしては描写してませんから。これまでにも書いて来ている通り、あくまで私の解釈なだけですが、エメラルドさんというキャラクターは、おそらく、「ファン(の目線)」の体現だと思っています。サビの歌詞は、もろに「リョーマくんとファン(の目線)」、「テニスの王子様とファン(の目線)」、その対峙を歌っているんだろうな、と受け取っています。破れかけの意志よ 飛んで行け!ギリギリの命の 駆け引きの中で そう行けるとこまで行けよ これがDANGER GAME勝つか負けるかは そうだ俺次第 だからボロボロになった時に 見る夢は現実よりも 真実よりも 大切なものが見えるThe winner is mine!出し手と受け手の対峙を、こんな表現で描いてきた作品は初めて観ました。この曲の中で、出し手側の「どうしても譲れない部分」と、受け手側の「どうしても譲れない部分」が真正面からぶつかってしまう時に、「命の駆け引き」にどうしてもなる、ともう定義してるんです。私の視点…受け手目線からですと、出し手と受け手って、闘いにならないと思ってるんです。出し手が「これだけは、どうしても譲れない」と心に決めた時点で、受け手に勝ち目はないので。闘いになりようがない。でもこの楽曲では、出し手側…というか、リョーマくんからですかね、この「対峙」を、お互いボロボロになるまでやろう、闘おう、と言ってるんです。最終的に、闘った先で、そこでしか見えない大切なものが見える、とまで言ってる。「出し手」側が、「受け手」の存在・主体性を重く重く認識しているからこそ、誠心誠意、持てる力のすべてで闘いに打って出ている…本当に、受け手・ファンの目線に向けた、この上ないラブソングだな、と思って聴いています。出し手側が、本気で、命がけで勝とうとして来てるから、だからこそ、『3D』『劇場版』ですし、だからこそ、『教会』まで行きついたんだな、と思っています。繰り返しになりますが、私の認識としては、「ファン(の目線)と闘う」感性は、許斐先生のものではないだろうな、と思っています。ただ、リョーマくんは「闘いたい」子ですので。20年間に渡り、桜乃ちゃんを守りに行きたいのをずっと我慢させて、また原作自体、リョーマくんと青学をメインに据えた作り方も出来なくなってしまって、少年漫画主人公として、どうしようもなくなる状態まで追い込んじゃってましたから。今回の映画作品は、許斐先生の信念をかなぐり捨てて、リョーマくんの軸・やりたいことを貫き通すことを優先させたのだろうな、と思っています。それが、「ファン(の目線)と闘う」舵取りだったんだろうな、と。許斐先生にしても、トラウマとの対峙だっただろう、と思います。許斐先生…あんなに頭が良くて、様々な方の意見を取り入れ作品を変容・構築できる柔軟さがあるのに、こと、リョーマくんと桜乃ちゃんに関しては、鬱っぽい…というか、思考回路が強張って、ガッチガチになってるのをひしひしと感じますので。十数年間、何をやっても、どれほど気を使って描いても、炎上・猛攻撃を浴び続け…関係各所へ迷惑もかけまくってしまい、八方塞がりで、一度は本当にこの2人をまともに描くことを諦めてると思いますもん。(この許斐先生を一度でも諦めさせるって、凄いことですよ…。結局諦めなかったけど…。)映画の出だしのあたりは、リョーマくんと桜乃ちゃん2人の表情もガッチガチで、観てるこっちが、「大丈夫だよ!2人、カワイく描けてるよ!大丈夫だよ…!」って思わず言いたくなります。※ちなみに、妹は、映画出だし~エメラルドさんの倉庫に桜乃ちゃんを助けに来れるまでのターンを、「リハビリ」と呼んで愛でています。それでも、ここと向き合った先に、「テニスの王子様」の未来が開けて来たんだと思っています。だらだらと、同じようなことを繰り返し書いて来ました。全部、ただのいち鑑賞者の、ただの想像ですが…とにかく、これは凄まじい映画作品です。超オモシロいです…!!哲学です…!!漫画好き・エンタメ好きの方は、「観ない」という選択肢はないというか…是非!!円盤発売しましたので、是非鑑賞してみてください!!哲学です…!!by姉
2022.04.04
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映画感想、ラスト記事(予定)!映画感想『リョーマ!新生劇場版テニスの王子様』-その5前記事までで、個々に書きたいことはだいたい書き尽くしたかな…という状態なのですが、補足で書きたいことと、本映画に対する個人的な感想の総括を。(先に断っておきますとこの記事上の、どこで誰が、どういう順番でこの映画作品を構築していったか、というのは本当に私たちの中での、ただの「想像」「いち鑑賞者の解釈」ですので。この作品を観て、こういう風に捉えている人も居るんだな、と思っていただければ。)*以下、現在公開中の映画作品の、ガッツリネタバレあり感想です。未鑑賞の方は、お気をつけください。*●黒猫こちらも「ゲストキャラクター」で良いのか分かりませんが、本映画随所に登場する、「黒猫」。監督様のお話で、「夢へ案内するキャラクター」との見解があったようですが、アリスで言うと兎のような立ち位置ということでしょうか。映画序盤、桜乃ちゃんをリョーマ君に引き合わせたのもこの黒猫ですし、クライマックス、全米オープン会場で、リョーマ君にボールを渡して、戦うように促したのもこの黒猫でした。観ていると、この黒猫が、鑑賞者が気になるレベルで登場してくるシーンは、基本的に、リョーマ君と桜乃ちゃんのシーンです。最初の、エメラルドさんの倉庫のシーンや、ラストシーン、現在に戻ってきた二人が別れるシーン…等。心配そうに観てる…って雰囲気かな?と。一番大々的に登場するのが、やはりリョーマくんと桜乃ちゃんの教会のシーン。教会→星の光の世界へ、この黒猫が二人を導いたのかな?というニュアンスになっていました。この星の光の中でのリョーマ君&桜乃ちゃんのデュエットシーンですが、明らかに不自然に、黒猫の「眼」が随所で「くわっっ」と観客を観てくる、謎演出がなされています。桜乃ちゃんが「私大丈夫だよ」って、とにかくプリンセスな表情と仕草で応えるシーンと、「どこに居ても君と回る世界~」の、リョーマ君と桜乃ちゃんが浮遊するシーン…かな?後ろで、ものすごく不自然に、黒猫が大きな眼を見開いて、観客を睨んで来ます。まぁ…基本、黒猫は許斐先生で、このシーンでの目線は、「観客への威嚇」なんだろうな、と私は受け取っています。今回、こうやってこの二人を描くことについて、確固たる決意・覚悟を持ってやっていることとはいえ…不安…でしょう、心配…でしょう、そりゃ…これまでの、経緯のあれこれからして、そりゃ…キャラクター守らなきゃ、って思うでしょうよ…と。この解釈で合っているのかは分かりませんが、「何かの目線」の示唆ではあると思っています。感じ取る人だけが感じ取れば良い、興味深い演出だな、と思っています。●オープニング・♪Dear Prince~テニスの王子様達へ~ クライマックス・♪世界を敵に回しても の対比本映画作品ですが、随所で、「テニスの王子様」という作品が、第一線の作品ではないという現状の立ち位置について示唆されていると思っています。表題曲♪世界を敵に回しても の歌詞中にある、この言い回し。「時の異邦人(エトランゼ)だとしても」もちろん、リョーマくんと桜乃ちゃんが、過去にタイプスリップして来ている「時の異邦人」という概念とひっかけてありますが、歌詞の意味合いとしては、作品の立ち位置としての意味合いが強いのだろうな、と受け取っています。この概念、OPのシーンと、クライマックスシーンとの対比で一番表現されていると思っています。オープニング・♪Dear Prince~テニスの王子様達へ~ ですが、テニプリ旧作の最終回のシーン。観客が皆がノリノリで躍りもてはやす、「熱狂」ですね。作品としての「人気絶頂期」のイメージなんだと思います。対比で、クライマックス・♪世界を敵に回しても のシーン。全米オープン会場で、観客は皆ブーイングをしながら帰ってしまって、家族や、今回の映画でかかわった人たちしか観ていない中で、リョーマくんの、一番叶えたかった夢のような試合が始まります。この2つのシーンの対比は、本当にオモシロくって…シーンとしての概念も対比になっているのですが、もう一つ、「リョーマくん」というキャラクターの描かれ方ですね。この2つのシーンで対比になってます。オープニングの方は、「アイドルのリョーマくん」です。表情・動きがとにかくアイドルです。集団アイドルの中で、一番小さくて、一番大きな眼をして、真ん中でバシッとキメる…作品の人気絶頂期に求められた「アイドル(センター)像」なのだと思います。このオープニングの「アイドル・リョーマくん」像とのギャップを魅せるのが、映画本編でした。表情・演技動作の質が違います。正味80分くらい…だと思いますが、ひたっすらこの子の、特に「プライベートの部分」…ですね。生まれ育った環境と、見て来たものと、大事にしていきたいものとを、ひたっすら魅せて来てからの、クライマックスシーンなので。オープニングでも、青学メンバーはじめ、みんな踊って応援してくれてたんですけど、クライマックスはもう…感受性が違うというか、「テニプリ」という作品の、これまで積み上げて来たものすべてが、背中を押してくれる力強さを、リョーマくんにつられて、観客も強烈に実体感します(させられます)。とにかく、この2シーンの対比は、観れば観るほど面白いところです。◆総括劇場公開から、1カ月以上が経過しましたが…はい。毎週末、車で1時間半かかる劇場まで足を運び…結局、現時点で14回鑑賞してきました。過去、「銀魂 完結篇」の自分内最多16回鑑賞という記録がありましたので、そこまではいっていないのですが…でもな…銀魂はセカンドランまで合わせての回数だったから…ペース的には同ペースかも…。年季の入ったテニプリファンでもないため、作品を応援したくて行っているわけでもなく、特典の40種ポストカード狙いなわけでもなく(パッと名前が出てくる子の方が少ないし)、ただただ単純に、この映画を鑑賞したかった…。完全に中毒症状です。この映画作品は、需要や波に当て込んだ作品ではありません。「こういうものをファンが待ってるから」「こういう波が来てるから、それに乗ろう」…という意識の企画とは、かけ離れたところから生まれて来ている作品です。ただただ、許斐先生が最高だと思うものを、疑いようのない力のあるスタッフ様たちの力を存分に借りながら・任せながら、これまで培ってきたメディア・エンタメノウハウのありったけを駆使して、最高にこだわり抜いて、最高だと思う「形」にしてある作品…だと思っています。これが何のつくり方か?というと、大袈裟ではなく、「ラピュタ」「トトロ」の作り方だな、と思います。「お前に誰もそれは期待してない」と言われながらも、「最高だと思うもの」を、形にしてある。形にしないと、口で言ったところで何も伝わらないじゃないですか。「トトロ」「まっくろくろすけ」「ねこバス」なんて概念で説明されたところで、受け手には、何が面白いのかなんて全く分からないですよ。本テニプリ映画にしても、少年漫画の主人公としての「リョーマくん」像…お父さんに憧れて憧れてキラッキラしてるところや、桜乃ちゃんと2人でいる時の、どれほど「王子様」かという部分…どれほど、許斐先生の中に構想があろうが、どれほど「『このリョーマくん』が魅力的なんだ」と口で説明しようが、やっぱり描写して、作品にして伝えないと、分かってもらえないんです。これが、「形にする」ってことなんだ、と思います。「形」にして、「作品」として表に出したものしか、何かを伝え、他の方を説得し、押し切ることはできません。ただ、製作サイドとして、「形にする」までの紆余曲折…というのは、当然あるのだと思いますし、特に、今回の「新生テニスの王子様」については…。映画立ち上げ時には、「これほどの攻撃性をもった『作品としての概念戦』」を展開するつもりは、なかったんじゃないかな、と思うんです。鑑賞すれば分かりますが、今回の映画、とにかく「異常」です。「異常なハイテンション」が、ずっとずっと空気感を支配しています。鑑賞者の記憶を飛ばしたり、「麻薬」と称されるほどの爆発的な感情が、渦巻いてる。「テニスの王子様」の原作を読んでいて、本当に感じたのが、許斐剛先生のお人柄や、信念という部分だと思うのですが、絶っっっ対に、「負の感情」を使わないんです。キャラクターにしても、総勢数十人、数百人というキャラクター達が居るのに、一切、「負の感情」から生まれたキャラクターが登場して来ません。普通、使いたくなると思うんですよ。家庭環境があまり上手くいっていなかったりだとか、不幸な生い立ちを背負っていたりだとか…それが、一切ない。許斐先生自身が、「ハッピーメディアクリエイター」を名乗られていることからも、クリエイティブの源泉が「ハッピー」であり、形作るもの自体も絶対に「ハッピー」であるのだ、という確固たる信念を持ってらっしゃるんだな、というのをひしひしと感じます。今回の映画作品も、最初は「ハッピー」だけで作ろうとしたんじゃないかな、と思うんです。以下↓、あくまで私と妹の中での、「こういう流れ・考え方なんだと思う」という、ただ想像です。原作・旧作の全国大会に向けて、20巻後半から30巻台…ですね。(初期構想では、主人公に設定していたという)金太郎くんを大々的に出して、ファンの要望に応えて、氷帝学園をもう一度大々的に描写して、35巻…でしょうか。あそこで一度、明らかに「リョーマ君軸の少年漫画」を再開幕させようとしてると思うんです。金太郎くんと、桜乃ちゃんと、リョーマくんで、三角関係をベースに、金太郎くんとリョーマくんの対峙…ライバル関係を、分かりやすく定義して。この時にやろうとしたのは、今回の映画の立ち上げと、同じ試みだったと思うんですよ。「少年漫画の作りに戻そう」「リョーマくんが運命的に感じ取ったもの、リョーマくんにとっての重要な要素のバランスで描こう」という。これが、おそらく、ファンの反発が凄すぎて…だと思います。許斐先生が描きたい形に「出来なかった」。多分。だから、旧作は42巻・全国大会優勝までで、青学だけはしっかり主役主体として描き切って、一旦締めることにした(なった)んだろうな、と感じました。(35巻には、許斐先生の腰痛による休載についての記載もあったため、体調面のこともあったのかもしれませんが…。)準決勝の四天宝寺戦で、リョーマ君VS金太郎くんの試合が実現せず、(その前に決着がついたため)1球のみの対決だけが描写されましたが、『ここではもう描けない』から、『保留』したのだと思います。また、41巻・決勝戦に向かうリョーマくんに、桜乃ちゃんが話かけますが、リョーマくんが、「悪いけど 後にしてくんない」と言うシーン。今回、原作をじっくり読み直している時に、このシーンを読んで若干涙ぐみました。このシーンは、本当にリョーマ君の言葉のままで、「試合の後に、何らかのエピソードがある(今は描写はしないけど)」という含みも持たせつつ、『走らせてきたこの連載の中で、(リョーマくんと桜乃ちゃんを)描いてあげられない』『また後で、何らかの形で、絶対に描く』という作品としての示唆だと思ったんです。今回、原作を読み直してひしひしと感じましたが、リョーマくんと桜乃ちゃんに関しては、10巻台…アニメが始まったあたりから、原作の中で、本当に描けてません。随所で、「出したい」という意図をすごく感じるシーンが出てくるのですが、リョーマくんが、桜乃ちゃんの方を見て、普通に会話できるシーンがほぼありません。たぶん…皆無じゃないでしょうか。それくらい、旧作の中では、「普通に」描写できなかった。旧作完結が2008年で、1年後…2009年、『新テニスの王子様』が続編として連載開始しています。「新テニスの王子様」も、ざっと読みました。作りとしては、本当に…「分かる」「上手い」「流石」。まだまだ人気拡大ができる「テニプリ」という作品のコンテンツ提供…高校生たちという新キャラクターの拡充を行いながら、「U-17世界大会」に向けた、隔離された合宿所でのバトルロワイヤル的な出だし…話筋の定め・縛りを極力抑えた中で、数多のアイドル人気を誇るキャラクター達を、需要に沿った形で活躍させることが出来るようになっています。求められるものに対して完璧な、「流石」としか言いようのない作りだな、と思います。ただ、ざっと読んでの印象は…「『物語』ではないな」というのが、正直なところです。特に、『リョーマくんの物語』ではないな、です。本当は、新~になってから、人気キャラたちも個々に活躍させつつ、もっともっと、リョーマくんと金太郎くんの軸を、少年漫画的に描いていきたかったんじゃないかな、と思うんです。なかなかそこが、ファン層の需要と折り合わない…「テニスの王子様」という作品・商品パッケージを背負って、このジレンマの中で、『リョーマくん』が描けない…というか、もう動けない…というか。新~のコミック13巻。リョーマくんが日本の合宿所を(失格)という形で離れて、お兄さん(リョーガさん)の導きで、アメリカチームに入る展開を読んだとき、許斐先生の中で、何らかの決意があっての展開なのかな…と感じました。衝動的なものだったのかもしれませんが、感じたのはとにかくコレ↓です。「リョーマくんを、『アイドル集団』から離してあげたい」このタイミングで、桜乃ちゃんが原作本編に鮮やかに登場して、漠然とですけど、力強く励ましてくれるデート回が描かれるのですが、…すごく分かるんですよ。これが、2014年の段階。今回の映画作品が、お話を見ていると5年以上かけて製作している映画作品のようですので、2016年くらいから?動き出しているのかな?許斐先生が、インタビューやメッセージ等でしきりに「最初は、タイトルから『テニスの王子様』を外したかった」とおっしゃってるのを見て、最初の感情は、本当に…「リョーマくんを、『アイドル集団』から離してあげたい」だったのではないかな…と思うんです。「テニスの王子様」「テニプリ」を背負わなくて良い場所で、リョーマくんと、そして桜乃ちゃん…この2人を、生き生きと、思いっきりしゃべらせてあげたい、動かしてあげたい。最初、この映画のビジュアルと概要が公開されたとき、「リョーマくんと桜乃ちゃんで、アドベンチャー!」なんだな、と思いました。この2人のキャラクター、(あとは金太郎くんもですが、)そもそもが「子ども向け」に作ってあるキャラクターです。どう見ても。「王子様」と「お姫様」という、考え方自体が完全に「童話視点」なんです。だからこそ、集団アイドルが求められる「テニスの王子様」の中ではなく、別の、子供向けのパッケージ感の中で、森の中で出逢った王子様とお姫様…それくらい安直で絶対的な存在として、この2人を、転生させてあげたい…というか。だから最初は、子供向けのワクワク大冒険!という筋立ての中で、リョーマくんが桜乃ちゃんを一生懸命守って、桜乃ちゃんはとにかく健気で可愛くて、リョーマくんをずっと見てて…それが描ければ、やりたかったことは出来てたんだと思うんです。それこそ、今回の映画作品を、許斐先生だけの感性…「ハッピー」だけで形作ってたら、↑こういう作品になるのが、至極妥当な形だったと思います。…ただ、やっぱり、この2人を活き活きと会話させてあげようとするほど、向き合えば向き合うほど、それだけじゃ…終わらなかったんだろうな、というか。やっぱり、何がどうあったって、この子たちは、存在がもう「毒」なんです。作品の大成功と、独自路線の発展の陰で、理不尽に抑圧を余儀なくされ、犠牲になり続けて、20年…。この2人を巡る、関係者の方たちの気苦労や心痛、ファン・読者・ちょっとだけ知ってる層も含め、何万・何十万・何百万という人々各々に渦巻く感情…何より、「最高だ」と思って仕掛けたキャラクター、キャラクターの関係性を、(一部の読者だと思いますが)延々と攻撃・拒絶され続け、読者が誰も傷つかないようにと気を使い続けて、描くことすらままならなかった許斐先生自身の中の激情と、この2人のキャラクターに対して積み重ねた、「申し訳ない」という感情…何がどうあったって、絶対に「あります」。監督様・脚本家様が本映画作品の構想を練る段階で、この「毒」であり、そこに渦巻く「感情」それ自体が、特殊だし、本映画作品の、他にはない面白さなんだ、と位置付けたんじゃないかな、と思うんです。提案として、ガンガン作品の歴史的背景・概念を、サブキャラクター設定や話筋自体に組み込んできますし、そうした中で、いざ、リョーマくんと桜乃ちゃんを2人っきりにして、向き合って、落ち着いて、自由に会話させてあげようとしたら、12歳らしい会話そっちのけで、「足手まといになってごめんね」「怖い目に遭わせてごめん、巻き込んでごめん」って言い合ってる…。いったん、集団アイドルパッケージから引き離そうとしたからこそできた、「(桜乃ちゃんに)本当に言いたいことは、何だ?」という問いかけに対する、リョーマくん(というか、=許斐先生)の返答(意志)が、「謝りたい」と「『絶対に守るよ』って誓いたい」だったんだろうな、と思います。この意志が、教会のシーンに結実した…というか、「これしかない」という形で定まった時に、これはもう…『そういう作品』だ、と。「絶対に嫌だ」「ここは描いて欲しくない」って言うファンが一定数は確実に居ること分かってて、やることなんで。どうしても「ハッピー」だけではいられない…作品としての「負の感情」や「傷」を、「そういうもの」だと認める…というか。今まで積み上げて来た作品の歴史や、周囲の目線は、何がどうあったって、リョーマくんにとっての「壁」だし、ここに突っ込む行為が何なのか、その源泉にある感情は何なのか、と言ったら、『世界を敵に回しても 譲れないものがある』だったんだろうな、と思うんです。許斐先生おひとりで形作る作品だったら、ファンに気を使いまくるお人柄、これまでの作品展開を見るだに、絶対にやりたくなかったし、出来なかったことだと思います。出来なかったからこそ、20年間もこの状況を続け、抑圧された感情が熟成に熟成を重ね、、今回、こんなド肝を抜かれるような「ゲキブツ」映画が生み出されてしまったわけで。ただまぁ…改めて振り返ると、「世界を敵に回しても」描きたいものが、何かって…『王子様とお姫様』ですからね…!!この2人(←ただただ微笑ましい、王道中の王道)を描くのに、いったい何をどうしたら、ここまでの覚悟が必要な状況に陥るのか…っていう…;;まぁ…オモシロいんですよ。本当に、「他にない」。ここまで5記事に渡って感想を書いて来て、私があまりにも「リョーマくんと桜乃ちゃん」に寄った観方をしてしまっている自覚はあります。これまでの「テニスの王子様」の作品背景に目を向けなければ、「父親のテニス」に一直線に向かう少年の、感情・動きを主軸に展開させた映画作品という認識で一切問題ない作りになっていますし(脚本家様の筋立てが本当に上手)、鑑賞後に「満足感」が得られていたのであれば、それはもう、映画内でリョーマ君が思いっきり楽しく動けた…「満足」していたし、そこがちゃんと観客に伝わっていたんだな、ということだと思います。それだけで、製作主体のやりたかったことも全部出来ているし、傑作映画だ!と言い切れると思います。ただ…やはり、私の視点では、です。これまでの作品背景への視点が大きいため、この作品に渦巻く「異様なハイテンション」の源泉は、間違いなく「リョーマくんと桜乃ちゃん」を描くこと それ自体にある、という観方になりますし、本映画作品の核心は?と言われたら、まず『教会のシーン』だと思っています。教会のシーン 及びそこでリョーマくんと桜乃ちゃんが歌う♪Peace of mind と、敵キャラとして設定されたエメラルドさんは、「少年向け」の作品を描こうとして、素直に出てくるものではありませんし、「新規ファン」開拓向けとして妥当な要素だとも感じません。これらは、20年を背負った、作品の在り方の概念戦の結晶です。「世界を敵に回しても」なんてフレーズは、この概念戦からしか出て来ません。リョーマ君が、枷を外してあげたら、本当によく動くんですよ。この映画内で。絶対にじっとしてない。桜乃ちゃんにも、まっすく向き合って、どこまでも踏み込んだことを自力で伝えて、その上で、憧れに向かって、観客置いてけぼりにして、どんどんどんどん進んでいくんです。こんなにパワーのある子だったんだ…!って、許斐先生自身も、製作の中で何回も何回も、この子の主人公としての底力に惚れ直したんだと思いますし、そうした中で、リョーマくんが「『テニスの王子様』を呼んだ」というか。先輩たちや、ライバルたち…作品自体を、呼んだ。逃がしてあげたかったものを、自ら呼び寄せて、それを声援に変えて、自分の力で、集約していこうとし始めたんじゃないかな、と思います。だんだん、その過程でテンションがおかしくなっていったというか…「リョーマくん、最高だよ!」「大丈夫だ、桜乃ちゃんも、作品自体も、そしてファンも、何もかも全部、リョーマくんの力で『ハッピー』にできる!!」「やっぱり君が、『テニスの王子様』だよ!!!」「『テニプリ』って最高だよ!!!!」映画のクライマックスは、もう↑このテンションでお祭り騒ぎしてるんだと思うんです。作品として、時流の波が来ているわけでもなく、本当に、ただただ作品内で、壮絶な概念戦を繰り広げて、自家発電で勝手に盛り上がって、暴発ええじゃないかしてる…というか。それを、映画作品として、世に出す、とか。面白過ぎるんだ…。原作・新テニスの王子様、20巻台の前半。おそらく、本映画作品の筋立てがおおよそ整う段階…2017~2018年にかけての原作展開の中で、リョーマくんが、日本チームに戻って来れてます。この映画作品を作ることができているから、リョーマくんが「大丈夫」になったんだな、と思って読みました。2021年10月10日…でしょうか?テニスの王子様・アニメの20周年というタイミングで、「テニスの王子様」TVアニメの新シリーズ開始と、ゲームの製作・発売が発表されました。テレビ東京とブシロード…どちらも、今回の映画作品の製作委員会に名前が並んでいます。映画作品の内容の評価が、切り開いた道だと思って観ています。なかなか言いたいことがまとまりませんが、流石にそろそろこの辺で、5記事に渡った感想記事を書き終えたいと思います。傑作です!!!!エンタメは毒。テニプリはヤク。20年間の抑圧で醸成された激情は、凶器。全部ひっくるめて、20年間の作品展開で培ったノウハウのすべてで「ハッピー」にコーティングした、スーパーゲキブツ映画です。最高にエゴイスティックな作品だと思います。だから、最高なんです。やっていること、詰め込んであるものの「質」は、どれだけ言葉を尽くしても表現しきれない程に「高尚」です。この映画を、数多の「テニスの王子様」コンテンツの中心に据え置くことで、原作・アニメ・ミュージカル・キャラソン・その他諸々のメディアミックス…テニプリワールドのどこへでも興味を持って行ける「ハブ」として機能します。…凄い。何が凄いって、ハブ機能を持った作品の入り口に「ゲキブツ」を仕掛ける大胆さが、凄い。傑作です!!!!!未鑑賞の方も、是非…!劇場公開中に間に合わなくても、今後、鑑賞できる機会はたくさん出来てくると思います。なにがなんでも、是非…!!!これは、できるだけ多くの方に鑑賞してもらうことに、意義がある作品です。先ほど、ポストカード目当てではない と書きましたが、やっぱり、リョーマくんが出てくれた時はテンション上がりました♪テニプリって…いいな!!!(沼の入り口で叫ぶ)by姉
2021.10.18
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私は、いったい何記事語れば気が済むのか…。とにかく、気が済むまで書きます。映画感想『リョーマ!新生劇場版テニスの王子様』-その4主に、脚本や監督様について。私には、あまりアニメーションを分析するような鑑賞眼はありませんが、すごいな、と思った部分について。アニメーションについて、どういった方が、いったいどういう役割を担ってらっしゃるのか、よくわかっていませんし、ましてや3DCGアニメーションの作り込みに関して、知識は皆無です。ただ、鑑賞しているだに、許斐先生の「やりたいこと」に対して、筋立て・肉付けをしていく段階で、「本当に力のあるスタッフ様たちが、作ったんだな!」とひしひしと感じました。*以下、現在公開中の映画作品の、ガッツリネタバレあり感想です。未鑑賞の方は、お気をつけください。*●脚本・秦建日子さん許斐先生のやりたいことや、描きたいシーン、監督様の意向等を吸い上げ、話を回していく力のあるエピソードを並べて、筋を通す…のが、脚本家様の役目かな?と思っています。本作の脚本の印象は、とにかく「理知的」「冷静」です。というか、そもそも映画立ち上げの段階から、力のある脚本家様がしっかり入って、許斐先生のやりたいことを、いち映画作品としての成立させていく…というやり方自体が、非常に上手いというか、冷静だな、と。秦建日子さんは、アニメ作品ももちろんですが、ドラマの有名作も多々手掛けられている方…とのことで、Wikiを少し見ましたが、あぁ…「HERO」……「最後の弁護人」!?(↑めちゃめちゃ好きな話がある、阿部寛さん主演の弁護士ドラマ)本映画作品ですが、やりたい部分は「王道」…なんですが、そこをしっかり繋げる話回しに関しては、かなり捻ってあると感じています。リョーマくんの、「お父さんのテニス」に真っすぐ向かう軸と、桜乃ちゃんを連れての逃亡劇…この2つをしっかり重ねたのは、脚本家様の筋立ての手腕だろうな、と思いました。また、本作は、とにかくやるべきこと、魅せるべきもの「だけ」を並べたてている、「無駄がない」というか「詰めっっ詰め」という印象の作品です。「情報」に関して、ものすごく繊細に、細部まで印象付けてくるシーンと、勢いだけで突き抜けるシーンとが混在しているのですが、細かく描いているシーンに関しては、全部、今回の映画で魅せたいものとして必要なインパクトだと思っています。リョーマくんが「桜乃ちゃんを守る」部分を、「お父さんのテニスの強さ(の秘密)」に繋げる…脚本というか、映画作品としての「テーマ」の話だと思いますが、(繰り返しになりますが)やりたいこと・伝えたいこと自体は、非常に一般的な感性に寄った「王道」です。ただ、実際にこれを説得力を持って観客に伝えるには、リョーマくんが、どれほどお父さんに憧れているか、という描写、越前家の生活感の描写、お父さんが家族をとても大事にしている描写、また、家族がお父さんを尊敬して、とても大事にしている描写、もちろん、逃亡劇の中で、リョーマくん本人が桜乃ちゃんを精一杯守っているよ、という説得力が何より必要なわけで、作品全体で訴えてこないと、観客にも伝わって来ませんし、とにかく映画作品として、本当に高尚な作り込みがなされている部分だな、と思っています。リョーマくんの「主観」で、上記数多の描写のインパクトを観客に体感させつつ、この子の中でそれらがどんどん繋がって、まっすぐ「憧れ」「越えたいもの」に向かって歩みを進めていく様子が、まじまじと見て取れる…一人の中学一年生の男の子の、今後の未来・人生が、挑戦的で幸せなものであるのだろう、ということを、初見の観客まで実体感させることが出来ていると思います。登場キャラクターを極力絞り切った、今回の形でしか絶対に無理な作りですし、それにしても、映画本編・正味80~90分くらいの尺の中で、観ていて飽きない・面白い形で、いちキャラクターの「人生」を感じさせるようなここまでの情報量をよく伝えて来るな…と、本当に感心…というか、感動しています。ちょっと話が戻りますが、リョーマくんの主観を念頭においた、各エピソードのインパクトの強さ、その使い分けの凄さについて。秦建日子さんが、事件モノのドラマを担当されており、それも、私の知っている限りの少ないエピソード(最後の弁護人)からの印象なだけですが、「感情」の部分が非常に優れた脚本様なのかな?、と思っております。本映画作品での印象的なエピソードとしては、いろいろあるのですが、まずは、逃亡劇の屋上のシーンでしょうか。桜乃ちゃんが、屋上から(放り投げられた鞄を追いかけて)飛び降りるシーン。観客としても、「ぎゃぁああああああっっ!」って思うんですけど、あれは…リョーマくん主観でのインパクトとしても、凄いもののはずなんです。ショックな絵面なんですよ。あれはトラウマですよ。後から観ると、桜乃ちゃんだけは、最初に足を踏み外しかけたときに、下の部分が出窓になっていることに気づいてたんだろうな、って分かるんですけど、初見じゃ、ただただショックなシーンなんです。このエピソード、インパクトが必要だから、こんなにひねって作り込んであるんだと思うんです。この後、教会のシーンになるんですけど、ヒッチハイクの車から降りるシーンから含め、リョーマくんずっと、桜乃ちゃんの方見れてないんです。ショックだったんですよ。髪も切られて…桜乃ちゃん本人にしたら、どれだけ怖かったか…これで、桜乃ちゃんの方見て、「怖かった」って落ち込んでたりしてたら、もうどうしていいか分からないというか…たまりませんので…。教会に入って、リボンを渡すのも、普通に振り向いて手渡しすればいいのに、振り向けないから、「リボンを整えて、(振り向かずに)投げる」という演技動作になっていましたし。一旦座って、十字架を見上げて、謝ろうと意を決して振り向くまで、一貫して桜乃ちゃんの方を見れてません。二人の会話を「謝る」ところから始めたいし、また、振り向くまでの「溜め」を作って、「ポニーテールの桜乃ちゃん」のインパクトを魅せて行きたかったのだと思いますが…とにかく、ちゃんとエピソードのインパクトでもって、本当にめちゃくちゃ繊細に、リョーマくんの心情変遷を作ってあると思っています。これほどの作り込みや、必要なインパクトのあるエピソード作りというのは、やはり力のある脚本家様居てこそのものなんだろうな、と思います。あとは、前記事でも書いているのですが、本映画作品は、概念ガッチガチの作品だと思っています。この観点がもともとない鑑賞者が、それを感じ取る必要は全くないと思いますが、私から観たら、「テニスの王子様」という作品が、長年抱えて来た深い傷…というか、大きな大きな矛盾、そこに真正面から向き合って、生まれ変わる覚悟で突っ込んでいった、そういう作品だと思っています。クライマックス、全米オープン会場で、主催者・アダムさんに、マフィアのベイカーさん(エメラルド父)が、「ビジネスも大事だが、私にとってファミリーはもっと大事だ。最愛の娘を侮辱したあんたとは、金輪際ビジネスはしない!」と絶縁宣言をするシーン。この2人の会話、情報詰め詰めの本作の中において、かなりしっかり尺がとられて、展開されています。感じ取れる鑑賞者が感じ取れば良いだけだと思いますが、長年、確実に存在したであろう「ヒロイン叩き」(もしくは「キャラクター叩き」)という風潮に対し、本映画作品を繰り出してくる「テニスの王子様」という作品の意志を、製作側が汲み取って、わざわざ入れ込んである会話だな、と思って観ました。(あくまで、攻撃的な「ただの中傷」に対して…ですよ。)先ほどから、脚本家様云々ではない話を延々に展開してしまっていますが、とにかく、本作には、「テニスの王子様」という作品の在り方の概念戦が、話の展開、描写、セリフの随所に落とし込まれていると思っています。これらの「作品の意志」をくみ取り、実際に形にする、セリフに落とす…この部分に、冷静な「第三者」の目線・手腕が入っていることで、きちんと言葉やニュアンスを選んで、いち映画作品として、ちゃんと鑑賞できるようになっているなぁ、と思っています。●監督・神志那弘志さん数日前に、本映画の冒頭3分半がYoutube 上でアップされました。→こちら観ていただくとよく分かるかと思いますが、普通のカットが、ひとつもありません。最初の記事で、「情報過多で頭がパーンッ!した」と書いたのですが、本映画作品初視聴の方は、かなりの割合で、記憶喪失症状を患うと思います。冒頭ミュージカルのあの勢い…とまでは言いませんが、約80~90分程の本編中、ありとあらゆるカットで、仕掛けてくるんですよ。「ここでびっくりさせる」「ここでここに注目させる」「ここで暗がりから一気に照明つけてパァッ!ってやる」「ここで3D映像を活かした、ぐるぐるするのやる」って…。何度か鑑賞して、冷静になって、…うん。この記憶喪失症状の発症は、『絵コンテ』全部切ってる、監督様のせいだなと思い至りました。本当に、普通のカットがないので。情報・伝えたいインパクト詰めっ詰めカットに圧倒されっぱなしになって、脳がマヒするんですよ。本映画について、Twitterとかで『観る(合法)ドラッグ』的な言い方をされていて、大袈裟でもなんでもなく、まさに「そう、それ!」って感じなんです。「アニメーション」という媒体の面白味を、エンドレスで叩きつけられて、観客KO…そんな印象です。もちろん、表現する「元」があってこその話ですよ。脚本のくだりでも書きましたが、リョーマくんというキャラクターの、魅力もですし、人生軸・未来まで、初見の方にも思い描いてもらわなければならない、本当に情報量の多い作品ですので。とにかく、国内アニメとしては、(なくはないですが)ほとんど見ないような、3DCG作品、更にガッツリミュージカル…海外スタジオへ大半を委託しながらの製作とのことで、スタッフロールも海外の方のお名前が並んでいます。これは…本当に…よく、これだけの熱量を持って、これだけの意図したメッセージを詰め込んで、本当に…よく、ちゃんと形になったなぁ… と思います。パンフレットにも、プロデューサーの方のお話で書いてありましたが、私も、この作品が形になったのは、何を差し置いても、本映画作品最大の功労者・神志那弘志監督の「アニメーション」媒体への高い高い志、「テニスの王子様」への深い理解、許斐剛先生の製作意図、背景への深い理解、そして、想像もつかないような腐心あってこそのものだろうな、とひしひしと感じています。テニプリ映画感想記事…多分、まだ続きます!by姉
2021.09.27
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感想記事、まだまだ続きます…!映画感想『リョーマ!新生劇場版テニスの王子様』-その3ゲストキャラクターと、音楽・楽曲について。印象的だったものの列記。*以下、現在公開中の映画作品の、ガッツリネタバレあり感想です。未鑑賞の方は、お気をつけください。*前回、キャラクターについての記事の中で、触れていなかったゲストキャラクターについて。●エメラルドさんマフィアの娘であり、本作のお話回しにおける立ち位置としては「敵キャラ」なのですが、独特な描かれ方をしているシーンがたくさんあり、ただの「敵キャラ」ではないな、というゲストキャラクターでした。最初、なんでだろう?と思っていた部分として、単純に、なんでこの立ち位置のキャラクターが「女性」なんだろう?と思ったんです。本作は、基本的に「子供向け」の要素を前面に押し出して作ってあるため、(強い絵面と情報過多で、仕上がりがちゃんと子供向けになっているのかどうかは置いておくとして)少年漫画を普通に作ろうとしたら、ここは「大柄な男性」だろう、と。パッと見が、大柄な男性に見えなくないビジュアルですので、私など、予告編を観た段階では男性キャラクターだと思って観ていました。↑子ども目線で観たとき、登場シーンで感じたような「威圧感」が必要で、いわゆる「敵キャラだ」と認識してもらうために、このビジュアルだったんだと思います。この「威圧感」が必要なら、なおさら単純に「大柄な男性」テンプレでいいじゃないですか。本映画作品は、ワンシーンワンシーンの描写含め、概念ガッチガチの作品だと思っていますので、あくまで、私の個人的な捉え方なだけですが、「あぁ、そうか」という自分内認識としてあるのが、エメラルドさん…このキャラクターは、『(特に、今まで熱心に作品を応援してくれている)ファン』…もしくは、『ファンの目線』の体現なんだろうな、と。声優が朴璐美さんということで、演技筋も非常に魅力的でしたし、描かれ方として、絶対に「悪者」にならないよう、描かれていました。「南次郎の子供をさらう」等の悪事自体は、エメラルドさんの父親→エメラルドさんの部下たちに直接命令が行っていましたので。また、非常にテニスが好きで、強い相手と闘いたい意志がある、という点で、アメリカに武者修行に来るようなリョーマくんとは、お互いの存在自体、すごくマッチしている、いわば相思相愛な立ち位置に居るんですよ。なのに、リョーマ君がいったん、桜乃ちゃんを連れて、エメラルドさんから逃げるんです。桜乃ちゃんが居ましたので、「逃げる」を最優先させるのは当然納得できる状況でしたし、お父さんのテニス(憧れの根幹)を壊さないためにも、「逃げきらなきゃ!」と奔走する姿に、違和感は感じませんでした。ただ、逃亡劇の中で、リョーマ君自身もやりきれない部分が多々ありますし、桜乃ちゃんも疲弊して来てて、これ以上連れて逃げるのは難しい、…と苦しくなった中で、開き直って、腹をくくって、自らエメラルドさんの元に真っ向勝負を挑みに行く…「逃げるのをやめた」「逃げてばっかじゃつまらないしね」「勝って、道を切り拓く。その方が楽しいじゃん!」うん。なるほど、「テニスの王子様」という作品の概念、本映画作品の意義が、まんま話筋になってるんだな、と。エメラルドさんに、「逃げずに、真っ向勝負を挑んできたリョーマくん」を認めて欲しいんですよ…更に欲をぶちまけて来ます。その魅力に、「惚れ込んで欲しい」んですよ…。こう捉えると、クライマックス・全米オープン会場で、エメラルドさんがはっきりと「リョーマくんに惚れた」と言い切るシーンもとてもしっくり来ますし、(テニスの王子様 初の、「男女間での恋愛」概念をはっきり言語化したシーンなんじゃないでしょうか?)そもそも、作品冒頭で、リョーマくんの放ったボール(主人公の、少年漫画ヒーローとしての軸)と、(おそらく)エメラルドさんの放ったボール(ファン(目線)の軸)とがぶつかった瞬間に、テニス銀河が爆誕し、タイムスリップミラクルが巻き起こりましたので。うん、理屈はまったく分からないけど、概念として、言いたいことはなんとなく分かる、というか。また、ラストのラストですね。現在に戻ってきたリョーマくんが、桜乃ちゃんと別れて、歩きだそうとする…その見上げた視線の先に、化粧品の広告かな?として、とてもキレイなエメラルドさんが居て…というシーン。「生きる次元が違う」という前提を示唆するのに、「テニスの王子様」内のリョーマくんの目線・次元から、逆転現象的に魅せてるシーンなのかな?と受け取っていますが、面白い魅せ方だなぁ、と思っています。エメラルドさんの「目線」…ちゃんとリョーマくん、認識して、受け止めてますので。勝手な解釈を並べ立てましたが、「こんな観方すると、面白い!」という一案でした。●ウルフ、ブー、フーエメラルドの手下・3名。冒頭、リョーマ君とラップバトルを繰り広げたりもしました。エメラルドさんと、リョーマくんの間で、完全にサンドバックになってたというか、2人に殺されかけたりしながらも、プロフェッショナルなお話回しをしていて、よく働くキャラクターたちでした。ウルフ役を、杉田智和さんが演じられていますが、やはりとても上手だなぁ、絶妙な塩梅だなぁ、と感じました。業務的なだけではない感情の部分が、きちんと伝わってきますので。●音楽・楽曲について感想記事冒頭で語るべき部分だったかもしれませんが、本映画の鑑賞中・鑑賞後に非常に心に残ったものとして、「とにかく音楽がイイ!」というものがあります。これはもう、鑑賞した方全員に共通する感想だと思います。本当に、めちゃくちゃ良質です。本作は「ミュージカル」であり、また、本編終了後には、数曲のキャラクターソングメドレーを、原作絵のMADのような映像(超クオリティ高く、センスイイ)「シアター☆テニフェスpetit!」が上演されるのですが、どの楽曲も、本当に良いんですよ…。本作の、作中サウンドトラック及び、ミュージカル部分の編曲は、すべて 津田ケイさんという方が担当されています。存じ上げない方でしたが、引き出しの多い、非常に力のある方だと思って聴きました。各シーンに求められる感情、雰囲気…というものに適格 かつ妥当、さらにプラスαで「楽しさ」が加えられていると感じる編曲が多く、どの楽曲も個々に聴きごたえがあり、全体を通しての爽快感もあり、素晴らしかったです。そして、本作ではミュージカルシーン用に、それぞれ色の違う、7楽曲が描き下ろされているのですが、全曲、作詞・作曲:許斐剛 の衝撃…です。というか、パンフレットのスタッフロールを眺めていると、音楽トータルプロデューサー:許斐剛 になっています。…なんでだよ!!!いや、許斐剛先生が、「漫画家」ではなく、「ハッピーメディアクリエイター」と名乗ってらっしゃったり、ガンガンご自身でイベントなんかも登壇されて、歌も唄って…な方なのはうっすら知っていたのですが、今回、この映画を鑑賞して、とにかく叩きつけられました。「ハッピーメディアクリエイター、マジ半端ねぇ!」かなり初期のキャラクターソングの中で、リョーマくんと桜乃ちゃんの楽曲で、♪between you & me ~ここだけの話~ という楽曲があるのですが、この楽曲が、前々からすごく好きで。(というか、テニプリのキャラソンは、ほぼこの楽曲しか知らなかった)いい曲なんですよ…物語性があって、メロディーへの歌詞のハマり具合が心地よくて、編曲も本当に立ってて。この楽曲の作詞が許斐先生だというのは前々から知っていて、「すごいな!本当に多才な方なんだな!」とは思っていたのですが、作曲まで、こんなにバリバリやられてるとか…知らないし;いや、ファンの方の間では当然、「許斐先生はイイ曲作るよ?」くらいな感じかもしれませんが、そんなこと…一般常識じゃないし…。たぶん今回の映画、普通に鑑賞して、「音楽超良かった!」と思いつつ、この事実に気づいていない方、大勢居ると思うんですよね。個々の楽曲について●Dear Prince~テニスの王子様達へ~この楽曲のみ既存楽曲であり、許斐先生は作詞での参加のようです。テニスの王子様の原作・旧作最終回(42巻)で、エンドロール的にこの楽曲の歌詞が流れていたのですが、曲自体は私は初めて聴きました。「あぁ、こんな楽曲だったのか」…と。映画開始早々に、突き抜けた明るさをハイパーテンションでたたきつけられて、ここで観客の頭は一度マッシロになります。●RAP FESTIVAL →映像・こちら本映画作品の概要が公開された際、あらすじとして提示されていたのが、「越前リョーマが、アメリカでタイムスリップして、テニスギャングとラップバトル!」みたいな内容で、単語の一つ一つに突っ込まざるを得ないものだったのですが、ラップバトル自体は、映画のオープニングのような存在で、開始数分のところで繰り広げられました。最初はわけも分からず、ひたすらボーゼンとしますが、冷静になってくると、アメリカの路地裏というシチュエーション・空気感をライブコンテンツ風に魅せる面白さがあるな、と思います。リョーマ君パートの、「これでわかったろ誰がナンバーワンか!」の部分の振りと、ボールでラジカセを止める部分のカメラが引いていくアングルが好きです。●超えたいその壁を南次郎さんのプレーを見て、嬉しくなったリョーマくんがウキウキと歌う楽曲。これは、イイ曲だなぁ…!と思います。とにかく、ウッキウキジャズというか、ブロードウェイ調!な編曲が素晴らしいです。またこの楽曲は、作中BGMやEDでインストルメンタルとして印象的に使われていて、本映画作品を鑑賞した後に残る「多幸感」を作っている楽曲じゃないかな、と思っています。●peace of mind~星の歌を聴きながら~ →映像・こちら教会で、リョーマくんと桜乃ちゃんが歌うデュエット曲。ミュージカルの良さというのは、とにかく情報が歌に込められるところ…サウンドと映像も味方につけて、エピソードや会話劇よりもずっと短時間で、濃密な情報を収めることができるところ…かな?と思います。例に漏れず、この楽曲内のやり取りの情報量といったら…凄いです。申し訳なさが先に立ち、弱気になっているリョーマくんに、桜乃ちゃんが、強く強く「いいよ」「大丈夫だよ」を被せていくところや、プレゼントを渡してからの、映像もサウンドも弾けるような展開をするところ、星の歌聴こう→星達も眠るよ→やがて射し込んだ陽の光 という、時の経過、2人の、お互いの表情を見ながらの会話・心情筋・演技動作・時の流れ…と、本当にたくさんの情報が収められている楽曲だな、と思います。皆川純子さんと、高橋美佳子さんの、詰めに詰めた演技筋、それをのせた見事な歌唱が素晴らしいです。この楽曲も、インストルメンタルが劇中の随所で流れてました。●リョーマの想い 部長の声●リョーマの想い 強敵(ライバル)の声同じメロディーで、2パターンが用意されている楽曲でした。(上映も、ルート違いの2タイプあります)まぁ…とにかく、すごい試みだな、というのが最初に出てくる感想なのと、手塚部長バージョンは「+青学のみんな」という作りだったのに、跡部様バージョンは、オールオブ跡部様ピンだったので…(GLOLYを1回しか観ていないので、たしか…そうだった気がする)このキャラクターの人気の凄まじさを実体感しました。…楽曲の感想になってないな;楽曲はですね…なんか…歌詞のハマってない感じがするところでいつも笑っちゃいます。手塚部長の、「一番苦しい時、お前ならリターンはどこに打つ?」はグッとくる、名セリフだと思います…!●DANGER GAME試合のシーンで流れる、疾走感のある楽曲です。皆川純子さん×朴璐美さん が高らかに歌い上げるということで…(豪華!)、「美声素敵…!」と、非常に聴きごたえがあります。それにしても、許斐先生、楽曲の引き出し多いな…凄いな…本当に…。●世界を敵に回しても →映像(映画予告)・こちら本映画作品の、表題曲と言っていい楽曲だと思います。この映画でやりたかったことは、全部この楽曲で歌われていると思っています。鑑賞すれば分かりますが、この映画作品は、「テニスの王子様」という、20年以上に渡って展開し、様々なエンタメ文化の土台を作ってきた大成功作品が、積み上げて来たものを自らぶっ壊して、新しく生まれ変わろうとするような作品です。(おそらく、「テニプリ」の生粋のファンであればあるほど、今回の映画作品の作り方は、びっくりされたのではないかな、と思うんです。)世界を敵に回しても世界をまるごと変えてしまえ大それた歌詞が並びますが、大袈裟ではなく、本当にそれくらいの意識・覚悟を持って繰り出した映画作品だな、と。だからこその、このパワーなんだな、と。勢いのある、自身を鼓舞するような突き抜けサウンドが素晴らしく、本当に、妥当。この楽曲は、映画鑑賞前にDLして聴いていて、その時も「元気の出る、良い曲だな」と思ったのですが、実際に映画を鑑賞し、怒涛の突き抜けミュージカルを鑑賞してから聞くと、もう…なんでしょうか、上手く言葉が見つかりませんが…「苦しい時…こそ!」「これだよ…!」というか。とにかくこの楽曲は、映画本編と是非一緒に、鑑賞してください。ちなみに、この楽曲を(音だけで)聴いた妹の最初の感想が、「なんでリョーマくん、いきなりこんな…まっすぐな、ちょっと不器用そうな歌い方してるの? …あ、歌ってるのが『アイドル』じゃなくて、『12歳の少年』だからか。皆川純子さん、天才だな!!」でした。わかる。●シアター☆テニフェスpetit! →サンプル映像・こちら本編上映終了後、十数分程度…だと思いますが、8~9曲のキャラクターソングメドレーが流れます。(原作カットを使用した、MADのような映像)映画本編は、とにかくリョーマ君一人に絞っているので、(他の子も出て来ますが、ほぼバックダンサーズなので)短い時間ですが、ここで存分に、集団アイドルコンテンツを爆発させています。映像自体、非常にセンスが良く、クオリティが高いのと、何より、元の各キャラクターソングが、それぞれ色があって、「あぁ…これは、楽しいわ…!!」と思いました。映画本編も、主要キャラから端役に至るまで、とにかくキャラクターが魅力的なので、その感性のまま、こうして「漫画原作本編には、ほかにもこんなに大勢のキャラクターたちが登場するよ!」と提示されると、素直に、「楽しいな…原作も読んでみようかな」と思います。テニプリキャラクターソング…ほとんど知らない楽曲でしたが、まぁ…いちいちクオリティが高い。ただ、やはり私がこうして、この…テニプリという作品の、いわば「集団アイドル」としてのコンテンツを、心から楽しめるのは、本映画作品で、ずっとずっと心に引っかかってた部分(少年漫画作品としてのリョーマくん・桜乃ちゃん)を強く強く、打ち付けてくれたからにほかならず、私にとっては、何倍もの楽しさ・面白さに出逢わせてくれる映画作品だったな、と改めて思います。2タイプの上映で、セレクト楽曲・映像が異なります。Decide版は、個人キャラクターメイン、Glory版は、学校毎の楽曲メイン(そうでない曲もあったけど)、という感じでしょうか?Glory版はまだ1度しか鑑賞できてないので、できたら…もう1回くらい観たいな…。ここまででざっくりと、書きたいことは書き散らかして来ましたが、まだ吐き出したいことが出てくると思うので…(おそらく)感想記事、その4に続く!by姉
2021.09.17
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盛り上がってます。すごく感動したんです。私の中では、「これを観ずして、エンタメ語るべからず」くらいの勢いなんです。映画感想『リョーマ!新生劇場版テニスの王子様』-その2各キャラクターと、シーンについて。印象的だったものの列記。*以下、現在公開中の映画作品の、ガッツリネタバレあり感想です。未鑑賞の方は、お気をつけください。*キャラクターについて。●越前リョーマ映画タイトルが『リョーマ!』である点からも分かりますが、世間一般の認識・コアなファン層から求められる「集団アイドル」としての立ち振る舞いを封印し、スポットライトを、このキャラクターだけに絞り切り、このキャラクターを、立体的且つ魅力的に魅せることだけに全力を注いだ映画作品でした。このキャラクターは、作品のアイコンですし、いわば、テニプリというメディア集団アイドルのセンターポジションを若干12歳設定にしてずっとやって来ている、すごい存在なんですが…でもやっぱり、「それだけの子じゃない!」という主張というか。(そもそも最初から集団アイドルのセンターとして配置するだけなら、絶対12歳に設定なんかしませんよね・・・)この子は、少年漫画、ジャンプ作品の主人公なんです。この子を立たせるために、設定・周囲のキャラクター配置は全部作られているんです。この子だけは、「アイドル」という存在では終わらせられない…家族、友人たち、周囲の人たちを大事にしていける部分を、きちんと描いていってあげたい、そしてこの先、世界という舞台に挑戦していく未来や、そこでの生活感まで、きちんと人生軸として筋立ててあげたい…やりたかったことは、これに尽きるんじゃないかな、と思います。父親への、飽くなき憧れ。現役時代の父親のプレーを観ることが出来る…!とはしゃぐ無邪気な姿もとても印象的でした。リョーマ君が、もうお父さん大好き過ぎて、過去に来ていると分かってから、真っ先にお父さんに会いに行って、じーーっとお父さんの一挙手一投足を観察し出すんですが、「この子、こんな子だったんだ…超『親父』マニアじゃん」と思いました。中盤で、「流石、越前南次郎の息子だよ」と対戦相手に言われるシーンで、リョーマくんが誇らしそうに笑ったのを観て、この子にとって、コンプレックスとかじゃないんだ、本当に「誇り」なんだ…と。そりゃ、そうだよな、と納得しつつも、実際に演技動作・表情を見ると、改めてこのキャラクターの根源に触れるようでした。南次郎さん(←ひたすらカッコイイ)との会話が、いちいちグッと来るんですよ。そして今回、漫画本編ではあまり描写されていないお母さん(倫子さん)がガッツリ描写されています。(南次郎さんのスピンオフ読切では登場していましたが)リョーマくんが、父親似…のようでいて、実は顔のパーツは完全にお母さん寄りなんだな、とよく分かりました。たぶん性格も、お母さん寄りのとこがあるのかな?実は真面目な子だし。そして、対 桜乃ちゃんの、演技動作・表情・かける言葉のすべて。リョーマ君というキャラクターは、こんなに「お姫様」を一生懸命、全力で「守らなきゃ」と思える王子様なんだよ、こんなに「お姫様」に精一杯の気を使える王子様なんだよ…応援したくなる、超魅力的な『王子様』でしょ!!!本映画作品は、極論、「このリョーマ君」を、「子供向け」の体裁の中で思いっきり魅せて行きたい、という作品でした。原作の連載冒頭より仕掛けていて、20年間、なかなか描けずに来たこの部分…描写・ニュアンス、さり気ない表情・しぐさ…渾身過ぎました。本っっっ当ーーーーーに、魅力的でした。ただ…なんて言うかな…20年間の抑圧を跳ね返すパワーが必要だったんだと思いますし、「描きたい」という思いが募りに募った結果なのだとも思いますが、手が付けられないレベルで、「萌え」が狂暴でした。「原点回帰」と言いつつ、正直、「原点」にこんなものはなかった。最初、この映画の概要や予告編を見た際、「あぁ、これは、漫画原作の出だしを読んだ中学生の頃の私が、期待して、観たいと思った部分を描いてくれる作品なんだな」と感じたのですが、本編を鑑賞すると…すみません。「ここまでの濃厚さ、踏み込んだ概念、全く期待してなかった」次元のシロモノで、ビビり散らかしました。「(出し手側が)ここまでの覚悟を持たないと、繰り出せなかった部分」だったんだなぁ、という話なのだと思うのですが。あとはもう1点、凄く丁寧に入れ込んで描写していたな、と思うのが、「この子は、12歳の少年なんだよ」という観点でした。リョーマ君は、すごくしっかりしている子ですし、大人たち・年上たちの中で、一人でガンガン渡り歩くシーンも多いのですが、本作では、あえて…「精一杯でも、やりきれない部分」「危なっかしい部分」、それを感じるシーンがたくさん入れ込んであったな、と思います。桜乃ちゃんとの逃亡劇シーンも、精一杯、彼女のこと守ろうとするんですけど、やり切れず…桜乃ちゃん何回か真面目に死にかけてましたし、車を使ったハラハラシーンも、観ててこっちがびっくりするような危なっかしいことをやらかしてて…。(あのエピソードは本当に練ってあって秀逸でした。脚本ブラボー。)あぁ、しっかりしてるけど、この子は12歳の少年なんだなぁ、と改めて思いましたし、だからこそ、際立つ「精一杯」「真剣」な姿が、本当に魅力的でした。●竜崎桜乃この娘は、『お姫様』なんです!この娘は、とにかく『お姫様』なんです!!守るべき娘なんです!!大変な、怖い目に遭っても、「大丈夫だよ」と強い瞳で全肯定してくれる、『天使』というか、『女神』というか、『聖母』というか…いや、この娘はとにかく『プリンセス』なんですっっっ!!!本映画作品における桜乃ちゃんに関しては、すべてのカットからの『圧』が凄くて…製作側の意図としての『カワイイっっっ!可憐っっっ!!の圧』が凄まじかったです。もはや、意気込みが暴力的でした。本作は、観客に「桜乃ちゃん」を『プリンセス』だと認識してもらわなければ意味がない、というか。前記事でも書いて来ましたが、この娘は原作冒頭から、「お姫様」として登場していましたが、これまで20年間の作品展開の中で、なかなか、しっかり描写されずに…「描写できずに」来ていた娘です。今回、『テニスの王子様』は、並々ならぬ覚悟で、この娘をメインの、大切な存在として出してきていますし、出すからには、有無を言わさない!観た方の100%に、「プリンセスだ」と言わせるのが、もはやミッションですので…ただ、「プリンセス」だと思って欲し過ぎるがあまりに、渾身の3D映像使って、『ディズニープリンセス』にしてくるなんて、離れ業過ぎるというか…許斐先生の頭の中、どうなってるんだ、とは思いました。(いや、思考回路は分かりますけど、普通はやらない;)●越前南次郎ただっただ、ひたすらカッコよかったお父さんです。対奥さん、対息子たち、対時空を超えてきた息子と連れの女の子、全方位に対して、ただただカッコよかったです。強さの秘訣は…「テニスを楽しむこと」と、「守るべきものを持っていること」なんでしょうね。●越前リョーガリョーマくんの「お兄さん」。血縁ではあるらしいのですが、実際の関係性はまだ明かされていません。私は、今回テニプリコンテンツを鑑賞して、初めてこのキャラクターの存在を知りました。こんなキャラクターが居たのか…。このキャラクター自体は、基本的は、作中で「リョーマ君と南次郎さん(モドキ)を闘わせてあげるためのキャラクター」なんだろうな、と受け取りました。やはり、リョーマくんの物語筋として、「父親を超える」は究極目標ですし、それはやはり、「現役時代の」…なのかな、と。年齢的に、実際のお父さんにそれは叶えてあげられないので、「ちょっと年上の」「親父の魂を踏襲した」キャラクターとして設定されたのが、この「お兄さん」なんだろうな、と。ただ、今回の映画が、「現役時代の親父と闘う」をタイムスリップミラクルでさらっとやってしまったため、(超えたわけではないですが)、実は、一番存在意義を脅かされたキャラクターだったんじゃないかな、と思っています。ただ、本作の、多くない出番の中でのこのキャラクターの描かれ方が、「このキャラクターは、このキャラクターとして、ちゃんとこの先、筋を通して描いていくよ!」という出し方だったなぁ、と感じましたので、そこは…良かった、安心した、というか。きちんと、作品としてのこのキャラクターに対する意思表示が織り込まれていたなぁ、と思います。印象的なシーンについて(たくさんありましたが、かいつまんで…)●オープニング原作の最終・42巻(旧作)のラスト、全国大会決勝戦のシーンですね。非常にクオリティ高く、サービス精神に満ちたザ・ミュージカル!!な出だしで……はい。サービス精神旺盛過ぎて、派手過ぎて、びっくりし過ぎて、本当に1回頭マッシロになりました。私が、全くミュージカル慣れをしていないのもあると思うのですが…。●越前家日本に戻ってきてからは、「お寺」等の純和風イメージが強調されていたので、アメリカナイズな生活感の描写が、とても新鮮でした。お父さんカッコイイし、お母さんキレイだし、子供たちカワイイし、とにかくほほえましい一家でした。●逃亡劇のシーン映画作品ならではの「少年・少女の大冒険」でした。このベターなシーンを、今の少年漫画がどれほど描こうとしてくれるか…。そもそも、「王子(とか騎士)!姫!」というビジュアルで、描こうとしてくれないんですよね。絶対に「王道が正しい」わけではないのですが、「みんなが観たいモノだから、王道なんだぞ」と思うんですよね。ただ、屋上のシーンは、思わん展開の連続ですごくハラハラしました。…「あっっっぶねぇぇぇええええ!!」●教会のシーン本映画作品の核とも言うべきシーンだと思います。このシーンにかける、製作サイドの情熱たるや、並々ならぬ…というか、こんなに「カワイイ」「美しい」要素で作ってあるのにこんなに「殺しにかかってこられてる」と恐怖心を覚えたシーンを、私は知りません…。リョーマ君、桜乃ちゃんの2人の表情・演技動作、あらゆる部分において神経が研ぎ澄まされていて、他のシーンと比べて、あからさまに作り込み・クオリティが段違いなんです。(他のシーンが手を抜いている、とかではなくて、このシーンがおかしいだけ)そして、このシーンはとにかく、「教会」が持つモチーフのふんだんな使い方が見事です。桜乃ちゃんを危ない目に遭わせちゃったな、という流れから入るシーンですので、まず、リョーマくんがステンドグラスに浮かび上がった十字架を観ながら、桜乃ちゃんに謝ろうとする…「懺悔」「贖罪」であり、そこから桜乃ちゃんが「いいよ」「大丈夫だよ」って強く返してくれる…「許し」であり、さらに踏み込んだ「慈愛」「包容」「献身」であり、あと、歌い出しのワンカットで、下からのアングルで、手を伸ばすリョーマくんと、十字架をオーバーラップさせるようなカットがあるのですが、あれは、十字軍…というか、「戦士」「騎士」イメージなのかな?と思いましたし、星の光のファンタジックな世界での対話の後、差し込んだ朝の光に照らされた十字架とステンドグラス…その前で向きあった2人の「誓い(のポーズ)」にオーバーラップしてくる鐘の音…シーン冒頭のヴァージンロードの絵面と、贈り物をし合う流れも含め、「結婚(式)」モチーフですね。ここまで書き出してみて、つくづく「やり過ぎだな」、と思います。歌も映像も強いですし、いろんなモチーフが重なってて若干混乱しますが、基本的には、このシーンのお話筋上での意義は、「リョーマくんが、“桜乃ちゃんを守っていくこと”を“誓う”シーン」だと思っています。リョーマくんの心情筋が主軸のシーンだと意識して鑑賞すると、(というか、本映画作品はそれ自体が、リョーマ君のためだけに筋を通した作りなのですが)桜乃ちゃんや空気感の描写・展開も、すごくしっくり来ます。月明りの静寂…温かみと緊張感が同居する教会から、星の光がまばゆい、浮遊感のあるファンタジックな世界観から、朝日に照らされて、ステンドグラスが輝く教会…↑リョーマくんの心情筋を空気感が表現しているなぁ、と。最初、かなり大袈裟なシーンだな、と思うんですけど、でも、リョーマくんの表情がとにかくずっと真剣なので、観れば観るほど、茶化せないんですよ。シーンのラストにリョーマ君の「竜崎…俺が、必ず…」という途切れるセリフがぶっこまれており、素直に観れば、中一の男の子が、テンション上がってプロポーズめいたことを口走ったんだろうな、的な描かれ方になっていました。ここまでやるか…!ここまで踏み込むか…!!と思いました。メタ的な視点になりますが、製作サイド(というか許斐先生)の意識として、これくらいの、決死の覚悟で繰り出してきている映画作品だと思っていますし、「テニスの王子様」は、この部分をちゃんと描いていくよ、という宣誓だと思っていますので。桜乃ちゃんに、「怖い目に遭わせてごめんね」「もう戻れなくなる(かもしれない)けど」「この先も大変なこといっぱいあると思うけど」「もう逃げないからね、向き合うからね」「全力で守っていくからね」って、「テニスの王子様」という作品が誓ってるシーンというか。まぁ…すごいシーンでした。本当に。●車のシーン先ほど、リョーマくんのところでも少し触れましたが、中盤の車のシーン。リョーマくんという12歳の男の子の、冷静さ、アグレッシブさ、勝負慣れも凄く感じると同時に、大人目線で見ると「あっっっぶねぇええええ!!」と叫びたくなるシーンなのですが、エピソードが、なんて練ってあるんだ、と感動したシーンです。リョーマくん本人が、至って冷静に状況判断をして、現状打破のために動いているのがちゃんと伝わって来るのに…危ない。子供なんですよ。車を運転する感覚を持ってない12歳だからこれが出来ちゃうんですよ。こんなシーン、観たことがありませんでした。脚本万歳。感動しました。●電話ボックスのシーン桜乃ちゃんが、かなりヘロヘロになってしまっていたので、(ほとんどリョーマ君のせいっちゃせいですが)休む、という名目もあって、電話ボックスからお父さんに連絡しようとするシーン。リョーマくんが、電話ボックスの中から桜乃ちゃんの様子をちらっと確認したり、その目線に気づいた桜乃ちゃんが嬉しそうにしたり…という繊細な描写と、そこから始まる謎の電話越しミュージカルの超展開とのギャップが凄まじかったです。Decide(手塚部長+青学メンバーたち)の方が、流れとしては当然しっくり来ましたが、Glory(跡部さん)も、ファンの方が楽しめるように作ってあるなぁ、と感じました。●本気でなけりゃ、意味が無いね!お父さんに、テニスの試合を申し込むシーン!このシーンは、越前親子の、表情、仕草、セリフ…対話のすべてがキレッキレでした。素晴らしかった!!また、ここのやり取り内で出てくる、リョーマくんの上記セリフは、「テニスの王子様」というパッケージの、多岐にわたるメディアミックスの、根幹に共通して存在する「ポリシー」なんだろうな、と感じています。今回、テニスの王子様という作品の、(ほんの一部ですが)いろいろを鑑賞して、すべてに共通していたのが、「クオリティの高さ」であり、「本気」でした。全部「本気」だから、面白いんだな、と思います。●世界を敵に回してもクライマックス・圧巻のミュージカルシーン!映像としてのクオリティの高さが、凄いです。アニメーション、音楽、ミュージカルという観点で、「英知の結晶」だと思うんですけどね…脳がそこまでの情報を認識できずに、「あわわわわわわ」で駆け抜けますので、「百聞は一見に如かず」「感じろ」という世界線のものだと思います。ちなみに、大サビの超重要部の歌唱を、青学メンバーでもない、明らかに作中でそんな立ち位置ではない立海大の柳生さんが務めており、最初、「なんでここお前なんだ!」と誰しもが驚きますが、私は単純に、「歌が上手く、歌い上げられる人だからだな」と受け取りました。調べたら、声優の津田英佑さんは、ディズニー(アナ雪)にも出演しちゃうような、ミュージカル畑の方なんですね?あそこの歌詞は、許斐先生からリョーマ君に向けた、今回の映画で一番伝えたいメッセージだと思っていますし、しっかり、観客にも焼き付けたかったんだな、と思います。ゲストキャラや楽曲についても語らなければ・・・感想記事、その3に続く!by姉
2021.09.12
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先週末より公開している本作、鑑賞して来ました。『リョーマ! 新生劇場版テニスの王子様』(2021年、製作総指揮:許斐剛、監督:神志那弘志)立海大付属を下し、青学が全国大会で優勝を果たした3日後、越前リョーマは武者修行のため、単独でアメリカへ渡った。同時期、リョーマの同級生の竜崎桜乃も家族旅行でロサンゼルスを訪れていた。彼女が不良に絡まれるのを助けようと、リョーマの放ったテニスボールが引き金(?)となり、2人は過去へタイムスリップしてしまう。そこは、リョーマの父・越前南次郎が引退に追い込まれた、全米オープン決勝の2日前だった…!予告編→こちら。…これは、凄い。これは、もう存在が凄い。『テニスの王子様』、初の3DCG映画作品。予告から、実際に鑑賞するのを若干ひるむほどの『圧』は感じておりましたが、本編鑑賞時に実体感した『圧』は、想像の比ではありませんでした。1,000倍くらいの破壊力を持った『圧』だった…。土日で、実は3回(Decide:2回、Glory:1回)鑑賞して来たのですが、1・2回目は絵ヅラ・音楽の強さと、あまりの情報過多さで、頭パーン!!してしまって;毒い…毒いよ…!!!3回目でようやく…1シーン1シーンの意図だとか、一人一人の演技動作、表情をちょっとだけ冷静な目をもって、脳内に落ち着かせていくことが出来るようになりました。もうそうすると、本当に1カット1カットの情報が、ここまでやるか、と改めて驚くほどに濃密!!この映画は、一言で表現すると…「テニスの王子様」という、一つの確立した大成功パッケージ作品が、20年を経て繰り出して来た、『渾身のカウンター!』でしょうか。*以下、公開直後の映画作品のネタバレあり感想です。未鑑賞の方は、お気をつけください*ジャンプ作品では、2009年に尾田栄一郎先生を製作総指揮として、「ONE PIEC FILM STRONG WORLD」が公開され、大ヒット&ワンピースブーム再熱を巻き起こして以降、15年、20年と続く人気作が続々と渾身の「作者監修映画」を発表して来ました。私は、やはりもともと大ファンだった、・「ONE PIEC FILM STRONG WORLD」(2009年)・「銀魂 完結篇」(2013年)の2作がとにかく衝撃で、何度も何度も劇場に通いました。この2作は、作り方としてはすごく似ていると感じていて、「主役の船長(ルフィ)と銀さんが一番テンションの上がる部分(絶対に譲れない部分)」を核に持ってきて、その上で話筋として、「さらわれるヒロイン助けに行く!守る!」とか、「(未来や過去に)タイムスリップ!」という、王道中の王道を据えて、主人公(たち)のなりふり構わなさで熱く2時間弱を突っ切る!。そういったお話・テーマの骨格を、どこまでも作者様独自の一番得意とする感性で彩る・肉付ける…ONE PIECEでしたら、弱肉強食(多数の動物)・春夏秋冬・空島・正装討ち入り…といったどこまでも欲張った、ワクワクする絵面・シチュエーション。銀魂でしたら、銀さんの主観一辺倒で、5年後の要素を絶妙に魅せてくる…銀さん主観での、「これは嫌だな」という感情の積み重ねと爆発の経緯、それを緩急の神・藤田監督のキレッキレの演出で叩きつけて来ました。ーで、改めて今回の「新生テニスの王子様」について考えると、上記2作品と、お話筋は非常に似てる部分があります。「主人公のリョーマくんのテンションが上がる部分」というものに特化して、ザ・王道の「王子・姫」「さらわれるヒロインを助けに行く!守る!」という要素と、「(過去に)タイムスリップ!」という要素を掛け合わせたようなお話筋。アメリカの空気感や、ステンドグラスが美しい夜の教会、全米オープン会場の荘厳さ・熱気、…という絵面の面白さもすごく意識していましたし、その上で、今作にしかない感性として、「テニスの王子様」という作品が積み重ねて来たエンタメノウハウ…「キャラクターソング」「ミュージカル」というものを、大々的に組み込んでいます。ただ、上述したONE PIEC、銀魂の2作品が、「この作品の魅力を知っている人なら、『これが観たかったモノ』でしょう!!?」という作りなのに対し、本作・テニプリ映画は、ある意味で真逆のところから入った作品だと思います。連載の初っ端から思いっきり仕掛けてあったのに、この20年、作品の人気拡大に伴い、表立って描いて来れなかった部分、そこだけに焦点を絞った作品でした。『越前リョーマ』という主人公だけに焦点を絞り、下記↓の要素を大々的に魅せて来ていました。・お父さんの越前南次郎さんのカッコよさと、彼への憧れ・ヒロインの桜乃ちゃん・まだ、心身ともに未成熟の「12歳の少年」という観点これらの要素が何なのか、と考えると、共通しているのは、『越前リョーマ』というキャラクターを、少年漫画ヒーローとして立たせていくための要素だな、と思います。許斐先生のインタビューか何か?いろんなところでおっしゃってるそうですが、『越前リョーマ』というキャラクターは、最初、主人公のライバル役として生まれた、とのことです。確かに、少年漫画を描こうと思ったときに、真っ先にこんな子を主人公には設定しないと思うんですよ。元世界で活躍したプロテニスプレイヤーのサラブレット。生まれも育ちも特別な子。容姿も見るからに端正な、誰に言わせても「王子様」…こんな子、最初から「出来過ぎ」「特別」に決まっていますし、まぁ…少年漫画的に考えたら、「鼻っ柱を折りたくなる、いけすかない奴」じゃないですか。この子を、少年漫画の主人公として魅力的に描く…そのために練って練って投入してある仕掛けが、・アメリカへ殴り込んだ「サムライ」というお父さんの人物イメージ、その踏襲・一人の天才少年を、「王子様」に魅せ切る、 「王子様」として頑張らせる、そのための「お姫様」。(ライバルキャラクターとしての、倒すべき「王子様」のままだったら、よっぽど、全キャラでラブコメ仕掛けるぞ!と思っていない限りは、「お姫様」を設定する必要はないと思います。)・中学1年生という、周囲の2~3年生や大人たちに比べ、一回り小さな体格…だったのではないかな、と思います。まんま、今回の映画が「これでもか!!」というほど魅せて来ていたものだな、と思います。「原点回帰」「新生」という言葉が許斐先生のインタビュー等でも散見されますが、とにかく、『越前リョーマ』というキャラクターを、もう一度、改めて「魅力的な少年漫画ヒーロー」として決定づけたい、提示したい、「これが、『テニスの王子様』だ!」という、そういう映画だったなぁ、と思います。テニスの王子様の旧作・42巻を読むと、特に、青学というフィールドにおけるリョーマくんの、爽快感のある活躍っぷりは存分に楽しめましたし、ちゃんとやりたかったことは出来てるんですよ。ただ、やはり作品の人気が爆発してゆく経緯や、メディアミックス展開として、「(他校も含め)大勢の魅力的なキャラクターたち」を集団アイドルとして魅せてゆく、ここの部分があまりにクオリティが高く、優れていた。(もちろん、集団アイドルとしての、これまでのテニプリの展開自体も、原作の連載開始当初より完全に仕掛けてある要素ですよ。青学の先輩たちの作り込みを見ても、「推しを見つけてね」という作りに最初からなっていますし。)「集団アイドル」としての作品の発展に関して、それが「妥協だった」などと言う気は毛頭ありません。ただ、やはり、実在アイドル集団顔負けのコンテンツ量を提供し、女性ファン層が拡大する中で、『少年漫画である』という部分が、「それよりも(もっとファンの喜ぶ部分を)」と言われてしまった感は否めませんでした。特に、「女の子」の要素、『桜乃ちゃん』に関しては、あまりに作品としての「集団アイドル展開」が確立するがあまり、長年、タブー視扱いされるような状況になっていました。ちなみに…テニプリがTVアニメ放送をしていた十数年前、妹はマンガ・アニメ好きの同級生とテニプリの話になった際、「テニプリに女は要らない」と言い放たれたそうで・・・。少女漫画・ジブリ・ディズニー生まれのラブコメ育ち「カワイイ女の子を観るのが漫画・エンタメだ」と思っていた妹が衝撃を受けたことがあるそうです(軽くトラウマ)。当時…というか、それ以降の、この作品内における「女の子」に対する空気感は、分かる方には分かる…と思いますが、傍から見てて、かなり「怖い」ものがありました。(私も、そこまで深入りはしていませんでしたし、詳しいところは知りませんが)今回の映画作品において、この桜乃ちゃんを大々的に魅せてゆくことが、このテニプリというパッケージにおいて、どれほどハードルの高いことだったか…それこそ、表題曲であり、映画クライマックスを飾る♪世界を敵に回しても 。製作側…許斐剛先生の心持ちは、まさにこの楽曲タイトルが体現していると思っています。繰り返しになりますが、これまでの集団アイドルとしての作品展開が、「妥協の産物だ」などということは一切ありませんし、むしろ、その展開があまりにクオリティ高く、パワーを持っていたことで、「テニプリっぽい」と感じるような、追随コンテンツを多数生み出し、「テニプリは、いくつもの文化形成をした、先駆者・パイオニア、そしてレジェンド」と言っても過言ではない存在と成り得たんだな、と思っています。今回の映画は、その道(アイドル道)を突き詰めて、20年…追随コンテンツも数多く生み出されていく中で、「集団アイドルコンテンツ」としての世代交代・流行廃りも、(おそらく)実感としてあるでしょう…じゃあここで、「テニスの王子様」というパッケージの繰り出してくる一手として、この作品しか、持っていないもの…最大の切り札であり、隠し(てたわけではないですが)札だったのが、「この作品は、越前リョーマという『テニスの王子様』を魅せて行く少年漫画なんだ」という、『原点回帰』であり、今回の映画は、その『原点回帰』を、『これまで描けて来なかった要素を核に据えた形』で、もの凄い力で踏みしめる、そして、漫画の連載開始時と同様に、「少年向け(より広くは一般層向け)」の体裁で、形作る、そういう作品だったのだと思います。まさに、『新生』だな、と思います。また、パイオニア・レジェンド自身が、(自身が生み出し、形成した文化の流れに逆らうニュアンスも含め)ものすごい熱量で繰り出して来た『渾身のカウンター』だとも受け取れるような、凄い作品だな、と。もともと「集団アイドル」をやろうとしている追随文化には、絶対に真似が出来ないやり方だと思います。作中、リョーマ君の印象的なセリフで、「逃げるのをやめた!」「勝って、道を切り拓く!その方が楽しいじゃん!!」というものがあるのですが、もう…まさに!!!コレこそが、本作品の存在意義。やりたいことが見事に凝縮された一言だと思います。…感動しました。鳥肌が立ちました。ここまで書いて来て、「今回の映画は、こういう意図の作品なんだな」という理解…は漠然とあるのですが、実際に「テニプリ」という歴史・実績あるパッケージ内で、この映画作品を形作るのは、口で言うような簡単な話ではなかっただろう、とつくづく思いますし、とにかくもう…本映画製作主体の志の高さ、許斐剛先生のどこまでも貪欲なクリエイティブ力に、『感服』の一言です。こんな凄い熱量の作品に出逢える瞬間があるから、『だから、エンタメは、やめられない!!!』と強烈に感じました。この作品に対して、「これが見たかった『テニプリ』だ」「これは見たくなかった『テニプリ』だ」等々、自分にとっての良し悪しという点で、様々な感想はあると思いますが、総じて、「つまらなかった」という感想は、まずないと思います。こんなに真剣で、あらゆるシーンで観客をビクつかせにかかってくるような、ド真面目にはっちゃけた作品を鑑賞して、何も感じない方は居ないだろう、と。観れば、分かる。この映画の凄さは、観れば、分かります。私は今回、この映画を鑑賞して、『テニスの王子様』『許斐剛先生』の考えた方や、これまでやってきたことをまじまじと捉え直すことができました。やっぱりこれまで、この作品を見るときに、どうしても「作者様が、やりたかったこと、描きたかったものを、押し殺している部分のある作品だ」、と認識してしまっていました。私(と妹)にとっては、『若干の心の傷』『ふわっとトラウマ』。集団アイドル展開が、勢いがあり、クオリティ高く素晴らしいことは分かっていますが、どうしてもよぎってしまう思い…「最初は、ちゃんとリョーマ君が主人公の少年漫画だったんだけどな」、「主役のリョーマ君、この部分だけの子じゃなかったんだけどな」「テニスの王子様の隣には、最初からテニスのお姫様として桜乃ちゃんの存在が設定されてたんだけどな」・・・この思いを抱えた状態で、手放しにコンテンツを楽しむことはできませんでした。今回映画は…まさに、「ココ!!ココが出していけるのであれば!!私達の『テニスの王子様』に対する、心の曇りは晴れる!!!私達も、向き合える!!!楽しめる!!!」…そう思える作品でした。過去20年、近しい漫画文化にどっぷり浸りながら、決して踏み入れようとしなかった「テニスの王子様」に、ものすごい勢いで振り返えりました。大ファンになりました。ここまで、映画感想の前置きなんですけど…長くなりましたので、各キャラクター・シーンについては別記事でまた語ります。とにかく、…これは、凄い。by姉
2021.09.07
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今年1月に上演された新作オペラ「紅天女」が、期間限定(5月7日(木)15:00 ~5月14日(木)14:00)でYoutubeにアップされていました。いそいそと鑑賞しておりました。(オペラだったので、演者のセリフはほとんど歌唱なのですが、それだけだととても内容を聞き取れないので、字幕付きで観ました。)少し時間が経ってしまっていますが、簡単感想です。2020年 日本オペラ協会公演 歌劇「紅天女」~美内すずえ原作『ガラスの仮面』より*以下、劇の内容、ラストの筋書きについてのネタバレあり感想です。未鑑賞の方は、お気をつけください!*南北朝の時代。北朝の帝より、「南へ行き、梅の木を見つけ、天下泰平の願をかけた仏像の製作」を命じられた仏師・一真。幼いころに戦火で家族を亡くし、仏門の道に入るも、布施の額に寄る不平等な世界に嫌気が刺し、一時は野盗にその身を置いたこともある彼は、「自分にはそのような仏像は作れない」と断ろうとするが、帝の使者はそれを受け入れなかった。嫌々、帝の聞いたお告げにあったという「梅の木」を探しに、南に下った一真だが、旅の途中、野武士との出会いと別れを経て、「民のための仏像を彫る」という使命感を持つようになる。しかし、梅の木を見つける前に、一真は川に落ちて記憶を失ってしまう。彼を助けたのは、南朝に近い村の少女・阿古夜だった。彼女の村は、南朝を守る楠木の殿様と縁深く、また、大きな秘密を抱えていた。この村は、川向こうにある梅の谷…そこにある「千年の梅の木」を守護していたのだ。阿古夜と一真は一目で互いに惹かれ合い、恋に落ちるが、それと同時に、巫女であり、万物のものの声を聴くことができた阿古夜の力が弱まってしまう。村人たちは一真を排除しようとするが、時を同じくして、三種の神器を巡り、北朝と南朝では不穏な空気が流れ始め…。美内すずえ先生が 脚本・監修をされている舞台ということで、おそらく、「ガラスの仮面」完結に向け、一度「紅天女」の舞台をしっかり形にしてみたい、という企画だったのだと思います。紅天女の舞台内容については、ガラスの仮面本編中でもあらすじを辿ったり、概要の説明があったりしていたので、単語単語や、劇中セリフがなんとなく頭に入ってはいましたが、今回、劇中の内容だけをがっつり注視し、一本筋として鑑賞すると、「なるほど!!こういう話なんだ!」という驚きがたくさんありました。美内すずえ先生のストーリーは、もはや森羅万象の造りについて考える、哲学でした。以下、印象的だった部分についての列記です。◆2つの事象の対比今回、「紅天女」を鑑賞して、一番印象深かったのがこの「対比」です。あらゆる物事を「対比」で捉えていました。考え方の基本は、「陰陽」の考え方なのでしょうか。地と天、北朝と南朝、男と女、そして外来と従来、仏教と神道…。この2つの対比が争いや悲しみを生み出す…、やがてそれが、「ひとつになる」。作中、延々と↑この概念を強調していました。美内すずえ先生の作品を思い起こすと、確かにこの「対比」という概念は、キャラクター配置やお話回しに、数多く見て取れる特徴だと思います。北島マヤと姫川亜弓 という2人の天才女優の対比なんかがまさしくそれです。別の観点や方法で、2人が「演劇」というものにアプローチしていく…その対比が、本当にお互いの天才性をよく立て合っています。劇中劇の、「ふたりの王女」も、完全にこの「対比」をメインに据えた造りのお話でした。美内すずえ先生の生み出す、超具体的かつ説得力のあるエピソードと見事な描写で、こんな「競合」を描かれてしまっては…漫画を読んでいて、こんな面白くて、ワクワクするものはありません!◆神仏習合ラストまで観て、「ひとつになる」という概念に関して、もちろんここに南北朝の対立収束や、一真と阿古夜の恋の概念があるのですが、それと同時に、まさかの「神仏習合」の概念の話をしていたのか…と、度肝を抜かれました。確かに、一真は最初から「仏師」だと言っていますし、紅天女はどう見ても天照大神のイメージです。…それでも、最後まで観るまで、気づきませんでした。やってることが、描いているものが高尚過ぎて…。私の見た印象の限りですと、樹齢千年というバケモノ染みた梅の木は、おそらく寿命も近かった…のかな?と受け取りました。その梅の木が、最後、仏師の手によって天女像として生まれ変わる…↑偶像を作るというの概念自体、従来の神道にはおそらくなかったものでしょうし、外来を受け入れたからこその再生の道なのですが…結局、「なんで梅の木は、それを受け入れたの?」というと、単純に、一真のことが好きだったんだなぁ…とストレートに落ちてきました。森羅万象、神仏習合…云々かんぬん言っておいて、最終的に、少女漫画!!最高です!!とにかく、概念と概念の概念で、ぐるっぐるした物語です。「ガラスの仮面」という未完の傑作漫画を、未完たらしめている『物語』…女優・月影千草だけがその上演権を保有する、伝説であり最上の舞台脚本です。哲学です。でも、難しいこと抜きにすれば、すごく素直なラブストーリー…ザ・少女漫画だったと思います。上手いこと感想は書けませんでしたが、舞台『紅天女』…ガラスの仮面を読み始めた小学生の頃からの、「どんなお話なんだろう…?」と大きく膨らませてきっていた「期待感」を、見事に満たす…それを軽々と上回るような、すっっっごく興味深く、面白い筋立てでした!!この舞台作品が、ガラスの仮面本編ではどのように描かれるのか…また、本編中のマヤちゃんと速水さん、2人の行く末に、どのように影響していくのか…とてもワクワクします!美内先生…是非!!お身体には無理なさらず…ですが…読みたいです!!!お身体には無理なさらず…是非!!頑張ってください!!!!by姉
2020.06.14
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映画感想。『独裁者(The Great Dictator)』(監督・製作・脚本・主演:チャールズ・チャップリン、1940年)第一次世界大戦の前線で味方とはぐれたトメニア(架空の国)の下級兵士・床屋のチャーリー(ユダヤ人)は、負傷した士官・シュルツを助け、飛行機で前線を脱出。飛行機は燃料切れで不時着し、命は助かったものの、そのショックでチャーリーは記憶喪失となり、その後約20年間を病院で過ごすことになる。その間、世界恐慌のパニックの中、トメニアでは政変が起こり、アデノイド・ヒンケルが独裁政権を樹立。選民的な思想を唱え、ユダヤ人の迫害を行っていた。チャーリーは病院を抜け出し床屋に戻ったが、そこで時の流れを実感するとともに、20年前の常識では考えられない警官(兵士?)による「ユダヤ人迫害」を体験し、そのギャップにひどく違和感を覚える。世界の皇帝として君臨することを目論むヒンケルは、隣国・オストリッチへの侵攻を画策しており…。尚、独裁者ヒンケルと床屋のチャーリーの姿形が瓜二つなのは、ただの偶然である。訳あって、アドルフ・ヒトラー関連で何か作品鑑賞をしたいと思い、最初は手塚治先生の『アドルフに告ぐ』を読もうかな、と思っていたのですが、近隣の書店で上手く全巻集められなかったので、こちらの映画作品を鑑賞することにしました。喜劇王・チャップリンの映画!!…お恥ずかしながら、初めて鑑賞しました。いや、小学生くらいの頃に、祖父が「モダン・タイムス」とかをTVで観てたな、って記憶はあるのですが、私自身が「観よう!」思って観るのは、今回が初めてです。映画を鑑賞している途中で、そういえば…この作品について、高校生の頃、世界史の先生が「とても面白い映画だ!」と話しをしてくれてたな、とふと思い出しました。話を聞いて、「それは面白そうな映画だな!」と思った覚えがありました。かなり古い記憶で、すぐに思い出せませんでしたが、今回この映画のDVDが目に入り、購入する際、なんかいい印象があった気がしてすんなり手が出せたんですが、そうだ、この時の印象だったんですね。映画本編をじっくり鑑賞し、まぁ…なんて言うか…アドルフ・ヒトラーが云々というか、ほとんどこの↓印象しか残りませんでした。チャップリン、天才っっっ!!!!すべてのシーンで、思わずクスッと笑ってしまうような、パントマイムが基本となっているコミカルな演技動作が挿入されていますが、基本的に、これらは「鑑賞者へのリップサービス」だと思います。観てもらうための、鑑賞者の視線を引き付ける為の、工夫です。映画の内容、メッセージ性だけを捉えれば、この痛烈な社会風刺・他国の政権批判は、決して「コメディ」という類のものではありませんし、そこの確固たるものがあったうえで、どれだけ興味を持って鑑賞してもらうか、という部分で大規模なセット等を駆使し、延々と戦ってた方なんだな、という印象です。映画を鑑賞し終わり、概要を掴もうとこの映画作品のwikiを見に行って、愕然としました。この映画…「1940年」公開!!?構想は1938年頃から…!!??え、コレ、第二次世界大戦後の作品じゃないの!!?アドルフ・ヒトラーの死、及び第二次世界大戦の終戦は、1945年です。確かに、映画作中に登場する「ユダヤ人の強制収容所」の描写は気になってました。ベットもあり、労働環境がそれなりに整えられているような描写で、私が漠然と抱く「収容所」の印象より、かなり柔らかいというか、そういった描写だったんです。それもそのはずで、1940年って、いわゆる後世で言われる「ホロコースト」が本格的に行われるよりも前の段階のようなんです。また、この映画を作成されたアメリカは、1940年当時まだ大戦に参加しておらず、まだまだ対岸の火事的なのんびり構えている風潮だったようで。そうか、リアルタイム風刺だから、この映画は、明らかに実在国家・人物をもじった架空の国の設定なのか…。そこまでの情報を頭に入れてから、もう一度ラストのスピーチシーンを観ました。すげぇ…。だから、ここでチャーリーが語りかけてるのは、「トメニアの兵士」なんだ…。すげぇ…なんかもう、これが映画作品として、この時期に公開されていたという事実がすげぇ…。娯楽・エンターテイメントという点と、「発信」できる立場に居る方の社会的な影響力への責任感という点を、この上なく、全部やってるんで。ただただ、「チャップリン、すげぇ…!」という感想しかありませんでした。チャップリン…これを機に、ポツポツと有名作から観ていきたいな、と思っています。フェデリコ・フェリー二作品と一緒に、気長に集めていこう…!by姉
2020.01.27
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私妹も『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』鑑賞して来ました!本当に素晴らしいシリーズの完結を劇場で見届けることが出来て本当に本当に嬉しかったです!!何処を切り取っても真摯・丁寧な造りで終始大興奮でした。火水草砂ドラゴンの瞳・・・質感描写が臨界点を突破し圧巻の映像美でした!相変わらず音楽も最高!ドラゴンに乗って空を飛ぶ事が出来ました。神話を体感する事が出来ました。作品を造り上げてくださった制作スタッフ様、日本での劇場公開のために尽力して下さった皆様、本当に本当にありがとうございました!・・・今週は暁のヨナ教信者のプライド(なんだソレ)をかなぐり捨てて全神経をヒクドラに費やしてました。だってこの傑作シリーズ、日本での知名度が低すぎてあまりにも勿体なくて・・・!映像美・ジブリ・ポケモン・ワンニャン↑この辺りが好きな方達の為の作品です!是非!今からヨナ感想頑張ります。by妹
2019.12.25
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おととい公開の映画!公開2日目の昨日・土曜日に観に行ってきました。映画感想『ヒックとドラゴン3 聖地への冒険』(ディーン・デュボア監督、ドリームワークス、2019)<ヒックとドラゴンシリーズについて>バイキングの島・バーク島。長きに渡り、ドラゴンと死闘を繰り広げて来たこの島では、『ドラゴン退治がすべて』。島の長・偉大なるバイキング・ストイックは、子供の頃からドラゴンを退治していた、勇猛果敢で島民の信頼厚いリーダーだ。そんな彼の一人息子・ヒック。同年代の子供たちに比べ体格で劣り、痩せていて非力な彼は、なんとか皆に認めてもらおうと、自作の罠や武器を使ったドラゴン退治に躍起になっていた。ある日ヒックは、誰も観たことがない伝説のドラゴン、ナイト・フューリーを撃ち落とすことに成功する。しかし、いざ森の中で弱ったドラゴンを目の当たりにした際、殺すことが出来ず、解放してしまう。大物ドラゴンを仕留めるチャンスを自ら逃がし、自分にはドラゴン退治が無理であることを強烈に悟るヒック。しかし、父・ストイックは息子の将来を按じ、ドラゴン退治訓練に参加するよう命ずる。訓練でも散々な目に遭い、再びドラゴンを解放した森へ独り立ち寄ったヒックは、解放したはずのドラゴンが、まだ島から逃げ出せずにもがいている姿を発見する。ドラゴンは尾の羽根を傷つけ、飛ぶことが出来なくなってしまっていたのだ。責任を感じたヒックは、ドラゴンに食べ物を運びはじめる。こうして、「ドラゴン退治がすべて」の島で、ひっそりと「臆病な」少年・ヒックと、傷ついて飛べないドラゴン・「トゥース」の交流が始まった…。何て言ったらいいのかな…。「ドラゴンに乗って、空が飛べるんだよ!!!」と言っても、日本人の食いつきがあまりいいとは思えないので…どう言葉を尽くせば、この作品の魅力を伝えることが出来るのかな…。食いつきの良さそうな単語を使ってみましょうか。ジブリが、宮崎駿監督作品の飛行大冒険活劇が大好きな日本人こそ、絶対に観るべき映画作品なんですよ!!!実在動物の動きを参考にしていると思われるドラゴンたちの、あまりにリアリティのある動き…そしてそれを繊細な3D映像で、まるで本物のように目の当たりにする驚き!!!動物好き(特に猫好き)は、本当に是非!!!※ちなみに私自身は、自称「動物嫌い」と言っちゃうような人間ですが、そんな奴がこのテンションになるほどに素晴らしい。人と人、人とドラゴン、ドラゴンとドラゴン…絶秒な表情と繊細な演技動作で描かれる、圧巻のコミュニケーション!人物像や性別、何より種族の違う相手とのコミュニケーションは、すれ違いももちろんたくさんあるのですが、それでもお互いを必死に思いやる、愛情に満ち溢れたものばかりです。この作品は、かなり曖昧な記憶なのですが、確か…週刊少年ジャンプの巻末コメントかなにかで、編集部の方のコメントだった(?)かと思うのですが、「(NARUTOの)岸本先生にお薦めされた『ヒックとドラゴン』を観て素晴らしかった。もっと日本でも評価されるべき!」といった内容のコメントがちらっと眼についたことがありました。「へー、少年漫画の第一線で働いてる方たちが劇推しするキッズ映画なら、相当面白いのかな」…と心に残っていました。で、その少し後に、ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』を観て大感激した時に、今までほとんど鑑賞してこなかったCGアニメ映画をもっと鑑賞してみたい!という気持ちになり、レンタル屋でキッズDVDコーナーを物色していたら、この『ヒックとドラゴン』が目に止まりました。「そういえば、この作品について、ジャンプで見かけたな」と思い、パッケージを見る限り、あまり私の好みじゃなさそうだけど…と思いつつも、レンタル・鑑賞してみました。観終わった瞬間に、ブルーレイをネットで即購入。乗り気ではない妹にも無理矢理鑑賞させ、特に動物好きでもなかった妹に、「トゥース…///!」しかしゃべらなくなる上、今まで全く興味を示さなかった動物園の動物動画漁りをさせる症状まで発症させていました。この作品が3部作で、現在続編を鋭意作成中だと知り、「絶対に2は劇場に観に行くぞ!」と意気込んでいたのに…2014年にアメリカで完成・公開された「ヒックとドラゴン2」は、何故か2015年になっても日本で劇場公開が行われず、結局日本においてはDVD・ブルーレイの発売のみという、「DVDスルー」と言われる扱いになりました。もちろん、ブルーレイは購入し、作品の鑑賞は出来たのですが、ファンとしては「劇場で観たかった…!!」という残念な気持ちも大きく、今回、3がきちんとこうして劇場公開されたことは、それだけで本当にありがたい・・・感慨深いものがありました。ようやく、劇場でヒックとドラゴンを鑑賞できました。パンフレットも、グッズも買うことが出来ました。全く、シリーズ自体をご存知ない方に、「3を劇場に観に行ってくれ!」と言うつもりはありません。ただ、海外ではきちんと評価されているらしい本作について、日本での知名度が低すぎる現状はあまりに勿体なく…「とにかく、『1』を観てくれ…!」と。3部作の位置付けとしては、とにかく爽快感があり、面白い…作品のやりたかったことが凝縮されている文句なしに名作中の名作は、第1作目です。これだけでいいから…TSUTAYAとか行けば、100円とかでレンタル出来るから…!!2と3に関しては、作品の生み出したありとあらゆる要素について、1つずつに本当に本当に真摯に向き合い、ヒックくんがそれらに悩み、挫折を繰り返しながら、成長していく様を追いかけるものになります。島のリーダーという重責を負うまでの過程、未知なる世界への探求心、そして、目の前に居るドラゴンについて、彼らのことを本当に思いやり、どうあるべきかをひたすら考え行動する、友情と勇気…。辛い展開も多くなり、『爽快感』と言うよりは、とにかく真摯な真摯な作品になります。だからこそ、ここにしかない、重く深い感動があるのですが、鑑賞するなら、「1」から、是非。異常なテンションでおススメします!観ないと…勿体ない!!!エンタメ好きなら…是非!!!<ヒックとドラゴン3・聖地への冒険 について>*以下、公開直後の映画のネタバレあり感想です。未鑑賞の方は、お気を付けください!*ドラゴ率いるドラゴン軍団の襲来より1年ー。亡き父・ストイックの跡を継ぎ、若き長となったヒックは、島の仲間たちとともに、ドラゴンハンターたちに捕獲されたドラゴンたちの保護を続けていた。しかし、ドラゴンたちの増加でバーク島は飽和状態に…。島の住人たち、そしてドラゴンたちの為、真剣に今後について考える必要性を感じたヒックは、父・ストイックが昔から探し求めていた地・「幻の聖地」に解決の光を感じていた。そんな折、トゥースは森で1匹の白いメスのドラゴンと出会う。トゥースとよく似た姿に、ヒックとアスティは彼女を「ライト・フューリー」と名付ける…。その直後、ヒックは悪名名高いドラゴンハンター・グリメルの襲来を受ける。このままこの地で、ドラゴンたちと平和に暮らしていくことは難しい…。ヒックは、島の住人たち全員を巻き込んだ、大きな決断をする。先ほど少し触れましたが、一言で言い表すとしたら、『真摯』です。2で描かれたものの延長線上に、ヒックくんの、リーダーとしての成長と目の前のドラゴンに対して、本当に真摯で、深い愛情と思いやりを持って描き出した未来がありました。とにかく、ヒックくんの『目線』…これが、シリーズ3部作を通して本当に素晴らしい。彼自身は、「自分は臆病だから」と言っていましたが、目の前の存在や、新しく見えて来る世界に興味を持ち、なんとか大事に受け止め、受け入れようとする姿勢。噛み合わない部分を、工夫を重ね克服していく忍耐強さ、また、固定観念や既得権に固執せず、柔軟な視点で「皆にとっての最善」を選択していく勇気。この作品は、ドラゴンという架空の生物を描き出す「ファンタジー」作品ですが、現実社会を生きていく上で、一番大事なことだと思えるテーマが、根本にあると思っています。それを可能にしているのが、まるで実物や写真を見ているかのような、作り込まれた背景美術・世界設定であり、そして、そこに本当に存在し、触れるかのように、リアルに動くドラゴンたちなんだと思います。今作・3では、ヒックくんとともに成長してきた若者たちも、一人ひとり存在感がありました。特に、メインヒロインであるアスティ…彼女が本当に素晴らしかったです!大きな困難や障害にぶつかり、独り思い悩むことの多いヒック君を、とても上手く支え、導いてくれていました。「あなたを最初に信じたのは私よ」というセリフが、今作でとても心に残りました。鑑賞後は、ひたすら「全部、やり切ってくれたなぁ…!凄かったなぁ…!!」という感慨にふけりました。なかなか日本では、この先劇場で鑑賞できる機会も少ない作品だと思います。今なら…!劇場でやってますよ…!スターウォーズやアナ雪も、もちろんいいんですけど…『ヒックとドラゴン』も、是非鑑賞してみていただきたい!!!ディーン・デュボア監督はじめ、この大作シリーズ制作に携わった、本国・アメリカの数多のスタッフ・関係会社の方々、そして本作の日本劇場公開に尽力してくれたであろう日本陣営の方々に、心より感謝を。心に残る、素晴らしい作品をありがとうございました!これからも、大事に鑑賞していきます。by姉
2019.12.22
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おはようございます。映画感想『8 1/2(はっかにぶんのいち)』(フェデリコ・フェリーニ監督作品・1963年)43歳の前衛映画監督・グイドは、温泉地で肝臓の療養をしつつ、次回作の構想を練っていた。しかし、思考は行き詰まり、撮影は延期。プロデューサー陣のあおりが激しさを増していく中、彼の、現実と描き出したい理想とが混同して行く…。W不倫中の愛人、出番を求める女優、女友達、母親、友人の若く聡明な不倫相手の女子大学生と、そして、妻。幼い日から今に至るまで、彼の眼に映った「女性像」が目まぐるしく入り乱れる。謎の巨大セット・高くそびえる「発射台」で、彼は何を解き放つのか…。*以下、映画のラストシーンのネタばれまで含んだ感想です。未鑑賞の方はお気をつけください*去年の12月、フェリーニ監督の別映画である「道」の、草なぎ剛主演版舞台を観劇したのですが、その際の事前予習として、この「8 1/2」を鑑賞しました。とにかく、「フェデリコ・フェリーニ監督」と聞いても、全くなんのことやらさっぱりだったので。フェリーニ作品で、最初に鑑賞したのが、この「8 1/2」で、良かった…というか。衝撃的でした。一発で受け手の「理解」に叩きつけて来る、あまりに格が違う「天才」感…。wikiには、「魔術師」って書いてあるな。そうか、魔術か。なんっっっじゃこのイカれたエゴイスティックムービーは!…が、素直な感想です。この映画に関して、私が見た限りではこういう↓解説はなかったのですが…ただ、この作品は明らかに…最初、グイド監督が撮ろうとしてたような、『「監督自身の中の女性にまつわるイメージ像」をすべて盛り込み、最後に解き放つ映画』を、撮ろうとして、まとまらなくて、大混乱の末、終いに『女性像についての映画を撮ろうとして、まとまらなくて、最後「まとまらなかったー!」って全部放り投げる映画監督の話』になったんですよね。こんなもん観せられても…困りますよ…受け手として。困るんだけど…めっちゃくちゃ面白かった!!何故伝わる!!こんな、「フェリーニ監督の個人的な価値観の混乱」が!!何故って言うか、「ちゃんと映像になってるから」以外にないんですが。画面上に目まぐるしく登場して来る多種多様な女性像の描かれ方…皆魅力的なんですが、最終的に何を大事にしたくて、なんで混乱してるか…フェリーニ監督の価値観がちゃんと落ちて来るんですよ。それが怖い。この作品を観て、いろんな方がいろんな感想を抱くと思いますが、私が真っ先に感じたのは、これ↓でした。「だから結局、あなたは奥さんを大事にしたいんでしょ!?」グイド監督の妻・ルイザは、パッと見「知的・聡明」を体現したような女性です。ただ、グイドにチラつく他の女性たちの影に業を煮やし、夫婦関係は破綻寸前の状態。フェリーニ監督の奥さんが、映画『道』等で主演を務められた女優のジュリエッタ・マシーナさんとのことで。非常に聡明な方だったんだろうなぁ…と思うと、この映画、この辺りに詰まっている概念や感情が現実の投影であることがなんとなく覗えます。このグイドさん(って言うか、フェリーニ監督)ですが、基本的に女好きです。少年期はカトリック系の禁欲教育を受けていた(?)ようで、その時期の抑圧されていた反動というか、コンプレックスのような感情があります。若い女性が好きです。でも、老いも含めて女性だと思ってます。娼婦のような、官能的で頭の良くない女性も好きです。金銭的・精神的貧しさを象徴する性商売も、自らが抱く魅力的な女性像からは切り離せません。この映画を鑑賞した妹の見解が面白かったのですが、妹いわく、「フェリーニ監督の女性像を含めた『価値観』には、画家のグスタフ・クリムトに近いものを感じる」と。知的でアカデミックなものが、誰よりも大好きで、老いても揺るがない「知性・聡明さ」のような精神的な美しさに、一番の憧れと理想を持ち、それを大事にしたい人。ただ、「…とはいえ、そういう風にばっかり生きられない人間の怠惰でどうしようもない部分」も、魅力的だと思うし、愛している人。…なるほど、面白いなぁ、と思って聴きました。この感性は、「女性像」に対してだけでなく、「フェリーニのローマ」で描かれた「ローマ像」にも同様のことを感じました。そりゃ、全部詰め込んで形にしようと思ったら、価値観が喧嘩するわ。「8 1/2」の作中で、グイド監督が思考の旅の果てに、自身の魅力的だと思う女性たちを一同に集めた「ハーレム」にたどり着きます。そこには、夫のハーレムを許容し、またその運営の裏方としてかいがいしく尽力する、「理想的な奥さん」が登場します。…が、すべてが理想的な世界のはずなのに、そこに居る「理想的な奥さん」が、幸せそうじゃないし、「理想的」じゃないんですよ。当たり前なんですけどね。だから、この映画は「破たん」なんだと思います。クライマックス…映画の試写で耐えきれなくなった奥さんに別れを告げられ、若く聡明なクラウディアに、自分の理想の片鱗を探すも見つからない…。「もうダメだ」という状況で、夢か現実か分からない「記者会見」の場に担ぎ上げられ、逃げ場を失ったグイドが取った行動とは…!!?「人生は祭りだ。共に生きよう。」という印象的な一文に繋がるまでの静寂と、グイドの独白。そしてその先の、あまりに衝撃的で独創的なラストシーンに呆気にとられます。なんなんだこれは…!なんでいきなり今までの登場人物たち大集合の上、手を繋いで輪を作って、皆でラインダンスなんだ…!いや、分かる…!いろいろ、言いたいことも、たどり着いた境地も、示唆したいこともなんとなく分かるんだが、何故こんなものが映像になるんだ…!!ニーノ・ロータさんの楽し気なのに、心を不安定にさせる、素晴らし過ぎる楽曲が鳴り響く中、映画は終幕を迎えます。♪8 1/2テーマソング私ごときの説明では、この映画の凄さと衝撃は全く伝わらないと思いますので、興味のある方は、是非一度ご鑑賞を!個人的には、生まれてこれまで観て来た洋画作品の中で、いちばん衝撃的な作品でした。…まぁ、そもそも洋画をほとんど観ない人間なんですけどね;他の作品でもこの作り方を真似されちゃ、たまったもんじゃありませんが…これは天才にしか許されない作り方だ…とにかくこれはっ…面白かった!本当に!!フェリーニ監督作品は、他にもいくつかDVD等を買い集め始めているところです。全作鑑賞制覇したいな!気長に行きます。by姉
2019.11.26
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簡単映画感想!『海獣の子供』(2019年・渡辺歩監督・STUDIO4°C製作)夏休み初日。チームメイトとのトラブルで、ハンドボール部の活動に参加出来なくなった中学2年生の琉花(ルカ)。飲酒量の多い母親とは居心地のいい関係ではなく、学校にも家庭にも居場所のない彼女は、別居中の父親が働く水族館へ足を運ぶ。そこで、水槽の中を泳ぎ回る不思議な少年・海(うみ)と出会う。彼と、彼の兄・空(そら)は、ジュゴンに育てられていたところを保護された兄弟だと言うが…。予告編動画米津玄師MV「海の幽霊」海の中で、ジェットコースターに乗っているような映画でした。映画自体が、遊園地のアトラクションというか。鑑賞者が「実体感」できる映画。たぶん、アメリカの作り込んだアクション映画って、こういう面白さのある作品がたくさんあるんだと思いますが。普段あまり観ないので、今回のようなアトラクション型の映画は、個人的にすごく新鮮でした。稲垣吾郎さんがお父さん役の声優さんとして入っているので、公式ファンサイト・「新しい地図」で告知があり、そこで興味を持ち、片道車で1時間半かけて、映画館へ行ってみました。声優さんに関しては、主役の琉花ちゃんに、芦田愛菜ちゃん、不思議な少年(弟)役に、「リメンバーミー」で主役のミゲルくんを演じていた石橋陽彩くん…このあたりのラインナップも個人的にツボで。↑絶対に、下手な企画に安売りしない(イメージの)タレントばっかじゃないですか。こういう安心感、大事。タレントの価値だと思う。音楽は久石譲さんの壮大楽曲だっていうし、そうかと思えば主題歌は今大ブレイク中の米津弦師さんという意外なとこが来てるし…何より、予告映像をちらっと見ただけでビビる、ハイクオリティアニメーション!原作未読での鑑賞でしたので、元の印象とは異なる部分もあるかもしれませんが…とりあえず、映画を一度鑑賞しただけの印象を語ります。まず、作品自体。「難解」…ではあるのですが、そうも深く考えて観る必要はないかな、と思いました。全てのキャラクターや描写が、「あれはあれを示唆してるんだ」とか、「あれはあの作品のオマージュだ」とか、そういう細かい部分は全然分かっていないのですが、大きい部分については、かなり漠然とした…でもすごく面白い、いち概念の提示というか。要は、隕石のかけらという、地球にとって未知の因子が、地球上の大半を占める「海」に落ちた時、そこでこんなに神秘的な反応・変化が起こっているんじゃないか…いや、地上しか観ていない人間には計り知れない、何かが起こってるはずだ!…みたいな。それを、「受精」に例えて、そのモチーフを、壮大な壮大な映像にして魅せる…という感じでした。(君の名は。の大ヒットを受け、隕石モチーフのある本作品が、アニメーション映画企画として立ち上がったのかな?と思いましたが、魅力は、君の~とは全然違うものでした。)海…海底への畏敬はすごく感じたのですが、だからって鑑賞者に対して、「自然保護頑張んなきゃ!」みたいなメッセージがあるわけじゃなく…。海の壮大さからしたら、人間なんてちっっっぽけで無力な存在さ!はーっはっはっは!という、何目線からなのか分からない見下され感がありつつ…でも、結局、海底で起こっていることも、人間の体内で起こっていることも、更にマクロ目線では、宇宙の成り立ちも、みんな同じことなんだよ、・・・という定義で。最終的には、人間一人ひとりを神秘的な存在として受け取れるのかな?という作りだったと思います。うん。散々、「鯨は歌を唄って意思疎通を図る!凄い!人間なんてっ…」って言っといて、まぁそれはそれでもっともなんですが、最後は、人間同士も、頑張って意思疎通をしている描写で締まってたり。この辺のぐるぐるする概念がとても面白かったです。数多のSF作品同様、「変なこと考えてる人が居るんだな~」「なるほど、面白い物事の捉え方だな~」↑…この受け取り方で、いいのかな?と思います。この作品は…子どもの方が、素直に鑑賞できると思うんですよ。絵本みたいな感じで。海の壮大さ、神秘性が、ちゃんと映像になってますので。描いてあるものは、「そういうものだ」と思って受け入れればいいだけだと思います。大人目線だと、話筋や登場要素にいちいち意味を探してしまうんですが、そんな目線じゃ、「となりのトトロ」はそれこそ分からない作品じゃないですか。なんですか、「トトロ」って。なんでミミズクパンダがコマに乗って空飛ぶんですか。・・・ってなっちゃうので。映画館の大スクリーン・大音量で、海を実体感してナンボ!という映画作品ですので、興味のある方は、是非映画館で鑑賞してみてください!※暑い日がおススメ!by姉
2019.06.26
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毎年桜が散ると思います「あ、今年もコナンの季節がやってきてしまった」と。これはもう古(二十数年前)より着実に日本人の心に根付いていった習わしであり「コナン映画を見なきゃ夏を迎えることが出来ない」文化が形成されることにより名探偵コナン映画は毎年映画界に莫大な興収をもたらす魔法の右肩上がりプレミアムコンテンツに成り得た訳であります。・・・はい。要するに「別にコナンマニアでも何でもないんですけど毎年コナン映画が始まると何故かソワソワしてしまう」というお話です。今年はキッドと京極さんかぁ・・・ソワソワワ(ちょっと見たい)私達は初期コナン世代といいますか・・・「名探偵コナン・・・一生懸命読んでました!40巻位までなら!」というなんとも中途半端なコナンファンですが^^; 映画シリーズはなんやかんや大体観ていて、思い入れも結構あります。今回はそんなコナン映画シリーズの中から個人的なオススメ作品を勝手にご紹介いたします。今年(2019年)で23作目を迎えるコナン映画。毎回お約束展開ではあるのですが、担当される監督さんによってやっぱり各々特色があります。21作目までは7作ごとのスパンで監督さんが代替わりしていました・・・が、去年の「ゼロの執行人」では立川謙氏、今年の「紺青の拳」では永岡智佳氏 とこれからは一年ごとに交代していくのかもしれませんね。えー・・・この2作に関してはまだ観ていませんので・・・今回は主に監督別で21作までについて、勝手に語ろうと思います^^■こだま兼嗣 監督(1-7作目担当)コナン映画の礎を築いた方ですね。正直・・・もうこの監督さんのシリーズで「子供向けアニメ映画・名探偵コナン」は完成形なんですよ。こだま兼嗣(監督)×古内一成(脚本)のタッグが最強過ぎるんですよね。ミステリー・スリル・アクション・ラブ・コミカルが本当にバランス良く、小学生でも分かる次元で、全部絵として強調されて配置されています。この絶妙な塩梅こそコナン映画の真骨頂!だと思います。あとなんか妙に犯人がアーティスティックというか・・・自分理論に酔いしれていて、狂った奴が多いのが魅力ですw個人的なイチオシ作品は5作目「天国へのカウントダウン」!コナン映画シリーズの中で一番好きなのは・・・ときかれたら、私はこの作品を挙げます。1つの高層タワービルをめぐる殺人事件と爆発・・・そして大脱出劇!城とかビルとか・・・ガチっと設定されたひとつの舞台の表裏をキャラクター達が縦横無尽に走り回るのは、子供向けアニメ映画の大定番ですね。最初から伏線が張り巡らされている脚本・・・灰原さん&少年探偵団はじめキャラクターが皆本当に良い動きをしますし、黒の組織の絡み方も絶妙なんです。あとはもう・・・犯人ですよ。こんなにイカレきった・・・でもすごく理解出来る犯行動機他にないですよ。素晴らしい!こだま監督作品の中だと、他にも特にこの辺り↓が大好きです。・1作目「時計仕掛けの摩天楼(まてんろう)」・・・原作者が全身全霊で挑んだ・・・というか怪盗キッドキャラで構想していたとっておきエピソードまでつぎ込んだ意欲作。シリーズ第一作目にして最終形態。コナン映画の完成形だと思います。クライマックスの青か赤か・・・蘭ちゃんの選択が最高!・2作目「14番目の標的(ターゲット)」・・・姉のイチオシ作品です。なじみ深い既存キャラクターがトランプの数字に当てはめられ攻撃されるというスリリングな展開! 脚本の練り込みがスゴイ(姉談)!トランプ・水族館・ワイン・・・モチーフもお洒落ですし、クライマックスの銃口を突きつける新一君が小五郎のオジサンとオーバーラップする場面!痺れます!■山本泰一郎 監督(8-14作目担当)この監督さんの時に、がっつり平次×和葉ちゃん映画を作ってもらいたかった・・・ナ(泣)もう遅いけど。こだま・静野監督の作風と比べられ「地味・・・地味・・・」と言われていますが、個人的にはこの監督さんのシリーズも大好きなんです。いやまぁ確かに・・・画面作りやアクションのインパクトでは、両監督さん達に比べ控えめで(うーんと、あれってどんな話しだったっけ)となる作品も・・・まぁ結構あります。ただ演技動作がすごく繊細で、キャラクターの何気ない一言が心に残ったりします。あと結構意外性のある展開が用意されているというか・・・クライマックスが何段階にも用意されていたりして、満足感が高いんですよね。個人的なイチオシ作品は14作目「天空の難破船(ロスト・シップ)」!公開当時うっかり観に行って、気に入りすぎて何度かリピートした作品ですwバイオテロ&ハイジャックという緊迫感に加え、意表をつかれる展開に息を飲みます。キッドに少年探偵団に大阪組に・・・割とオールスター総出演で、それぞれに見せ場があってなにより気球船内をスケボーで走り回るコナン君がめちゃくちゃ格好良いんですよ!山本監督作品の中だと、他にもこの辺り↓が大好きです。・9作目「水平線上の陰謀(ストラテジー)」・・・地味だけどすごく好きな一作。小五郎のオジサンが活躍すると、私は嬉しい。全体的に地味だけど。・13作目「漆黒の追跡者(チェイサー)」・・・黒の組織ががっつり絡むよ! ーというあおり文句で低迷気味だった(といっても20億超)興収をV字回復させた作品ですね。(おおコナン映画が大人っぽい路線で攻めて来た!)と当時驚いた覚えがあります。■静野孔文 監督(15-21作目担当)*15・16作目には山本泰一郎氏が総監督として参加されています。従来のスリル・ミステリー・アクション・ラブのバランスを程よくブレンドした子供向けアニメの決定版・名探偵コナン! ・・・という枷をとっぱらい、アメリカナイズなハイパーチートアクションに全フリ。元々人間離れしていたコナン君ですが、この監督様の手によってスーパーサイヤ人3へと進化を果たしました。この監督のシリーズは・・・子供向けアニメ・コナンを愛した長年のファンを大いに失望させた一方でアクション映画好きなどの新規層をつかみ、近年の爆発的大ヒット連発に繋がりました。私ですか?私は・・・(これはコナンじゃない;)って言っちゃう方ですね;いやアクションも良いんですけど・・・別にコナンにそれは求めてないっていうか・・・正直バランスが悪くて話筋が破綻してる作品も多いし・・・見知らぬキャラ同士が闘っていて、さらに見知らぬキャラが助けに来たりして・・・(↑これは本編未読な私が悪いのですが;)物理的にも(皆理解できてるの?ゴメン私はよく分からなかった!)という場面が多すぎるというか・・・; いや好きな作品もちゃんとあるんですけどね!!個人的なイチオシ作品は18作目「異次元の狙撃手(スナイパー)」!東京を舞台に、海外の元傭兵達が繰り広げる超遠距離狙撃対決!!空間を描く話で、静野監督特有のアクションシーンが見事に生きている作品だと思います。犯人サイド・被害者サイド含め、ゲストキャラがすごく良かった!オッサンばっかりで、もはや子供向けでも何でもなかったけど!!この記事を書いてて気付いたのですが、この作品がコナンシリーズのメインシナリオライターだった故・古内一成さん最後の映画脚本作品になるんですね。上記で「好きです!」と挙げた作品、ことごとく古内一成氏の脚本ばかりでした。静野監督が手がけるようになってから、コナン映画は脚本バランス崩れたなぁ・・・と感じていましたが、脚本家・古内さんの退陣や原作者・青山剛昌さんの体調不良などで今までのようには作れなくなったからだったんだな・・・と改めて感じました。作り手が変われば、そりゃ変わらざるを得ないですよね。なんたって20年ですからね;静野監督作品の中だと、他にも21作目「から紅の恋文(ラブレター)」が好きです。昔から大阪組カップルが大好きなので、この二人メインってだけで萌えたぎります!はい、2割増しで補正入ってますwでもすべて「恋心」に集約される事件の全貌もキュンときましたし、ゲストキャラも良い味出していました。何より平次と和葉ちゃんめっちゃ可愛いし!(←結局そこ)ただ(この設定ならもう少し遊べただろ・・・もっともっと絵面で面白味入れ込めたよ・・・!)と色々歯がゆさを感じてしまう作品でもあります。はい。なんか想像以上に語ってしまいました;小学生の頃からの想い出があるものでつい・・・wコナン映画・・・なんやかんや言いつつ、常に大衆娯楽・エンターテイメントへの情熱に溢れているので大好きなんです。去年と今年のも観たいですね~。by妹
2019.04.13
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おはようございます。映画好きの親戚が激推ししていたので、妹と二人で観てきました。映画感想『リメンバー・ミー』(2017年・ピクサー、リー・アンクリッチ監督作品)メキシコ、サンタ・セシリア。一人の男が、妻と娘を捨てて音楽家への夢を追い、家を出た。残された妻は娘を一人で育て上げる決心をし、靴職人として腕を磨き、家を大きくした。そのひいひい孫にあたる少年・ミゲル(12歳)。一族では、家族をバラバラにした音楽は禁止されているが、彼の心は、音楽をやりたい衝動に駆り立てられていた。そんな中、年に一度、亡くなった人々が家族に会いに来る「死者の日」に、ミゲルは逆に「死者の世界」に迷い込んでしまう・・・。オモシロかった・・・!!面白かったもですし、あとはもう「この映画作品、凄く私個人の中で大事にしたい!」って思いました。家族の絆を音楽の奇跡がつなぐ物語でした。家族っていいんだぞ~、音楽って凄いんだぞ~、・・・という、もう本当に、「そう!そうだよ、そうだよ!」と訴えかけて来てくれる概念がドストライクに 胸を打って来まして、半泣きで観てました。メキシコの風習をモチーフにしたお話なのですが、「今は亡き家族に会いたい」ですとか、「今は亡き家族の熱い愛情に触れる、その感動」ですとか、全世界共通で、そしておおよその個々人の経験・実感に訴えかけてくる内容です。こんな繊細な部分の感情を、こんなリアリティのある見事な映像と素晴らしい音楽で、こんな風に狙い撃ちされてしまったら、泣くしかないですよ。ピクサー、すげぇ。正直、ピクサーの世界最高峰の映像で、これほどシンシアリーをやられてしまうと・・・邦画とか、もう何を期待して観ればいいのやら・・・というか。あ、それと。今回、吹き替え版を鑑賞したのですが、最近のディズニー作品は、吹き替え版が本当に秀逸ですね。キャスティングに、キャラクター性の解釈がきちんと織り込まれていて、いちいち「なるほど」という配役になっていると思います。翻訳の言葉も、抑揚・口の形まで考慮して言葉を選び抜いているのが分かりますし。今作では、主役のミゲル少年の声優に「石橋 陽彩(ひいろ)」という観たことのないお名前があったのですが、・・・すっごくいいんですよ。特に、歌唱シーンの喜びとかがすごく伝わってきて・・・ミュージカル畑の女優さんとかかな?と思って観ていて、帰ってきて調べてみたら、本当に13歳の少年で、びっくりしました。なるほど、だからこその説得力か、と・・・。そんなところも見応え抜群でした。観て損のない、誰にでも素直にお薦めできる映画作品です!そろそろ上演回数も減ってきているところみたいですが、興味のある方は、是非!ブルーレイも買っちゃおうかなこれは・・・。大事にしたいしな。by姉
2018.04.29
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映画『ハイジ アルプスの物語』を鑑賞してきました!(2015年・アラン・グスポーナー監督作品)2015年・ハイジの本国「スイス」で作成された実写版映画。日本では、8月から順次公開されているのかな?母が以前鑑賞し、「すごくすごく良かった!」とのことで、本日、私・妹・母で一緒に鑑賞して来ました。いやいや・・・もう本当に、聞いていた以上に素敵な映画作品でした!!!話筋は、おじいさんに預けられるシーンから、アルプスの山の生活、都会(クララ宅)での生活、山への帰り、クララを迎えるまで・・・という、よくよく見聞きしたもののままの筋道です。もう・・・映像が本当にキレイで、 要素の切り取り方に説得力がある。山の生活の良さ・不便さ、田舎村の良さ・閉鎖的な部分、都会の生活の良さ・閉塞感、これらそれぞれが、「ハイジ目線」で、リスペクトを持った丁寧な描写での見事に描かれて、お話し筋や、各キャラクターたちの価値観や行動がドストレートに心に響いて来ました。キャスティングも見事で、特にハイジ役の女の子が、「ハイジって実在したんだ」くらいの破壊力で、山の頑固ジジイや都会の堅苦しい家の大人たちを翻弄していく様が痛快でした。また、端々のキャラクターまで、日本版アニメの影響も存分に受けていると感じるキャスティングでした。音楽もすごく良かった!簡単な感想になってしまいますが・・・描き出したいものが明確で、観ていてストレスを全く感じませんでしたし、「いやぁ、いいもん観た!」って素直に絶賛出来る映画でした。上映館数が非常に少ないようですが、もし興味のある方は、是非・・・!素直にお薦めです!by姉
2017.10.14
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昨日、ようやく観てこれました!第7作目・『迷宮の十字路(クロスロード)』以来実に14作ぶりとなる、大阪の平次くん&和葉ちゃん推し映画!簡単に感想を。劇場版 名探偵コナン 第21作目『から紅(くれない)の恋歌(ラブレター)』*存分にネタバレを含んでいます。未鑑賞の方はお気をつけください!*大阪・・・競技かるたを特集する番組制作のため、テレビ局を訪れていたコナン一行と平次&和葉。そこで出会ったかるたの次期女王候補・大岡紅葉は、平次を一目観るや、「未来の旦那さん」と言って泣き出してしまった。そんな中、かるた札を添付した、テレビ局爆破の犯行予告が届く。警察判断により、大事をとって総員避難をする最中、ホントに大規模な爆発が起こってしまう。時を同じくして、競技かるたの練習中の男性が自宅で撲殺される殺人事件が起こる。二つの事件の繋がりは・・・?犯人の目的は・・・? 派手派手なビルの大爆発や、血なまぐさい殺人事件と並行して、格式高いかるた大会が行われます。突如現れた「自称・平次の婚約者」の美少女と、和葉ちゃんはかるた大会で闘うことになり、2日漬けの猛特訓を始めます。正直、平次と和葉ちゃん、コナンくん以外、他のメインキャラクターたち、全員、空気。何やってたかと言うと、全員和葉ちゃんの応援して、メキメキとかるたの才覚を発揮させ始める和葉ちゃんに「スゲー!!」って言うだけでした。今回の作品は、とにかく「ザ・服部平次の世界」だったと思います。なんかもうとにかく・・・平次くんに延々と、親友の「工藤」と「俺の嫁」自慢されてる感じ。工藤マジ頼りになる。俺と最高のチームワーク。どんな逆境にも負けん気で明るく立ち向かう、俺の嫁強い。ものすごい集中力を発揮する、俺の嫁カッコイイ。オカン(姑)にも気に入られて、更に食いにかかっていける、うちの嫁姑関係超理想的。何があってもまっすぐ一途な恋心で動く、俺の嫁超カワイイ。今回の事件は、とにかく「恋心」というものに全部集約するよう、脚本も練り込まれていて、犯行の手口だなんだ、犯人が誰だ・・・とかより何より、動機や事件を起こすきっかけとなる、「恋心」という感情を解き明かす部分が「ミステリー」だった、というような作りでした。ここを掴まないと、犯人が何をやりたいのか、次にどうするつもりなのか、全然分からない・・・という。↑この部分が、本当にグッと来るように作り込んであったんですよ。よく出来てた。犯人含めた、ゲストキャラクターの配置・人物像もすごく良かった。自称・平次の許嫁の紅葉ちゃんも、「嫌味そうな子」という印象と、一途で気使いで、ドジな部分もあって・・・と、本当に好きになれる立体感のあるキャラクターとして描写出来てた。・・・で、最終的に、これらのゲストキャラ、新キャラたちの深い恋心を、服部平次が全部吹っ飛ばすんです。「知るかボケェ!!!」って。和葉ちゃんカワイイ、和葉ちゃん強い、和葉ちゃんの集中力凄い、・・・それを全部、服部平次がかっ攫うんです。「ま、俺の嫁だからな!!!」って。本作中、とにかく服部平次はぶれなかった。平次くんというキャラクターは、たぶんですが作者や監督、脚本家の人たちの言うことすら、足蹴にしちゃうんだと思います。平次君自身の価値観で、「世界観」すら自分の気持ちのいい世界に作り変えようとしてしまうんですよ。考え方が帝王というか将軍というか・・・熱血漢で、ガンガン自分の意見を言う、超賢い男。たちが悪いんです。作品として、収めたい存在感に収まってくれないんです。登場させたが最後。完全に主役になっちゃいます。今回の映画は、平次くんを揺らす要素がたくさん登場してたんです。「自称許嫁少女」とか・・・コナンくんや蘭ちゃんは動揺して心配してたんです。そんな状況の中で、当の本人は全っっ然気にせずに、観客に向かってひたすら「嫁自慢」して来ましたからね。それでいて、最後は「いいだろ~、でもこれは俺のもんだから」って存分にアピールして、ひたすら本人の気持ちいい世界の中で大団円を迎えました。とんでもねー奴だやっぱりコイツ、と思いました。「殺すで」は・・・凄い。あのセリフは凄い。人魚の時とかけてますけど・・・たぶん、あのセリフは、脚本云々じゃなくて、平次くんが勝手にしゃべった言葉なんだと思うんですよ。和葉ちゃんのこと、完全に自分のものだと思ってるんです。それがよくよく見て取れるセリフなんです。なんですかこの上から目線。映画観終わった後、何が残ったって、このセリフ一言が残った。キッドはまだ、「コナン」ワールドでは遠慮してると思うんですけどね・・・平次くんにバランスのすべてを任せたとたん、これですからね。新一くんと蘭ちゃんの存在、完全に空気でしたから。面白かった・・・・!!いつもいつも、この作り方が出来るという映画ではありませんが、作者が平次くんと和葉ちゃんのキャラクターの強さを信頼して任せきった作りでした。この、主体的に動く二人でしかなかなか入れ込めない少女漫画的な見せ場作りで、青山剛昌先生がノッリノリだったのもよくよく伝わって来ました。服部平次は・・・怖いです。・・・えぇ、私はこのキャラクターが大好きです。by姉
2017.05.20
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職場の後輩の子が「すごく面白かった!」と言っていたので・・・遅ればせながら、観てきました。簡単に感想を。『君の名は。』(新海誠監督作品・2016年)岐阜県・飛騨の田舎町に住む女子高生・宮水三葉。都心のど真ん中に暮らす男子高生・立花瀧。ある日突然、見ず知らずの二人が入れ替わった??最初は夢だと思っていたが、お互いの存在を認識し合って・・・。いや~~、凄まじい人気も納得。すっごく面白かったです!新海監督の作品は、存在は知っていたのですが、しっかり観たことはありませんでした。「背景に感情のせる、『映像美』な人だよね」くらいの知識で観ました。とにかく、「ザ・エンタメ」。ドラマチックでロマンチックな、いいメロドラマ観たなーー!ってのが率直な感想です。いろいろ語るポイントはあるんだと思いますが、「深い!」とかそういうんじゃなくって。本当に誰もが観たい、追いかけたいラブストーリーだし、そのために背景も演技もいろんな設定も、活きてたなぁ、って感じです。最後まで観て、「満足したー!」って素直に言える。アニメーションとしては、やっぱりすごく宮崎駿監督、細田守監督、両監督の影響を非常に感じる部分がありました。コマ切れの画面な感じですとか、とにかく「駆け出してしまう」感情を作っていくところはホント「時をかける少女」だなー、田舎の感じとか、話の展開とか、「サマーウォーズ」だなー、ただ、動きとか世界の魅せ方とかジブリっぽさがすごくあって・・・と思ったら、作画監督の方、もののけ姫・千と千尋の作監さんだったのか;;見応えがあるはずだ・・・。あとはもちろん、新海監督の「映像美」をとにかく引き立てる彗星というファンタジックで、心をぞわぞわっとさせる見事なモチーフ!悪役も居らず、どのキャラクターも自然と入ってくる人物配置、意味も分からず継承を続ける古来日本の祀りごとの活き方、都心の生活感、どれも本当に素晴らしかったです。観ているだけで、三葉ちゃん・瀧くんの両方に自然と感情移入出来て、自然とお互いに恋が出来て、監督の脚本が上手なんだろうな~、と思いました。この作品、今日は公開6週目?だったのかな?なんですが、とにかくすごい人気でした。シネコンの一番大きな箱で、一日中上映してるんですが、私の観た回なんて、ほとんど客席が埋まっちゃってて。若い友達同士・カップルから、小学生も含めた家族連れまで居て、コアなアニメファンや若い感性もガッツリ掴んだ上で、「大衆ウケしてるんだな」ってのが凄くよく分かる客層でした。上映時間・120分(正味107分)で、お腹いっぱい、大満足できる映画作品だったと思います。観に行って良かったです^^。by姉
2016.10.01
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*映画のネタバレ感想含みますのでご注意ください*ONE PIECE FILM GOLD(ワンピースフィルムゴールド)観てきました!お・・・面白かった~~!!!私がワンピース映画に求めているのは・・・コレです!子供も大人も夢中になれる・・・ 視覚的に造り込まれた空想遊園地での大冒険です!That's entertainment!! ゴールド三昧カジノ三昧!!ビックバンドジャラジャラジャズ♪ 騙し騙され、誰かを信じて賭けた先に待っているのはこの世の地獄か天国か・・・!? とある島(今回は船)をめぐる大冒険!という本当に「従来の子供向けワンピース映画」 の造りだったのですが・・・「金&ギャンブル」という普遍的なテーマが素晴らしかったと思います。脚本&キャラクター、そして美術&音楽&ファッション あらゆる面で迷いなく作りこまれ&盛り込まれていて・・・オープニングからアゲアゲのイケイケで楽しかった! 敵キャラでゴルゴルの実の能力者・テゾーロがまた魅力的だったと思います。エンターテイメントの強要&支配・・・という恐怖政治の描き方がなかなか他になくて・・・この恐さは大人の方が分かる部分だと思います。終盤の粘りも、華々しい散り方も素晴らしかったです!そして能力頼りで実は繊細な奴なんだろうな・・・と感じさせるあたり、ちょっと空島のエネルを思い出しましたw ゲストキャラの食えない女・カリーナやテゾーロの部下達もひねりがある面子で面白かったです♪ もう一回くらい観に行きたいなぁ・・・!それでは~♪by妹
2016.07.28
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レンタルしてきました。映画感想『劇場版名探偵コナン 業火の向日葵』(2015年・シリーズ19作目・静野孔文監督)ゴッホの描いたひまわりの中で、第二次世界大戦中、日本・芦屋の空襲で焼失したとされていた2作目のひまわりの、本人作とされる模写が、ニューヨークで開催されるオークションに出品された。絵画市場最高値・3億ドルで落札した鈴木財閥・鈴木次郎吉は、会見の場で、今回落札した2作目のひまわりを含む、全7枚のひまわりをすべて集めた、「日本に憧れたひまわり展」を日本にて開催することを発表した。しかし、その会見の最中、怪盗キッドが現れる。・・・面白かった。面白かったんですが・・・えっと・・・とにかく、それよりもとにかく・・・超疲れた。昨夜、11時過ぎから鑑賞を始めたのですが・・・終わった時には頭ガンガンして、寝るのもままならない状態に・・・。いえ、私は映画鑑賞をすると、たいてい1日がかりの、頭痛を伴うものになるんですけど;それにしても、疲れた。*以下、内容に関するネタバレあり感想です。お気を付けください!* ★今回の作品、よく考えると・・・作中の期間内で人は死にませんでした。ただ、殺人事件よりよっぽど悪質な大惨事OR大惨事未遂だらけでした。心臓に悪いシーンがとにかく多くて、すごい面白いんですけど・・・疲れた;不特定多数なパニック感と、あとはなんといっても・・・人命より「絵画」の方が大事な気がしてきちゃって。芸術に魅せられたって言い方が正しいのか分かりませんが、あまりにも向日葵の絵画の扱われ方が、当たり前のように「高価値」過ぎて;まぁ・・・モナリザと並んで?世界一有名な絵画・・・かもですからね;ただ、「常識」が狂ってるな、って感覚があらゆる人々の行動・言動に垣間見えて、その気持ち悪さがず~っと続いて・・・とにかく疲れた。★前作にもましてアクション・パニックシーンがド級でした・・・。なんかもう・・・私の知っているアニメエンタメではないものになってきてるな・・・コナン映画、って感じでした;★謎解きシーンの、犯人(たち?)の動機や経緯があまりにも浮いてて;はっっ??なにこれ???ってなっちゃってたんですが、どうも、脚本段階から1時間分くらい、削って映画本編作ってあるみたいですね。(Wiki情報)きちんとした形で鑑賞してみたかった気持ちもあるのですが、うーん・・・これ以上長くても頭痛くて大変そうだからな;この形にしてくれて・・・私は助かりました。★怪盗キッド、国際的に功労を表彰されるべきなほどの暗躍。もはや、怪盗キッドVSコナンの闘いというより、怪盗キッドVS犯人という闘いだった・・・。★蘭姉ちゃんは、(青子ちゃんと一緒に)黒羽怪人がまとめて幸せにすればいいんじゃないかな。もういいよ・・・青子ちゃんと蘭ちゃん同一人物だった、とかでも。蘭ちゃんがいい加減・・・可哀想ですよ・・・いつもいつも、本題についていけなくて。コナンくんは、小さいままで、哀ちゃんを幸せにすることに全力を注げばいいんじゃないかな。なんかもう、おっちゃんすっ飛ばして、国際的な警察との人脈築いてるし。小さくなっても、最近常に素で全開じゃねぇか。大丈夫だよ、このままでも。★それにしても、なんでもござれの鈴木財閥です。前作では、スカイツリーみたいなタワー建ててたし、今回は3億ドルもの大金を積んで、ゴッホの絵画を購入、さらに7枚のひまわりの展示の為だけに、鍾乳洞地下建ての美術館を建設するという・・・こいつら、世界一の金持ちなんじゃないか・・・と;ただまぁ・・・劇場版でやるすべての投資事業、必ずオープニングセレモニーの段階でいわくつきなものになっちゃいますけど。★チャーリー警部、一人だけキャラ立ち過ぎ。この先も出てこないかな。わくわく。業火の向日葵・・・要約。ゴッホの向日葵という、かなり異質なモチーフでここまでアクションエンタメやるのか・・・って作品でした。面白かった。すごく。そして、心臓に悪すぎて、疲れた。すごく。っていうか、次回作映画第20作目・・・20作目って何??20年???えっ・・・20年???化け物コンテンツ、名探偵コナン・・・完結の日は来るのか?あちこちのもだもだラブコメも、20年間で、明らかに進展しているのが佐藤・高木の警視庁カップルのみというこの現状も、誰かいい加減打破しようよ。特に大阪あたりとか希望。・・・予告の雰囲気見るだに、あまり大阪出てきそうな感じしませんでしたけど;;by姉
2015.10.25
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実はまだ見ていなかった・・・昨夜、鑑賞しました!超簡単に感想を。劇場版名探偵コナン 18作目『異次元の狙撃手(スナイパー)』(2014年・静野孔文監督)鈴木財閥の建てた東京を一望できるベルツリータワー。そのオープニングセレモニーの最中、突如起こった狙撃事件。すぐさま狙撃地点と思われるビルへ向かい、逃走する犯人を追いかけるコナンだが・・・。東京を舞台に起こる、日本では前例のない連続狙撃事件。異次元の腕前で敵を狙い撃つ犯人の凶行を阻止することができるのか。アクションが・・・アクションが・・・ひたすらアクションと、「狙撃」という緊張感MAXの極限シーンの連続に度肝を抜かれました。超面白かったです><!なんか、コナンって作品はもう漫画エンタメではありませんね。空間の立体感が、いつにもましてすごい。異次元です。実写作品よりもずっと、東京の町が立体的でした。その中で、アニメにしかできないアクロバティックアクションを思いっきり繰り広げてくれるんですから・・・面白い・・・面白いです。スケボー少年よ・・・一般車道の暴走はやめよう。まじで。ドライバーのトラウマになるぞ。凶悪犯人捕まえるためなら、何やっても許されると思うなよ・・・;各キャラクターそれぞれの演技筋・発言も臨場感をすごく感じるものばかりで、丁寧に詰められていたと思います。個人的には、今回たくさんナイスな働きをしてくれた少年探偵団面々の、クライマックスシーンでの勇敢な活躍がグッと来ました。『絶海~』は大人向けの描写の多い作品だったな、と思っていますが、こっちの作品の方が、子どもには分かりやすいんじゃないかな、と思いました。『極限の緊張感』はたぶん伝わります。コナンの映画は、8作目・『銀翼の奇術師』~14作目・『天空の難破船』を担当されていた山本泰一郎監督の作品が好きだったので、新しい監督さまになってからは・・・もうちょっと「エンタメ」して欲しいな・・・と感じていたのですが、空間の立体感・臨場感という、この監督様の武器だと感じる部分がものすごく立った、そんな映画だったな、と思います。今春公開の『業火の向日葵』もまだ観れていないのですが・・・脚本が、『絶海~』の方なのかな?レンタル開始がもうすぐみたいなので、こちらも是非、鑑賞したいです。楽しみ。by姉
2015.09.17
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おはようございます。週末・・・ずっと鑑賞してました。まだまだ途中ですが。97年大河ドラマ『毛利元就』大好きな96年の大河ドラマ・『秀吉』の次作で、なんとなく面白かったような・・・、タイトルバックも美しい、すごく印象のいい作品で、というか、ドラマ本体といより、原作の方を大昔に読んで、面白い!と思った覚えがあって。最近になって妹が突然、「おもしろい!」とか言い始めたので(↑なんとなく戦国気分が盛り上がって、見始めたらしい)つられて、だらだら~っと見始めたのですが、いや~・・・面白いです。昔よりの名門・大内氏と、一代の新興・尼子氏。その両氏に挟まれ、狙われる安芸の地の、小さな大名家のひとつ・毛利氏。両家からの圧力・徴兵命令や、周辺大名への対面。さまざまな場所と繋がった、毛利内部の家臣団の対立、権力争い、外交手段として他家より嫁いでくる嫁たち、その中での正室・側室の争い・・・兄弟間の確執・・・もう・・・もう・・・どいつもこいつも、好き勝手なことばっか言いやがって!このストレスだらけの状況下で、重圧を負った毛利家当主たちは、酒におぼれ、心を患い、次々と早逝していく。気楽な次男坊だった元就は、本城・郡山城を守護する支城・猿掛城主として一生を日陰で生きるはずだったが・・・。領地拡大する気満々な戦国武将とは一味違う、ひたすら胃が痛い・・・そんな快進撃物語です。役者さまが、とにかくそれぞれ上手い!別に超絶悪役がいるわけじゃないんです。人を苦しめたいと思っている人がいるわけじゃない。みんな、一生懸命なだけです。大内・尼子両氏も本当に魅力的です。公家感性の抜けなさがあり、そこに一族のプライドのある大内氏。天才のやり手が一人で牛耳る尼子家。どちらも強烈な魅力と、同時にもろさが垣間見えます。家臣一人一人も、とびぬけた優秀さと信念があり、偏りがあるからこその不完全さ・危うさがあって・・・とにかく、それぞれが主体的に動くんですよ。父・兄の鬱描写も説得力がありました。武将をこういう部分から捉えようとするのは、やっぱり女性ならではの観点だと思います。(原作者さまは女性)ただ・・・普通にあったと思いますよ。こんな話どこにでも。そして何より、女性たちの描写が魅力的すぎます。原作では主に、毛利家内部の女性たちを描くものだったはず。タイプの違う明るさを持ち、それぞれに元就を全肯定してくれる義母・杉の方と、正室・美伊の方が本当に素敵です。幼少のころより、人々思惑の中で生きてきた元就が、状況を冷静に判断し、人の心の裏読みを自然とできるのも・・・なんか説得力があるんですよね。たぶん・・・「人」というものにとにかく興味がある人だったんだろうな。勝手なことばっかり言う、そんな人たちのことが大嫌いで、それでいて、そんな思い通りにならない人たちのことが、誰よりも大好きな人だったんだと思います。たぶん。いや~・・・大河ドラマはやっぱり面白いです。面白くならないはずがないです。時代がしっかりあって、それに本気で向き合っている人間がいれば、気持ちいい筋道じゃなくたって、最後が史実上破滅的にしかならなくたって、絶対に軽くなんて観れないはずです。現代日本にはない物事が、本当に立体感を持って存在していて、それに対して、一人の役者さまが全力で一人の人間を押し通し、本気で悩んでいれば・・・そしてそこにきちんと焦点を当てて、一作品としてまとめてくだされば、それだけで新鮮だし、面白いんですよ。・・・とにかく、「本気」が重要ポイントです。最近、大河ドラマから離れがちでしたが、腰を据えて・・・じっくり鑑賞したくなりました。by姉
2015.09.09
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ヒックとドラゴン1 テスト飛行シーン↑いいから…見てください…ここだけでいいから見てください…グス…(;д;) ヒック。。 こんな大人も子供も魅了する大傑作をメジャーにできない日本に、エンタメ大国を名乗る資格はない! …とかなり本気で思っております。姉に続き、私妹も『ヒックとドラゴン2』 鑑賞致しました!(How to Train Your Dragon 2,アメリカ3Dアニメ映画,2014年,ドリームワークス) *以下一部本編ネタばれ含みます。ご注意ください。* 1回目鑑賞時、物語中盤のあまりにショッキングな展開に私の心が折れました…。主役のヒック君は父さんから受け継いだ長としての心得を胸に、果敢に立ち上がるのですが…ちょっ…ちょっと待ってヒック君!私まだ立ち直れてないの もうちょっと心の準備させてぇえ!!って感じのままエンディングを迎えてしまい、しばらくは放心状態。。2回目でようやくキャラクターの言動やエピソードの意義が心におちてきました。 本当に映像(アクション・美術)・音楽等々の作りこみが半端なく…素晴らしかったです!そして物語のテーマがまた…映画第一作とは異なり何かを守るために、どうしても割り切れない部分を譲っていかなくてはならなかったり…と、20歳になった主人公・ヒック君に課せられるべき課題が見事に描かれていたと思います。また第一作から描かれていたドラゴンの習性などの描写も深まり、ナイトフューリー(トゥース)という種が、本当にバイキングの中のヒック君と同じ存在というか…ドラゴン内でもかなり理性的な、異端な存在だということも納得できました。本当に面白い。 今作はただ時代に消費されるだけのエンターテイメント作品…ではないと思います。監督様はじめ、世界最高レベル3Dアニメーションスタッフ様たちが本気の本気で、全力で最良質なファンタジーを志し、造り上げられている映画…それがこの作品だと思います。 父から子へと受け継がれるべき魂・相容れぬ他種生物との共存への道…etc.異世界だろうが価値観の異なる人種だろうが、人としての普遍的な理想とロマンは確実に存在するんです!この作品の中に!! 映画は三部構成との事なので…3作目もハードなんだろうな…心して待機しております! あと、映画では描かれなかったバーク島の日常を描いたTVシリーズも見始めました。教育的で面白すぎ&クオリティ高すぎ!! で衝撃を受けております。どこまで作りこんであるんですが…本当に濃厚な作品です…!よし全話見るぞ! 待っててねトゥースちゃんv!!by妹
2015.08.13
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おはようございます。時間がないので、簡単に。アメリカでは、昨年の夏に公開されていましたが、日本国内正規版ブルーレイの発売まで、辛抱強く待ちました。ようやっと鑑賞することができました・・・!映画感想・『ヒックとドラゴン2』前作の戦いより、5年後。バーク島は、施設を整え、ドラゴンたちとの絆を深めていた。まさに、順風満帆。そんな中、20歳になったヒックに、バーク島族長である父・ストイックは、跡目相続の話を持ち出すが・・・。 ・・・うぅっ・・・!本当は、もちろん映画館で、できれば3Dで鑑賞したかった・・・!ですが、それが無理そうだと分かってからも、どうしても大事に鑑賞したいと思って、きちんとした形で手に入るまで待ってて本当によかった!*以下、ネタばれになっちゃってると思います。未鑑賞の方は、出来れば避けて、鑑賞してください・・・!* 1作の映画作品としては、前作・第一作目の方が断然面白いと思います。エピソード濃度とか、それ単体でのまとまりとか。ただ、今作は・・・とにかくもう、どこまでもヒックくんのための映画でした。本当の本当に、「ヒックくんの人生」を、責任もって描ききろうとしているんだな、という強い意志を感じました。前作を超えるような、すばらしいアクションシーン・飛行シーンの連続ももちろんですが、主役への想像以上の心の揺さぶりがあり、それらを、受け入れていくヒックくんの姿に、「ここまでやってくれるのか・・・!」と想像以上の感動を覚えました。バーク島に収まらないヒックくんの知的好奇心を、想像を超えるスケールの異世界が刺激し、それと同時に、向き合わなければならない「説得できない」人間の存在や、ドラゴンという異種族の、真の「怖さ」。痛みを超えた信頼関係・・・そして、「リーダー」という責任ある立場へ。もうね・・・映画の最後の最後の絵ヅラで・・・もうね・・・ぐわあぁあああ!って心に込み上げてくるものがありましてね・・・。ぐす・・・っ。分かっちゃいましたが、ヒックくんのイケメンっぷりがとんでもないことに・・・あ、いや。今のところ、3部作の映画になる予定?なんだそうですが、本当に、責任あるシリーズ大作になるんだな・・・!!><と感じました。 ・・・感動しました!!まだ1回鑑賞しただけですが、前作同様、とにかく細かい演技動作が、心に訴えてきます。何度も何度も鑑賞して、詰め込まれているいろんな感情・ニュアンス・情報を舐めるように拾っていきたいと思います。 あ、それと。音楽最高でした。前作を基調としながらも、「青年期」に合わせたオシャレな疾走感や、内容に合わせた、異国情緒が盛り込まれていました。早速、サントラCDをポチリました。聴いたら、また感想書きたいです。by姉
2015.07.13
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日曜日に、1日かけて全11話+スペシャルを完走しました。久々見直しましたが・・・いやぁ・・・面白い。やっぱり、死ぬほど面白い。一話から涙出て来ちゃってどうしよう・・・と思いながら、結局最後まで、泣き通しで観ました。2007年フジテレビドラマ『プロポーズ大作戦』大好きな幼なじみと他の男との結婚式当日。想い出のスライドショーを観ながら、過去をやり直したい!・・・そう願った男の前に式場の妖精が現れる。「じゃあ、やり直してくれば?」1話1話、高校三年生~社会人2年目(現在)までの、主役二人の岐路を絶妙なエピソード回しで描きながら、全てのシーンで、ラストの心情をじっくりゆっくり構成していくドラマです。脚本の妙、配役の妙。全部のシーン、全部の描写、大げさにセリフに出す部分、言葉にならずに、「悟る」しかその心情が読めない部分、そのニュアンスの違いまで、本気で練り込んで、ワンカットワンカット作られています。鑑賞側も、本気でガン観して、本気で心情を読み解きにいかないと、意味がない。常に、過去と現在、時には更にその過去と、いくつもの時間が交錯しています。数年前にタイムスリップした主役の、表情一つで、実際の「過去の出来事」を推しはかったり・・・。一話・・・どころか、小さな表情変化一つ見逃すのも許されません。鑑賞中、瞬き禁止!状態。特に主役の健くん。この子の主観で話が進む・・・ように見せかけて、実際のところは、全く置いていかれてます。コイツがもう・・・モノローグでミスリードを仕掛けまくるんですよ。自信がないから。全力で頑張ってきたことも、全部「出来なかった、上手くいかなかった、中途半端」としか表現しないんです。モノローグも、丁寧に解説してくれているように見せかけて、本当に大事な部分は、言語化できないし。この子の心情・行動をひたすら『おっかける』・・・という、ミステリー作品です。何度過去をやり直しも、礼ちゃんと多田さんが結婚するという今が変わらないのは、過去も全力だったし、そしてもう一つ。本当の本当には、変える気がないから、だと思います。この作品は・・・やっぱり、大学3・4年の就活~社会人1・2年目・・・くらいの、あの自信のない、一寸先も見えない、足元ぐらぐらな、情けな~い時期を体験してこそ・・・分かるんです。高校時代の野球部の描写に織り込まれている、健三くんと礼ちゃんの思い描く・・・本当にスタンダードな、夢心地なまでの「夫・奥さん」像。子どもから大人への過渡期において、夢を目指すにしてはスペックが低いという健くんの自意識や、夢過ぎる夢を健くんに押し付けきれない礼ちゃんの遠慮、真面目故の焦り・・・説明できる次元で、きちんとエピソードや見せ方に落とし込んであります。何回観ても、何回観ても、新しい感情の発見があり、感動があります。主役2人+親友3人の、それぞれの変化の過程と、行きつく場所の説得力がもう。素晴らしい・・・。 連ドラというものを、それほどの数は観て来ていませんので、あまり自信を持っては言えませんが・・・ただ、私の場合は、このドラマを観てから・・・他のドラマが観れなくなりました;ワンシーンの持つ意味が薄味っっ!と思ってしまって;少なくとも、少女漫画&ラブコメ脳で観てこんなに面白いドラマ作品は、他にありません。やっぱ・・・最初、ネットでちらっと観て・・・次の日にはDVD-BOXが家にありましたからね;主役二人の夢と努力・躊躇、そして現実で頭がぐるっぐるになります。全然違うや。 by姉
2015.05.20
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も~ちょっと、中古で安くならないかな~なんて淡い期待もあって、少し待ってましたが私が「これだけは欲しい!」と思っているものは、そりゃ皆「これだけは欲しい!」と思ってますよね;(↑最近悟った、エンタメの商品の真理。)全然安くなる気配がないので、「・・・もういいや。」・・・ッポチ。って。映画『たまこラブストーリー』ブルーレイ購入しました!劇場で妹と一度鑑賞していましたが、改めて見直しても・・・うん!やっぱりこの作品は、すごく面白い!幼なじみからの突然の告白に、頭のなかパニックになっちゃったたまこちゃんが、自身を取り巻く周囲の人々を改めて観察・認識しながら日常の生活サイクルを取り戻していく中で、変わって行く人との距離や関係を、しっくり心に落としていく・・・という、本当になんていうか・・・「ついていける」ラブストーリーです。 全体の流れ、全部がこの作品を作っていますがその中でも個人的に好きな描写は、こんなとこ↓でしょうか。★さりげない会話に、何度も心が折れかけながらも、 きちんと告白するもち蔵くん。★もち蔵くんに告白された後、 世界がぐわ~~っと抽象世界になっちゃうたまこちゃん。 アニメーションの表現万歳でした。★たまこちゃんが、「そういう」目で商店街を見まわしてみると、 意外とラブに溢れていることに気づいて、「おぉ!」ってなるシーン。★たまこちゃん家のお父さんともち蔵くんの関係。 おじいさんが年齢を重ねていく中で、 お父さんの負担っていうのも、これから大きくなっていくんだろうな、と。 そういう中での、もち蔵くんとの描写。面白かったです。★駅のプラットホームで、最初に出てくる言葉が 「なんで東京行っちゃうの?東京遠いよ!」ってところ。 うん・・・この感情だよな~~って思いました。 これはやっぱり、これから何度も鑑賞する作品になると思います。買ってよかった><!by姉
2015.03.08
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先日、姉が神妙な声で言いました。「ヒックとドラゴン2の外国版DVDに日本語吹き替えが普通に収録されてるんだけど...もう買おうか...何故だ...」ホント…なんでですか…。 (↑日本全国のヒクドラファン総意の声だと思います)。 『ヒックとドラゴン』(原題: How to Train Your Dragon)は、2010年のドリームワークス3Dアニメ映画です。 バイキング一族に生まれながらもひ弱な少年:ヒックと、天敵であるはずのドラゴン:トゥースの出会いと、心温まる交流が描かれています。やがてそれが、今までの常識を覆していくのですが…。 姉が評判を聞き付けて鑑賞・大騒ぎ→家族総出で大絶賛鑑賞会。の流れで私もハマりました。 冒頭から面白すぎる → いや面白すぎるんだけどナニコレ→ドラゴン可愛い!→トゥース可愛い!ヒック格好良い!トゥース!とぅーす!ヒックゥウウウウ!トゥースゥウウウゥ!!!…って感じでした。 面白すぎるので、観たことない方は是非。 3Dアニメとか全然詳しくないんですけど、「塔の上のラプンツェル」と「ヒックとドラゴン」は全てにおいて面白すぎると思います。 しかしこの「ヒックとドラゴン」…アメリカではすごく人気があるのに日本においては不遇すぎる名作でして。。 2014年夏公開の続編「ヒックトドラゴン2」が2015年明けても劇場公開されないんですが。 なんか大人の事情的なものがあるのは分かるんですけど… ずっと…「2は劇場行くんだ!3Dで観るんだ!」ってワクワクしてたんですけどフフフ…TvT。 by妹
2015.01.22
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先週末ですが、映画を観てきました。映画感想『超高速!参勤交代』(2014年・松竹・本木克英監督作品)8代将軍・徳川吉宗公の時代。1年間の参勤を終え、ようやく領土に戻ってきた東北の小藩・湯長谷藩の面々。安堵した直後、突然幕府より、「5日以内の参勤」を命じられる。時間がない!金がない!人も居ない!この状態で、無理難題を乗り切ることが出来るのか?*以下、公開中の映画のネタばれあり感想です。お気を付けください。* ポスターと告知チラシだけで釣られました;まぁ・・・映画館に観に行くほどじゃないかな?と思っていましたが、機会があったので。しかし、観に行けて良かったです!面白かった!もちろん心をえぐって来るような感動衝撃作!・・・ってわけではありませんが。パッケージとして、観たいものをしっかり宣伝して、来た人の観たいものをきっちりお届けする、脚本も、俳優さんも、きっちりキメて、スケールも映画1作として満足・満腹できる、そういう作品だったと思います。このパッケージに釣られるのなんて、私たちくらいかなぁ・・・なんて思っていたのですが、劇場・・・結構込んでいました。特に、年輩の方が多かった。若い人は少なかった(っていうかほとんど居なかった)んですが。先週末の映画興行ランキングで2位(アナ雪の次)になっていて、あれ?結構・・・こんな中身がふざけてそうなパッケージでも、時代劇好きの方たちも観に来るもんなんだ~・・・と驚きました。 全体的に、真摯な作り方のしてある映像作品で、よかったところがたくさんあるのですが、中でも取り立てて、★時代劇の絵ヅラ。「松竹映画」だなぁ~、って作りでした。1カット1カット、見ごたえがありました。どこで撮ったんだろう?どこをどうやって合成してるんだろう?と気になるシーンがたくさんありました。★アクションクライマックスに、しっかりしたアクションシーンがありました。特に、アクションシーンのある作品だと思っていなかったので、なんか・・・得した気分になりましたw。一緒に鑑賞した父は、「別にあんなにアクションシーンなくても良かったのに」って言ってましたが。その意見もしょうがないかな~・・・と思う作りではありましたが、エンタメ作品のサービス精神が感じられて、私は好印象でしたよ。★「岩手の土」脚本で、しっかり観客に落とし込もう、いいもの作ろう、という意識が感じられるまとめでした。この観点で立ちあがった大河ドラマとか、他にもたくさん作品があるかと思うのですが、そういう中でも、言いたいことがしっかり伝わって来る作品だったと思います。・・・この辺りが素晴らしかったと思います。 逆に、あんまりないのですが、ここはもうちょっと詰めて欲しかったなぁ・・・と思う点がいくつか。★日程「5日で参勤」という無理難題の為、通常の日程を大幅にカットしての道中・・・それは分かったのですが、こういう作品ですので、最初の打ち合わせで「何日に○○宿で何をする、何日に○○まで行く先回りした○○が、何をしておく」、ここをもっとしっかり、観客にも明示して欲しかったです。それに間に合わないと、どういうリスクがあるかそれが分かるからこそ、計画とのズレや、登場人物たちが焦るシーンが面白いわけなので。 ★女性の描写を、もうちょっと丁寧にこれは、妹からの苦情です;まぁ・・・私も「別にこれは要らなかったな」と若干思ったヒロイン設定でしたが;私は、映画1作としては、サービスとしてありかな~・・・殿さまの閉所恐怖症とその改善設定とか、ちゃんと言いわけもしてあったし、と飲み込めていたのですが、妹は、この要素は気に入らなかったみたいです。「女性の描写が軽い!」って。他はすごく気に入ったみたいなんですが。観客層やサービスで考えれば、妥当だと思うのですが、万人受け・・・特に、女性目線まで考慮するなら、もう少し丁寧に詰めた方がよかったのかな、とは思います。 マイナス点も書いてしまいましたが、全体的には、本当によくよく出来た作品で、すごく気に入りました!確実に満足できる・・・というか。やっぱり、映画は「満足感」が一番ですので。軽く、明るく楽しめる時代活劇映画です。「超高速!参勤交代」と聞いて、「あ、面白そう」と思う方なら満足できる作品だと思います。こういう作品、また作ってほしいな。by姉
2014.06.30
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日曜日に、ようやく観て来ました~!『アナと雪の女王』(2013年・ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ)プリンセスものとしては、ラプンツェルの次の作品、という位置づけでいいのでしょうか?とうとう日本での興行収入が200億に到達しそうだそうで・・・えっと・・・ですね。えっと・・・なんていうかな。面白かったですよ。とにかく、雪の女王・エルサ女王の美しさはいちいち息を飲みましたし、妹・アナ王女は、ザ・ディズニープリンセスという度胸のある愛されキャラで、最初聞いた時は、「どうなんだそれは」と思った「Wヒロイン」の面白さが凄く立っていたと思います。ミュージカルシーンは、「自信あるんだな~」っていう堂々としたものがありましたし、何より、松たか子さん・神田沙也加さんの、表情・情景ばっちりで高らかな唄声が気持ちよかった!たぶん、子どもはアナの声で歌い上げることに憧れて、大人は、エルサの♪Let It Goで、憂さを思いっきり吐き出すことに憧れるんだろうな~・・・。両方の視点を取り込める・・・「大ヒット」もうなずけます。 ・・・で、言いたいのはこれ。ラプンツェルって、作り込みが全然違うんだなぁ・・・。いや、若干ですよ。ホント。アナを観ていて、演技動作の一つ一つ、モノや舞台のデザインの一個一個、1カット1カットのインパクトに、「手抜いてんじゃねーよ」とか思ったりね・・・いや、ホント、あれだけの美しい映像に「手抜き」とか、どんな神経で観てんだ、って言われちゃうと思うんですが、だって!!ラプンツェルがおかしかったんだもん!!!分かってるんですよ・・・製作費自体が全然違います。Wikiによると・・・ラプンツェルが$260百万ドルアナ雪が$150百万ドル150百万ドルって、「ボルト」や「チキン・リトル」並なんですね。製作費を回収できなかった「トレジャー・プラネット」(140百万ドル)とそんなに大差ないのか・・・。いやもう、製作費だけ並べて観ても、ラプンツェルだけ余裕で抜けてますから。あれはオカシイ。あんな作り方してたら、5年・10年に1作しか映画出せません。それに、難しかった。細かい演技で、お話を回す核の心情を描いたり、1カット1カットが、「そこまでやる必要ないでしょ」ってレベルで「絵画」になっているという、作り手のエゴにまみれた、大人向けの作品でした。 アナ雪は、場面がコロコロ展開して、また、スノーマンが場を和ませてくれて最後はみんな、ハッピーエンド!小学校低学年の子・・・幼稚園児でも大丈夫かな?楽しめる作品だと思います。公開何週目?という日曜日に観に行っても、1日中、一番大きなスクリーンで上映している上に、ほとんど満席。子ども率の高さ、また、男の子・女の子が半々くらいで居るのにも驚きました。(やっぱり若干女の子が多かったかな?)本当に素晴らしいエンターテイメントだと思います。 ・・・私はラプンツェルが好きなんじゃぁぁああ!!人間が演じた方が・・・早くね?くらいリアルな「演技する絵画」が、既成概念を、作品内で描かれる人物の魅力だけでひっくり返す、そこまでやるか、ってくらいの挑戦が心地いいんじゃぁぁああ!!いや・・・日本での興行収入があまりにも違うから・・・もちろん、アナ雪の大ヒットは、ラプンツェルが本当に心に突き刺さって来る作品だったから・・・だと思うんです。今度新作が出てきたら、ちゃんと映画館で観ようと思うじゃないですか。分かってても、悔しくて・・・;;ラプンツェルだろ・・・絶対;;格が違うでしょう・・・。ううぅ~~・・・もやもや~~>< なんか変な感想になっちゃいましたが;;アナ雪の素晴らしさは、アナ雪単体の素晴らしさできちんと楽しめているんですよ!映画館で観て、絶対損のない映像・音楽です!個人的には、♪生まれてはじめてがお気に入り曲です。Wヒロインの面白さが凝縮された1曲でした。 もし、アナ雪だけ観てラプンツェルを観たことがない方・・・また、小学校低学年より下のお子様方・・・是非、ラプンツェルを鑑賞していただきたいです!アナ雪との作り方の違いが面白いですよ。by姉
2014.05.27
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今週末は、2日間東京で遊んできました。・・・というのも、本当は土曜・17日に、家族4人でポール・マッカートニーの再来日・国立ライヴ・・・鑑賞予定だったのです;;ホテルにチェックインして、荷物置いて、「さあて、行こう!」って時に・・・まさかの延期情報が・・・!!生まれて初めての生ポール・・・楽しみにしていたのですが・・・うぅ・・・これもイベントの内ですね;;しっかり休んで、しっかり体調を治してね、ポール!! ・・・というわけで、特に日曜日は憂さ晴らしのように、妹と遊びまくりました。徒然に感想を書いていきます。 映画感想『たまこラブストーリー』(京都アニメーション・山田尚子監督・2014年)生まれた時からずっと一緒に居た、同い年の幼なじみ、たまこともち蔵。高校3年生の春、二人の距離が動き出す・・・。 TVシリーズ『たまこまーけっと』を1話だけちらっと観て、「うわぁ・・・絶対売れないなコレ;;」・・・と思って、そっから内容を全く知らなかった私が、「たまこ?何ソレ?京アニ?そんなのあったの?」という次元の妹を連れて、劇場で鑑賞してきました。えぇ・・・どうしてもこれが観たくて、アナ雪とコナンを蹴りましたとも; え・・・?あの作品映画になるの?大丈夫なの?ってところから、公式サイトをチラ観して・・・完全に釣られました。だって!!京都アニメーションが送り出す、スーパー美麗映像で盛りまくった「ド・少女漫画」でしょ?とぎまぎ幼なじみ~・・・って!!コレ!!「パッケージ力」というかなんというか;;先に言っておきますと、この作品に「ネタばれ」はありません。予告の内容、そのままが本編です。 以下、妹の感想も含めて、メモ程度ですが。なんていうか・・・めっちゃ面白かったです。「面白かった」のがなんなのか、私では上手く説明できないので妹に説明してもらいますね。 昨夜の妹の感想↓「分かるか?コレだよ。『絵で魅せる』ってやつだよ。何のにひねりもないよ。『この二人』が幼なじみで、周囲・親公認状態で何の障害もなくて男の子が告白して、女の子が戸惑うけど、それに返事するっていう、それだけの話だよ。面白さなんて話筋にはなんにもないよ?だけど面白いでしょう。『絵』で、「素敵でしょ~~~!!」って描いてあるからだよ。」「全編通して、ひとつも『普通の』絵・シーンがなかった。ここまで作り手側のエゴで形作ったアーティスティックな作品だとは思わなかった。」「(京都アニメーションの作品を観て、いつも思うんだけど)何が凄いかって、多分・・・この作品製作には、宮崎監督のような『ずば抜けた天才』が居ないこと。ものすごく勉強した人たちが、確固たる意志で技術を盛り込んでる・・・そういう印象がすごくある。」「盛り方は、『風立ちぬ』と同じ。絵の方向性・素敵さだけで、押し切りたいという、「絵好き・絵描き」のエゴが行きつくところにある作品。ただ、間違いなく皆が好きな「幼なじみの恋」っていう王道が題材だから、当然『風立ちぬ』より、汎用性が高くて、大勢の人が入って行き易いはず。」「絵好き・絵描きの意見・・・かどうかは分からないけど、私の場合は、絵を描く時、「これ(今描いているもの)」をひっくり返されるなんてことは考えたくない。今描いているものが、「最高に素敵」であって欲しい。だから、別に映画とかもそこまでお話でひっくり返したりとか求めてない。『男の子と、女の子が並んでる』これだけで、『観たいもの』のはず。それを、どれだけ絵で盛って盛って、最高に素敵に出来るか。そういう作品。」「初見の人にもすごく優しい作りになっているところに、作品の意識の高さを感じた。(鳥だけはよく分からなかったけど、「これは別にそんなに気にしなくていいよ」って出し方をちゃんとしてくれてたし)」「ちっ・・・いいよな。こんなのに勝てるわけないよな。ちっ・・・私も、これだけ絵が上手ければな・・・。」・・・って、ことらしいです。私も、「うんうん、そうだな~」と思います。 あとは、そうだな・・・私個人の感想ですが、(絵の感性に乏しい)私でも、これだけ「絵の表現」に注目出来たのは、本当に、「表現を観て!!!」っていう出だしだったから。作品の楽しみ方が、出だしのシーンで見事に定義されていたのだと思います。なるほど、「ここ:絵の表現」と、それを用いて描かれる「二人の距離」を楽しめばいいのね!!って、すっと入って来ました。 もうひとつは、脚本?について・・・です。先の妹の話にもありましたが、本当に「絵」が先行の作品です。お話に面白味はない。・・・のですが、一つ一つの小道具やセリフで、そこまでやるか!!ってくらい、概念の色づけがしてありました。概念自体は難しくも、それだけでうならせるような作りではないですよ。ひっかかるセリフは、「期待してね」の記号のような分かりやすさです。これが本当に、基本は「絵を立てる」ことに注視しながら、そのくくりの中で、筋に出来る限りの色づけをしていて、「お話好き」の中枢を出来る限り満たそうとしてくれていました。私自身、どちらかというとお話に寄った鑑賞をしてしまう人間なので、これがすごく嬉しかったです。この作品を素直に観ることができて、すごく満足しました。 あとは・・・妹との会話で出て来たのが、「漫画媒体との違い」という話。お向かいの部屋の距離感や、糸電話の表現・・・という、ハイクオリティアニメ-ションでしか出来ないものがある一方で、「漫画媒体の方が、もっと鮮明に焼きつけられる」はず、というシーンもあったなぁ・・・という話になりました。確かに、この映画作品・・・31Pの読み切り少女漫画だと考えると、頭に収まり方が悪いというか、・・・作品としてバランスが悪いと思うんです。要所要所で、インパクトのある大ゴマ止め絵で焼き付けてくれた方が、スッと頭に入ったかもしれないな・・・とは、確かに思いました。ただもうこの点に関しては、「馬鹿野郎!その焼きつかなさが、この、『満足♪』では終われない『後引き感』を生んでるんだろうが!」とか、思ったりもしちゃったり; とにかくまぁ・・・なんていうか、こんな高次元な、「とぎまぎ幼なじみラブ♪」・・・しかも映画一作品まるまるガッツリ、なんて後にも先にも、そうそう拝めるものじゃないでしょう・・・それが・・・「価値」だよ!!!そういう作品かなぁ・・・と思います。 さてと・・・ブルーレイ発売はいつかな?・・・おや、その前に、近場の映画館で6月に公開するみたいだぞ?もう一回行くかな。・・・・超気に入ってます!!予告を観て、若干でも釣られそうだと感じる方は、観に行って絶対損はありませんよ~♪♪by姉
2014.05.19
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ある日、ふと思いました。あれ?ドラビアンナイトってどういう話だっけ?いや・・・ドラえもんの映画・・・特に藤子先生脚本の作品には、完璧に精通していると思いこんでいましたが、そういえば、この話の展開筋が思いだせないぞ、と。レンタル屋に行ったのですが、2連続で空ぶった(借りられてた)為、しょうがなく・・・DVDを購入です。『映画ドラえもん のび太のドラビアンナイト』(1991年公開・脚本:藤子・F・不二雄先生)宝石の輝く谷底で、打ちひしがれるシンドバット。それを陰から見守り、応援するのび太。ドラえもんの道具・「絵本入り込み靴」で、絵本の世界をリアルに楽しんでいたのだ。勝手についてきたジャイアン&スネ夫、そして誘ったしずかちゃんも絵本の中に入るが、そこで、しずかちゃんが絵本の世界に取り残されてしまう。事態に気付き、慌てて救出に向かおうとしたドラえもんとのび太だが、その矢先、なんとママが、肝心の絵本を燃やしてしまっていた! 観終わって思ったこと。・・・なんで展開筋を忘れてたのか、よく分かった。この話、難しい!!!最初の辺りの、絵本の中に入ってリアル体験~♪の辺り、そして迷子になってしまったしずかちゃんを助けなきゃ!な辺りは、すごく印象深く残っていたのですが、そこからの展開が全く頭に残っていなくて。まさかあそこで・・・「アラビアンナイトには、実在した人物が2人存在する!タイムマシンでその時代に飛び、接触を図れば何かしらの解決策がみつかるかもしれない!」って回り方をするとは思いませんでした。何それ!!難しい!!!本当に、「やろうとしていることがある」のは分かるのですが、難しすぎて・・・エンディングを迎えるまで、いったいどうしたらこういう話になったのか、すっきり頭に入ってこなかったんですよ。シンドバッド王が出て来てからも・・・なんかしっくり来ないし。どうしよう・・・と思っていたんですが、最後に、「現実に居た」英雄に、「頑張ってください!」と声をかけるのび太くんというシーンで、一気に概念が顕在化しました。・・・やられた!!これかぁ!!これがやりたかったのか!!難しいわ!!やっぱり、「おとぎ話が、本当にあったことだったとしたら」。これは、万国共通、どんな人にとっても浪漫だと思います。こう考えると、中盤・・・割と苦しさがリアルに描写された砂漠のシーンとかも、説得力があります。不思議なことが起こり始めて、「アラビアンナイトの世界に近づいてきた」というドラえもんのセリフがありましたが、後の展開で、地続きのリアル世界であることが分かります。絵本から入ったしずかちゃんに、現実の過去から助けに行ってたどり着けたのは・・・そういうことでしょう。アラビアンナイトに登場する不思議なアイテムを、未来の秘密道具に繋げるのもなんとも妥当ですし、更にそこから・・・まさか現代人の少年から、英雄へのフィードバックの締めにまでもっていくとは・・・;今になって思うことですが、本当にドラえもんの脚本(特に映画)というのは、中身もいつも「わくわく大冒険」ですが、それ以上に作り手的な「ハラハラ大冒険」が凄いな、と。だって・・・繰り返しになりますけど、難しいですよ。コレ。ドラえもん自体が作り話ですから。その事を意識されては、「おとぎ話が、本当にあった」感動なんてありえませんし。更に言うと、やっぱりドラえもん自体が、小学生以上・・・小学生中学年くらい以上かな?が対象の作品だな~と感じます。おとぎ話が、実際にあったことか、作り話か、そこを気にすること自体、ある程度大きくなった子向けですね。っていうか、こんな概念ガッチガチの勝負作を、「大衆・ファミリー向け」で堂々と出すとか;すごい冒険ですよね;ドラえもんって・・・こんな作品なのか。なんかホント、今さらドラえもんショックです。私なんかの世代にとっては、「安定・安心・そして間違いなくわくわくハラハラ」これを確実に求められる作品という認識でした。ここまで危ない橋に突っ込んで行く作品だったとは;・・・おもしろい!!今だからこそ、入って来るものが凄くある!!藤子・F・不二雄先生、天才!!!ふう・・・やっぱり映画ドラえもんのDVD、全部集めなきゃダメだな、これは;;っていうか、藤子先生脚本のものは・・・ホント。至宝ですよ。by姉
2014.04.01
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ああ・・・やっぱり、ドラゴンボールはいいなぁ><!!!『ドラゴンボールZ 神と神』(2013年・鳥山明先生ストーリー・キャラクターデザイン)魔人ブウとの闘いから・・・数年?破壊の神・ビルスは39年ぶりに目覚めた。付き人のウィスから、フリーザをサイヤ人が倒した話を聞き、興味を持つ。*以下、ネタばれアリの感想です。* 本来なら、映画館で鑑賞しなければならない映画だったな~><と悔やまれます。ただ・・・3月30日公開か・・・。道理で記憶がないはずだ;仕事が一番忙しい時期です・・・;;まず、最初の印象ですが・・・そうそう!TVアニメの劇場版って、こうだったこうだった!!です。最近の・・・特にジャンプの作家担ぎ出し映画がオカシイんです。・・・これもそうですが、ですが、こちらは本編が85分ということで、ボリューム感は、2時間近くあるワンピSWとか、銀魂完結篇とか、そこまではありません。あの2作はやっぱり抜けてる・・・というか、長期連載作の「最高」を2時間以内にぶち込んでやる!!今まで積み重ねて来た作品の「最高」を、今までに観たことがない盛り上げ方で出してやる!!というスーパー意欲作なので;;何度観ても、何度観ても、何度観ても、「最高・・・///」という言葉しか出て来ません。この映画は、そこまで・・・は、感じない。この中に、「ドラゴンボールの最高」が凝縮されている!!・・・という作りではないな、と思います。特に前半は、すごくまったりしている印象。ただ・・・それがすごくしっくり来るんです。それでいい・・・いや、そこがいいんです!破壊神が、きまぐれ興味本位で地球に来て、(プリンで腹を立てて)気まぐれで地球を壊すかもしれない・・・でも、恐怖描写が激しいわけじゃない。ひたすら印象に残るのが、ブルマさんのバースデイパーティの、わいわいがやがや楽しい仲間たちだったり、ピラフ一味ィイイイイ!!まさかの!!!だったり、ピラフ一味のマイさん、41歳ィィイイ!!ブルマさん38歳ィィイイ!!作者出演者のみならず、キャラクターの高齢化が深刻!!だったり;;なんか・・・全編軽くて、楽しいんですよ。っていうか、気まぐれな破壊神が怖くないんです。うーん・・・なんか分かりませんが、すごくいいと思いました。今回の映画の、この・・・ノリ?というか。スタンス・・・というか。なんか、その辺が。後半の「流石、最強!!」と言いたくなるダイナミックアクションも、絶望的な描写が一つもなくて。「神」の圧倒的な力を感じさせる宇宙のシーンも、絶望じゃない、むしろ希望でいっぱいに見えて。面白かったです><!!!!以下、印象に残ったことの列記!!↓●界王様は、相変わらず悟空さに甘いなぁ;怒ってもいいよ、これは。●ビンゴ大会の景品に、ドラゴンボール(収集済み)って・・・;;●っていうか、少なくとも映画前半の主役は、ベジータさんということでよろしいでしょうか?●映画の途中で、これはベジータさんをいじりたいだけの作品なんじゃないかと不安になりました。●ブルマさん・・・素敵です!!やっぱり無敵。やっぱり、ドラゴンボールという作品の根源にはあなたが居ます!!●う~ん・・・もう少し、息子たちに活躍して欲しかった気持ちもあります。まぁ・・・お父さんたち絶好調だったからなぁ;●神龍の、人をせかすような話し方が好きです。●「正しい心を持っているサイヤ人・・・そんなのは、悟飯と悟天だけだ」というピッコロさんの親バカ発言が、なんか素敵でした。(悟空さよりも、孫兄弟にとっては育ての親みたいなものかも・・・;)●ピッコロさんは、戦闘要員としてはあまり表立たなくなりましたが、悟空さの行動のイイ釘さし役ですね。●ビーデルさんは、相変わらず可愛いです。●まさかパンちゃんが、こんなところで活躍していたとは・・・。●そういえば、ヤムチャさん・・・しゃべったっけ?●わー天心飯さんだー!久しぶりーー!!●とりあえず、悟空さの中で、奥さんが少なからず一番大きな存在・・・なのかな?って描写があって・・・ほっとしました。いや・・・ベジータさんにあそこまで大立ち回りをされては、悟空さの方も気になっちゃっても仕方がないというか;;●ベジータさんの頑張りを、悟空さが褒めた!なんか・・・嬉しい!●っていうか、観てたのか悟空さ;・・・絶対、腹抱えて笑ってたでしょ;●アクション超カッコいい!!やっぱりドラゴンボールだぁ!!映画館で観るべきだったなぁ・・・。大画面・大音響で観たかった・・・。自室の19型テレビじゃもったいないなぁ;;●ラストシーン、悟空さ&ベジータさん&ピッコロさん+ブルマさんの会話で締めてくれたのが・・・っていうか、最後までベジータさんをいじり倒すのが・・・なんか凄くうれしかったです!う~ん・・・やっぱり、この4人だよなぁ><というわけで、総合的には、ベジータさん・・・最高!!!と。何故かここに来て、ベジータ&ブルマ夫妻が無敵に見えてくる・・・と、そういう映画でした。 ドラゴンボールは、私にとっては、一番最初に触れた少年漫画&アニメだったと思います。漫画は全巻持っていますが、アニメに関しては、ほとんど映画作品しか知識にない・・・かな。ドラゴンボールのアニメ、と言ったら、私たちにとっては劇場版のことです。ドラゴンボールの映画というと、何度も何度も繰り返し観たとか、親に頼んで映画館に連れて行ってもらった、とか、特別な思い入れがあります。今回の作品の興行収入も、30億超えとかで、すごくよかったみたいなので、是非是非、また映画を作って欲しいです・・・><!感想を本当の本当に一言に凝縮するなら、これが一番適切でしょうか。元気が出ました!!!by姉
2013.10.20
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映画感想春公開のアニメ映画で、観にいけていなかった作品が続々レンタル開始!今週末でまとめて鑑賞しています。ちょっとずつ感想です。『名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)』(2013年・静野孔文監督・17作目)海上自衛隊のイージス艦に、体験乗船した毛利探偵事務所と少年探偵団の面々。航海は順調に思われたが、徐叙に不可思議な事態が起こり始める。不審船の接近、奇妙な乗員、そして遺体の一部が発見される・・・。*以下、ネタばれアリ感想です。* なんか・・・すごく面白かったです!防衛省・海上自衛隊全面協力ということで、実際のイージス艦?や場所を取材しまくったんだろうなぁ・・・という、すごい重厚感でした。アニメ映画だから、軽いところ軽くて観やすいのに、実際にイージス艦に体験乗船したような世界が広がったような満足感のある映画だったと思います。殺人事件というより、国家規模のスパイゲームが、イージス艦内と陸との2カ所で繰り広げられて、わくわくしました。防衛省と警察機関とが、面子の為に喧嘩?したりとか、内容的には・・・「おい・・・ファミリー向け;;」と思う描写も多々ありましたが;警察は警察で、海上自衛隊は海上自衛隊で、それぞれ上層部から下位の方まで、本当にカッコよく描かれていまして、その緩衝剤として、毛利探偵やコナン君の暗躍も生きていて、・・・はい。おもしろかった!!後半は、「あの国」のスパイに対し、大人たち全員が一丸となって立ち向かっていき、・・・「あの国」ってどの国?いや、そこは触れない。クライマックスのクライマックスでは、「海上自衛隊カッコいい~~!」という救出劇で・・・いやいや、大満足の1作でした><・・・ところで、私の大好きな、大阪のお二人はなんであんなにラブラブだったんでしょうか。いや、ポスターにも居たし、出てくるのは分かってたんですけど。(難破船の時のようなびっくりさはなかった;)それにしても、この二人に関しては、描写の一つ一つにスタッフ様の作為(「萌えろォォオオ!!」みたいな)を感じました;コナンくんと蘭ちゃんより・・・いや・・・いやいや。これは言っちゃいけない;;だって、展開的に「タケカワ」要らないですもん。あんなん、大阪出したいだけの要素ですもん。どっちかっていうと、居ない方がすっきり観れました。スパイが3人も出て来て、名前が混乱しました。そこまでしてこの二人を出したいのか・・・・・・いや、観たいけども!!!ありがとうございました。ひたすら・・・平次くんがカッコよかった。和葉ちゃんの平次くん命っぷりが凄まじかった。コナン映画をコナン映画の満足感まで押し上げたのは、アクション、事件がガッツリあって、それを間違いなくラブラブコメコメデコレーションしてくれるからです。ラブコメ要素の地位が異常な高さだからです。コナン映画・・・来年の春で18作目か;;凄いなぁ;全世界観渡しても、18作も作ってもらえるシリーズってそんなに多くないと思います。そりゃ、私も年をとるよなぁ;;2作目を映画館で観たときは、小学生だったのに;;次は何のモチーフが来るのか・・・今の監督さまは、アニメエンタメ!というより、リアル・重厚感を立たせてくださる方だと思うので、普段なかなか入れないような場所や業界をピックアップしていただけると・・・嬉しいな。by姉
2013.10.20
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ドラゴンボールの映画を狙ってレンタル屋に行きましたが、当然・・・1枚もなく・・・;衝動的に、こちらを借りてきました。『メリダとおそろしの森』(2012年・ピクサー)スコットランド・ダンブロッホ王国の王女・メリダ。弓が得意で活発な彼女は、母・エリノアの厳しい王妃教育に不満を抱いていた。結婚話が浮上した際、メリダは母親に激しく反発し、深い森の中へ逃げ込む。そこで現れた鬼火に導かれ、招かれた「魔女の家」で、彼女は「母を変える魔法」を手に入れる。ケーキ型をしたその魔法を食べさせた途端、母はクマの姿になってしまった・・・。 ピクサー作品のわりに、日本での興行収入がめっぽう悪かった作品・・・という印象しかなかったのですが、調べてみると、世界規模ではきちんと稼いでいるようです。ただ・・・どう観ても、日本人受けはしない作品だと思います。日本人から観ると、「なんで・・・作ろうとしたかな?」くらい謎な作品。何を期待して、観にいけばいいの・・・?って。私も、TVの予告なんかをちら観して・・・「うわぁ・・・これは受けないだろう;」と思っていました;ただ、なんか今回、そこで抱いた印象が、私をこのDVDに手をつけるきっかけになった気がします。・・・あんまりにも「面白そう」すぎる作品より、なんか・・・裏切ってくれそうじゃないですか。今までも、映画って・・・「こういう盛り上がりが観たい!」ってとこまで期待して観た作品より、「何が出てくるのかな・・・これ」くらいな気持ちで鑑賞した作品の方が、観て良かった~~!と思うことが多い気がして。さてさて。本編です。・・・なんでこれ、企画が通ったんだろう?この話・・・誰が喜ぶんだろう??母親が自分のせいでクマ化・・・父がクマ狩りの王だから、殺されちゃう!逃げなきゃ!・・・とか、怖いじゃないですか!!・・・と、思いながら、観ました。が、・・・なんかおもしろかった!!うん・・・ダークっちゃダークなんですが、あらすじだけ聞くと、憎しみで破綻してそうですが、実際は全然そんなことない、愛のある母娘関係、家族関係が安心感を産んでいました。クマになっても、王妃の品格を漂わせる母上は、展開的に可哀想でしたが・・・こんなことしでかした娘を、ひたすら庇う姿が印象的で。人間にもどったとき、その輝きがすごく増して観えました。っていうか、お母様が主役なんじゃ・・・くらいな勢いで魅力的でした。自分勝手な娘も、「オイ・・・お前;もっと反省しろよ;;」とは思いましたが、今回のエピソードを通じて、その破天荒な良さがすごく立っていまして。この娘をめぐって、これから各領主のバカ息子たちが争うのかな~・・・それはそれで嫌なラブウォーズが展開されそうで・・・なんかイイナ。って感じでした。あとはなんといっても、日本語版は、大島優子さんのキャラクターがハマっていました。あとは・・・お話の中で、下地として出て来る、「失われた王国」の伝説が、イイ具合に、現在の王国の状況と被っていて。う~ん・・・そんなにめちゃくちゃ上手な被り方だとも思いませんでしたが;ただ、失われた王国の、3人の弟たちの子孫が、それぞれ今の3領主の祖なんだろうな~・・・とか、メリダちゃんの歳の離れた三つ子の弟たち・・・とか、全部の要素が、なにかと王女・メリダちゃんにふかかってて面白かったです。母娘の愛を立たせるという観点からいくと、謎な伝承設定でしたけど;というわけで、そんな・・・手放しで「超名作!!」とかいうつもりはありませんが、面白かったです!なんか、グっと来ました!私は好きです、この映画!! ピクサーは、他の映画も観なきゃな~・・・と思いつつ、なかなか疲れそうで、観れていません;モンスターズ・インク・・・すごい人気でしたし、面白いんだろうな・・・。1も観てないんですが・・・観てみたいなぁ・・・。by姉
2013.09.23
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ようやく・・・父・母・妹と、家族で鑑賞できました。いやぁ・・・なんかもう、本当に面白かった。『風立ちぬ』(宮崎駿監督作品・2013年)*以下、ラストシーンまでのネタばれありです。お気を付けください。*堀越二郎さんも、掘辰雄さんも、事前知識のない状態で鑑賞しました。出てくる要素要素が、どちらの方のものなのか全部は判別することができませんでしたが、飛行機・仕事系→堀越二郎さん恋愛系→掘辰雄さんというくくりなのかな?大まかには。正直、私は・・・堀越二郎さんの方面・飛行機系はものすごく入ってきたんですよ。尊敬するイタリアの設計師さん?のカプローニさんが、夢の中で、そして現実でへこみそうになったときに、「風は吹いているかね?」って問いを吹っ掛けてくる描写がとにかく大好きで。視覚的に、風が吹いているのももちろんですが、実際には・・・時代の変遷や、需要というか、それらのことを意味している言葉だと思うのですが。西洋と日本の技術の差を一番知っていて、勝ち目のない戦争の為の飛行機に、がむしゃらに向かう・・・そこの迷いもありながら、でも・・・カプローニ・・・憧れが問いかける度に、反射的に「はい!吹いてます!!」って答えちゃう。そこの・・・大好きで大好きでやりたいことが時代に求められた人の幸せと迷いが・・・なんとも絶妙なテンションで。飛行機の設計という、実際には机にかじりついている行動を、脳内視覚化で、これだけ幻想的で美しいモノにするのか・・・宮崎駿監督、天才;;堀越二郎さんの描写が、とにかく監督の創作者としての理想像なんだろうな、と。不言実行。周囲に何を言われても心を乱さず、周囲に八つ当たりをするなど、もってのほか。技術の独占に疎く、上の信頼も、下の信頼も、同期の信頼も、全部やることと仕事内容で掴んで行く・・・。↑監督が出来ないから、憧れている姿なんだろうな、と一気に入って来ました。で、こっちは本当に入ってきたんですよ。私にとって問題は、菜穂子さん・・・恋愛面です。・・・ぜんっぜん分からない;;;本当に、恋愛シーンは萌えシチュの宝庫で、ジブリヒロインの中でも、これほどまでに美しい子が今まで居たか?くらい可愛くって、とはもちろん思ったんですよ。ただもう、飛行機を作りたいばっかりの気持ちで観てましたから、正直・・・菜穂子さん・・・鬱陶しいな、と;;いや、ラストシーンで、菜穂子さんがああ言ってくれたから、「生きねば」っていうのは、納得できたんです。そのための、薄倖の女性だったのか・・・と。けど・・・それは結果だけ観れば、の話で、あの立場で、あれだけの仕事を抱えていた堀越二郎が、あそこまで頑張って大恋愛する・・・そこの過程についていけなくって;;私自身が、一度にいくつものことを頑張れないので、「これは踏ん張りどきだな」という時には、他のことを、意識的に全部放り投げちゃうんですよ。だから・・・菜穂子さんの存在を、飛行機へのモチベーションに繋げる・・・そこの要素をもっと出してほしかったんですね。出だしで、優しい母親の描写をもっと印象的に描いて、堀越さんの飛行機や仕事へのやる気の源泉につなげたり・・・とか・・・そうやってくれれば、もっと気持ちよく観れたかな、って。っていうか、上司の黒川さん・・・最高じゃね??カプローニ最高じゃね?? ここまでが、私個人内での感想です。絵が嫌いじゃないですが、特に絵がみたいから作品を鑑賞するわけではなく、概念大好き、仕事方面の描写大好き、家族は大好きだが、ラブロマンスへの憧れは皆無・・・むしろマイナスというバランスの人間が鑑賞した時の感想。 ここからは、この感想を聞いた妹の言葉。「お前に、ラブのロマンが皆無なのはよく分かった。だから、飛行機の描写と同じだって。あれは理想の恋愛像なの。彼女の病気があって、仕事にも害が及んでて、それでもなお、っていう・・・監督が自分では出来ない理想の大恋愛なの!菜穂子さんとのシーンなんて、萌えシチュからしか作ってなかったでしょうが!!」・・・・そうだったのか!!!いや、そうだよなぁ・・・うん。仕事の邪魔になるような描写だったため、どんなに素敵な絵ヅラのシーンも、まったく羨ましくなかった;;・・・気づかなかった;;なるほど・・・そういう映画なのか。 今回の映画、そもそも概念とか要素とか、言葉で理解しようと思うこと自体、馬鹿を見る・・・というか;監督の個人的な理想像が、「理想だぞ」っていう力をもって、絵で描いてある・・・それを、絵の持つ力のまま受けとればいいんだよ・・・と。妹曰く。監督の主観・・・監督の眼で捉えた「理想の創作者」「理想の恋愛」が、その主人公の主観に入って行った次元で映像になってる・・・全部、絵で描いてあったじゃん。こんな凄いもの、初めて観た。言われれば・・・納得です。ただ、私は・・・ここまで「絵」から全てを捉える感覚がないので、自分のついていける感覚の方は分かりましたが、ついていけない感覚の方は、分かりませんでした。この辺のやりとりで、昨日妹と喧嘩したんですが;えっと・・・うん・・・本当に、面白かったです。概念で考えれば、決しておもしろくないようなシーンが、一つ一つ・・・面白かった。凄かったです。監督の夢・・・「一生懸命生きる」って、こうだ!というのも、ラストシーンでガっと入って来ました。 ただやっぱり・・・この映画、100%、手放しで大喜び出来るのは、「監督の満足」を捉えられる・・・製作者の気持ちで作品を鑑賞する方、絵の鑑賞眼に優れた人、絵がとにかく好きな人、エゴが作品の体を成す・・・それ自体が好きなアート好きの方、あとは・・・監督の理想像が、自分の理想像と見事に重なる方、・・・とかかな?この辺りだけだと思います。鑑賞者全体で言うと・・・1割~2割居るかどうか・・・だと思います。本当に。5割くらいは、私のような・・・中途半端な理解組でしょうか。エンタメが好きで、鑑賞が好きで、「凄い」のは分かるんです。シーンシーン、グッと来るものがある。感動がある。おもしろいんです。・・・でも、どっかしらひっかかるところがある;そして、3~4割の方は、「????」ってなっちゃうだろうな、と。特に・・・年齢が低くなればなるほど。 おもしろかった!これは間違いないのですが、私自身、「映画」という媒体として・・・この作品が好きか?というと、うーん・・・はっきり言って、好きじゃありません。私は・・・特に夏の映画というのは、ちょっと遠出して、家族が出かける・・・その1日の楽しみがかかっていると思っています。特に、お盆期なんかは・・・普段は忙しいお父さんも一緒に!・・・とか、帰省して、友達や家族と一緒に・・・とか、すごく貴重で、皆が大切にしたい時間だろうな、と思っていますから。「4割の方が分からないだろうな」っていうのが分かってて、家族連れがたくさん来る・・・それが分かってて、出す・・・というのが、どうしても・・・。 ただ。宮崎駿監督作品は、ちょっともう・・・他の映画作品と、規模も意義も違いすぎますから。まだ時期が来ていないので、なかなかそういう風に考えられませんが、劇場鑑賞だけが目的じゃない映画・・・としてなら、むしろ大好き・・・です。劇場公開が終了すれば、レンタル屋にはほぼ永久的にDVDが並ぶ作品です。金曜ロードショーで、何度も何度も放映されることが目に見えている作品です。こんなにエゴイスティックな、力作絵画、他にありませんもん。劇場で観た時は分からなくても、何度も見れば・・・落ちてくる時が来る。時代、理想、恋、仕事、戦争・・・そこを、これ以上出来ないくらい一生懸命生きる・・・絵画。「その日1日の満足」という瞬間的なものだけではない、鑑賞者の年齢や経験によって、その色が変わる・・・人生に寄り添うような映画作品・・・なのかもなぁ・・・と思いました。凄い作品ですよ・・・。私も、次鑑賞する時には、また違う部分が捉えられるようになってるかな・・・なってるといいな・・・。 ところで、なんか高畑監督作品『かぐや姫』が・・・コワ面白そうなんですけど;予告が流れました。 なんであの女の子、あんなに狂気じみてるの??観・・・観に行っちゃおうかな・・・いやでも一人じゃ怖いな・・・アレ・・・。by姉
2013.09.07
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会社の方にDVDを借りて鑑賞しました!映画『バーレスク』(2010年、スティーブン・アンティン監督作品)片田舎からロサンゼルスへ出て来たアリは、テスの経営するショークラブのステージに心打たれる。セクシーできらびやかな成り上がりストーリー。当然、一番の見どころは「ショー」という映画です。いちいち、本当にすごかった!ストリップではない・・・んですが、露出の多いセクシーなアダルト向けエンタテイメント。・・・この高尚さがパッと観で理解出来ちゃいます。この文化に心打たれる主役にもきちんとついていけました。・・・ここまでは、こういう映画ですし、期待通り・・・それ以上のものがあって嬉しかった!って部分なのですが、もう一つ。まさかここをこんなに詰めている映画だとは思わなかった!びっくり!そしてDVD買っちゃおうかな!!という部分がありました。お話の回し方。キャラクターそれぞれの行動言動・・・その裏の詰め方。必ず、「こういう状況なら、こうする」のが「分かる」ように、ですが、そこにキャラクターの魅力を少しだけ上乗せしてお話を回すんです。、設定、キャラクターの価値観が見てとれる絶妙な会話・・・これがいちいち考えてあって、面白かったです!これはもう・・・監督様か脚本家様かがキャラクターの動きを納得しないと気が済まない質だからこそ詰めようとする部分だと思います。あ、どちらも同じ方か。映画一本のストーリーとしては、単純爽快な成り上がりモノですし、ヒロインは「芸」に関しては努力知らずでやったら絶賛されちゃうような天才です。恋愛面に関しても、店内で最初に知り合った男性の家に転がりこんじゃったり、ショーのシーンが長くとってある作品ですので、かなり無理やり思い切りがよく、人間関係・お話を転がさなければなりません。そこの・・・緩衝が詰まってる。不自然に見えない。もちろん、主演のクリスティーナ・アギレラさんの、ショーなり日常の演技なりにおける魅力に説得力があるからこそ出来ることなのですが。映画の「メイン」部分に対して、「細部」への気の使い方!気持ちよかったです!面白かった><!監督・脚本のスティーブン・アンティン監督の、他作品も観てみたいです。by姉
2013.02.21
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いやいやいや・・・3年ですか?ストロングワールドから。待っていましたとも!初日・初回に観て来ました><『ONE PIECE FILM Z(ゼット)』(総合プロデューサー尾田栄一郎・長峯達也監督作品 2012年)新世界。2年間の修行を終え、新たな世界に足を踏み入れた麦わらの一味は、海賊に深い恨みを持つ男・「Z」と遭遇する。NEO海軍を名乗るその男の正義とは・・・?*以下、ガッツリネタばれ感想です。未観の方はお気を付けください。* はい・・・はい・・・。どこから書けば、この感動を上手く言い表せるのか。とにかく、見所を上げようにも要点だと思われるものがが散乱していますので、とりあえず列挙させていただきます。『ONE PIECE FILM Z』という作品単一での魅力について・アクション!!間違いなく、この作品の一番の見せどころです。最初から最後まで、アクションシーンに継ぐアクションシーンです。船長、ゾロさん、サンジくんのみならず、敵・味方誰かれ構わず、おいおいおい・・・大人っぽ!オシャレだ><!っていうカッコよさです。圧巻です。・概念詰め、理詰めこれはもう・・・有名な脚本家様を付ける、という時点でこうなるはずという部分ですが。全てのシーンが、全てのキャラクター、要素が、船長とゼットに関する理詰めの対比でした。特に今回の作品の・・・「正義」「信念」「夢」というテーマ、人の精神でしか定義できない、ふわふわしたもの・・・コレを映画1作に閉じ込めるには、必須の部分だったと思います。本当に見ごたえがある、素晴らしい概念戦でした。 『ONE PIECE FILM Z』とは?について作り方の部分について、推測も含めて・・・。・これは尾田先生から生まれたものでないはず。だからこそ 今までに観たことがないワンピースだった!否定ではなく、肯定です!これだけは先に言っておきます。映画を観終わったあと、確信していたことが一つありまして、いや、大それたことじゃないです。これは、尾田栄一郎先生から生まれたものではないな、ということでした。ストロングワールドは、間違いなく尾田先生から生まれたものだと思います。ですが、この「Z」は、絶対に違う。映画を回す要素の全てが、船長の為のものではなくて、ゼットの為のものだったからです。この映画単体で観ると、これは船長の為の映画ではなくって、ゼットの為の映画でした。出だしから終りまで、どう考えても彼が主役でした。彼を描き切っていました。これ・・・尾田先生から生まれたものでは考えられないんです。ワンピースの原作が、あれだけ広げて広げて数何百人という登場人物が出てきて、幾十もの主体・組織が出てきて、それでいて作品の統制がとれているのは、「全てが船長に帰す」という、「全てが船長の為に存在する」という、確固たる作り方が大元があるからだ、と勝手に思っておりまして。この映画は、そもそも原作があることを前提に、原作で描かれている船長の信念、それと今作で描かれるゼットの正義その対比という図式だったのだと思います。ですがやっぱり・・・一作の映画として出すものを尾田先生は、この作り方はしないと思うんですよ。そういう眼で見ると、「ワンピース」のバランスとはズレた作品だったと思います。そもそももって、あらゆる描写がとにかく大人っぽかった。個々人が一味のバランスを観て、足りない要素を提示したり・・・とかですね、その辺りの気の使い方を詰めたり。2年で・・・やっぱりみんな大人になったんだなぁ・・・ってすごく入ってきてこの辺りは、個々のキャラクターについての感想をまた別記事で書こうかと思っているのですが、とにかく 読解力と、大人的な・・・社会的な感覚が必要な描写が多々見受けられました。なんかもう、基本的に少年漫画じゃなかった。大人向けだった。・・・だからこそ面白かった!!ここ!ここが本記事上、一番言いたかったことなんですけどね!今までの・・・原作及び原作に絡む要素を持つ作品と、作り方が違った!他の方・・・パンフレットのインタビューを読むと、やっぱり監督さまと脚本家さまの、「やりたかったこと」ですね。これに、尾田先生の方で原作とズレを生じさせないように調整して、尾田印を押印して出す、という作り方。これ・・・ワンピースという作品にとって、画期的なことだと思うんですよ。他の方から生まれたものを受け入れているわけですから。そうとうてこずった・・・形跡は多々見てとることができましたが。でも!だからこそ、今までに観たことのない感動があった。ニューステージだぁ・・・ワンピースすげぇ!!って思いました。総合プロデューサー・尾田栄一郎のこの映画における役割は、いかにゼットから「この映画」を麦わら一味側に取り返すか、いかに少しでも「船長の為の映画」に近づけるか、いかに少年向けのものであると感じさせる要素を投入するかそこに関して、スタッフ様に闘いを仕掛けることだったのかな・・・と。妙な形で、作品製作の過程が、ゼットVS船長のガチンコバトル という映画筋にハマっていたんじゃないかな、・・・そんな印象を受けました。要はこんなことが、初見でガツーンと入って来るくらい、個々の要素が印象深く、毒々しく、明確だったんです。・・・面白かったです><!!!今後もこの次元の映画を求められるんですね・・・ワンピースは;それでいて驚かせろ!って。凄い話ですよ;;その2に続く。by姉
2012.12.16
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DVDをたくさん購入しました!-その2 『アポロ13』(95年、ロン・ハワード監督作品)アポロといえば・・・11号じゃなくて13号!!たぶん・・・小学生の頃、初めて面白いと思った洋画です。だからなんか今でも特別な作品。これが(脚色されているとはいえ)史実であることにびっくりしたこと、チョコ菓子「アポロ」の意味が分かってときめいたこと、よくよく覚えています。クルーの無事な帰還のために、NASA全体の人々が全力で動く・・・極度の緊張感と、ラストの一点の曇りもない達成感。ホント、健全な作品だと思います。特に映像作品に関して、私のエンタメ好きの原点になってるんだろうな、と思う作品は、大抵95年~96年頃の作品です。私自身が小学校中学年・・・そろそろ自分で「好きな」作品を選び始めた頃だった、観るモノ全てが新しくて、輝いていた・・・というのももちろんですが・・・ですが・・・本当に名作多くないですか!?私の欲眼ですか??十二戦士爆裂エトレンジャー(NHK BS)王様のレストラン(フジテレビ)大河ドラマ秀吉(NHK)・・・いや、やっぱり人の「いちばん」に選ばれるような名作揃いだって!エンタメ・・・どんな作品が一番好き?の質問の答えは、「10歳の子が観て、ときめく作品!」です。未だに私は、この頃感じた「トキメキ」を求めて、今日もエンタメを食んでいるんだなぁ・・・と思います。『サウンドオブミュージック』(65年、ロバート・ワイズ監督作品)本編175分・・・は、多分・・・観ないな;とにかく歌のシーンが見たくて買いました!DVDでは、歌のシーンだけ繋げて一気観出来るようになってます。嬉しい><・・・さてさて、昨日少し観ました。分かってましたよもちろん!素晴らしいってことくらい・・・分かってても・・・トリハダ全っっっ開!!!曲良すぎでしょう~~><なんじゃこりゃぁ。ハーモニー超綺麗!声のバランス最高!ジュリーーー!!!天才ーーー!!!!はぁ・・・そしてまた、作曲者・リチャード・ロジャースさんのCDが欲しくなるんだわ・・・。まだ、欲しがってたゴールドスミスさんのCDも買ってないのに。っていうか、こうしてDVDを大量購入したばかりで、来月のカードの請求が恐ろしいことになることが分かっているのに。でも・・・欲しい!!!! 『名探偵コナン 水平線上の陰謀』『名探偵コナン 漆黒の追跡者』『名探偵コナン 天空の難破船』(05年、09年、10年、山本泰一郎監督)ここ数年は30億を定期的に稼ぎ出す、超優良コンテンツ・・・ゴールデンウィークの欠かせない色どりとなったコナン映画!その9、13、14作目の、最近のモノの中で、特にお気に入りの作品を購入しました♪天空の~を最後に、ここ2作は監督様がまた変わっているようですが・・・山本監督の作品が好きだったので・・・ちょっと残念><水平線~・・・は、地味で忘れられがちな作品ですが、なんか好きなんですよ・・・。演技とか細かくって。漆黒はラストの盛り上がりがカッコよくて好き!そして天空~は、私的にベストオブベストコナン映画!初期もハズレなしで大好きなのですが・・・(特に1・2作目・・・ファンサービス満載で大好き♪)最近のも大好きです!天空~以来、映画でキッドと大阪が自重気味で;・・・やりすぎたと思ったんでしょうか;確かに、彼らが出てくると・・・主役が若干食われますけど;でもでも!天空~は、コナン君もすごくカッコよかったし!自重なんてしなくてもいいんじゃないかなぁ!!今度の映画は・・・7作目以来の大阪メインでいいんじゃないかなぁ!平次くんは、大作映画の主役に据えても遜色ないヒーロー性抜群のサブキャラですよ。もしくは、1本くらい、「まじっく快斗」名義で映画を作ってもいいんじゃないかなぁ!ファン的には全然OKなんですけど・・・。 『恋はデ・ジャヴ』(93年・ハロルド・ライミス監督作品)これだけは今回新品で購入しました!以前書いた感想・・・時たま、「あ~~観たいなぁ!」ってなっていて。なんか観終わった後にすごくイイ気分になるんですよ。妹とも観たいし。買っちゃいました。 はぁ・・・たくさん買っちゃいましたが・・・何回も繰り返し観たくなる作品しか買ってません!!悔いはない!!!来週実家に帰って、妹とDVD視聴会をするのが楽しみです♪by姉
2012.08.19
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レンタル落ちのDVDをたくさん買いました!アニメ映画が中心です。今まで「欲しいなぁ~」と思い続けていた作品がたくさん♪嬉しいなぁ><『ルパン三世 カリオストロの城』(79年・宮崎駿監督作品)実はDVDを持っていなかったんです。いつまでたっても安くならず・・・永久的な需要があるものが安くならないのは当然か・・・セル用が販売中止?になって高騰しているそうで・・・え~い!買っちゃえ!!と。今いま、届いた直後にいちばんに鑑賞しました。いやぁ~~面白いぃい><好きなシーンはホントいっぱいあるのですが、個人的に一番好きなシーンは、ルパンのおじさんが、最初にクラリスの塔へ忍びこむシーン!忍び込むまでのバタバタから一転して、静寂の中で交わされる会話のシーン。ココが好き~~><「信じてくれれば、おじさんは空を飛ぶことも、湖の水を飲み干すことも出来るのに!」ってセリフが大好き!おじさまカッコいい~~><実は、ルパン三世はこの映画しか観たことがないので;・・・いつもこれだけで満足しちゃうというか;なので私の認識の中では、ルパン三世のヒロインは、清楚可憐なクラリスであり、ふ~じこちゃんはお助け美女です;銭型のとっつぁんも本当にイイ味を出しますよね><容姿は劣るが、能力的には出来のいいムスカ・・・みたいな伯爵も見ごたえあって・・・あぁもう本当にイイナぁ><これでいつでも観れる♪嬉しい!『ドラミちゃん ハロー恐竜キッズ!ドラミ&ドラえもんズ ロボット学校七不思議!?』(93年、原恵一監督・96年、米谷良知監督)『ドラミちゃん アララ・少年山賊団!ザ★ドラえもんズ おかしなお菓子なオカシナナ?のび太の結婚前夜』(91年、原恵一監督・99年、米谷良知監督・99年、渡辺歩監督)ドラえもんの長編映画と同時上映されていたミニ映画作品集。・・・と言っても、40~50分?程度ある作品もあるのですごく見ごたえがあります。ドラミちゃんおおめ。ドラえもんの長編映画本編ももちろんみんな大好きですが・・・この短編も面白いのばっかりで><それぞれのディスクのいちばん目当ては・・・ロボット学校七不思議 と アララ・少年山賊団!です。恐竜キッズも、のび太の結婚前夜も本当に面白い!んですが・・・とにかく飛びぬけて好きなのが前者2作品。特にアララ~の方!!面白いんですよ><戦国時代・秘密の基地と、とにかく子供の好奇心を刺激しまくる内容で!大昔に観て、えらい感動して・・・で、少し前にふとレンタルで借りて観返してみたんですが、びびった!!!面白すぎる!!!白米のおにぎりがなんて美味しそうなんだ・・・野菜作りがなんて楽しそうなんだ・・・仲間に入れてくれぇ!!ドラミちゃーーーん!!!・・・そんなこんなで、今回購入しちゃいました。っていうか原恵一監督って、『クレヨンしんちゃん アッパレ!戦国大合戦』『カッパのクゥと夏休み』『カラフル』・・・の監督さまなんですね;;知らなかった;;おもしろいはずです;;今度実家で妹と一緒に観るのが楽しみです♪♪ 『ONE PIECE 麦わらチェイス』(2011年・佐藤宏幸監督作品) ストロングワールド後の30分短編映画。確か映画公開時期が・・・震災後の大混乱の頃で、『トリコ』(主本)との同時上映だったこともあって、ワンピースファンの方でもあんまり観てないんじゃないかなぁ・・・という作品です。・・・私も、最近まで観たことがなくって。ぶっちゃけ・・・3Dがちょっとやってみたかっただけの作品だよな~とか思ってて、大して期待もせずに、この前チラっと覗いてみましたら・・・めっちゃめちゃ楽しかった!!一味がわいのわいのやってて、相変わらず全員が船長にベタ甘な感じとか・・・すごい好みだった!!ゲストキャラクターもホント良かった!!アクションがすごく見ごたえがあった!!スカパラさんの音楽もすごく合ってた!!途中からゾロさんが居ないことに、みんな気づいている(はず)・・・のに、誰ひとりとして突っ込まない感じとか、凄く良かった!!ストロングワールドは・・・視聴後感が「こんな胸キュン、ワンピースじゃねぇ!!(超嬉しい!)」って感じでしたがwこれは「これぞワンピースぅぅ!!麦わら一味ぃ!!」って感じです!まだご覧になっていないワンピースファンの方・・・特に、一味のわいわい楽しい感じが大好き!という方は本当に是非!! その2に続く。 by姉
2012.08.18
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ふと目に着いたので、なんとな~く観てみました。映画『星に想いを(I.Q.)』(1994年、フレッド・スケピシ監督)高校もギリギリで卒業し、自動車整備工場で働くエドが、一目ぼれしたアインシュタインの姪(インテリ)に近づくため、アインシュタイン&友人の科学者たちの頭脳を借りて、世紀の天才を演じるというラブコメ作品。学はないけど、好青年な主人公をおじいさんたちが気に入って、あれこれ手助けをしてくれるところが見どころ。非常にまったりとした・・・かわいらしいラブコメでした♪場面も綺麗で、メグ・ライアンさん演じるヒロインも魅力的で、そして何より、作品の色にもなっている、「物理」っぽいセリフ回しが素敵です!「偶然」か「意図」か・・・結局「奇跡」という観念、そこに「彗星」という物理的でロマンチックな要素が出てきて、なんか締った気がする!よくよく出来た映画だと思います! という感想で、イイんです!そういう作品です!私がおかしいんです。・・・私、今まで生きてきて自分以上のチキンは観たことがない!くらいの臆病モノなので。・・・怖かった;;女性をくどくために他人作の論文を発表し、世間で騒がれてしまって、それがばれるかも・・・!というピンチの連続。圧倒的にこちらに非があって、でも形式はラブコメで・・・あまり罪の意識もなく;個人的に、状況とテンションが合致しなくって;;やめてくれぇえええ!!そんな状況じゃねーーだろぉぉ!!怖いぃぃいい!恥ずかしいぃぃいい!!ってなってしまいまして;たまにこういう・・・「使う感情が、とにかくどれもこれも苦手」な作品に出逢います。・・・「レミーのおいしいレストラン」とかもそうでした;あれもネズミに料理してもらって・・・って話だったな;もうこの辺りは、完全に受け手・私の性格に起因するモノです。正直なところ、苦手過ぎて途中からまともに画面を観ることが出来ませんでした; でも最後まで鑑賞しました!何故って・・・ラストはハッピーエンドだから!というのもありますが、何より、目をそらしながら・・・BGMを聴いていたから!!出だしから、「なんじゃこりゃ」ってなるくらい音楽がイイ!!とにかくイイ!!「星空」がラストシーンの要素で出てくる・・・からだと思いますが、モーツアルトの♪キラキラ星をメロディー主軸にして、可愛らし~くウキウキなラブコメサウンドに展開していって!この・・・「展開」が本当に自由自在!バイオリンのいかにもなハイソサウンドから、主人公が自動車整備工場勤務で、バイクに乗るシーンなんかも出てくるのに合わせ、突然ロックンロール~♪にもなったり・・・楽しい!!音楽は・・・誰だ!?と確認したところ・・・ジェリー・ゴールドスミスというお名前が。・・・聞いたことある!!と思ったら、なんかもう映画音楽の巨匠中の巨匠のようで;2004年に亡くなっていらっしゃいますが、1960年代から2000年代まで、西武劇からSFからドシリアスから、とにかく万能コンポ-ザ-として活躍された方・・・とな。ちらっと聴くだけで、これが「実力派」の方のサウンドなのはすぐに分かりましたが、キラキラ星で遊ぶ自由さや、作品のシーン・要素からテーマを選ぶ作品への献身さから、最初はなんとなく、若手の方かなぁ?・・・と思ったんです。そしたらとんでもビッグネームで、びっくりしました。巨匠なのに、なんて自由なんだ・・・!シーンの緩急に合わせて、本当にBGMが自由自在で。バイクに乗っていて、身体がふわっとするシーンも見事に音楽がふわっとして・・・BGMで遊びたくて、このシーン入れたよね??・・・と思うようなシーンもあったり。とにかく面白かったんですよ!!これはCD買わなきゃ・・・というか、ゴールドスミスさんの10枚組くらいのセットがイイナ。この作品のサントラが入ってて、他の作品もガッツリ聴けるボックスだと嬉しいんだけど・・・。あるかな?もう、どれ聴いても面白いと思う><!!観て良かった><!!by姉
2012.08.15
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DVDを買ってしまいました・・・;;映画『ロミオとジュリエット』(1968年・フランコ・ゼフェレッリ監督)ある日、妹が突然電話で言いだしました。「オリビア・ハッセーが超カワイイよ!!ヤバいよマジで。」・・・誰ですかオリビア・ハッセーって;;どうも妹は、50年代、60年代、70年代、80年代と年代別に人気映画を紹介する本を読んだらしく、「ローマの休日のヘップバーンと並ぶくらい、日本人が熱狂したらしいよ!」・・・とな。そして、絵ヅラがとにかくキレイ!写真で観るだけで全然違う!現在『ロミジュリ』といえばこの衣装!という(中東が入った)イメージも、この映画によるもの(だと思う)。ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』も、相当この映画の衣装・色彩の影響を受けている(と思う)。多分、有力スタッフの方にこの映画のファンが居たんだよ!・・・とも言うじゃないですか。そりゃあ観なきゃでしょう><! *以下、ネタばれ?感想です。お気をつけください。*さてさて。正直なところ、キレイな映像が見れればイイや~という、・・・お話はまぁ・・・ロミオとジュリエットでしょ?どうやっても入って行けそうにないし;という気持ちで観始めたのですが・・・・・・まいった;;;面白い><!!あらすじはもちろん知ってました。出会って一瞬で恋に落ちた敵の家同士の若い二人が、数日で超盛り上がるんだけど、なんかごたごたした末、よくわからん毒薬使って逃亡しようとするけど、上手くいかずに、後追いの連鎖で結局心中みたいになっちゃうっていう。どうやって入っていけばいいんだ、こんなもん・・・;と思っていたんですけどね!不思議なことに・・・この映画、結構ついていけちゃうんですよ!びっくりしました。 とにかく、出だしからモンタニュー家とキャピュレット家の確執の描写が重い!「若者」たちの悪ノリが発展しての喧嘩とか、そういう描写なのですが、実際に人が演じると・・・これが結構腹にずどーんと落ちてくるんです。「そんなもんだろうな」という妙なリアリティがあって。で、そういう一族同士の本家血筋?なのかな?の一人息子のロミオと一人娘のジュリエットが、その重さを背負っちゃってるというのも説得力があります。特にロミオが割と大人しい感じの青年だったりするのも。こりゃあ重くて大変だなぁ・・・と。ロミオとジュリエットが、「敵の家」同士だからこそあそこまで盛り上がったんだろうなぁ・・・というのも、観てとれて。(特にロミオは、二人の関係からの両家の和解をかなり期待していましたし)そうした中で起こってしまう、決闘・・・友人の死と、自らが起こしてしまう敵打ち。決闘のシーンが・・・迫力があるんです。「カッコいい殺陣じゃない」のが妙にハマってて。一見悪ふざけに見える若者同士の「決闘ごっこ」に、本物の殺意や、長い間続く両家の確執が練り込まれているのが分かるんですよ。練り込まれているというか、 一瞬の殺意を肯定しちゃうファクターとして働いているというか。すごく怖いんです。起こるべくして起こった事件だなぁ・・・と納得してしまいます。やっぱり、この「両家の確執」から逃れて思考を出来る人間がイイ大人も含めていない状況というのが・・・すごく納得できちゃうんです。ジュリエット側の乳母の描写とかも・・・本当に絶妙でした。ジュリエットのことを心から愛してくれている人なのに、やっぱり染まっちゃってるんです。言葉の端々が。なるほど、こんなもんかもなぁ・・・。うーん・・・最後、ロミオがジュリエットの死を早とちりして後を追うシーンも、なるほど~~・・・という驚きに満ちてました。ジュリエットの悲報を聞き、追放された街へ舞い戻って忍び込んだキャピレット家の霊廟の中で、ジュリエットの亡きがらと、その隣に、自身の手で殺してしまったジュリエットのいとこ・ティボルトの亡きがらがあって。・・・若いロミオの思考の中に、「自死」という選択肢しかないのが、妙に説得力があるんです。これには参りました。ロミオとジュリエットの何が分からないかって、そんなに若い男女が、生死をかけて盛り上がった恋をする感覚が何より分からない!ついていけない!と思っていたのですが、印象が真逆でした。決闘も、恋の激情も・・・とにかく「若いから!」他に選択肢が思いつかないから・・・なんだよ、と。あとはやっぱり・・・イタリア人だしやっぱり・・・。(←偏見)そう言われれば、そうかもなぁ・・・なんて押し切られてしまって。う~ん・・・入って来ました。『原作の実年齢に近い』『もの凄く若い』キャスティングが、当時も話題になった作品のようですが・・・(ジュリエット役のオリビアさんは15歳;;)それがすごく活きてるんです。説得力がある。おもしろいじゃないですかぁ!!シェイクスピア!!というわけで、映像目当てで鑑賞したのに思わん・・・中身にあてられてしまいました;;無論、映像美に関しても想像以上で、ホント見ごたえがありましたよ!ただ、もっとね・・もっと・・・オリビア・ハッセーさんがあまりにカワイイから、この娘に狂って他が見えなくなるならロミオの気持ちも分かるかも・・・っていう、そういう映画だと思ったんですけど、なんか・・・印象が大分違って。だって私・・・ぶっちゃけ最期、泣いたもんっ!!なんかっ・・・両家の親戚とか両親?とかの気持ちが入って来ちゃって・・・いくらロミオとジュリエットが幼くて浅はかだったとはいえ、マキューシオとティボルトも含め、若者たちを駆り立てたり、追い詰めたりしていたのは大人が長年放置していたこの状況なわけで、申し訳ないことした~~って気持ちになっちゃって・・・公主さまがまたそうやって締めてましたが・・・ボロッと涙出て来ちゃったもん!!!ロミジュリで泣かされるなんて・・・くそぉ;;どれだけ大爆笑出来るか・・・なんて斜めから見始めたのに;; 完全に返り討ちじゃないですか;; いやいやいや・・・面白かった。やっぱりずば抜けた人気作って、パワーがあるなぁ><というわけで、私に薦めておいて、実は本編を観ていない妹よ!また今度一緒に観よ!by姉
2012.08.13
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絶賛体調不良のため、部屋で大人しく過ごす週末が続いています。・・・でも、冒険したい!!というわけで、間違いなく面白いであろうこの世界へ旅立つことにしました!実は・・・初めて観ました。『スターウォーズ エピソード4 新たなる希望』『スターウォーズ エピソード5 帝国の逆襲』(1977、1980年、ジョージ・ルーカス監督作品)ちゃんと?・・・なのかは分かりませんが;エピソード4から鑑賞開始です。いわゆる旧3部作というものでしょうか。とりあえず、2作観たちょっとだけ感想を。これがスター・ウォーズかぁ・・・。これがジョージ・ルーカス監督かぁ・・・。は~~・・・SFのロマンに疎い私でも分かります。これは・・・悶えるわ!!!たまらんですよ。萌えの宝庫です小型船・大型船での宇宙ウォーズに、ライトセイバーでの個人技戦、数々の空飛ぶ乗り物や愛嬌あふれるロボットたち未知の動物(乗ったりできる)がどんどん出てきて・・・砂漠の星、機械の要塞から吹雪の星、ジャングルチックな星・・・と シチュエーションも多種多様。なんかもう、この作品に影響を受けて製作されたであろう80年代以降?のSF作品をたくさん知っているので、似たシチュエーションや要素が出て来すぎで・・・デジャヴの嵐。というか、こっちが大元なんでしょうけど。はぁ・・・なんか、頑張って感想を書きたいと思うのですが、なんとも言いようがないんです。どこまでも「大衆向け娯楽大作」。感動というより、なるほど、これがスター・ウォーズか。 という納得の方が大きくって。なるほど、これがダースベイダーか。テーマ曲が頭から離れないぜ。なるほど、これがライトサーベルか。大好きなアニメ作品(90年代)の主役が同じの持ってたよ。なるほど、これがハリソン・フォードか。・・・っていうか、今のところハン・ソロがカッコよすぎてこっちの方が主役に見えるんですが;(ロマンス担当だし;)・・・とりあえず6部作本編は、DVD欲しいなぁ><きっと何回も観たくなると思う!また6作全作観たら、感想を書きたいです。by姉
2012.08.13
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気になっていた映画を数本鑑賞しました!『ベットタイム・ストーリー』(2008年、アダム・シャンクマン監督)姉の2人の子供を1週間引き取ることになったスキーターは、毎晩寝かしつけるときに創作の物語を話すことに。しかし、それが次の日に現実なる事象が続き・・・。・・・面白かったんですよ!!ホント、想像通りというか・・・想像していたより「現実」部分に寄った作品でしたが、父の経営していたモーテルが人手に渡り、大ホテルになってから25年。ずっと住みこみで下働きをしていた主人公に、ようやく訪れた一大チャンスと、起こる不思議な出来事の数々。よくできたシチュエーションで、人生大逆転の「物語みたいな」奇跡を期待しちゃいますし、実際裏切りのないハッピーエンドで。キャラクターも良かったです。お調子者の主人公や、カワイイ子供たち・・・出てくるキャラクターはきちんと全員活きましたし、会話もアメリカンなジョークが効いてておもしろかった。テンポも凄くよかったですし、イマジネーションの世界の映像、現実の世界の映像共に凄く綺麗で・・・繋ぎも入っていきやすくて・・・文句なし!観て良かった!!・・・というところからの、あと一歩心に食い込んで来て欲しい!という受け手の欲の話を・・・;あと一歩!本当に好きな設定だし、好きな展開だし・・・面白かったし、観て良かった・・・だからこそ、ここまで来たら・・・あと一歩踏みこんで欲しい!!この設定なら・・・もっと出来る!(と思う)。「物語」が現実になるという意義を見出して、ここにしかない感動を伝えてきてほしい。「お決まりのハッピーエンドパターン」「子どもの発想」「読み聞かせるお話パターン」をもっと練り込んで、それが現実になるとはどういうことか、奇跡のようなエンディングとはどういうことか、それが強烈に伝わるような・・・そんな捻りパンチでノックアウトされたい!と、思っちゃったんですよ・・・;;「このすっきりさがイイんだよ!」と言えばそうなのですが・・・だってだって・・・本当に好みなお話だったんだもん><作品の存在意義を叫んでくれぇ!アイデンティティを強烈に打ちだしてくれぇ!私は打ちのめされたいんです><!!!というわけで、毒気プリーーーーズ!!!という受け手の欲求を非常に刺激する作品でした;;面白かったです^^。by姉
2012.08.12
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ようやく観ました!映画『コクリコ坂から』&原作漫画『コクリコ坂から』(原作:佐山哲郎先生・絵:高橋千鶴先生 なかよし・1980年)原作と映画とで、あらすじ自体が違ってきます。とにかく・・・この二つを比べるのがめちゃめちゃ楽しかった!なるほど・・・この原作がこうなるのか!!という衝撃。どちらも、作品として色があって、「これがやりたかったのか」という意図を感じるのですが、それが違うから面白いんです。 個人的な見どころの列挙 <映画>・海辺、坂道の町というシチュエーションが立つ絵ヅラ。 自転車で坂を滑走するシーンとか。海の鮮やかさとか。 色がとにかくキレイなんですよ。・舞台が1963年。現代ッ子には全くなじみのない「学生運動」の気風が 作品を支配します。 日常の感覚じゃ、学校のシーンは観れません。 これが、なにより他にない作品の色を出してると思います。 ・・・っていうか、なんとなくうる星っぽい気がする。・主役・海(メル)ちゃんの一個一個の動作。 ものすごく丁寧に描写されます。 海ちゃんだけじゃないんですが、彼女がパタパタとした働き者なので 眼で追っちゃいます。 これは宮崎吾朗監督のこだわりかな?と思う部分です。・「旗を上げてたから、お父さんが連れて来てくれた」という概念。 印象深い主人公のこだわりが、すごくきれいに気持ちに繋がるので、 絶対に原作にある部分だと思ったのですが・・・ありませんでした; 原作では、なんで旗を上げていたんだ状態; 宮崎駿監督脚本おそるべし・・・!・良かったね!っていうラスト。観て良かったなぁ~って気持ちになります。 <漫画>・舞台は(おそらく)連載時の1980年。学生運動?何それ?って雰囲気。・ヒーローの二人(俊くんと水沼くん)が、賭けごとの負け分を取り戻そうと、 校内中を巻き込んで話題作りに奔走し、校内新聞の売上を伸ばそうとしている。 はっきり言って最低。 ・・・どうやったらヒーローにこんなことさせる設定が生まれるんだ;;・だがしかし、真面目なヒロイン・海ちゃんが、「最低」と思いながらも 恋に落ち始めちゃうのが・・・なんかしっくりくる。 ここが原作のミソだと思います。本当になんでだ??・人物配置がしっくりきます。 映画だと、妹・弟とか北斗さんとか、なんで居るんだろう?って少し感じてましたが、 原作を読むと納得です。 とりあえずこんなところでしょうか。とにかく、映画も漫画も面白かったです!人の「いちばん!」に選ばれる作品ではないかもしれませんが、観て良かった・なんかふと観たくなる時がある ・・・そんな作品だと思います。あ、手島葵さんの唄も相変わらず素敵でした~!CD欲しいなぁ・・・!by姉
2012.07.21
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週末2日費やして、大河ドラマ秀吉を観ています。本能寺直前まで行きました・・・。もう眼が痛いです。頭も痛いです。しゃべり方が「○○じゃあ!」になりそうです。使用例:「上げ潮じゃあ!」16年前に一度観たきりだったこの作品。「こんなシーンあったっけ?」「こんなお話筋だったんだ」というところももちろんありますが、「超知ってる!このシーン!!」とか、「感情」ですね・・・ちゃんとまるまる覚えてるシーンとかがあって、「描かれてる」モノは、小学生にだって伝わってたんだ!と再確認してます。 まだ途中で、冷静な感想も書けませんが・・・とりあえず、ここまで観てきた印象をメモしようかと。 作品全体について・・・合戦シーンの少なさ、1シーンの長さ・・・「舞台劇」的なところ。派手なシーンが多かった印象だったのですが、派手なのは役者さまの演技であって、シーン自体ではなかった!これは意外でした;まぁ、大勢で踊ったり騒いだりというシーンは多いのですが。1シーンが長いんですよ。人の気が変わるまで、じっくりゆっくり5分6分平気で話合いをしていたり。特に、最近の?なのかは分かりませんが、コマ切れ演出ドラマに慣れていると・・・これが結構応えます;消化不良を起こしそうなくらい腹もちがイイ「感動」です。 キャラクターについて・・・この作品の竹中直人さん演じる「秀吉」が、私の秀吉像の雛型です!・・・と散々言ってきておいてなんですが、今回見直してびっくり。どうやらこの作品を観てから16年の間、享受してきた様々な作品によって、私の「秀吉像」はかなり変形していたようです。私・・・秀吉って、ホント「カッコいい人」だと思ってたんだ!だってこのドラマの秀吉、めちゃくちゃカッコいいもん!意外でした・・・こんなにカッコいい人だったなんて。もっとやかましくて、ほだされやすくて、観ててはらはらする感じの人だと思ってました。思っていたよりずっと、洞察力に長け、考えてモノを言い、「とっつきやすさ」と、どこで怒るか分からない「怖さ」を使い分ける人でした。難しい顔をして、無口になり、低い声でしゃべりだすところの「怖さ」は、流石流石の竹中直人さんです。王者の風格です。 そして・・・おねーーーー!!!沢口靖子さん演じる・・・おねーーーー!!これはもう叫ばずにいられない。最高です!!んもう・・・めちゃくちゃカワイイ!こんな奥さんが居たら・・・がんばるわ!「お仕事ガンバレ」とかハートマーク付きで言われたら・・・たまらんわ!!正直なところ、大きい存在であった印象はあったのですが、これほどまでに大きな存在としておねが描かれているとは・・・これほど、「理想の夫婦像」として描かれているとは思っていませんでした。このおねの「説得力」、半端ないです。 そして、抱いていたイメージ通りだったのが・・・高嶋政伸さん演じる、弟の小一郎秀長。私自身がこのドラマから戦国時代に入ったので、秀長が重要人物なのは当然!秀長あってこその秀吉!という観方なのですが、そういえばこの作品以外で、「秀長」がまともに描かれる作品は今のところ観たことがありません。本編通して、この秀長の細かいセリフや感情をかなり覚えていました。ってことは、小学生にもガッツリ入ってきてたんです。子供は素直に情報を選びますから。ギラギラ輝く兄・秀吉を、出世させるため、天下を取らせるため・・・そして義姉・おね姉さんへの密かな憧れ・慕情を糧に、金子の工面・めちゃくちゃやる兄のフォロー・・・と、あれだけの苦労を「自分の役目だ」と背負込めるこのキャラクターがいるから、・・・これもやっぱり「説得力」です。上記三人が、やっぱりすごくバランスが良くて。「秀吉」を顔に、三人が一体の行動体に見えてくるんですよ。このドラマの核であり、大ヒットの土台であると思います。 あとは・・・いろいろ書きたいキャラクターだらけで困ります;親方さま・・・渡哲也さん演じる織田信長。「鬼」と呼ばれる唯我独尊の寂しがり屋。・・・すんげぇめんどくさい人だけど・・・可愛い。この人につき合える人間って凄い。眼で語るんですよ・・・渡哲也さん凄いなぁ!うるうるしてるとことか、自信なくなってるとことか。もう、すっごくカワイイ。そしてやっぱりカッコいい。 市原悦子さん演じる秀吉の母・なか(大政所)のナレーションの秀逸さといったらもう・・・。声を被せるだけで、これほどシーンが印象的になるのか!基本的に、頑張ってるカワイイ息子を自慢したいという言葉ばかりなのですが、なんって上手なんでしょうか・・・「語り」ってやっぱりこうじゃなきゃ!財津一郎さん演じる義父・竹阿弥がまた・・・泣かせるんですよ。秀吉とは、母の愛情を奪い合うライバルでもあり、あとは生き方も相反してて。お互いに認めるわけにはいかない。特に秀吉が大出世した手前では、面目もない。それでも、秀吉の生き方に与えた影響は計り知れない・・・という人物です。 多分、「光秀」史上でもかなり印象的で爽やかな「光秀」であると思います。村上弘明さん演じる明智光秀。秀吉の持つ要素と、対応して「主役」並にバックグラウンドまでガッツリ丁寧に描かれます。有森也実さん演じる奥さん・ひろ子が、このドラマで・・・イイ意味で浮いてまして。最後・・・夫の首とともに琵琶湖に沈んでいくシーンは、これでもか!というくらい印象的で。鮮明に覚えていました。 そして無視できないのが・・・仲代達矢さん演じる千利休と、玉置浩二さん演じる足利義昭。今後一切、この千利休を超える利休像なんてありえないだろうなぁ・・・。玉置浩二さんの「怪演」は有名なんでしょうか・・・?上手すぎます。 スーパー端役の中で印象的だったのは、利家の妻・まつ・・・「利家とまつ」の松嶋菜々子さんと比べるのが面白い!斎藤道三・・・一瞬画面に映っただけで大迫力。斎藤竜興・・・なんとなく忘れられない馬鹿城主。今川義元・・・迫力があり、頼りなさもあり。秀吉の姉・ともの夫・長助・・・ビートキヨシさんだったのか; う~ん・・・面白い><!テンション上がる!!!やっぱり小学生を夢中にさせる作品は、それだけのモノがちゃんとあるや!まだまだ観ますよ。by姉
2012.03.20
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