トイレへのこだわり



どこへ行くにも布オムツと着替え、使用済みオムツの処理袋が欠かせず、大荷物を持ちながらですから大変でした。2歳になって周囲がトイレトレーニングをはじめるようになってもとてもまだ無理だとわかりましたから、トイレトレーニングは周囲の子がぽつぽつ自立し始めた3歳になってから。ゆっくりはじめても最終的にはおなじだからいいやと思っていましたが、そう簡単にはいきませんでした。

まずはトイレがどこにあるか、ということと、「おしっこはトイレでするものだ」ということを納得してもらうことからはじめました。しかし相手もツワモノ、「おしっこは?」という問いに「おむつで。」と平然としています。本を読んだり親や家族がトイレに入るところを見せたりいろいろ手を尽くしましたが、いっこうに効果なし。

大便をするときには必ずどこかへ隠れるので察しもつくし、どうせするのならトイレで力んでもおなじじゃないの?と親は思いますが子どもは子どもで理由があるのでそう簡単には変わってくれません。一年以上かかってようやく「おしっこは?」の問いに「トイレで。」と答えてくれるようになりましたが、相変わらずオムツやパンツでジャー・・・という状況でした。

おもらし状態のまま保育園に入園しましたが、保育士さんがベテランで、どう教えてくれたのか、入園後3ヶ月もしないうちにおしっこのほうだけ教えてくれるようになりました。外出時に着替えを持ち歩かなくても住む様になり助かりましたが、大便は相変わらずとつぜんボトン、なので自宅以外の場所でもらされると匂いがすごいし着替える場所もないしで本当に困りました。体も大きくなった分、人目にもつくのでオムツ替えスペースに駆け込んでも周囲からいぶかしげに見られたりベッドに「乳児以外の方は利用しないでください」と張り紙があったりして、トイレの隅で四苦八苦しながら着替えさせました。

大きくなるにつれ本人も大便をもらすことに違和感を覚え、なんとかしようとしているようでしたが、だからと言って便意を感じたらトイレに行くことにも違和感があるようで、かなり複雑な思いをしていたようです。どうやったら乗り越えられるか試行錯誤しましたが、どこへ相談してもはかばかしい答えは得られませんでした。

小学校入学を控え、さすがに先生に大便のおもらしの始末は頼めないし、学校でもお漏らしは人目につくだろうと心配しましたがその気持ちはBも同じだったようで、学校ではひたすら大便を我慢し、自宅につくと同時にもらすということが続きました。

本人も苦しかったと思いますが、親も手立てがわからずただひたすら待つだけの毎日でした。大便も完全に自立できれば親以外の人と長い時間行動することも可能になります。学校では毎年キャンプが企画され、中学年からはキャンプ場に泊まると聞いていたので、それまでになんとか自立させたいと必死でしたが、その気配すらありませんでした。

はじめてのトイレは実家の押入れで遊んでいた時でした。押し入れの上段で遊んでいる時に、祖母に「降ろして!」と言いましたがいたずらばかりしているので祖母が取り合わずにいたら、「トイレに行く!」と言い出しました。降ろしたとたんに「うんち!」と言ったのでトイレについて行き「ここでするんだよ」と座らせたら成功しました。まぐれかと思いましたが、帰宅後自宅のトイレでも成功し、それ以後一度も失敗していません。小学校入学後、9ヶ月後のことでした。


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