保育園入園



発育も発達も、一目見ただけでわかるほど遅れていました。折れそうなくらい細い手足、うつろな目。たくさんの(といっても小さなこじんまりした園でしたが)子どもに囲まれて、凍り付いたように立ち尽くしていました。

幸いAを担任してくれていた先生がいて、親身に世話をしてくれました。食の細い、偏食の強いBの個性は尊重しつつ、でも「少しでもいいから食べようね」と根気よく働きかけてくれました。でも時間になったら「もうおしまい。」と切り上げて、それ以上押し付けないでくれたのでBもパニックにならずに努力できました。

ボタンかけが一大事。視力が弱い上、手先も不器用で、一つのボタンに驚くほど時間がかかります。先生はBの気が散らないよう、うっかり他の子が手出しをしないよう、給食室のすみでBにきがえをさせてくれました。3つあるスモックのボタンを、一つでもできたらそこでオシマイ。全部やっていたらおひるねの時間がなくなってしまうので・・・

先生に手伝ってもらって着替えをして、お昼寝。Bは睡眠障害があって、睡眠時間が極端に少ないのでお昼寝は大嫌い。先生はさすがベテラン、「眠らなくていいけどお布団にいてね。」「目はあけていいけど、声を出さないでね。」とBをうまく誘導してくれました。お布団に入るのは最後、お布団からでるのは最初。Bがきーきーいわなくて済むように、気を配ってもらいました。

おもらしじゃーじゃー、着替えは介助つき、お遊戯大嫌い、お歌もだめ。ブランコも一人ではこげません。好きなのは水あそび。水・水・水!

そんなBを見ていて、そっと先生が耳打ちしてくれました。
「お母さん、Bちゃんのことなんだけど・・・」


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