学校生活(高学年) 転校



ちょうどオイルショックの時期で、両親は子どものことより自分たちの生活で手一杯で、あまりかまってはくれなくなった。私は自宅に帰ってもすることがない。友達に会えばからまれる、いじめられる。「100円持ってらっしゃいよ」といわれて母親のサイフから小銭を抜いたりした。いやだったが殴られたりからかわれたりするのはもっといやだった。

時間つぶしができて、友達に会わずに済むところ。私は毎日のように図書館へ通った。オカネがなくても暇がつぶせるし、何よりしずかで心地よかった。

母親は生活費の工面のために毎日働いていて、私は帰宅するとテーブルの上の50円玉を握って外にでた。バスに往復乗ってしまうと50円はなくなる。お菓子を買うとバスにも乗れなくなる。私は図書館まで歩き、図書館の自販機で50円のコーヒー牛乳を買った。ささやかな贅沢。帰り道にバスに乗りたいときは、近くのスーパーへいき、紙コップのジュースを買う。お釣りがあるのでバスに乗れるのだ。

図書館で毎日本を読み、読みきれない分は借りて帰る。この時間が私の至福のときだった。

オイルショックで父はリストラに遭い、社宅には住めなくなった。わずかばかりの退職金で家の頭金を払い、残りはローン。再就職は困難で、生活はますます苦しくなった。私は転校することになった。


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