SLOWでいこ!!

SLOWでいこ!!

心にひびく、アドバイス2


暴言を吐いたり乱暴に手を引っ張ったりしてしまいます>

Q:
2歳3ヵ月になる息子は、ちょっと内弁慶な性格で、
2歳前から始まった私への後追いがこのところ激しさを増していて、
一人になれる時間は寝てくれた後だけで、
それもしばしば2~3時間で泣いて起きてしまいます。
まだごくまれにしか4~5時間続けて寝てくれません。
(中略)
でもよく考えたら
ぐずりだす息子に対していつもイライラを我慢していて、
最近その我慢がもたなくなってきているように感じています。
寝起きや気に入らないこと、思い通りにならないことがあってぐずり始めると、初めのうちはなだめたりほかで気を引こうとしたりしているのですが、
その努力もむなしく時間だけが過ぎていくとだんだんと我慢できなくなってしまい、「もう泣くのはやめなさい」「いい加減にしてよ」と怒鳴ってしまいます、そんなときは息子への接し方も乱暴になってしまい、
つないでいた手を乱暴に引っ張ったり、振りほどいたり、
突き放したりしてしまいます。
主人に対する大小もろもろの不満や
母親という役目以外の自分の将来への不安などを
ここぞとばかりに息子にぶつけているようにも思えて、
だんだん自分が恐ろしくなってきました。先日ついに「お前なんか産むんじゃなかった。私の人生返してよ」と言ってしまいました。
(茨城県 よのさん 35歳)


A:<憎しみの感情とどう向き合うか >

短夜や乳ぜり泣く児を須可捨焉乎
 (みぢかよや ちちぜりなくこを すてちまをか)
 竹下しづの女 『燗(はやて)』 ※1

「子は母を慕い、母は子を無条件に愛するもの」と刷り込まれた
価値観のために
、私たちはどれだけ罪悪感のとりこになってきたことでしょう。
現実には、切っても切れない親子の関係だからこそ、
母と子の間には濃密で複雑な感情が行き交います。
反発、怒り、憎しみ、嫉妬(しっと)、嫌悪、そして損得の勘定も。
人間関係の中で生じる感情のすべてが、そこで体験されるといってもよいはずなのです。
わが子を憎らしく思う気持ち自体は、恐ろしいものでも、
母親失格の烙印(らくいん)を押されるようなものでも決してありません。
冒頭に挙げた俳句は、1920(大正9)年の女性俳人の作ですが、近代化とともに束縛をはねのけて自分を生きようとした当時の女性が、母となり、
夏の夜にぐずって乳を求めるわが子を捨てたくなる気持ちを、
力強い万葉仮名で表現しています。
伝統的な俳句の世界で、1世紀ほど前に、
このように表現するのはすごい挑戦だったでしょう。
でも、込められた気持ちは同じ、そのイライラと、やるせなさと、
孤独が、鮮明に伝わってきますね。

大切なのは、憎しみや、
自分の中の否定的な感情を押し殺そうとするのではなく、
そこにあるものとして認め、ちゃんと向き合ってみるということです。
いったい自分は何に対して、それほどの怒りや腹立ちを感じているのか、
じっくり考えてみることです。
思い通りにならないのは、息子さんですか、ご夫君ですか、
それとも「私の人生」ですか? 
そしてその「私の人生」は、今の家族生活とは相容れないものですか? 
女性が、一度しかない自分の人生を、
「私個人」と「母や妻や娘という役割」とにどう配分するかは、
だれにとっても難問です。
次の世代の女性たちに少しでも手がかりを残せるよう、
一人ひとりが真剣に考えて歩んでみるしかありません。
よのさんも、大切なその一人です。
可能なら、日記を書いたり、メール交換したり、
家族以外のだれかに話すことで、自分の抱えている絡み合った感情を少しずつ整理してみてください。そして、あまりに自分の感情のコントロールが難しいようなら、ぜひ専門家の助けも借りてください。
息子さんの反抗期が本格化する前の今が、そのときかもしれません。

※1 鶴見和子・対話まんだら 佐々木幸綱の巻 『「われ」の発見』 (藤原書店) より引用
(回答者:高石恭子先生)


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A:<育てにくい子の母親になったとき >


どんな子どもでも「わが子だ」というだけで無条件にかわいいと思い、
すべてをこころから受け止めることができるとしたら、
それは神様のわざと言わねばなりません。
わが子を愛するこころは、
幼い子の世話をいろいろしてきた過去の経験から、
そしてまた生まれたわが子と楽しい交流を重ねる経験を通して、
徐々に時間をかけてはぐくまれていくものなのです。

ところが、安定して育てやすい子どもがいるのと同様、
育てにくい子も必ずいます。
明らかな障害や病気がない場合でも、
生まれつき子どもの側の反応が鈍かったり、
過敏で唐突な反応をしがちだったりすると、
母親は報われない気持ちや拒絶感を抱き、
なかなかわが子を無邪気にかわいいと思えません。
第一子ならなおのこと、逃げ場のない二人(母子)の生活の中で、
自分やわが子を追いつめる悪循環に陥ってしまうのではないでしょうか。
漠然と不安をかかえながら受けた1歳半健診で、
問題の可能性を指摘されたときは、
「やはり」と「まさか」の気持ちで相当に衝撃を受けられたことでしょう。

優しくて、「主人としてもパパとしてもとてもいい人」と
パートナーを組んでいると、
心配し、苦労し、よからぬことを考える“悪い人”の役割を、
母親であるあなたがもっぱら担わざるを得ないという極端な分担が生じているのかもしれないと思います。
夫婦、きょうだい、親子など、一方が善の役割をとり過ぎると、
ペアのもう片方は、反対の方向にバランスをとってしまうことがあるのです。「いいパパ」、順調に力をつけてきた「いい子」と、無理に見ようとしていませんか? 
急に腹が立ったりうとましく感じたりするのは、
無理の“反動”が生じているからかもしれないと思います。
お正月の実家への帰省も、
今までのように楽しみにできなくなったというのは、
ちょっぴり“重症”のようです。
もし、気分の落ち込みがひどくて、全身がだるく、
夜もよく眠れないような状態でしたらぜひ早めにお近くのクリニックへ。
話すことで元気が出そうな状態でしたら、
下記へお問い合わせの上、
母子でケアを受けられるところを紹介してもらってください。
プレイルーム併設の相談機関なら、
母親のカウンセリングとお子さんのプレイセラピーを同時並行で受けられます。
“問題だから”ではなく、少しでもあなたのお気持ちを安らげるため、ホームドクターのように息長くつき合えるカウンセラーに出会えることをお祈りしています。


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