珍初恋(U-14)

珍初恋

「オッス!一馬!」
早朝、下駄箱で結人の元気のよい挨拶(よくできました◎)。
「おはよう、結人。」
そう、一馬が返事をして上履きを取り出そうとすると、一通の手紙がハラリ、と落ちる。一馬が拾うと、すかさず結人が奪い取る。
「またかよ、え~っと、またまた上級生からか。よっ!モテるね。」
と結人ははやしたてる。一馬は困った、といった顔をする。
「どうしてかなぁ?急に。東京選抜に入ってから・・・。」
一馬の問いに結人はキョンとする。間が少し空くと、
「当たり前だろ。東京選抜メンバーなんだから。・・・なんで俺じゃなくて一馬なのかなー。」
結人はてきとーな返事をした。たしかに、一馬は東京選抜メンバーになってから先輩方のもうアタックを受けていた。
「なんで先輩なんだろ?」
「かわいいらだろ。かじゅまv」
結人のいつも通りのからかい。
「かじゅまってゆーな!!!(怒)」
そんな早朝からの少年たちの輝きは眩しく、一部の女子には大サービスであった。

~放課後~
少年二人は先生からの呼び出しを受けていた。
「ったく、だりぃよなぁ。」
という結人の言葉に一馬はきっ、と睨む。
「結人がセンセーに黒板消しとバケツしかけたせーだろ!なんで俺まで・・・。」
「かじゅまも笑っただろ。♪旅は道連れ、世は情け~♪」
「かじゅまってゆーな!!!(怒)」
ああ、青春の少年達の輝き★☆★
中庭前の渡り廊下で結人は一馬に提案する。
「この中庭の伝説知ってる?」
「え?」
一馬の答える暇もなしに結人は一馬の手を引っ張ると上履きのまま、いちょうの木の下に。結人の段取りから、前から計画気味だった気がする一馬。
「・・・伝説って綺麗なユーレイがでるっていう・・・アレ?」
不安げに尋ねる一馬。結人は聞いてブッ、と吹き出す。
「それは七不思議・・・アハッ(笑)」
結人はマジでツボにはまったらしい。笑い続ける。
「ちょっと、ゆーと!!!もう職員室いくよ!!!(怒)」
と、その場を離れようとする一馬の手をつかむ結人。
「怒んなよ・・・(笑)。マジな話なんだ・・・。」
結人の言葉の跡にときめきのメロディが流れる。結人の真剣な目に少しどきっとさせられる一馬。深呼吸する結人。いちょうの葉はほどよく色づき、なにか物語っているようでもある。
「【中庭のいちょうの木の下で結ばれたカップルは永遠の祝福を受ける】。これが伝説。・・・だから、一馬・・・。」
「あの~ちょっと。」
「何!大事なトコなんだよ!取り込み中。見てわかんだろ。・・・一馬、俺、お前のコト。」
「あの、すみません。」
「何だよ!一馬?聞いてる?いいか、今・・・ってえ?」
結人は気付く。声は背後から。背中にはいちょうの木。一馬が硬直している。結人は背中に悪寒を感じて振り向く。

「わぁ→!!!!!!!!」
結人の後ろには、足のない人、いや、ユーレイ?かりあげ?血まみれ?
あ、でも顔はきれい(みたいよ)
「一馬!!!行くぞ!!!」
結人は血相を変えて一馬をひっぱり走りだす。
ぜいぜいと息切れしたところで互いの顔を見つめ合う。
「・・・ハァ。。。一馬っ!今日の・・・コトは忘れろ!!!いいなっ?!」
「え・・・うん。。。」
そうして二人は職員室へも行かず帰路へ。。。
一馬にはあのユーレイに恐怖心を抱かなかった。。。
ぼーっとしていままでにない不思議な感情を覚えた。

~翌日~
「おはよう、結人。」
「・・・オッス。一馬・・・。」
二人とも顔にくまができている。
「お前も眠れなかったんだな。。。」
結人は尋ねる。一馬は激しくコクコク頷く。

「なんか。。。目を閉じても姿が浮かんで、はなれなくって。。。」
「そぅ!あの血まみれ!忘れようとも忘れられない。」
一馬の言葉に結人は激しく同意する。

「胸がどきどきして。。。」
「そぅ!バクバクモン!」

「なんか、あの目が胸にズキンッってきて。。。」
「そぅ!あの冷たい目!!!」

一馬は結人をちらり、と見る。
「なんかいままでにない感情で。。。」
「そぅ!いままでにない恐怖!!!」

「俺・・・。好きっていうのかな。この気持ち。。。」
「そぅ!好きって・・・あぁ???!!!」

結人は一馬を直視する。赤くなって下を向いている。
「今、何て???」
結人は再度確認。
「・・・好きなのかも。」
「はぁ!?」
二人の間に沈黙ができる。

「相手はユーレイなんだぞ!足ないんだぞ!!?」
結人が沈黙を破る。
「・・・でも。。。」
一馬は考える。結人の通り相手はユーレイなのに。。。

~さらに翌日~
「おはよう!結人!」
「・・・オッス。」
やけに元気な一馬。
「俺。。。何もしないより、がんばってみたいんだ。ユーレイでも・・・。初めての感情だから☆」
一馬の決意。
「ふーん、っで?」
一馬はごそごそと鞄の中から何かをとりだす。
「手紙!先輩たちの手本にしてがんばったんだ!!!」
今どきダサイハートのついた封筒。
「・・・。がんばれば?」
結人はどうも協力的ではない。
「結人、ついてきてくれない?俺・・・やっぱちょっと恥ずかしいし。。。」
・・・
(俺は怖い。。。)
ユーレイさんと会うなんて結人も怖いってさ☆
かわいいかじゅまのため。。。結人はユーレイ撃退することに!!!

~さらに放課後~
いちょうの木の下にユーレイさんは立っていた。結人はふるえながらも堂々とした態度。。。
一馬はずんずん進み出る。
「あ、すいません・・・
「これ、受け取ってくれ!!!!!」
ユーレイさんが話しかけるのを遮ってラブレターを渡す一馬。
「一馬?!」
そして結人をおいて去る。さすが。。。足速いね~。


~次の日~
「今日はプレゼント攻撃vvv!!!」
一馬のプレゼントとは。。。
「菊かよっ?!」
「うん、ユーレイだし。。。」
結人のつっこみもむなしくプレゼントは菊。

やはりユーレイはいちょうの下。
「ちょっと、あの・・・
「受け取れ!!!」
ダッシュする一馬。もはや結人は遠くで見守るように。。。
ユーレイさんは話させてもらえず。。。
腕の中には成仏を祈る菊が。。。

~次の日~
「ユニフォームかよ!?っておい、10番???」
「うん☆10番っぽいじゃん。」
今度のプレゼントは盗品、10番のユニフォーム。。。


・・・まぁそんなこんなな日が続いたある日。。。
「一馬。。。思うんだけどさぁユーレイいつも何かいいたそうじゃね?」
「?」
結人の指摘。
「お前一方的アタックじゃん。名前くらい聞いたら?」
「そっか。。。俺知ってることって、かりあげだけ。。。」

~その日の放課後~
「あの・・・・・・・・・って今日は話聞いてくれるんだね。。。」
ユーレイさんはやっと会話ができる。
「お前、何で此処にいんだよ?名前あんのか???俺は結人、こいつは一馬。」
結人が尋ねる。
「いたくているんじゃないけどね。。。英士。お願いがあるんだけど。」
ちらりと一馬を見る英士。
「俺にできることだったら。。。!」
一馬は真剣v
「お願いっていうのは俺を成仏させてちょーだいってコト。」

(成仏する~~~???!!!)
一馬に痛い一言。
「何で、成仏できないんだよ。」
足がくがくの結人。
「俺は・・・キムチが大好きで。。。キムチ作りにすべてをかけていたんだ。このいちょうの木の下には俺が28年前、2年間ほどつけておいたキムチが。。。
それをほりおこしに、ここへ来る途中、まゆが太くて目が細い、線だけでできた顔のやつに。。。
「郭君。。。僕は君を追い越さないと。。。」
とか言われて背番号とられて殺されたんだ。。。名前も知らないやつだった。
相手は俺のこと知っていたからストーカーか何かだが。。。
美しいのは罪だって、ことごとく思ったョ☆」
いつのまにかキムチからずれている。。。つかナルシスト?続ける英士。
「キムチが心残りで。。。この世を去れない。。。」
英士は消え入ってしまいそうなくらいきれいに語る。
一馬は涙でぼろぼろだ。。。結人、一気に恐怖心が飛ぶ。
「キムチをほりおこせばいいんだな?」
一馬。
「ふざけるな!何がキムチだ!一馬、ほっとくぞ!」
「結人!でも。。。」
「いいから!!!付き合ってられっか!!」
結人は怒って一馬を連れて行く。哀しいユーレイを残して。。。


いちょうの木の下。。。誰かがしゃがんで土をほりおこそうとしている。
いくら土を探っても。。。決して決してその手が地をつかめることはない。。。
だってもぅ異界の住人なのだから。。。

~その後~
「いいか?!もう絶対に関わるな、あんなふざけた奴!!!約束だかんな!」
結人はそういって一馬を家にかえした。

一馬は想う。
あいつは成仏できない。。。だけど、成仏してしまったら二度と会えない。。。
・・・でも


英士はあきらめずに土に手を忍ばせる。しかし、すけている手は決して土をつかもうとしない。
「クソッ!!!」
英士の嘆きの横にシャベルが降りる。
「どのくらいの深さ?」
一馬が英士に向かって尋ねる。
「・・・6フィートほど。」
「・・・わかんないよ。」
そして少し笑う一馬。
「大丈夫、俺がほりおこす。。。成仏させてやる。。。」
そして黙した中で一馬は一心に土をほりおこす。
『がつっ』
シャベルになにかひっかかる。腕に抱える程の木箱が現れた。
『黄金のキムチ』
と油性マジックで書かれている。
「これ?」
一馬の問いに、英士は嬉しそうに頷く。開けてみると中にはツボ。
その中には赤々しいキムチvvv一馬をつまんで一口。
「このちょうどよい付け汁!白菜の歯ごたえがまたなんともいえない。一口でご飯が三杯もいけてしまう!!!つけすぎのように思えるが長時間、土の中で眠っていたという風味が感じられる!」
一馬の感想を笑顔で見守る英士。
「英士は・・・ぁ。」
英士は食べられない。そのコトに気付く一馬。
「いいんだ。俺のキムチが最高傑作だったから。」
「英士・・・。」
二人は手に手をとりあって見つめ合う。
「一馬、今日は俺たちの『キムチ記念日』だねv」
そう、英士はほほえみながら薄くなっていく。
「天に召されてるんだね☆」
一馬は英士の成仏をどこかうれしく感じる。
「ほんの短い間だったけど楽しかったよ。」

「一馬!!!」
二人のムードをぶちこわしたのは結人の声だった。
「一馬は・・・一馬は・・・!お前と違って・・・人間なんだ!!!お前と違うんだ!!!」
ふるえた結人の声。
「ちょっ、結人。違う。。。」
「一馬、ありがとう。」
「えっ!?」
英士は呆気なく消えてしまった。キムチの匂いを残して。。。
結人がかけよってくる。
「一馬!」
「結人?」
「俺は、 俺・・・一馬が好きだ!!!」
結人の真剣な目。一馬は複雑な気持ちで笑う。
「俺も結人、大好きだぜ。ずーっと友達な☆」
「へ?・・・ああ。」
結人は気の抜けた顔をした。


いちょうの木の下。。。誰かが笑っている。。。
キムチのツボを持って。。。遠い遠い過去の恋。。。
二人の愛は永遠にツボの中。。。


次に恋する時は。。。
生きてるひとだったらいいな☆>一馬



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