口笛



頼りなく二つ並んだ不揃いの影が北風に揺れながら延びてゆく
凸凹のまま膨らんだ君への想いはこの胸のほころびから顔を出した

口笛を遠く 永遠に祈るように遠く響かせるよ
言葉より確かなものにほら 届きそうな気がしてんだ

さあ 手を繋いで僕らの現在が途切れない様に
その香り その身体 その全てで僕は生き返る
夢を摘むんで帰る畦道 立ち止まったまま
そしてどんな場面も二人なら笑えますように

無造作にさげた鞄にタネが詰まっていて 手品の様 ひねた僕を笑わせるよ
形あるものは次第に姿を消すけれど 君がくれたこの温もりは消せないさ

いつもは素通りしてたベンチに座り見渡せば
澱んだ街の景色さえ ごらん 愛しさに満ちてる

ああ 雨上がりの遠くの空に虹が架かったなら
とまどいや不安など簡単に吹き飛ばせそうなのに
乾いた風に口笛は澄み渡ってゆく
まるで世界中を優しく包みこむように

子供の頃に
夢中で捜してたものが
ほら 今 目の前で手を広げている
怖がらないで踏み出しておいで

さあ 手を繋いで僕らの現在が途切れない様に
その香り その身体 その全てで僕は生き返る
夢を摘むんで帰る畦道 立ち止まったまま
そしてどんな場面も二人で笑いながら
優しく響くあの口笛のように



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