兄様編



八夕には実は兄様がいたのです。

ご主人様がかわせみどんに勾玉制作を依頼したとき、『なるべく大きい物を』と言う注文をなさりました。
そこで、かわせみどんは石目との関係で石取りについて、相当迷われた結果この原石からは最大と思われる7cm級の勾玉を作るれると判断され、スケッチの後カットし始めたのです。

カットは順調でした。
ほぼ形が出来上がり面取り工程に入って少しずつ勾玉の形状になってきた頃でした。

石目からポッキリ割れたのです。

かわせみどんは相当落胆したそうです。
しかし、頼まれた品ですので直ぐにご主人様に電話され、残りの原石で勾玉制作を継続されたのです。
そして、ついに私、八夕が日の目を見たのです。

兄様はかわせみどんの手により、きっと別の何かに蘇ることでしょう。


ある方が言っておられました。

運は異なもの味なもの。
何一つ無駄なんて無いです。
これは割れるべくして割れたのだと思います。
 物語を背負った勾玉が生まれるためでしょう。

この八夕、兄様の分まで物語を背負いたいと思っていますが、そう言われる程の物語が生まれるのでしょうか?



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