No.30 歩


眠いよ。。
歩かなきゃ。
叱られるのが怖い
それも有るし。
歩かないで
此処にいたら
人の価値無くなる
気がしてた。

ミニチュアダックスフンド
あの家から出て来た。
おじさんが
連れて散歩に行く。
あの犬
歩くとスキップみたい
足が短いね
可愛いね
楽しいリズム。。

おじさんは
煮え切らないのか?
それを。。
首で縛ったそれを。
引き摺る。
引き摺る。
引き摺る。
コンクリートを
引っ掻く爪の鈍い

音がした。
なんて…
痛い。

そうだったんだ。
私も
見えない首輪
引き摺られ
毎日を生きてる。
闇の中でリード
引いているのは
誰?
知らなくても。。

歩いていくこの道が
物語を織っていく
ねぇ
束縛され過ぎたら
あの可哀相な
あの犬でさえ
瞳が澱んだ
僕らみたいに
多分、
麻痺してくるだろうね

曲り角で
まだ麻痺してない犬と
お別れ。
真直ぐの道を
僕は端の方を
歩いて。
気付いて無い素振り
ばれているけど。。
意味は無いけど。


リードに引かれて
今度は何処??


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