No.37 レインコート


痛かったよ。
君に触れた時。

いつも何か探してた。
君の目は曇ったまま。
僕の声に反応しないのは
知ってたんだ。

僕向けの顔になる時
君はとてもにこやかで
それに慣れてしまって
忘れていた…

肌を刺す寒い日に
何故引き離したのですか?
君はまだあの場所で
求めて止まないのに。

痛かったよね?

君は無口だったから
僕は君に色んな事
一人勝手に話し掛けた
優しく頷いてたね。

何故こんな強い風の日に
僕達は別れてしまったの?
君はまだ傷だらけで
探し続けていたのに。。

僕は頭の片隅で
理解していたんだ
静寂の中に在る事を。
君は…音をずっと求めて。。

雨が降り止まなくて
酷く寒くて風も刺すけど
君は何も言わず
中にも外にも負った傷で

ずっと探していたんだ。
振動しかない世界で?


亡骸に…静かな世界を
痛かった過去を
聞こえなくて
見えなかった情感を
僕の手に、確かな感覚が走った。


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