大きな大きなお城の北の塔のてっぺんに閉じ込められたお姫様
長い年月を独りさびしく過ごしてきたわ
毎晩星空を見て歌っていた
そしてある日一人の泥棒が現れた
泥棒はあたしを緑の野に放してくれると言う
でも、ダメなの。
あたしは緑の色を忘れてしまった。
夢の見方を忘れてしまった。
野を駆け回る姿も想像できない。
自由になっても会いたい人ももういないわ。
それなら此処に居たほうが・・・
泥棒は手を差し出した
あなたが望むなら空を飛ぶ事だって湖の水を飲み干す事だって出来るのに。
あなたが忘れたならば教えてあげましょう。
緑の色を。
夢の見方を。
野を駆け回る事だって。
会いたい人がいないというのなら、私があなたに会いに行きます。
あなたが信じてくれさいすれば、今すぐ空を飛んで逃げましょう。
お姫様は泥棒の手をとった
そして星の輝く夜空へと舞った
ああ、こんなにも空は広かったんだ。
お姫様は、泥棒といつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。
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