2008年北海道行政視察報告


        伊藤眞智子
1、期日   2008年 7月8日~11日

2、視察地
   ・釧路市立東雲小学校
      多方面に工夫が凝らされた校舎、学校開放、地産地消

   ・帯広市役所
  市税の収納率向上対策について
        (コンビニ収納 ハンデイーターミナルの導入)
   ・栗山町
      「議会基本条例」の制定、議会改革

3、視察報告
1釧路市東雲小学校
 ○学校施設の工夫
  【基本設計における校舎建設の理念】
「子ども自らの学び」を保障していくために、「自ら工夫して学びの活動をしていくことのできる学習環境」をとして建設された校舎には次のような特色があります。
 1、オープンスペース=教室と廊下のしきりがない
アメリカの教育を取り入れたオーピンスペースですが、教育方法も違い国民性も違う中で日本では取り入れた多くの学校で効果を上げていないように思います。
 隣の教室との間に仕切りがないと、隣の教室で学習している先生の声や児童の声が聞こえ筒抜けになります。自分の授業に集中できない生徒が出てくるのではないでしょうか。
 現に東雲小学校でも、低学年教室は棚やロッカーで仕切りがしてありました。隣りに特別支援学級もあり、無理もないことと思います。 (オープンスペースの教室)

 2、安全の確保
  「事務室」 昇降口とグラウンドを見渡せる位置に配置
  「昇降口」登下校以外は施錠 来客はインターフォンで対応、解錠
  「普通教室」 見通しがよい一階に配置
「普通教室」と「特別教室」非常用通報ボタンの設置

  全校生徒の安全の把握ができやすい配置、システムであったと思います。

 3、地産地消の木材を使った建物
  地域で生産された木材をふんだんに利用した校舎で、木の香りのする気持ちのよい校舎で した。
  玄関の床に木で作った世界の地図が埋め込まれていました。世界の国を理解するのにはとてもいい教具であると思いました。    

 4、特徴のある配置
職員室の廃止
 高学年、低学年と分かれたテイーチャーズル ームの配置。そこに図書室、コンピューター が配置されています。      (床に埋め込まれている世界地図)

・職員室がなくて職員同士の連携が十分でき るのか子どもの安心のために効果があるのか 現場の先生方の生の声を聞かなければわかり ません。
 ・図書室がテーチャーズルーム横にありまし た。子どもたちがちょっとした時間でも利用 しやすい居場所になりうると思いましたが、
 本の少なさにびっくりしました。写真は低学 年用。高学年用の図書室は本の数は3分の一 くらいでした。

校長室の廃止
 事務室に校長先生の机がありました。これも本当に効果があるのかはわかりません。

多目的スペース(ドリームスペース)
 ・休み時間に子どもたちが遊んでいる様子が目に浮かぶようです。


2、帯広市
【税金の滞納を減らす取り組み】
コンビニ収納について
 平成13年から上下水道料金と市営住宅家賃についてコンビニ収納を実施、平成15年から市税、国保保険料についてもコンビニ収納ができるようになりました。
 コンビニ収納件数の割合は市税については21.1%、国保税について19.3%。収納額は市税について4.9%、国保税について14.9%(20年4月時点)で、収納額は少ないものの件数においては2割程度の利用があることがわかります。
 しかし、資料の収納率の変化を見ると、平成13年は88.59%、14年には89.21%に増えたもののその後の推移は88%台にとどまっています。
 コンビニ収納が収納率を上げるのに効果があったかというと、コンビニ収納のシステム開発費や収納手数料と合わせて費用対効果の面で?のような気がします。

 コンビニ収納概要ー説明による
 コンビニ収納導入の効果=昼間不在納税者の利便性
            納付内納付率の向上
            督促時における言い訳が通用しなくなる
             (払いに行く時間がとれない等)
 取扱経費  手数料53円
 導入経費  7570万円  周知徹底のための広報費 103万円
課題・問題点 
  ・コンビニに収納となってから市の公金となるまでに時間がかかる
  ・個人情報保護対策
  ・収納手数料が高額
  ・コンビニ収納の導入費用が多額である。
  ・納付書が単票となって納税者の管理の手間が増える。

*その後の報道で・・諏訪広域で実施するとのこと・・どのような検討がされたのでしょう  か。もっとしっかりと検討する必要があると思いました。

【その他の帯広の収納率向上対策】
○徴収体制の強化
 ・職員の増ー管理職 6名 一般職20名 計26名の体制。
 ・組織
   収納対策チーム(滞納額50万円以上の案件)
   納税1係(財産調査、納税啓発)
   納税2係(原年度滞納50万円以下、市街滞納案件)
   納税3係(累積の50万円以下の滞納)
   収納管理係(予算決算、延滞金、口座振り込み、庶務経理)
 ・目標の設定、見返し
  全体での納税目標金額、滞納繰り越しに関わる目標、
  一人ひとりの職員の目標設定

○十勝市町村税滞納税整理機構での広域連携による収納体制の強化 (19年度~)
 主に広域内の滞納者の預貯金調査、差し押さえを行う。
 帯広市の負担金 3000万円で、引き継ぎの案件が230件 収納額は4000万円だということ 果たして広域で行う必要があるのか?でした。

 *滞納、差し押さえの業種が観光、建設業が多いと聞きました。今の経済の状況が反映されていると感じました。茅野市でも19年度決算を見ますと滞納額の大きいものはホテルなどの固定資産税であるとのことでしたので、全国同じ傾向であると実感してきました。

*税務課の職員が問題意識を持って一生懸命取り組んでいる姿勢が伝わってきました。


3、栗山町
 ○議会改革の背景
 ・地方分権一括法で地方議会の責任が重くなった。
 ・議会の公開 インターネットによるライブ中継、庁内テレビ
 ・財政問題に強くなるための特別委員会の設置
 ・承認委員会の事務調査の充実 一年で100日の出役がある。
 ・提案権、修正権の行使。住民の目線に立って提案。
 ・政務調査費の導入 
 ・議会報告会の実施
 ・マスコミに情報発信
 ○議会基本条例の特徴
 1、町民や団体との意見交換の場である一般会議の設置
   農業委員会、商工会などと実施
 2、請願・陳情を町民からの政策提案として位置づける
   請願者に必ず出席を求め説明を受ける
 3、重要な議案の態度の公表
 4、年に一度の議会報告会の義務づけ
   議員全員が参加
 5、議員の質問に対する首長や職員の反問権の付与
   質問が要領を得ないとき・堂々めぐりの議論になったとき
 6、政策形成過程に関する資料の提出の義務化
   将来に亘るコスト計算まで請求
 7、議決事項についての追加
   10年を越える計画は議決
 8、議員相互の自由討論の推進
   本会議に於いて議論
 9、政務調査費の透明性
 10、議員の政治倫理を明記
 11、最高規範性と4年に一度の見直しをすることを明記 
議員のあり方、議会と執行部行政とのあり方、議会と住民の関係の点検

【全国に先駆けて制定された「議会基本条例」を学ぶべく、全国各地からの視察団と一緒にホールを会場に説明を受けました。非常に盛りだくさんな内容で茅野市議会でも参考にすべきことがたくさんありました。感想を列記して報告とします。】

*「議会基本条例」は一朝一夕に作られてものではなく何年間もの準備と積み重ねの上に作られたもので、形だけまねても実効性のあるものにはならない。議会の役割とあるべき姿が明確に共有できて初めて進めることができると感じてきました。
また、4年に一度見直しをして時代にあったものにしていく固定化しないということを位置づけていることもいいと思いました。

*議員が議会の果たす役割を自覚し、勉強し資質を高める努力をしていることに感銘を受けました。特に議会力を付けるために議員全員が参加する中長期財政問題委員会を設置。議案に対する賛否の決定は個人ですが、議員全体の力量をアップするという取り組みです。会派はないということです。

*住民に開かれた議会めざして議会報告会、一般会議などを、個人としてではなく議会全体で行い住民との接点を持つようにしており、その取り組みによって地域代表の色合いが少なくなり町全体をみて活動する議員になり資質が高まってきているとのことです。また、町民にとっても議会や町政に対しての関心も高まってきており、住民参加を進めるために意識の向上が見られ相乗効果が見られるとのことです。

*議員提案権、修正権を行使し議会として総合計画の修正も行ったということです。それに行きつくまでは住民からの意見聴取、専門家のアドバイスを受けながら議会として論議を重ね対案をつくっていったとのことです。
 議会と行政の緊張感あるやりとりが住民に伝わり町の活性化に繋がっているように感じました。

4、北海道の印象
とにかく広い!雄大な自然と・・そして町がきれい。沿道には花が植えられ美しい。私達を歓迎してくれているようです。北海道は観光が主な産業の一つですが、その熱意が伝わってきました。
 茅野市の沿道も何とかならないものかとつくづく思いました。
 また地域にある資源をいかし、誇れるものを探し観光にいかしている美瑛町のとりくみを聞きました。  やはり茅野市の地域資源は自然環境、景観の良さで しょうか。茅野市民は毎日見慣れた風景の良さをあまり自覚していないように感じます。茅野市の良さとは何か誇れるものは何か、 住んでいる住民自身が自覚し大切に守っていきたいものだと思います。

 また、北海道の食べ物もそれぞれの地域の特産をいかして美味しく、満足のいくものでした。観光振興という面から見ても茅野市の地場産物をいかした食について研究していくことも大切だと思います。(茅野市でも既に研究し開発していると思いますが)

以上


























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