11月6日 最近の教育行政を巡る問題に思う



 先日、新旧教育委員の歓送迎会があり出席しました。いま、「教育委員会の是非」「社会教育は市長部局へ」等と教育委員会制度をめぐって様々な論議があります。私はこんな時こそ原点に戻るべきだと思っています。

 全国的な動きでは、議会の多数を占める橋本氏率いる「大阪維新の会」がつくった「大阪府教育基本条例案」をめぐって知事選市長選も絡んで論議を呼んでいます。事は重大です。
 教育には政治的中立が求められ、政治は教育内容に介入できません。それは第2次世界大戦時「お国のために死ぬこと」を教えた痛苦の反省から出発したもので、今回の条例案は「教育の政治的中立」という戦後日本の教育の大原則を根本から転換する内容です。愛国心、世界で競争力のある人材を育てることを基本理念とし、高校の教育目標を知事が決め意に沿わない教育委員を罷免できるとしています。学校現場は自由に論議をたたかわせ、教職員集団が一致して教育にあたることが大切ですが、校長の権限を強め上意下達の管理体制を強化するとしています。
 人々の中に広がる閉塞感を逆手にとり過激な言葉であおっているのです。こんな時の攻撃の矛先は教員、公務員に向けられます。

 一方教育基本法の理念をねじ曲げて解釈し強引に通そうとしていることに批判の声が上がっています。大阪府教育委員は条例の白紙撤回しなければ総辞職するとの見解を発表しています。他にも多くの著名人、弁護士会、日本ペンクラブ、保護者・PTA協議会等多くの人が反対の声をあげています。このようなファッショ独裁政治は許されません11月27日のダブル選挙、大阪府民の良識に望みを託すものです。

 また、もう一つ注目すべき事として沖縄八重山教科書問題があります。沖縄八重山採択地区を構成する3市町村の諮問委員会が育鵬社の公民教科書を答申しましたが、答申の課程が非常に杜撰なものだったため論議を重ねる中で育鵬社の教科書採択を否決しました。その後中川文科大臣が国会答弁で育鵬社の教科書を使う市町には無償、別の教科書を選んだ町は有償という方針を答弁したのです。義務教育は無償という憲法の精神にも反する重大なことです。

 人々の現状にたいする不満や変化を求める気持ちを逆手にとりとんでもないことが起きていることに危機感を抱いています。教育委員のみなさんにも頑張っていただきたいし、自分もささやかであっても声にしていかなければならないと思っています。 また、議会で教育に関わる質問も多く出されますが、教育課程の編成権は学校長にあります。議会で教育内容に関わることを取り上げて上から圧力を加えるようなことは慎まなければならないと自分自身にも言い聞かせています。


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