4市町の合併について

合併「賛成論」や
「分からない・どちらともいえない論」への返答

             2004.1発行
              「合併に反対する」中大塩有志


 市長は合併しても地域局を置き、地域に密着したきめ細かな住民サービスを提供すると約束しているから、反対派がいうような「住民の声が届きにくくなる」「周辺部が取り残される」「役所が遠くなる」などといった心配はないのではないか。

返答
地域局を置くという発想自体が、合併すればそうした懸念が現実のものになる証拠ではないでしょうか。このことはすでに合併した市町村の例からもいえます。
では市長が言うように地域局を置けば解決する問題かというとそうではありません。
第一に地域局というのは法律で決まったものではありません。したがって首長や議員が代わればその改廃は自由にできます。地域局はその権限も期間についても何の保障もない代ものです。
第二に今回の合併は行政をリストラする目的で出発しています。リストラをしようとしている推進者が地域局という複雑で人も金も必要な行政機関をいつまでも残しておくでしょうか。
第三に地域局の責任者(地域助役とか地域局長)は本庁の幹部であって独立した機関の長ではありません。本庁の意向を受けた人や機関が茅野市民の利益代表のような役割を果たしてくれるでしょうか。極めて疑問です。
合併に頼らず茅野市をこのまま残すことが究極の地方分権ではないでしょうか。



 国も地方も財政の厳しい時代だ。行政もリストラをして金のかからないようにすることは必要ではないか。

返答
地方自治体も出来るだけ金の掛からないようにするのは当然のことです。そのためには第一に国の予算の使い方について地方自治体はもっと声を上げるべきです。政党助成金、大きな橋や高速道路など大型公共事業、軍事費、アメリカへの思いやり予算など削るべきところは沢山あります。そして地方交付税や補助金をもっと増やすよう要求すべきです。
第二に地方でも箱物といわれる建造物あるいは土地開発、大型道路など無駄や経費の掛かるものがいっぱいあります。こうしたものを縮小したり無くしたりすることこそ大切です。
第三には役所の中でも事務や職員の働き方について工夫を加え効率化を図ることです。
財政が厳しいということであれば自治体はそういう働きかけを国に対して行い、役所の中においても努力をすべきです。
では合併をすれば自動的に財政が改善されるかというと合併だけでは問題の解決になりません。むしろ規模が大きくなれば利権が入り込みやすくなったり、大型事業がやりやすくなるため不明瞭な金の使途が生まれる可能性があります。
又、合併すれば国からの合併特例債という膨大な借金(200億円弱)を背負い込むことにより、今以上にリストラが必要となり、福祉を始め住民サービスが低下することが予想されます。



 議員や市の職員はこんなにもいらない。もっと減らすべきだ。

返答
議員を減らしてもよいという議論は、住民のために十分働いていない議員がいるからなのでしょうか。
しかしそうだからといって議員を減らすことは民主主義の危機を招くことになります。議員が減ると議会が少数の議員に私物化される危険性を持っています。もっと悪く考えれば一部のボスに市民の生活が握られることにもなりかねません。現在の民主主義は金には換えられない財産です。市民のために働くそんな議員を多く増やせば議員削減などの考えはなくなるのではないでしょうか。
市の職員は市民が安心して暮らせる業務のために日日まじめに働いています。無駄な職員などいないと思います。もちろん市の財政は市民の貴重な税金で運営されていますから、常に業務の効率化を図っていただく必要があります。職員が減るということは市の行政のなかでもっともサービスを必要とする医療、介護、福祉などが人手不足で疎かになるということではないでしょうか。財政だけの問題で議員や職員を削減せよという考えはいかがなものでしょうか。


 茅野市が合併協議会から離脱すれば四市町の合併は白紙に戻る。こんなことをすれば次の合併は10年先になってしまう。合併という宿題を次の世代に残すわけにはいかない。

返答
これこそ「合併先にありき」ではないでしょうか。合併を金科玉条と考えるならば宿題ということになりますが、元来合併というものはそこに住む住民のなかに地域的に不便が生じたり、このままでは行政を維持できない何らかの事情が生まれ、合併の機運が高まった際に行うべき性質のものです。
ところが今の合併は国が地方交付税や補助金を削減したいために現在3000余ある地方自治体を1000程度に縮小する目的で半強制的に行われているものです。ここには数字はあっても住民の感情や生活感覚は全く反映されていません。国が合併の次に考えていることは都道府県を廃止して道州制を制定することと言われています。行政がますます住民から遠ざかる制度です。
宿題といえば合併すれば合併特例債という借金や住民サービスの低下など負の宿題を次の世代に残すことになります。


 六市町村でも四市町でも数字的な積み上げが変わるだけで「先行合併」は進めたほうがよい。これからは合併して工業、農業、観光の産業をバランスよく発展させることだ。

返答
富士見町と原村が合併から離脱したということは、この合併に根本的な問題があったということで数字的な問題として片付けられるものではありません。
二町村の住民の思いを私たちが推測すると、合併すれば二町村は周辺部となり取り残されていく、そして今まで先祖が営々と築いてきた町や村の産業や文化が失われていくのではないか、などといった懸念や不安があったのではないでしょうか。茅野市民も多かれ少なかれこれと同じような懸念を持っています。四市町で進めるというならば仕切りなおして出発すべきです。
尚、「先行合併」という言い方は合併を拒否した二町村の住民を愚弄(ぐろう)する言葉ではないでしょうか。
工業、農業、観光の産業がバランスよく発展することは大切ですが、全国の市町村でそんな自治体がいくつあるでしょうか。それぞれの市町村が特色を生かし精一杯頑張っているのが現状ではありませんか。
合併すれば逆にそれぞれの特色が失われ、地元産業が衰退していくことも十分考えられます。



 そうはいっても合併して大きくなれば総合力が発揮でき、県下第三の規模の都市が誕生する。それも魅力だ。

返答
確かに大きくなるということは魅力です。企業経営者や大規模農業者を考えると否定できません。しかし私たちは首長や市の幹部ではありません。行政からサービスや給付を受ける立場の市民です。
行政の規模が大きいと被給付も多いということであれば全国の合併は何の問題もなく促進されているはずです。そうならないのは被給付は自治体の大小ではなく行政の姿勢や努力から良否が決定されるものだからです。因みにいえば県下でも住民本位の行政が行われている例として全国的にも評価されている自治体は比較的小さなところです。
又、行政は小規模の方が住民のひとりひとりが立ち、人間として尊重され、生きがいを感じ、やる気を起こさせる。そして知恵も出しやすく、出された知恵が生かされる場面が多いということがいえるのではないでしょうか。



 市長は今までよい政治を行ってきた。「パートナーシップのまちづくり」など高く評価してよいのではないか。その市長が積極的に進める合併だから悪いはずがない。

返答
確かに茅野市は他の二市と比べても財政状況もよく、パートナーシップのまちづくりなど評価してよいと思います。しかしこれは市長だけの考えでそうなったものではありません。市民からの提言や議員の努力もあって今日の茅野市があります。私たちは評価すべきは評価し、問題があれば率直に意見をいう、そうしてこそよい街づくりができると考えています。
今回の合併には余りにも問題点が多く、このままではせっかくのよい街づくりが台無しになる危険性があります。私たちは更によい市政にしていきたいと願っているからこそ反対しているのです


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