安心道

安心道

11月


恋のかけひきなんて どうして考える必要あるでしょう
ただあの眸にみつめられ あの声を聞き
それだけで幸せなのに
人はみな プラスとマイナスとあって
得する人と損をする人がいるみたい
でもそんなことはどうでもいい
あとで損をしたと思うなら
それは本当の恋じゃなかったてこと
ちょうど3ヶ月前 あたしの恋に堰をしたのに
溢れるばかりの恋の奔流には なすすべもなく
今のあたしは心のおもむくまま 流れるまま
決して後悔はしないと思うから
例え神に見放されても
あの人があたしを嫌いにならない限り
流れは 決して変わらない

 2日
今日は仕事をほかして 映画を見に
あたしがいちばん大切にしているものって 何かしら
いちばん古いもちものって 何だったかしら
古い写真は まだ田舎においてあるのだし
日記だって 手紙だって 焼いてしまったもの
あたしにとって 父や母の思い出は
何処に封じ込めてあるのかしら
心配をかけたことは確かの
そしてまだまだ 心配をかけそうな
まだまだ子供のあたし
そしていちばん悲しいことに
ふたりが年をとってしまったってこと
いつのまにか しだいしだいに
人間って悲しい そして淋しい
でも 今日 電車のなかで
すてきなおばあさまに出会った

 3日
朝8時半に telephone coll
あたしはちょうど夢の中
あの人の夢をみていました
あの人を愛していると 母や兄たちに言っているのです
そこで中断
あの人は必ず約束を守ってくれる
あたしが言った小さなひとことを解って
覚えていてくれる
それはあたしにとってどんなに嬉しいことかしれません
あたしの心の中で(地図の中で)あの人の占めるものは
さながら 広い広い海 深い深い海
あの人とあたしだけの海溝のような秘密
海底火山のように海の底で激しく燃えるのです
見えない糸でつながったふたり
生まれる前から巡り会うように定まっていた
夜 10時にtel
あたしのこころが通じてあのひとの声
嫌なお酒を飲んで ちょっぴりいつもとちがう
でも 明日は機嫌直して

4日
セクシャルな人って
別れたあとですぐ逢いたくなる人
その人の眸は何かを語りかけるよう
いつもきらめき何かを発見できる人
愛しい人と一緒に暮らすようになったら
もう恋は死んじゃうのだと思っている
いつも手の届くところに恋があれば
恋は恋でなくなる
ああ でもつい数時間前 あんなに愛されたのに
あたしはもうあの人を求めている
例によって金曜日のやさしい雨
雨はあたしたちの味方
あたしはあの人の許で紛れもなくしあわせでした

 5日
土曜日ってなんとなく半分て感じがする日
朝もお陽さまが高く上がってから起きだして
半分失くしてしまったような日
お昼過ぎからてくてく歩いて
さんかく山やどんぐり林
昔の古ぼけた家並みを通り過ぎて
街まで出た
本屋さんで時間を潰し
ブティックで
すごくタイトのオリーブ色の
チャイナスカートみつけた
あまりぴったりしすぎて窮屈な洋服なんて
大嫌いだったのに

 6日
あの人のところへ行く途中
道ばたでみつけたあの青い実
どうしたでしょうね
あたしにとってはすごく不思議な色の木の実に
見えたのです
青い実を食べたらどんな味がしたでしょうね
なんとなく苦そうな気がするのです
そう あれは禁断の木の実ですもの
あたしが食べた木の実は青い実
あたしにとっては初めての木の実
最初はとてもためらわれ
口にするのに勇気がいりました
それはあたしを痺れさせずにおかない味でした

 7日
私の愛しい電話友達
みなみのうお座のフォーマルハウト 知っています?
ひとりぽっちの1等星
私の水がめ座の真下にいます
今度 プラネタリウムに行きませんか
にせものの小さな星空でもいいんです
あなたという生命も 私という生命も唯一のもので
宇宙とともに幾たびも生まれ変わって来たのだと
思いません?
それ以前に何万回 何億回の過程があって
巡り合いがあったのだとすれば
なんて幸せでしょう
人には計り知れない宇宙の力があるのだもの
(また明け方 あなたの夢を見たのですよ)








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