いつか見た青い空

いつか見た青い空

直樹と美帆の恋路



伊良湖ビューホテルホームページ

今回は、普通の恋人達のデートでしたが、次回は違います。

なお、この作品を読んで、気分が悪くなる人は次回から読まないほうがいいと思います。


では、お楽しみください。








六月の晴れた日、直樹の運転する車は特別に何もなく順調に渥美半島の先端の伊良湖ビューホテルに向かった。

途中で何ヶ所かに地縛霊がいたものの、憑依をしようとした霊は一体だけで、

当然ながら直樹が気を放出して弾き飛ばした。今朝の美帆の部屋の前にいた老婆の霊の警告が気になり、

いつもより、敏感に反応してしまっている。

普通の状態でも直樹の近くには寄ってこれない。仮に近寄ってきても直樹のオーラが強い為に

弾き飛ばされるか、直樹を避けて素通りしていくのが普通である。

直樹の隣りで美帆がポテトチップスを食べている。美帆はいつもより、

口数の少ない直樹の態度を感じていた。

「ねえ、直樹、何かあったの?直樹の無口の時って、霊感を働かせている時よね?やっぱり、何かの心霊現象がありそうだから、変な夢を見たり、鍵がなかったりしたの?」

直樹は今回だけはあらかじめ全てを話そうと思った。

「実をいうと、今朝、美帆の部屋の前に老婆の霊がいたんだ。俺は霊の声を聞く霊聴能力はそんなに強くないから、はっきりと聞こえなかったんだけど、 気をつけて! と言った気がする。恐らく、美帆の夢に出てきたおばあちゃんだと思う。美帆が見たおばあちゃんが出てくる夢は、霊が見せる夢で 霊夢 というんだ。美帆の近い未来に何かあるはずなんだ。鍵を隠したのも、間違いなく、おばあちゃんの霊の仕業だ。俺なりに今回の旅行で何かあるのか?と思ったから、今まで霊感を働かせてきたんだけど、これと言って現象は起きていないんだ」

「やっぱりね。そう思ってたよ。けど、どこで心霊現象に襲われるかはわからないんでしょう?だったら、いつもみたいにドライブ楽しもうよ。まず、伊良湖岬に着いたら、恋路ヶ浜を二人で歩いて、名物の大アサリを食べて、それから、ホテルに着いたら、お風呂に入りながら太平洋の向こうに沈む夕日を見て、部屋で食事しながら、ビールを飲んで、また、ビール飲んで・・・」

子供の様にこれからの行動を語る美帆を、直樹は物凄く大好きだ。愛している。

どんな心霊現象が起きても、必ず守り抜く覚悟がある。

すると、美帆が直樹の顔を突ついてこんな質問をした。

「ねえ、直樹・・・ビール飲んだ後、どうする?ねえ、何かするの?」

いい年をして直樹は エッチ と答えた。この答えに美帆は、また直樹の顔を突ついた。

「や~らし~い。私にはわかってたんだからね。どうしようかな~。」

直樹は霊感も働かせていないのに無口である。

「残念だな~私、今日、生理なんだ。」

「別にいいよ。エッチが目的の旅行じゃないからさ」

少し、微笑みながら美帆がまた、直樹の顔を突つきながら話しかけた。

「嘘だよ~。う、そ。大丈夫だよ~。元気出た?ねえ、元気出た?顔が真っ赤だよ。きゃははっ、おもしろーい。」

そう言いながら美帆はず~と直樹の顔を突ついている。

少し時間が経ち、目的地の伊良湖岬に着いた。予定通りに午後3時には恋路ヶ浜を二人で歩いていた。一時間

ほど過ごして、伊良湖ビューホテルにチェックインをした。ホテルの駐車場に入る為に恋路ヶ浜の坂を登って行

った時に美帆が叫んだ。

「あっ、直樹、ここだよ。夢に出てくる風景。間違いない。ここだよ。夢で見ていた時より、ずーと、綺麗な海。素敵ね。」

美帆のその言葉を聞いた時、直樹の脳裏に刀が浮かび上がった。

「なぜ、美帆に刀なんだろう。刀が関係しているとしたら・・・かなり古い霊なのか?」

その後、チェックインを済ませ,案内された部屋からとても広大な海が見えた。

二人が見ているその先で,海と空が一つになっている。

もうすぐ綺麗な夕日に太平洋が綺麗に染まりはじめる。そして、二人の夜がくる。

久しぶりの旅行を二人は思いっきり楽しんだ。ホテルにも部屋にも霊の気配はない。

次の日の朝,潮風が二人を祝福しているかのようにカモメと空を舞っていた。

直樹と美帆は伊勢湾フェリーで三重県の鳥羽に渡った。鳥羽水族館で2時間ほど過ごし,

夕方には豊橋に着いていた。ファミレスで食事をして美帆の部屋で休んで

直樹は自分のアパートに帰っていった。

何事もなく、この旅行を楽しい思い出にする事が出来た。




© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: