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いじりの楽園
れっつんさんからの頂き物
何時も本当にありがとうございます~~!
今回は楽器もの!!
凄いですね~~!
奏でられた旋律が
戦慄すべき光景を呼ぶ
13の絃
「筝(そう)」……という楽器を知っているかい。
一般的に「こと」と呼ばれ、「琴」の字を当てられている楽器のことだが、正しくは「筝(そう)」であり、「琴(きん)」とは本来は別の楽器なのだよ。
筝と琴の最大の違いとは何か……。
それが、筝には音程を調整する「柱(じ)」があるのに対し、琴にはそれが無いことなのだということは、まだあまり知られていない。
護廷十三隊は、「筝」によく似ていた。
隊長、副隊長という「柱」が存在し、その存在が隊ごとの音程を調整し、動いていた。
柱が動けば、それに共鳴して隊の音程は悉く変化する。
それも、面白いことに、「筝」は護廷十三隊と同じように、13の絃を持っている。
一から十まではその数字で呼ばれ、十一以降の3本の絃は「斗(と)」「為(い)」「巾(きん)」と呼ばれている。
まぁ、余分な知識ではあるのだけれどね……?
……尸魂界の騒動を大きくした、旅禍の少年なんかは……実に面白かったね。
彼には随分と楽しませてもらったよ。
そう。彼は護廷十三隊の隊長及び副隊長格の立ち位置に、それぞれの変動をもたらした。
……まぁ、そのうちの幾つかは私が変動のきっかけをわざわざ与えてやったのだが……。
それにしても、彼の動きというのは実に興味深かったものだ。
彼の動きによって、護廷十三隊の13の絃、それぞれを支える柱の位置が、それぞれに変わった。
それが示すものは何か。
即ち、奏でられるのは護廷十三隊の不協和音――。
そして、それを裏で演奏しているのは紛れも無く、この私なのだ。
私が少し指示を出せば、柱の位置を自由自在に動かすことが可能になる。
中央四十六室を支配するということは、即ちそういうことだ。
そういう点で、あの旅禍の少年は……面白かったのだよ。
私は、あくまで「四十六室」として、護廷十三隊の隊、それぞれの動き、それぞれが奏でる音を変化させることしか出来ない。
だが、その反面で旅禍の少年は、自らの刃で、あの“朽木白哉”という男の堅い精神までをも衝き砕いてしまった。
そして、いつの間にか六番目の絃を支える柱を、私が予定していた場所より大きく外れたところに動かしたのだ。
そうなると面白いものだ。
私が整えてきた不協和音は、やがて何事も無かったように共鳴を始める。
それぞれの柱の場所が違っているのにも関わらず、だ。
護廷十三隊は、なかなかに興味深い変化……いや、成長を始めてきているようだ。
だが、今はまだそれは恐れるにはまだ全く足りない。
それに、今後も成長し続けるとはとても私には思うことが出来なかった。
私の本来の意図を理解できるまでは、少なくともね。
天の空白を埋めるのはこの私だ。
そして……この天の座は私以外の誰も埋める事は出来ない。……いや……埋めさせないよ?
もしも私の立つ場所が揺るがされるようなことがあれば、そのときは……。
地にまで墜としてやろう。
それが天の座を支配する私の義務であり、柱を動かした私の楽しみの一つなのだよ。
・・・
筝の五番目を支えていた柱が、ぱきりと音を立て、絃が弾け、柱が飛んだ。
素人が扱うと筝が牙を剥くかのように、そんな状況を生むことがある。
五番目の柱は、欠けていた。
同じ頃。
高い天に備え付けられた台座で、藍染惣右介は嗤っている。
天を支配するものとして、柱を自らの手で壊したその手は、今……。
地に向けられている。
「もっと、楽しませてくれ」
それが彼の求める、真の祝福。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
なんて典雅な世界でしょう~~。
優雅ですね~~。
格調高いですね~!
そして悪いですね~~!(爆笑)
悪の品格をびしびし感じる作品ありがとうございました~~!
・・・・・・・・・・・・・・・・
れっつんさんからいただいた3作目です~~!
傾けられた盃(さかずき)は
欠けた月のように 鈍い色を放った
Moon Goblet
黒雲が空を包み込み、辺りで何匹もの蝙蝠が啼く声が聴こえる。
森林の奥深くに聳え立つ孤城に構えられた、小さな塔の小部屋……其処に藍染惣右介は居た。
天窓のついたその小部屋の真上に、ちょうど月が昇っている。
「嗚呼……今宵もまた、綺麗な月が昇っているね……?」
言いながら、藍染は天窓から注ぐ白銀の月光を眺めていた。
その手にはグラスが軽く握られており、中で真紅の液体が踊っている。それは少しだけ生臭く、かつ甘い芳香を漂わせていた。
紛れも無い人間の血である、その真紅の液体を眺めながら、藍染はグラスを天窓へ寄せた。
天窓から注ぐ白い月光は、まるで血の紅に吸い込まれつつもそれを照らし、見事な色彩のグラデーションを浮かび上がらせる。
藍染の柔らかな微笑んだ口から、白い牙が覗く。
それはまた、月光と同じように血の紅を鮮やかに照らし出していた。
グラスが静かに傾く――。
音を立てず真紅のそれを啜り、飲み干すと、藍染は静かにグラスを置いた。
グラスの横には大きな瓶がでんと構えており、それにはまだ少量ではあるものの、真紅の血が残されている。
「人間の……それも女性の血ほど楽しめるものは無いね……ギン……其処に居るのだろう? 中に入るといい」
カタン。と天窓が開く音がする。その僅かに開いた隙間から蝙蝠がキキ……と啼きながら小部屋へ入り込む。
藍染の隣まで旋回して降り立つと、男の姿へと姿を変え、不気味にも微笑んで見せた。
「いつから気付いてはりましたの?」
「そうだね……君がこの部屋の近くを旋回し始めた頃くらいかな……ところで、何か用でもあるのかい?」
「……いや別に用は……ん? ……ああ、これ少しもろても宜しいですか?」
「構わないよ。好きなだけ呑むといい。これは朽木に無理を言って買い取った一級品でね。きっと君の口にも合うと思うよ」
“POISON RUBY”と記されたシールを貼ってある瓶を、その冷ややかな光を帯びた視線で示しながら、藍染はふっと息を吐いた。
その吐息は先程飲み干した、血の匂いを淡く放っている。
ギンはその僅かな匂いに鼻をひくつかせ、それから瓶にゆっくりと手を伸ばした。
コルクの栓を開け、その中身を少しずつ傍らへ置いてあるグラスへと移していく。
「うわァ、こらええ匂いですわ。ほんまにもろて良いんですの?」
「ああ。せっかく此処まで来てくれたのだから、それくらいの持て成しはするよ。それに……君もその積もりで来たのだろう?」
「なんや、ぜーんぶ分かってはるやないですか」
「当たり前だよ。君の事もだいぶ理解してきた積もりだからね」
促され、グラスへ注がれた真紅の液体へ目を落とす。途端、ギンの瞳の色が少しだけ変化したように思われた。
普段閉じている瞼が、一瞬開眼したときに覗く、あの淡い蒼の瞳も、この瞬間ばかりは血と同じような紅に染まる。
それが吸血鬼の特徴なのか、はたまた彼自身の特性なのかは分からないが、ただ、それを欲していることには何一つ違いは無い。
グラスに手をかけ、音を立てずに飲み干した。グラスを置く、こと。という音だけが小部屋を突いて回る。
藍染はその様子を見ながら、少しだけ微笑んだ。
けれど、その笑みは決して「楽しい」とか、そんな甘ったれた笑みではない。どちらかというと「愉しい」に近い、高らかな嗤い。微笑み――。
「さて……まだ要るようならもう一本開けようか?」
「いや、わざわざ気ィ遣わせるまででも無いし……ボクは此処で失礼させてもらいますわ。また……一つよろしゅう」
「はは……また朽木に無理を承知で頼んでみよう」
「違いますって。血やのうて、別の事ですわ」
「それも分かっているよ、ギン。私からも一つ……宜しくとでも言っておこうか」
言いながら、先程指し示したもう一本の開封されていない、血の入った瓶に触れ、それを手繰り寄せる。
そして不審がるギンをよそに、藍染はそのコルク栓を開け、二つのグラスに真紅の血を均等に注ぎ込んだ。
その一つをギンの傍へ置き、自分もまた真紅の液が揺れるグラスを片手ですい、と持ち上げ、それを口元へ寄せる。
「さあ、ギン……一つ……乾杯と行こうじゃないか」
重なり合うグラスは、鈍い色を放ちながら高い音を奏でた。
その音色もまた、キキキ……という、あの宙を舞う蝙蝠の啼く声に似て、愉しそうに嗤っていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
バンパイアものですよ!!
オイラには出来んSSですよ~~!
酒と惣さまがまた合う!!うんうん!!
ホンマに、そのまんま吸血鬼になれるな・・惣さま(笑)。
神が描いた、カラーのバンパイアの一護たちが、しっかり脳内で惣さまに入れ替わって想像させていただきました。
れっつんさん、ありがとうございました~~!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
理解される必要は無い。
君達の唯一の役目が、私を理解しないことなのだから。
The desert which dyes to brown
感情というものは、時に恐ろしい力を発するというが、それは違う。
そんな物は、所詮偽りの力に過ぎない。それを抑えることも、私にとっては容易いことだ。
そして、また感情というものは、時に不必要なことも呼び寄せる。
哀れな話だろう?
元々、死神というものは現世と尸魂界の二つの世界の魂魄のバランスを保ち続けることが主なる仕事。
そこに要らぬ感情を注ぐこと自体が、何とも可笑しいものだ。
だが、四大貴族の者ですら、時には感情に捕らわれて行動を起こすことがある。
詰まり……感情自体は我々の視界から取り除くことは出来ないということだ。
憧れの念や尊敬の念。それが何を齎(もたら)すか、君には分かるかい。
それが、ただ、私の周りを薄く取り囲んだ別の人格から、極端に目を逸らす力を与えるのだよ。
私以外の者の殆どが、私のことを「とても真面目で、尚且つ部下思いの優しい隊長」だと思っていた節がある。
それだけではない。その思い込みから生まれた感情そのものが、私という存在そのものを美化し、別の者と捉えるのだ。
そのような余計な感情が、人の真の素顔を覆い隠してしまう。
だからこそ、騙されていると心の何処かで感じても、それを自分で掻き消してしまうのだ。
このことから、結論としては、憧れや尊敬の念は、最もその人物の理解から程遠いということになる。
私はその事実を、かなり前から知っている。
そして、それを実行したことで、その事実を、面白いほどに実感した。
楽しいものだ。
私の斬魄刀を人目でも目にしたものは、全て私の作り出した虚構の世界の虜となる。
そして、そこに陥れていないうちでも、既に彼等は私の世界の手中で溺れているのだ。
私という人格を、永遠に理解しようともしない。それが元で、私の力に倒れ伏すのだ。
それから特に面白いのは、私を善人だと思っていた者の驚く顔だ。
あのように驚き、そして一度に絶望の淵に立たされる姿は見ていてそそる物がある。
現に、二度も「嘘」という言葉を聞いたときは楽しくて仕方が無かったね……。
これ以外にこれほど楽しいことが、他にあるだろうか。無いだろう?
天に立つということは、簡単なことではない。
しかし、これほど楽しいことは他に無いのだから仕方が無い。
私は更に、楽しみを求めるよ。
だからこそ……旅禍の少年、人間にしては、君の働きは実に面白かった。
これからも、この私を楽しませてくれるかい?
いや、楽しませて貰うよ?
私から少しでも目を付けられたことを、後悔するといい。
君の力を存分に見せてくれ。そして、出来るだけ強くなって此処まで来るといい。
楽しませてくれよ。
この私の手中でね。
へんてこなおまけ(MEMORIES OF NOBODYの直後の話です)
市丸たいちょと要さんは自分のとこの副隊長が大好きで(ストーカー気味)、惣さまは微妙に天然です。
イメージは死神図鑑ゴールデンでw
惣さま「……おや、私が少し目を離していた間に、どうやら大変なことになっていたらしいね。
まぁ、あの程度の者に消される世界でも無いだろう。……捨ておいても大したことにはならなかっただろうが」
ギン 「やっぱ、天に立とうと言うお方は、ほんに意気込みが違いますなァ。
せやけど隊長、一つだけ気にかかったことが……」
惣さま「何だい、ギン?」
ギン 「……あの巌龍いうもんは、現世と尸魂界をくっ付けて、それで両方とも消したろ思うとったんやろ?
せやったら、虚夜城(ここ)はよく無事やったとは思われませんの? ボクら、世界崩壊の境目におったっちゅーのに」
惣さま「……言われてみると、確かに危なかったかもしれないね……(何故気が付かなかった!?)」
ギン 「でも、それよりもボクのイヅルが消えへんで一安心やわァ。元気そうで何よりやったで。
それによう見たら、またべっぴんさんになってたで、イヅルw 思わず見つからんようにこそっと触ってきてしまったw」(←触った!?)
要 「……(それに修兵もあの場に居たようだ……確かに匂いと気配を感じた)」(←匂い!?)
惣さま「……ところで、念のために確認させてくれ、ギン。
キミがさっきまでどこかに消えていたのは、もしかして叫谷に行っていたと考えても良いということかな?」
ギン 「もしも、そうやったら、何か問題でもありますか?」(←ちょっとどきどき)
要 「(!?……ひょっとすると、私が修兵を見に行っていたこともバレてしまうのか?)」(←かなりどきどきはらはら)
惣さま「そうか……それなら仕方が無い、とりあえず君達は暫く此処から離れないようにしてくれないか。
もうじき、あの旅禍の少年もこちらに向かってきそうだからね。
大体、そろそろあんな部下のことは忘れたらどうなんだい、二人とも」
ギン 「そないに簡単にボクがイヅルを捨てられると思うてますの!?」
要 「…………」(←どきどきどきどき)
惣さま「まぁ、君達のことだから多めに見てあげるとするよ。だけど、私が天に立つまでは外出禁止にさせてもらうが」
ギン 「隊長のしぶちん」(←ケチという意)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
れっつんさん、ありがとうございました~~!
まさか惣さまのSSを作っていただけるとは思いませんでした!ありがとうございました~~!
「理解」という言葉がポイントです。
惣さまは難しい事を考えるので、オイラもいじるときには注意しますが、見事な思考の展開~~。
いやはや、お見事でございます~~!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
れっつんさんからまた頂きました~~!
The chocolate which is sent to you
咲き乱れる一輪の花。
その花の色ほど映えるものはない。
だからこそ。
その花の色に染まりたいとは思わないか?
Dye to my color
君が私の前に現れたのは、いつだっただろうか。
君は、ずっと前から私のことを見つめていたようだね。気付いていたよ。
だけど、この先のことを思って、私は君の手を握る……フリをしていた。
君は、そのことに気付いていたのだろうか。
私にそれを知る術はない。けれど、いつの間にか私の心すら揺れているのに気付いた。
計画の、ほんの数ヶ月前だったか。
確かに、君は美しかった。誰よりも私には、君の姿が映えて見えたものだ。
それは君の事を好いていた、という感情に近い。
しかし、私はこれから尸魂界全土を裏切らなければならない。勿論、君の事も。
だから、ずっと君の手を握る、フリをしていた。
私はどんな者も、好いてはいけない存在だ。
天に立つ存在だから、それは致し方ない。
だから、ずっと君の手を握る、フリをしていた。
いけない子だ。君という子は。
尸魂界を裏切る前の、最後の冬。2月14日。
君は現世の「バレンタインデー」という行事に合わせて、私に菓子を差し出した。
知っているよ。それは好いた男に、女性が渡すものだということ。
だからいけないんだ。
夕闇に映し出された君の瞳を見ていると、危うく計画のことすらも忘れそうになる。
だからいけないんだ。
……いけない子だよ、君は。
花の色は、何故美しいのか。それを考えたことが、君にはあるかい?
そう聞くと、君は悩んでから「分からない」、と言っただろう?
その答えを、私はこう考えているんだ。
『花は、直ぐに散ってしまうから』だとね……。そう。どんなものも、散り際が美しい瞬間なのだよ。
だから、君も同じことなんだ。散り際が、きっと一番美しい。
けれど、私はその姿を見たくはない。
そう思うからこそ、君にはあまり関わらないようにしていた。
君の事を考えていたからこその、私の手一杯の行いだった。
その夏。私は大勢の隊長格の目の前で、虚園へと逃げ込んだ。
後悔していることは一つだけ。
「君を、連れてこられなかったこと」
それだけだ。
幸せにする、と誓うことは出来ない。
けれど、花のように美しい君に、こう言う事だけはきっと出来ると信じている。
「愛している」
偽りは無い。その言葉だけが、君へ捧ぐ最後の言葉。
だからこそ、君は花のように散ることの無いように……。せめて、散り際は私の目の前であるように……。
分かるだろう?
分からないなら、君は本当に……悪い子だよ……?
・・・・・・・・・・・・・・
世にも珍しい悩める惣さまです!!
ひい~~!
惣さまがおよそ、口にしないような事を言わせてしまうこのダイタンさ!!
攻めの姿勢にオイラ、大喜びです。
凄いぞ、れっつんさん!!
お忙しい所、ありがとうございました~~!
楽しく読ませていただきましたよ
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