tomorrow

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初めての旅!!(コリアンの夜。)





僕は取りあえずこの国を抜け出したかった。

ムシャクシャした気分のまま、旅行会社のデスクに向かった

「年末に、どこか格安で、チケット余ってないですかねー?」

おどけて、冷やかし半分で、カウンター越しの人間に告げた

「お客さん!!ソウルはどうですか?今からなら、取れますよ!!」

僕は少しためらったが、とにかく仕事がハードで会社も仕事もいき詰まっていたので、どこかに逃げ出したかった。

「じゃあ、それで頼みますよ!!」僕は軽く了解した。

それでは、羽田から出発になりますので、パスポートはお持ちですか?

「順一さん、それではこちらの書類にサインをお願いします」

順一は了解した。

仕事が終わり、順一はその足で、羽田に向かった。

ダブルのスーツに、ビトンのボストンバックを片手に携帯から、飲み屋のサエちゃんに、電話を入れた。

「ワリー、サエチャン今夜遊びに行けないや!!又ねー」

計画的犯行だ!!もう、僕にとって今の生活はどうでもいい

し、うんざりしていた。

何がある訳じゃ無いが、一人で旅をしたかった。

「愛してるとか、好きだとか、どうでもいいことなんだよ!!今の俺には!!」

羽田を飛行機が離陸する時、そっと独り言の様に呟いた。

金浦空港からバスに乗りホテルに着いた。

記念すべき初めての海外旅行だった。「さー、知ってる人間もいないし、言葉もわからないし、カジノでも行こうか?」

順一はホテルの名前の入ったマッチをポケットに入れ出掛けた。タクシーに乗り込み「ウォーカーヒル」と告げた。

「さー、何から始めるか!!」取りあえずルーレットから始めた。赤と黒から、賭け始め、見る見る上手い事勝ち続けた

「ノー、チェンジ、」いい所で、僕はポーカーに移った。

日本人の観光客も何人かいたが、見事に巻き上げられていた。

ボーカーもそこそこの所で切り上げた。

ホテルのロビーに戻るとさっきの運転手がいた。

「旦那すごいねー!!これから何処に行く?」

順一は答えた!!「ソウルで楽しい店に連れて行ってくれ!」

順一はどうでも良かった。この運転手がロクデモない奴なのは、わかっていたから。

カジノに居る時から、どこからか視線を感じていた。

順一はワクワクしていた。

タクシーの運転手が連れて行ってくれたのは、ステージのあるクラブだった!!

まるで、60年代の日本にタイムスリップをした様な室内だった。

僕は取りあえず、ビールを頼んだ。

                    つづく。


ナイトクラブでピンチ!


虎穴に入らずんば虎子を得ず!

まさに、怪しいナイトクラブだった。

「いい鴨が来たぜ!」タクシーの運転手はさっき、店から、こづかいを貰っていた。

どうやら、俺は売られたらしい。

ボックスシートから舞台をみると、どこかで見た、まわるい眼鏡をかけた男がダンサーをバックに歌っている。

まるで、熱海あたりのホテルのディナーショーの様だ。

恭平に似た、ボーイが、灰皿をかたしたり、チョクチョクやって来る。

そのうち女の子も付き、どんどん変わる。

飲み物も恭平似のボーイが持って来たへネシーを飲みながら、何とか片言の英語と日本語で騒いでいた。

そのうち、「私この店のマネージャーね!よろしくね、ウメさん。あの歌っている人有名ね!ウメさん、チョンさん!!チョンヨンピルね!」

俺はよーく目をこらして見た。確かに、本物だった。

しかし、このマネージャー、水戸黄門に出て来る、悪徳商人みたいな風貌だった。

「ウメさん、私面倒みるね!夜女の子紹介するね!」


「もう、いいや、お勘定!」

悪徳商人は、聞こえないフリだ。

険悪なムードが漂った。気が付く
と僕の回りの席は20人ぐらいの店員に取り囲まれていた。

                     続く。


続、ナイトクラブでピンチ




「お勘定!!」

見渡すと、僕のボックスシートには、20人ぐらいの店員に囲まれていた。

「順一さん、まだここにいるねー!!外は寒いねー、一人で帰ってどうする!!綺麗な女の子紹介するね!!」

悪徳代官顔負けのいやらしい、マネージャーは、店員に耳打ちした。

「チョンさん、ダンヒルなんか不味いねー、コレ数よ!!」

悪徳代官は、マイルド8と描いてある韓国の煙草を俺に勧めた。

「チョンさん、今日カジノで勝ったでしょ!!だから今晩、
慰安婦必要!!日本人みんな好きね!!」

順一は足を組み、態度を変えなかった。隙を見せたら舐められる。と直感的に思った。

「チョンさん、お酒強いねー!!こいつ、ボクサーね!!」

店員の一人を悪徳代官はそばに連れてきた。横でネエチャンのケツを触りながら。

「はい、握手するねー!!」

順一は、何がボクサー何だ!!背も低いしガリガリの体で!!

そして、握手して店員のボクサーと目を合わせた。

「ヤバイ!!」握手すると、全身が鳥肌が立った。

あまりの眼光の鋭さに、こいつの強さを感じ取った。ハッタリじゃ無い、ハングリーな奴だけが持つ眼光だ!!オーラが違った。

「チョンさん、彼、家の用心棒ね!!」

順一はポーカーフェイスでいた。「あんた、飲み屋の他に何やっているの?」悪代官は、笑って言った。

「チョンさん、あんただって只者じゃ無いでしょ?一人で私の店にやって来て、日本人、一人じゃ来ないねー!!」

辺りを見回すと客は順一だけだった。

テーブルで店の支払いをした。明らかに吹っかけて来た。

「チョンさん、安いでしょう?」

「おお、安いは!!ほら、これでいいか?」

僕はポーカーフェイスを崩さなかった。

「トイレどこ?」順一が席を立つとさっきのボクサーが人垣を割って来た。

「おお、何じゃ!!お前!!俺が逃げると思っているのか?」

「チョンさん、彼チョンさんの見張りねー!!」

「おう!!お前俺の足元みるんかい!!」ボクサーが怯んだ!!

トイレに行くと、恭平に似たボーイがいた。

恭平に耳元で、「タクシー捕まえてくれ、2万ウォンやるから!!」

一万ウォンを胸ポケットにネジこんだ!!

トイレにいるから、捕まえたら、トイレのドア3回叩け!!

何故か、日本語と、英語でこういう時は意志疎通が取れる物だ。

地下にあるこの店の階段を恭平に似たボーイは、駆け上がった。

「ドンドン!!トイレのドアが叩かれた!!」

「うるせーな!!この国は便所にもゆっくり入れねーのか?」

外で、韓国人ボクサーの声が聞こえる!!

「トントントン!!」奴だ!!順一はユックリドアを開けた

恭平は俺の手を腕から掴むと、裏口から外へ逃がしてくれた。

すかさずタクシーのドアを開けると、俺は恭平似のボーイの胸ポケットに2万ウォンをねじ込んだ。

「グッドラック!!」彼は確かにそうつぶやいた。

マニュアルミッションの三菱製のタクシーは走り出した。

何処に帰るんだ?と聞いている様だったので、ポケットから、ホテルのマッチを取り出した!!運転手は頷いた。

途中、タクシーは道端で女の子を拾った。この国では、相乗りは常識らしい。

「お兄さん!!日本人?私、学生だから、日本語わかるよ!!こんな時間に慰安婦でも探してた?日本人好きだから。」

日本人は、戦後アジアでの認識はこんな物らしい!!

何やら運転手と話し、「お兄さん、ソウルは氷点下だから、
夜、うろうろしてたら、死んじゃう所だったよ!!」

ホテルに着くと、ガイドが俺を心配していたらしい!!

「順一さん何処に行っていたのですか?夜は危険だって言ったじゃないですか?」

明日は何処に行こうか?

ポケットには、さっきのタクシーでいっしょだった子が、電話番号を書いた紙をくれた紙が入っていた。

「明日、電話くれれば、観光案内してあげますよ!!」

何だ、楽しくなって来たぞ!!

明日はミョンドンでも行こうかなー?

順一は大人しく、ベッドに入るのだった。

                  続く。


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