tomorrow

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すれ違い。



確かに、電話は毎日くれたけれど私はちょっとの時間でもいいから、逢いたかった。

私のバイトも結構忙しく、毎日を過ごしていた。

「ユミコも大変だね!!いつも一生懸命ありがとう!」

店長は疲れきった顔をしていたが、一度ホールへ出ると仕事の顔になっていた。

大人って大変だ!!どんなに疲れていても店長はお店ではそれを見せない!内心、大人ってカッコイイなぁーと思った。

「ユミコ!!今度おいしい物でも食べに行かないか?いつもがんばってくれてるお礼に奢るよ!!たまにはいいだろう?」

店長は栃木から東京に出て、実家はそこそこの地主で、給食センターを経営しているらしい!!

車は、順一と同じでとても好きらしく、ボンボンの店長らしく、BMWだった。

「店長って車好きなんですね??店長の車すごく高いんでしょう??」

店長は自慢げに、少年の様に目を輝かせた。

「俺の車は1969年式のBMWさ!!そうだな、クラウンよりもソアラよりも高いけど、エンジンサウンドがたまらないんだよなぁー!!そうだ、今度ドライブに行こう!!」

ユミコはそんな少年の様な瞳をする店長をかわいいと思った

心の中で、「順一もバイト忙しいみたいだし、私だってモテルんだから!!」

「店長!!車の中でどんな音楽聴くんですか??」

店長は笑いながら、「最近歌謡曲しか聴かないから、ユミコにまかせるよ!!」

ユミコは思い出した!!

そういえば、この間、順一の車で聴いた角松のテープ借りていたんだっけ!!あれを持って行こう!!

少しづつすれ違う気持ちにユミコは何も気が付かなかった。

だって、これは浮気じゃ無いし、いつだって順一の所に引き返せるのだから。

ユミコはそう自分に言い聞かせるのだった。

                     つづく。


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