病院というところ


自分ひとりで通うようになる事を想定して、遠くない場所を選んだ。
目指すは隣区のSメンタルクリニック、サイトで見る限り、院内の雰囲気もあったかそうに見えた。

だけど。


『20日は休診とさせていただきます  院長』


勇気をふりしぼって、クリニックのドアの前までついた私を
出迎えた言葉はこれだった。出だしからしてこれだ。

一気にやる気をなくしそうになった私と、励ますパートナー。
私は頭の中に残っていたもうひとつの病院名をあげ、車はそこへ向かった。


第一印象、暗い

N医院を外から見て、出た言葉がこれだ。
昔からよくありがちな、間違った精神病院のイメージが浮かぶ。
この病院の中では、いきなり拘束衣を着せて電気ショックでビビビ
なんて事をやるんじゃなかろうかと言う感じだ。

一瞬やめとこうかと思ったが、せっかく来たし、
次の機会を待つとあと1週間、とてもじゃないが、私がもちそうになかった。

外から見るとやばそうな雰囲気も、中に入るとそうでもない。
外観は古いが、中は充分に手をかけてある。

受付へ、と思った頃から、・・・来た。
元々、知らない人に話しかけるのが恐ろしく苦手だ。
受付に保険証を出す、それさえも出来なくなっていたらしい。
私の胸元あたりで、ガタガタがスタンバイをしている。
パートナーの助けを借りて、ようやく受付。問診票を渡されて記入。
その後すぐ、看護婦さんによる予診が始まった。
パートナーと共に別室に入って、プライベートの事などあれこれ聞かれる。
途中、ガタガタに襲われて何も答えられずに泣くだけの私を
看護婦さんが「大丈夫だよぉ」と、なぐさめてくれる。

パートナーが一度ロビーで待つことになり、看護婦さんと私の1対1になる。
私の家庭環境が複雑だったので、看護婦さんが気を遣ってくれた。
プライバシーに関わりまくる部分を話してから、先生の診察へ。

先生の診察ぐらいはまともに答えようと、つい力んでしまった。
気がついたら、右手のひらに、すんごい爪の跡がついていた。

先生は、私に対して何の診断も下さなかった。
が、話から察するに、パニックっぽい部分と鬱っぽい部分が同居しているらしい。
この日、ルボックス25mgが出された。
1日2回で1錠ずつとか言ってるぐらいだから、私なんか、病気のうちに入らないのかもしれない。
こんな軽いのに、病院なんか行ってしまって申し訳ないと思った。
私みたいなのが何度も病院に行っちゃいけないと思った。
もうよそうと思ったんだけど、2週間たったら必ず病院に来るようにと念を押されてしまった。




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