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JEWEL
それは、ワルツのように 第1話
「ブラボー!」
「ありがとう、小父様。」
「今日のレッスンは、ここまで。」
土御門有仁がそう言ってレッスンをしていた少女―火月の頭を撫でた時、部屋に一人の少年が入って来た。
「ただいま帰りました、父上。」
「お帰り、有匡。」
有仁の一人息子・有匡は、切れ長の碧みがかった黒い瞳で、自分に抱き着いている火月を見た。
「先生、お帰りなさい。」
「ただいま、火月。」
有匡は17歳。
夏になれば、イートン校を卒業し、ウィーンの音楽大学へ進学する予定だ。
「先生、僕ね、いつかプロの歌手になるんだ!」
「そうか。お前ならなれるよ。」
「本当!?」
「あぁ、その時はわたしがお前と同じ舞台に立ってやる。」
「約束ですよ!」
「あぁ、約束だ。」
「ちょっと、アリマサにベタベタしないでよ!」
二人に間に割って入って来たのは、有匡の妹・神官だった。
「アリマサは、神官のものなんだからね!」
「違うよ、僕のだもん!」
「二人共、うるさい!」
ギャーギャー自分を間に挟んで喚く神官と火月を有匡が叱ると、二人は頬を膨らませた。
「みんな、お茶でも飲もう。」
有仁が、紅茶とスイーツを載せたワゴンを部屋に運びながら入って来ると、三人は笑顔を浮かべた。
「有匡、来年からはウィーンか。ウィーンは、美しい街だ。」
「そうですか。」
そう言った有匡の顔は、何処か暗かった。
日本人と英国人との混血として生まれ、周りとは違う事で苦しんで来た息子の事を、有仁は知っている。
それは、かつて自分も苦しんで来た事だった。
「有匡、どんな事があっても何が起きても、自分自身を信じて、愛してやりなさい。」
「はい・・」
「運命の人を見つけたら、絶対にその人の手を離さないようにしなさい。わたしのように、後悔しないように。」
有仁はそう言うと、亡き妻・スウリヤの肖像画を見つめた。
有匡と神官の母・スウリヤ、世界的に有名なピアニストで、大学時代にウィーンで有仁と出会い、彼と大恋愛の末に結ばれた。
有仁とスウリヤは、有匡と神官が産まれても仲睦まじい夫婦だった―有匡が12歳、神官が5歳の時に、スウリヤが不慮の事故で亡くなるまでは。
公演先のパリで宿泊していたホテルが放火され、スウリヤは他の宿泊客達と避難している最中、炎に巻かれ、亡くなった。
「この指輪だけを遺して、彼女は逝ってしまった。」
有仁はそう言うと、首に提げているガーネットの指輪を見つめた。
「父上・・」
「有匡、もしわたしが死んだら、この指輪を棺に入れて欲しい。きっと、この指輪がわたしをスウリヤの元へと導いてくれるだろうから。」
「わかりました。」
これが、父と交わした、最後の会話だった。
有匡がイートン校を卒業した年の冬に、有仁は急性心不全でこの世を去った。
土砂降りの雨の中、有仁はスウリヤの隣に葬られた。
「先生、もう会えないの?」
「さぁな。火月、これを。」
「これは?」
「母の形見だ。」
「ありがとう、大切にしますね!」
火月は、スウリヤの形見である紅玉のペンダントを有匡から受け取ると、彼に微笑んだ。
それから、十年の歳月が過ぎた。
(嘘、合格している!)
火月は、ノートパソコンの画面に表示された受験番号を見た後、思わず歓声を上げた。
「どうしたの?」
「お母さん、僕合格していた!」
「良かったじゃない、おめでとう!」
(これで、先生との約束を果たせる!)
火月は、そっと首に提げている紅玉のペンダントに触れた。
(ここが、日本か・・)
欧州で長年暮らしていた有匡は、飛行機の窓から見えるもうひとつの母国―日本に想いを馳せていた。
喧騒に満ちた空港の中を有匡が歩いていると、一台のピアノが目に入った。
ピアノに触れる事も、見る事すらしなくなっていたというのに、有匡は自然とそのピアノへと向かっていた。
恐る恐る鍵盤の上に指を滑らせてみると、それは美しい音色を奏で始めた。
突然始まったパフォーマンスに、忙しなく歩いていた観光客達が足を一斉に止め、有匡が奏でる音色に聴き入っていた。
有匡が演奏を終えてピアノの前から去ろうとすると、彼は周囲から歓声と喝采を浴びた。
それらに背を向け、有匡は独り、歩き出した。
都内のホテルに泊まった彼は、眼下に広がる人工的な銀河を眺めながら溜息を吐いた。
『は?わたしが音大の教授?冗談でしょう?』
『鶴岡音楽大学の理事長が、君を是非迎えたいと思っている。アリマサ、ユージーン(有仁)が生まれ育った国へ、一度暮らしてみるのもいいかもしれないよ。』
恩師の言葉に半ば背中を押される様に、有匡は鶴岡音楽大学の客員教授となった。
鶴岡音楽大学は、古都・鎌倉を象徴する観光名所・鶴岡八幡宮の近くにあった。
有匡が鶴岡八幡宮に参拝すると、ここへ来たのは初めてではないような感覚に陥った。
(なんだ・・)
「それじゃぁお母さん、行って来るね!」
4月、火月は鶴岡音楽大学に入学する為、初めて一人暮らしをする事になった。
「身体に気をつけてね。」
「うん!」
桜が舞う鶴岡八幡宮に参拝した火月は、初めて訪れた場所なのに、既視感を抱いた。
(何だろう、初めて来たのに、何だか懐かしいような・・)
鶴岡音楽大学の学生寮に入った火月は、荷物の整理を終えてふと窓の外を眺めると、そこには紅い月が空に浮かんでいた。
“知ってる?紅い月には魔力があってさ、願い事を何でも叶えてくれるんだってさ。”
脳裏に、懐かしい“誰か”の声が聞こえて来た。
(先生と、会えますように。)
紅い月に向かって火月はそう願うと、疲れていた所為かすぐに眠ってしまった。
そして彼女は、不思議な夢を見た。
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