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「薄桜鬼」「天上の愛地上の恋」二次小説です。作者様・出版社様・制作会社様とは一切関係ありません。二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。 男―ルドルフは、ぐるりと店内を見渡した後、さも当然だと言わんばかりに、歳三に飲み物を頼んだ。「おい、俺達は今仕事中で二人共手が塞がっているんだ。何か飲みたいなら、向こうのカフェにでも行け。」「つれないな、兄上・・」「お父様、お客様ですか?」 軽やかな足音と共に、本を抱えた娘が二階の自室から降りて来た。「千歳、どうしたんだ?」「算数の問題で、わからないところがあるの。」「代数か・・」 娘が歳三に見せて来たのは、よりにもよって彼が苦手な代数の問題だった。「へぇ、代数か。懐かしいな。」「お父様、こちらの方はお客様なの?」「まぁな・・」「おや、可愛いお嬢さんだ、お名前は?」「千歳と申します。」「チトセ、か・・良い名をつけたものだな。さぁチトセちゃん、おじさんが勉強を教えてあげよう。」「ありがとうございます!」「この公式を、ここに当てはめたら、簡単だ。」「本当だ。ありがとうございます。」「それでは、ドレスが仕上がったら、こちらからご連絡致しますね。」「今は電話があるから便利ね。それに、ミシンも。」 そう言ったミリガン男爵夫人は、娘と共に店から出て行った。「またのお越しを、お待ち申し上げております。」 千鶴は二人に向かって深々と一礼し、彼女達が乗った馬車が角を曲がって見えなくなるまで、そのままの姿勢で居た。「あら、お客様ですか?」「久しぶりだな、チヅル。」「ルドルフ様、お久しぶりです。」 そう言った千鶴の顔は、引き攣っていた。 余り彼との再会は、彼女にとって喜ばしくないようだった。 それもその筈、千鶴とルドルフとの間には、歳三と結婚するに至るまで、“色々と”あったからだ。「仕事が一段落したところですし、皆さんでお茶でも頂きましょう。」「そうだな。」「お父様、お茶をするのなら向かいのベーカリーでチェリーパイとミートパイを買って来てもいい?」「わかった。気を付けて行くんだぞ。」「やったぁ!」 歳三からパイの代金を貰うと、千歳は嬉しそうにスキップしながら、ベーカリーへと向かった。「あの時の子供か・・産まれた時は、あんなに小さかったのに。」「また昔話か?」「いいだろう、別に。」「ルドルフ様、余りお二人を困らせてはいけませんよ。」 そう言いながら店に入って来たのは、黒髪の青年―ルドルフの恋人・アルフレートだった。「お久しぶりです、トシゾウ様、チヅル様。」「誰かと思ったら、元宮廷付司祭様じゃねぇか。」「おやめください、その呼び方は。今は別の仕事をしています。」「どんな仕事を?」「ルドルフ様の秘書です。ルドルフ様は、現在NYで・・」「後で詳しくわたしの方から話そう。それよりも先に、歳三兄上、あなたにひとつ仕事を頼みたい。」「仕事?」「わたしは、お茶を淹れてきます。」 千鶴は気を利かせてそう言うと、奥へと引っ込んだ。「お母様、ただいま帰りました。」「お帰りなさい、パイはちゃんと買えた?」「えぇ。店のおじさんが、ジンジャークッキーをおまけにくれたのよ。」「そう。ちゃんとおじさんにお礼は言った?」「言ったわ。」「手を洗って、お母様を手伝って。パイを食べるのは、それからよ。」「わかったわ!」(ルドルフ様は、どうして今頃、わたし達に会いに来たのかしら?) 千鶴はそんな事を思いながら、夫・歳三と初めて会った時の事を思い出していた。 あの時、彼女はバイエルンの、小さな農村に暮らす、孤児だった。 1867年、バイエルン・シュタルルンベルク湖畔。 雪村千鶴はその日、幼馴染の藤堂平助とアルフレート=フェリックスと共に、“ある役目”をおおせつかり、皇帝ご一家のお屋敷へと向かっていた。「皇妃様って、どんな方なんだろうな?」「さぁ・・」「早く行こうよ、二人共!遅くなったら怒られるよ!」 千鶴達がそう言いながら湖の近くへと差し掛かると、突然銃声が聞こえた。「何、今の!?」「行ってみようぜ!」「待ってよ、二人共!」 三人が銃声のした方へと向かうと、そこには頭から血を流して倒れている貴族の男の姿と、その前にしゃがみ込んでいる二人の少年の姿があった。「君達、そこで何をしているの?その人、まさか・・」「君、名前は?」 そうアルフレートに尋ねたのは、少し癖のあるブロンドの少年だった。 彼は、冷たい光を湛えた、澄んだ蒼い瞳でアルフレートを見つめた。「僕は、アルフレートだけれど、君は・・」「おい、誰か来るぞ。」 そう言ったのは、漆黒の髪と紫の瞳を持った少年だった。 数秒後、向こうから慌しい足音が聞こえて来た。「ルドルフ様、どちらにおられますか~?」にほんブログ村二次小説ランキング
2025年07月30日
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「薄桜鬼」「天上の愛地上の恋」二次小説です。作者様・出版社様・制作会社様とは一切関係ありません。二次創作・BLが苦手な方はご注意ください。 1890年、アメリカ・ニューヨーク。 貴族をはじめとする富裕層が多く住むこの地域の一角に、その店はあった。 店のショーウィンドウには、今流行のドレスとスーツを着たマネキンが飾られていた。「いらっしゃいませ。」 店のドアベルが鳴り、美しいモスリンのドレスに身を包んだ少女と、彼女の母親と思しき女性が入って来た。「ここが、有名な紳士服と婦人服のお店ね。娘が今度社交界デビューすることになったから、そのドレスをお願いしたいの。」「どうぞ、こちらにお掛けになってお待ち下さい。」「えぇ。」 母娘が店の応接室のソファに座っていると、そこへこの店の主人が彼女達の前に現れた。「まぁ、あなた何処かで見た顔ね?」「そうですか、良く言われます。」 そう言った店の主人は、母娘に愛想笑いを浮かべながら、妻の帰りを待った。「只今戻りました。」 ドアベルがチリンと再び鳴り、店の中に主人の妻である女性が入って来た。 長い黒髪をシニョンに結い、夫と同じ瞳の色のリボンを結んでいる女性は、今パリで流行最先端の、膨らんだ袖のドレスを着ていた。「いらっしゃいませ。今日はどのようなご用でしょうか?」「ねぇ、ご主人の顔、やっぱり何処かで見た事があるわ。」「まぁ、そうですか。」「ねぇお母様、わたし少し大人っぽいドレスが着たいわ。」「まぁナンシー、今までのデザインのドレスの方が素敵じゃないの。」「わたしはもう15なのよ、お母様。子供っぽい幼稚なデザインはもう飽きたわ。」 少女の言葉を聞いた女性は、思わず噴き出してしまった。「どうしたの?」「いえ・・娘も、この前同じような事を言っていたなと・・」「まぁ、娘さんがいらっしゃるのね?」「えぇ、もうすぐ10歳になりますわ。」 女性がそう言った時、裏口のドアがけたたましい音を立てた。「お母様、ただいま!」「まぁ千歳、お客様がいらっしゃるときは静かになさいといつも言っているでしょう?」「ごめんなさい・・」 そう言って女性達の前に現れた少女―千歳は、まるで叱られた仔犬のような顔をした。「あらあら、可愛いお嬢さんね。」「千歳、お母様はこれからお仕事だから、終わるまでお部屋で宿題でもしていなさい。」「わかったわ、お母様。」「お父様似なのねぇ。将来美人に育ちそうね。」「えぇ。だから主人は、“あいつは絶対に嫁にはやらねぇ”って、息巻いているんです。」「わかるわぁ。」 母娘と妻の賑やかな会話を聞きながら、店の主人は時折口笛を吹いて数月前にさる資産家の老人から注文を受けた紳士服の仕上げに取り掛かった。「これで良し、と・・」 彼はそう言って額の汗を拭っていると、店の前に一台の馬車が停まり、その中から一人の男が降りて来た。 足元を美しく隙がない程磨き上げられた漆黒の革靴で飾り、襟元に黒貂の毛皮がついた外套を纏った男は、優雅かつ緩慢な動作で目深に被っていたシルク=ハットを脱いだ。「商売は順調のようですね。まぁ、貴方程の方なら、必ず成功すると思っていましたけどね。」 男は、そう言うと美しい碧の瞳で店の主人を見つめた。「ここへは何を?」「そんなに警戒しないで下さい・・歳三兄上。」「まさか、お前が生きているなんて思わなかったぜ、ルドルフ。」 男と主人の、碧と紫の瞳がぶつかり合った。「そんなに睨むな。こうして再会出来た事だし、昔語りでもしようじゃないか?」 男はそう言うと、長椅子の上に腰を下ろした。 彼の名は、ルドルフ=フランツ=カール=ヨーゼフ=フォン=オーストリア―マイヤーリンクで男爵令嬢と“心中”した、悲劇の皇太子その人である。にほんブログ村二次小説ランキング
2025年07月30日
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マスカレードシリーズ最新作。面白くて一気読みしちゃいました。これ以上書くとネタバレになるので、是非本屋さんで購入して読んでください、最高のホテルがあなたを待っています!
2025年07月30日
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前作の続編。面白くて一気読みしました。
2025年07月30日
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初めてこの作品を読んだのですが、ラストの一行までページを捲る手が止まらないほど面白かったです。続編も、機会があったら読もうと思います。
2025年07月28日
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最近ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」の単行本がいいと読書家のXのフォロワーさんが何人かおっしゃっていたのでいつか買おうと思っていたのですが、いかんせん値段が高くて手が出せずにいました。試しに近所の図書館で借りてみたところ、単行本版でしか味わえない物語の醍醐味を知り、蔵書にしようと思い、近所の大型書店二軒の内一軒の、イオンの中にある本屋さんに在庫があるとネットで調べて知ったので、今日自転車で片道30分かけていきました。一冊だけあったので、手に取って迷わずレジへ向かい、無事購入出来ました。文庫版はすでに上下巻二冊とも持っているのですが、単行本版も揃えられて良かったです。いつものようにネットをしていたら、大音量の警告音と共に、「あなたのパソコンのデータはしまいこまれました、画面に表示されている番号に電話してください」というアナウンスが!パニックになりながらも、画面をスマホで撮り、その後対処法を調べてみてコントロールパネルを起動して再起動したら直りました。肝が冷えました。
2025年07月27日
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旧都編スタート。英国の魔女・ディアナとユージンが、これからどう美世と清霞に絡んでくるのかが気になりますね。
2025年07月23日
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最近暑い日が続いて少し夏バテ気味になり、読書も創作活動も中々できずにいました。今日は土用の丑の日という事で、母が近所のスーパーで買って来たうな重を食べてパワーチャージする事にしました。エアコンが効いた室内で、読書したり創作活動したりして、暑い夏を過ごそうと思います。
2025年07月19日
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「黒執事」二次小説です。作者様・出版社様とは一切関係ありません。捏造設定あり、年齢操作あり、死ネタありです。苦手な方はご注意ください。―熱い。四方を炎に囲まれ、荒い呼吸を幾度も繰り返し、刀を握った。遠くで、誰かが自分を呼ぶ声がした。だがそれを無視して、刀を振るい、炎の中へと駆け出した。熱い。熱い―(暑い!)肌に纏わりつくような暑さに耐え切れず、シエルはベッドから起き上がった。「おはよう、シエル。」「おはようございます。」シエルが部屋から出ると、厨房ではシエルの養父・繁が朝食を作っていた。「手伝います。」「ありがとう。それにしても、暑いなぁ。」「そうですね。」両親を交通事故で亡くし、児童養護施設で暮らしていたシエルを、繁が引き取り、“家族”となった。繁は、那覇市内で居酒屋を経営していた。「おはよう、あ、シエルもう起きていたのか?」「おはようございます。」繁の長男・豊は、欠伸をしながら冷蔵庫から麦茶が入ったボトルを取り出すと、それをグラスの中に注いだ。「今日も暑いなぁ~」「そうですね。」「なぁシエル、今日は朝練じゃなかったのか?」「あ、そうだった!」シエルが店内にある時計を見ると、それは7時を指していた。「行って来ます!」「シエル、弁当忘れんなよ。」豊から弁当を受け取り、シエルは店の裏口から外に出て、中学校へと走っていった。(こっちの方が近道か・・)国際通りは普段観光客で賑わっているが、朝のこの時間帯は静かだった。国際通りを抜けた花壇の近くに人だかりが出来ていたので、何だろうと思いながら花壇の方を見ると、そこではチェロを弾いている一人の青年の姿があった。その音色は、優しくも哀愁を何処か感じさせるかのようなものだった。シエルが目を閉じてその音色を聞いていると、脳裏にある映像が浮かんだ。シエルは、何処か古びた洋館の仲を走っていた。そして、シエルはある扉の前で立ち止まり、そして―「ダメだ!」我に返ったシエルは、自分が花壇の中に突っ込んでしまっている事に気づき、慌ててその場から立ち去った。「遅かったな、シエル。」「すいません・・」何とかギリギリの時間で朝練に間に合ったシエルは、剣道部の朝練を終えた後、繁が作ってくれた弁当を教室で食べた。「シエル、今日は何だか調子悪そうだね?」「そうかなぁ。」「お~いシエル、病院に行く時間だぞ!」「わかった、すぐ行く!」「明日の大会、遅れるなよ!」クラスメイトに手を振ったシエルは、豊が運転するバイクで病院へと向かった。「それで、“あの子”は、まだ見つからないのかい?」「申し訳ありません。」「まぁ、すぐに見つかるといいけどね。」流れるように美しい銀髪の隙間から黄緑色の瞳を煌めかせながら、男は一枚の写真を見つめていた。(もうすぐ、“弟”に会えるよ。)病院から帰宅したシエルは、剣道の道着を学校に忘れてしまった事に気づいた。「豊さん、僕学校に行って来ます!」「俺が送っていくよ。」「すぐに帰って来ますから!」「気を付けるんだぞ!」シエルが家を飛び出した後、彼のクラスメイトが店に入って来た。「すいません、シエル君の道着を届けに来ました。」「そうか、わざわざ済まないな。」中学校の校門を越えて学校の中に入ったシエルは、一人の青年とぶつかった。「漸く会えましたね、“坊ちゃん”。」「あなたは、誰・・?」シエルがその青年を見つめた時、獣のような唸り声が空気を震わせた。「ひぃ!」シエルが背後を振り向くと、そこには化物が―異形の化物が立っていた。「“坊ちゃん”、こちらへ。」「え、ちょっと、何・・」青年は有無を言わさずシエルを抱き上げると、校舎の中へと入っていった。理科室に入った青年は、シエルを床に寝かせた。「あれは、一体・・」「翼手、人を喰らい、その血を吸う化物です。」青年はそう言うと、チェロケースから一振りの日本刀を取り出し、己の掌にその刃先を食い込ませた。にほんブログ村二次小説ランキング
2025年07月18日
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戦のシーンが残酷で、時代が変わってもそれは同じなのたまなあと思いました。真秀と佐保彦はどうなるのか…8巻が今から待ちきれません!
2025年07月18日
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いやあ、面白かった!ミッチー演じる越前松平家当主が、柳沢吉保演じる向井理に迫られて断った腹いせに、国替えと減封されることに。かたつむりと馬鹿にされる星野源演じる片桐と、体育会系男子で片桐の幼馴染·鷹村のコンビがいい。国ごと引越しするのは大変だし、最後まで面白かったけど、これ史実なのね…高畑充希演じる蘭がサバサバしていていい。最初のシーンでミッチーと小姓のBL未満シーン、そして将軍に袖にされた向井理とミッチーのBLシーンに笑ってしまったし、ドキッとしてしまいましたwあと、越前松平家の家宝·御手杵が出てきて思わず「御手杵!」と叫んでしまいそうになりました。最後のミッチーが、国元へ戻った藩士たちの一人の手を握ったシーンにうるっときてしまいました。
2025年07月17日
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母が近所のスーパーで買ってきてくれたお菓子。ヨーグルトの味がして美味しかったです。
2025年07月15日
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韓流ミステリー小説は本格的に読んだことはなかったのですが、二転三転する展開にページをめくる手が止まりませんでした。ドラマもどうなるのか楽しみです。
2025年07月15日
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ノラのことを3人の姉たちはちゃんと陰ながら見守っていたのがわかり、大団円で終わって良かったです。
2025年07月11日
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リンゴに関する秘密が徐々に明らかになってきましたね。
2025年07月11日
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異世界ファンタジーですが、ノラが助けた少女リンゴが抱えている秘密が徐々に明らかになるのでしょうか。
2025年07月11日
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ドラマ化するということで、原作小説を読んで予習しました。土門さんがいいキャラしてますね。シリーズ化しているので、続編も機会があれば読んでいこうと思います。
2025年07月11日
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通り魔殺人事件の裏に隠された巨大組織の陰謀。「相棒」の脚本家の太田愛さんが描く社会派ミステリー。読み応えがありました。詳しく書くとネタバレになるので、気になられた方は書店へ行って、購入して読んでください。わたしが言えるのはそれだけです。
2025年07月08日
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本屋大賞受賞作で、前から気になっていたのですが、文庫化したので購入しました。成瀬という、個性的なキャラでぶれない性格で好感を持てましたし、面白くて一気読みしちゃいました。
2025年07月04日
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24巻から約10年待った甲斐がありました。松岡先生が病に臥せていらしたことを知り、もしかしたら・・と思うことが何度かありましたが、辛抱強く待った甲斐がありました。公式様から発表されたときは、心の中で歓声を上げました。スペイン戦の最中、イングランド組とスペイン組、それぞれの想いが交錯している中でどうなるのか気になるところで終わってしまい、早く続きが読みたいですね!あと、短編集も楽しみです。松岡先生にはいつまでも健やかでいて欲しいですね。
2025年07月01日
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