沖縄自治研究会

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「日本連邦」基本構想 質疑



 それで、今の先生方の発表の中で、一応、連邦ということで、外交と国防、財政ということに対して重点が置かれているように、私は認識しているんですけれども、やはり私はちょっと経済学が専門なので、いかに沖縄が通商及び産業政策の主導権を担えるかというのもぜひ項目に入れていただきたいと。復帰前から、いかに日本本土の産業政策、通商政策の中において、沖縄の経済が犠牲になってきたかというのはもう言うまでもないことで、あしたは沖縄そばの日らしいですけど、ソバ粉は入っていないから「そば」という名前を使うなと復帰のときに言われたり、そういうことに象徴されていると思うんですけれども、やっぱりこの今、WTOだとか、FTAだとか、そういういろんな構想とか、そういう枠組みができあがっていったり、もめたりもしていますけれども、その中でいかに沖縄が通商のイニシアチブを取れるか、それは国防、外交に匹敵することだと思うので、それをぜひ項目に入れていただければなと、こんなことを言いますと、自分が研究しろと言われると思うので、僕も研究したいと思います。それだけです。


○司会(江上能義氏)  ありがとうございました。 どうぞ。


○フロア(翁長健治氏)   先ほど、大村さんが歴史的な総括の上に立ってやらないと、この矛盾は解決しないと指摘されていました。がそれだけでは推進力不足は否めません。きょうの沖縄自治州基本法の話は沖縄の法律的、行政的な地位を根本的に整備し直す、歴史的なアプローチだと思うんです。復帰30年にして、このような政治的成熟の高みに沖縄も登ってきたのかとい感慨があります。日本復帰の際、我々ウチナーンチュは丸裸で日本の懐に飛び込んでしまい、素朴な願いは裏切られてしまったが経済的には、基地のおかげで金をめぐんでもらったという、屈折した感情を我々は持っていると思います。

 今日伺った憲法95条下の沖縄自治州基本法の話を聞いて、真っ先に脳裏に浮かぶのは、この立法を推進する力、法的な根拠に立った立法請求権といいますか、は一何処から来るのだろうかという疑問です。つまり東京の国家官僚に、頭を下げて立法をひたすら懇願するのではなく、強い交渉力を持って対峙する、法的根拠と政治的な戦略の有無が知りたいのです。この際、歴史に根差した特殊性や怨嗟ではなく、「日本の沖縄統治の法律的正当性」の解明から穴をコジ開けるという、クールなアプローチはいかがでしょう。

 例えば、憲法の制定に際し沖縄県民は批准投票していません。日米安保条約を締結したとき、我々は国会議員を出していません。更にいえば、琉球王朝は琉米和親条約を締結しています。この和親条約の地位は現在どうなっているのか。沖縄復帰特別措置法は憲法95条が要求する住民投票に掛けられていません。

 これらの法的事実を徹底的に調べ、日本の沖縄統治には政治的手続きに瑕疵や権利保留の事項が色々あるという視点で、官僚に立ち向かう理論武装をして欲しいと思います。

 沖縄の法律家の先生方には、日本の学者、アメリカの学者と国際共同研究をして頂き、その成果の国際発表で以って世界世論を喚起し、日本の官僚に挑む姿勢を発揮すれば、何か新しい希望が見えてくると考えています。


○司会(江上能義氏)  ありがとうございました。 ほかにいらっしゃいますか。3分間でお願いします。


○フロア(栄野川氏)  宜野湾市から参りました、栄野川と申します。
 きょうは本当にいろんな激烈な論議を聞きまして呆然としております。これは上原孝助国会議員がまだ国会で活躍していたころで、あれは何かの委員会ですかね、質問していたのを新聞で小さな記事で読んだんですが、憲法に独立の手続きと言いますか、独立する手続きというのはあるかという質問をしたら、一言のもと、そんなのはないと官僚に否定されたという記事がちょっと載っていたんですよ。

 この独立論は復帰時点からありまして、あと1つ、参考と言いますか、「吉里吉里人」という井上ひさしの小説なんですけれども、非常に生々しいことが書いてあって、日本のある東北の一県が独立をするわけです。どういう独立かというと、タクスヘブンでいくというわけなんです。いわゆる、お金を銀行に預けても税金を取らない、それで世界中の企業がそこに金を持って、本部を置くと言いますか、本社を置くと言いますか、そこで金を貯めるわけですが、そこで日本政府はどうしたかというと、航空自衛隊でもって攻撃してくるんですよ。

 それで、私の質問なんですが、手続き上、どういう手続きで日本連邦制度を進めていくか、先ほどアクションプログラムはどうなっているかという話もあったんですが、手続上、どうこれを進めていくかということを聞きたいと思います。以上です。


○司会(江上能義氏)  どうもありがとうございました。では、もう1人お願いします。


○フロア(幸地氏)  幸地と申します。
 スコットランド、EUを主に研究されている島袋先生と、アメリカの連邦制を研究されておられる佐藤先生で分担された内容だったのかなというふうなこともちょっと考えましたけれども、やはり、こちらには各市町村の議員の皆さん、職員の皆さんもいらっしゃいます。先ほど、島袋先生のほうからは焦点をちょっと集中させるために、今回は市町村との関係については述べなかったということでお話がございましたが、やはりできれば、琉球国というふうになった場合の琉球国中央政府と、地方政府との関係について、もしイメージ等というのがありましたら、ご説明いただければと思います。

 現行あるような市町村制度というふうなものを、そのまま引き継ぐようなイメージでおられるのか、それともアメリカの州と地方政府との関係のような、チャーター、憲章に基づく、個別の制度を認めるというふうな考えでおられるのかということでご説明いただければと思います。


○司会(江上能義氏)  どうもありがとうございました。いろんなご意見、ご質問、ありがとうございました。

 畠山さんのほうからは外交だけではなくて、通商とか、産業とか、そういうものも考えるべきじゃないかという指摘がありました。
 それでもうお1人の方からは、ちょっと名前は聞きそびれましたけれども、このようにして日本連邦を実現するんだったら、その根拠をもっとずっとさかのぼって、それこそ琉球王国ぐらいにさかのぼって、そういった根拠をちゃんと見出すべきではないかという主張だったのではないかなと思います。

 それから、その日本連邦を実現するんだったら、手続きは具体的にどうやって進めるのかという点と、最後は、島袋さんは時間がなくて触れなかったけれども、琉球国とした場合に、中央政府と地方制度の関係はどういうものなのかということを説明してほしいと質問や要望がありました。お二人に答えていただきます。 どうぞ。


○島袋純氏  実際に実現するプロセスに関して、多分、お二方から質問があったと思います。

 それでそれは、私は2つの条件を考えたほうがいいんじゃないかなと思います。国際法的な条件と、もう1つ、国内的な手続きの条件です。国際的に主権、あるいは主権に近いような自立的な権限を持てるという基本的な単位は、日本語で言うところの人民、ピープルですね。それとなっています。にもかかわらず、人民は、国際的に厳密に決められた概念ではないということなんですよね。

 ですが、基本的にどういう要件かというと、歴史的な過去の独立国家だったというような、歴史的な独自性、もう1つ、文化あるいは言語、そういったものの独自性、それからもう1つは地理的な条件ですとか、そういったものが重なり合いまして、1つの主権あるいは主権に準ずるような高度な自治権を持ち得る単位の人民ということで認められ得る可能性があるわけです。

 それで、おそらく吉里吉里人の場合は、それはすべてにおいて難しいだろうということがあると思います。沖縄の場合はすべてにおいて今、琉球孤の先住民族のNPOが、国連で毎年毎年執拗にこれを主張し続けて、ピープルという概念を琉球に当てはめてくれということで主張し続けていますが、通常、考えるにあたって、これはヨーロッパであれば当然、沖縄のようなところは、そういうピープルとして想定されるところになるというふうに私は考えています。

 それで国内法的な問題に関しましては、憲法上に手続きがないのは当然だと思います。それは当然、憲法は国が分裂するということを想定して、憲法をつくるわけではないので、そういうことはないと思います。

 ただし、基本的に我々は、要するに1つの主権を、あるいは主権に近いような自立した権限を持てるというものは、憲法制定権力として、沖縄の人々が想定されているという意味だと私は思います。となれば、憲法9条が改正出されるときに、もし沖縄の人々がそれに賛成しないというのであれば、この憲法体制に沖縄は参加しないということを当然言うことができるというふうに解釈できはしないかということですね。

 ですから、沖縄はこの新しく変わった憲法、戦争できますよ、国民国家日本、もう一度頑張って戦争できる普通の国として頑張りましょうとなったとします。そういう国に今、日本はなろうとしていますが、それにどうしても参加したくない、その憲法体制に参加したくないというのであれば、沖縄はこの憲法体制に、これは国民投票で決めますので、国民投票でもし沖縄の過半数がいかない場合であれば、沖縄は独自の憲法を想定して、これは憲法制定にかかわるべきだろうということですね。それはおそらく、国際法上、あるいは国際社会の中で認知され得るのではないかということです。

 その中で重要なものは、憲法制定会議の構成、これをつくらないといけない。憲法制定会議、イギリスのスコットランドでは、憲法制定会議は既存の国会議員の8割が参加してつくりました。国内国家的なスコットランドが実現しました。沖縄でも憲法、県議会議員、それから国会議員、それから各界の代表、住民代表、そういったものが集まって、憲法制定会議のようなものをつくって、先ほどの私が言ったところの宣言、これを採択するという戦略です。

 そして同時に、沖縄の憲法原案をつくると。これが、日本政府に対して無視できるものなのかということですね。憲法制定権力を持った沖縄が、その代表が正当な手続を経て選ばれた代表がつくった原案に関与して提案する、それを拒否できるのか。スコットランドの事例では、英国中央政府は拒否できなかった。それで、スコットランドは基本的にほとんど住民が発案した新しい基本法を勝ち取りました。ほとんど主権の全部を回復しています。

 そういったものがありますので、基本的にこれもスコットランドモデルになっているんですが、こういった憲法制定会議のようなものを設定しながら、タイミングを憲法改正にちょうどぶつけるような形で提案していけば、相当大きな揺さぶりをかけることができるのではないかなというふうに思います。

 それから、国際法の問題に関しては、日本の琉球処分はウィーン条約違反であるということですね。それが言われていますが、私は国際法は専門家ではないのですが、非常に似た条件だと思います。それで、今、こちらには国際法の専門家の方はほとんどいらっしゃらない状況です、我々の研究会の中には。それで勉強は重ねているんですが、やはり皆さんも一緒に勉強していって、その国際法的におかしいのではないか、新たな政府をつくれることができるのではないか、そういった問題を提起していっていただきたいというふうに思います。

 通商に関しては、後回しにしましょう。


○司会(江上能義氏)  では、佐藤さん。


○佐藤学氏  通商問題や経済問題はどうするか。私たちの研究会で大きく欠けている部分が経済、あるいは財政です。参加している研究者がいないのです。さまざまな議論をする中で、経済のことはいつも考えているわけです。ずっと考えていることです。何も脳天気に、何も食わなくて霞を食っていければいいとか、そんなことは何も思っていないのです。

 ただ、実際に何をどうするかという時に、さまざまなシミュレーションをするとしても、不確定要素が多すぎて、変数の数も多すぎるということで、なかなか確かな数は出てこないだろう。例えば、基地関係の収入が絶えたとして、それはどうなるかということ、これの影響度の見通しということもさまざまに分かれているわけです。

 ですから、これは例えば、自治体で財政をやっている方がおられたらば参加していただきたい、ワークショップに参加していただきたいですし、それから、あるいは経済、財政の専門家の方がおられたらば、ぜひ参加していただきたいのです。東京から来るお金に依存していけるかどうかということ、あるいは、本当にそれが死活を制するようなことなのかということに関して、さまざまな反論があるわけです。

 例えば、これから三位一体改革で、東京からの金はどっちにしろ減るということ、あるいは基地にかかわる金も減っていくだろうという見通しを、多くの方が言っておられます。あるいは、沖縄に基地があるがゆえに付加的に来ているお金というのは、実はそんなに多くないのではないかと、基地があるがゆえに来ているように見られている金の多くは、総枠が決まっている中でのやりくりで、いかにも基地があるから来ているかのように見せかけているのではないかと、そういうご意見もあります。その他、あるいは沖縄に来ている金の多くは本土に還流している。これは、しばしば聞く理屈なわけであります。

 あるいは、沖縄は実は貧しくはない、OECDの国の中では沖縄の県民所得は中位どころではなく上位に入る、ということで、沖縄の現在の経済力はそんなに貧しいものではない、あるいは全国平均の個人所得の7割しかないというのですけれども、類似県と比べたらそれほど変わらないという見方もある。

 さまざまな言い方で、現在の経済がそんなに悪くはない、あるいは今のやり方をやめたところでそれほど大変なことにはないだろうという反論はあります。しかし、やはりこれは、何かを拒絶すれば諦めなければいけないことが出てくるはずです。その我慢の覚悟が必要ではないか。いつも言っていることけれども、例えば、基地関係のお金が入ってこなくなったならば、どれだけ貧乏になるかを推測しなければいけないのではないか。そういう大ざっぱな計算ができれば、見通しが立つのではないか。そうした議論をいつもしているのですが、なかなかそれ以上に議論は進まない状況です。

 あと、先ほどの話、手続きの話と、推進する力はないのではないかというご質問がありました。今までにない手続きをつくり出して、それを押していこうというわけですから、推進する力がなければできるわけがない。推進する力はどこから出てくるか。これは危機感と希望、あるいは理想であろうと。私たちは書生論を述べること、青臭いことを言うのが商売ですので、あえて言いますけれども、一方では危機感、このままでは大変であるという危機感、もう1つはよりよい将来をつくろうという、そういう理想を追求するという力、これが根づいて、それで推進する力となっていく。それで維持する力ができないならば、これは当然できないでしょう。おっしゃるとおりだと思います。

 島袋さんの手続きを実際に進めていくためには、それだけの決意が必要であり、それだけの、持続する、一次の爆発的なものではなくて、持続する志が必要になる。スコットランドは30年近くかかって、最初の失敗からずっと頑張って、30年後にやっと現在の地位を勝ち取ったわけです。昨年の11月に、スコットランドの自治権拡大運動のリーダーの1人であられたイザベル・リンゼイ先生をお招きして、お話を伺いました。
 そのときに一番心に染みた話は、あきらめずに続けていくことが大事であるということでした。ですから、持続することがなければ、無理であろうと。おそらく、全くそのとおりだと思います。


○島袋純氏  連邦制についてはホームページのほうに書いてあるんですが、要するに、一番モデルとしてイメージしやすいのは、沖縄の郡島政府の時代の発想ですね。八重山郡、宮古郡、そういうレベルで1つの州みたいなものをつくるということですね。その中で、奄美に関しても僕は詳しく書いてあるんですが、奄美ももし琉球のほうに参加したいのだったら、自分たちの手続きで参加できるように道を開いておくということです。最初から、奄美は琉球のものだろうという議論はしません。これは奄美の人の自由な決定で、奄美の人々に任せるべきだというふうに思います。

 ですから、基本的にはそういった発想で連邦を構成していくということですが、それと、沖縄本島に関しては三山で分けてもいいんじゃないかという発想ですね。中部、南部、北部ですか。そういったところで州に分けてもいいし、これは小さいところで州をつくる意味がどうあるのかということを言われたりするかもしれませんが、スイスは実際にとても小さい州をつくっています。

 それで、沖縄の場合は歴史的な事情、島の多様性を考えると、連邦制のほうが適切だと思います。仮に八重山か宮古か、いろんな問題でもし独立したいと言うのであれば、それは認めてもいいんじゃないかなというふうに思います。いずれにせよ、多様な形態、多様な自治の形態、その人たちがその地域で必要と思われている自治権を取得していくというようなシステムが、実際にできればいいのではないかなと思います。

 その自治の延長戦上に、条約の改定の権限、いろんなさまざまな外交的な権限も構築していけるのではないかと。つまり、自分たちが本当に生きていくために必要な権利、これは自分たちで政府をつくり出して、自分たちでその政府にどれだけの権限を与えるのか。主権在民、住民主権、これを徹底していく方向で、実をいうと政府の再構成、市町村レベル、県レベル、国レベル、それから世界レベル、アジアレベル、そういったものの政府の構成を、すべて主権在民のもとに再構成をしていくことができるのではないかなという発想です。そのもとに沖縄県内の市町村と、連邦政府の関係も考えていけばいいのではないかなというふうに思っています。


○司会(江上能義氏)   はい、どうもありがとうございました。
 私はいま早稲田大学にいて、1、2カ月に1回ぐらい帰ってきてこの研究会に参加させていただいているんですけれども、私は沖縄に長い間住んでいましたので、早稲田大学の講義やゼミでも沖縄についても随所で言及します。ご存知のように、今は沖縄ブームで、沖縄にかなり関心が集まっています。いま私の演習で沖縄をテーマに修士論文を執筆中の学生が2名います。論文は書いていないんですけれども、沖縄についての私の話を聞きにくる学生も結構いて、なんだか早稲田大学でも琉球大学でも私の仕事はあんまり変わらないんじゃないかなと思うときもあるんですけれども、でも、そうした沖縄ブームとはうらはらに、大学院の講義に夜、通ってくる東京の社会人などの沖縄に対する視線は非常に冷やかかになってきているのを痛感します。

 最近、沖縄国際大学にヘリが落ち、非常にひどい状況を露呈して、それで地位協定を改正しろというようないろんな出来事があった。それらの記事は全国紙の新聞等で出ているんですけれども、今はもう全国の地方が非常に疲弊していまして、三位一体改革でもそうですけれども、財源がなくなって非常に疲弊していている、全国的に地方が苦しいのに、沖縄は基地があるために、そのおかげで経済的には裕福なんじゃないかというような反応が強くなっている。それでお金をもらっていても、沖縄は依存心や依存体質がいっそう強くなっているということもよく知っていますよね。

 依存心をなくしたいんだったら、じゃ、金もらわなければいいんじゃないかと。そんな特別措置や特別な補助金は要らないんじゃないのと、そういうような議論になる。いや、その沖縄に基地があるおかげで、どれほど沖縄の自治体や沖縄県民が消耗しているか、基地の問題で翻弄されてエネルギーを消耗しているんだということを、私があえてくどくど説明しないといけない立場になる。

 沖縄県民の最大の不幸は、巨大な米軍基地を抱えたがゆえに、この基地から派生するさまざまな問題に振り回されてエネルギーを消耗してしまって、ほかのところにエネルギーが回らなかったことだ、いま言った地方自治の問題とかにエネルギーが廻らなかったことだと私は思うんですけれども、しかしやはり、復帰して30年以上も経過していまなお基地の島、沖縄の変わらない現実を考えても、やはり基地問題にも対処しながら、一方で基地問題を日米両政府にきちんと訴えられる自治の足場というものを、本当はこの30年間にもっとしっかりつくるべきだったんじゃないか。それができなかったから、結局、日米両国のはざまで沖縄というのは日本の47分の1に過ぎず、結局、いつも門前払いをされ続けたんじゃないかと考えるわけです。

 こういった自治の問題を考えるということは、いまの沖縄でやはりとても大事なことだと思います。さきほど、どなたかががおっしゃいましたけれども、復帰のときはもう丸裸で日本に飛び込んだんだと。そのおかげで少し経済的にはいろいろ恩恵を受けたけれども、裏切られて複雑な思いだといったご意見でしたが、そういう思いも含めて、これからいろいろ考えていただければと思います。

 今、チンが鳴ってしまいましたけれども、時間をオーバーしてすみません。司会が時間を守らないでどうするのかと反省しています。すぐ終わりますので。

 きょうはこういう難しいテーマですので、参加する人が非常に少ないんじゃないかと危惧していたんですけれども、こんなに大勢来ていただいて、本当に喜んでいます。諸先生方やいろんな自治体の方々などが苦心してつくったこの3案も、仲地先生がおっしゃったようにまだ生かじりでありまして、こういう案にこれから何回も何回も検討委員会にかけて、皆さん方も参加して検討する機会がありますので、これをぜひ持ち帰って検討していただき、それで皆さん方のジンブンを集めて沖縄の未来にぜひとも光を投じていただきたいとお願いしまして、この司会を終わらせていただきたいと思います。大変、拙い司会で失礼しました。どうもありがとうございました。



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