沖縄自治研究会

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まえがき


下河辺氏は長い間、一貫してわが国の国土政策・国土行政に深くかかわってこられたことは周知の事実である。だが一方で、彼はその職務との関連から、もしくはその関連をしばしば超えて、復帰前から今日まで30年余にわたって沖縄にかかわってこられたことを多くの沖縄の人々が知っている。しかも沖縄の大きな時代の節目に彼の存在感は際立っていた。とりわけ1996年に代理署名訴訟で橋本政権と大田県政が緊張関係にあったとき、彼がパイプ役を果たしたことは有名である。
 それで少しずつダンボール5箱分の資料に目を通していると、これまでおそらく公表されておらず、非常に重要だと思われる資料があることに気がついた。そこでそれらの資料を確認するためにも、下河辺氏に会って話を聞く必要を感じた。また、それならばこの機会に、復帰前から今日までの沖縄についてのオーラル・ヒストリーとして彼の話を聞けないかとご本人に打診したところ、ご多忙な身にもかかわらず快く承諾していただいた。
 早速、10月27日からスタートして11月25日まで、眞板恵夫氏に手伝ってもらいながら、5回にわたってそれぞれ約2時間、合計10時間をかけて下河辺氏の事務所でインタビューをすることができた。下河辺氏には貴重な資料を預けていただいた上に、さらに長時間にわたって根気強くインタビューに応じていただいたことに、感謝の言葉もない。このオーラルが、これから沖縄内外でできるだけ多くの読者を得てなんらかの指針や示唆を与えることができたら、いくばくかでも氏の御厚意に報いることができるのではないだろうか。
 下河辺事務所の高島由美子氏にもなにかと大変お世話いただいた。また下河辺氏への橋渡しをしていただいたNIRAの島津千登世氏の御尽力がなければ、このオーラルは実現しなかった。おふたりに記して感謝申し上げる。

2003年1月30日

早稲田大学大学院
公共経営研究科教授 江上 能義



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