列伝 幸徳秋水(改訂)



日本では初期の社会主義者。
「20世紀の怪物・帝国主義」は世界的にも早い段階で書かれ、影響を及ぼしたらしい。

豪商に生まれ、上京して林有造の書生となり、やがて中江兆民に師事。
萬朝報(よろずちょうほう)という新聞の記者になったが、同僚記者の内村鑑三らとともに非戦を唱え、黒岩涙香社長と意見が合わず退社。平民新聞を創刊し主要メンバーとなる。
鑑三は日本人の代表的プロテスタントで、秋水のその著書に序文を寄せている。また、トルストイからの非戦の呼び掛けを受けて平民新聞に掲載した。

秋水は日露戦争当時、「非戦」を唱えたが、安部磯雄ら多くのクリスチャンが、ロシアはキリスト教徒の国だから戦争したくない、と考えたのとは違う。
彼はクリスチャンではなく、宗教は嫌い、儒教ならわりあい好きだが、キリスト教は大嫌い、という人だった。

秋水は大逆事件で処刑されたが、これを境に、明治の知識人・文学者たちは、精気を失い、ホンネで語り合ったり心から笑ったりすることは無くなってしまったという。


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