終わりに、、、質疑応答



■生きていくのに必要なことは?

 公的機関の調査では、「知的な遅れがあり、支援が必要とされる子ども」が1.3%であるのに対し、「知的な遅れがなく、支援の必要がある子ども」は、6.3%とされています。この%をクラスに当てはめれば、一つのクラスに3~4名いると考えられます。「そうした子ども達への配慮は、みんなのためになる」という視点を持つことが大切です。
 社会に出るようになってどうなるのでしょうか? 早い段階からきちんとケアを受けてきた子は自尊心をなくしていないので、自分の得意なことを選び、目標を持つことができます。また誤るすべを身につけていることも社会では重要です。スケジュール管理が苦手という問題点は、メモをとる習慣を身につけておくことで克服できます。いづれにしても、早い段階からケアを受けることが大切だと思います。

■こうしたLD等の障害は、先天性?後天性?

 LDの定義では、『先天性』とされています。外からは見えない部分のことなので、わからないことも多いのですが、「妊娠2~3ヶ月の耳のできる時期に、脳の中枢神経になんらかのキズがついたこと」が原因ではないかという説があります。いづれにしても、「子育てが間違っていた」という問題ではないので、このことでお母さん達が自分を責めないでほしいのです。

■ゲーム脳と言われているものは、生育過程での環境が要因となっていますが、LD児と似ているのではありませんか。

 はっきりとした区別はできませんが、そのことは否定できないと思います。インターネット漬けになっている場合も同様です。親として確たる信念をもって、そうした環境を改善することが重要です。

■ボランティアでLD児の指導をしていますが、行き詰まっています。どうすればいいのでしょうか?

 これは多岐にわたりますので、YMCAなどが出している参考文献をご覧下さい。
 一つお聞きしますが、例えば、漢字なら枠内に収まらないということはありませんか?
 ……あります。
 そういう場合に、枠に収める指導をするより、枠を拡大コピーしてあげることのほうが有効です。私が今担当している子どもの場合、イスにじっと座ってられず、すぐにイスからずり落ちてしまうんですね。それで、机の下にプリントを貼り付けるようにしました。これなら机の下で寝っ転がってでもできるのです。

■他の子どものことで気になるのですが、、、どうすればいいでしょうか?

 LDとかADHDと、はっきり名前をあげてその子の親に伝えるのはまずいですね。それよりも、その子どもさんと仲良くできるなら、「こうやったらこの良くなったよ~」と相手の親に伝えてあげてください。それで相手の親が心許してこちらに好意をもってくれたら、その時初めて「こういうことも考えてみたら、、、」と話しが出せるものです。また、素人だけの判断はよくありません。本当におかしいとなったら、専門機関をすすめてあげてください。

■学校の先生に相談するのはどうですか? 先生方ならよく分かって下さるのでは?

 それは、かならずしもそう思いこまれない方がいいと思います。担任の先生から必ずしもすべてのことが親に伝えられることはなく、先生個人の判断で処理されている出来事も多いのが現状ではないでしょうか。たとえば、ADHDの子なら、日に10数件もの問題行動を起こす可能性がありますが、それをすべて親に伝えることはできないのではないでしょうか。それは、先生にもよりますし、親との関係も影響します。ありのままに伝えたために逆に反発される場合もあります。また、集団の中だから問題になる、家庭では特に問題はない、といったケースもあります。残念ながら、親のしつけのせいだと思われている先生も少なくありません。
 ですから、いきなり担任の先生に話しを持ちかける前に、校長先生や養護の先生と先にご相談されてはどうでしょうか。

■中学の教師の立場から発言をいたします。
 今は、学校内でもLDの研修を受けており、教員もある程度の知識を持つようになっています。精神科の専門の先生に講師に来て頂いたりもしています。
 私の中学では、気になる生徒がいる場合、決して担任一人で判断することはなく、校長も含めた複数の教員で指導方法なりを判断しております。

 そうですね。国の施策として平成17年には、小学校でもそのような体制がとれるように進められています。ただ、現実には、その取り組み状況には学校間格差があるようです。

■小学2年生の親です。
 1年生の時の先生は、うちの子のことをよく考えてくださったのですが、2年になって、「昨年はこういった配慮をしてくださったのですが、、、」と、担任の先生に相談に行っても、全く相手にしてもらえないのです。どうしたらいいのでしょうか?

 う~ん、それだけでは何ともよくわかりませんが、どうでしょう、先生の気持ちもわかってあげてほしかなと思います。でもやっぱり親としてはそれでは困るわけで、なるべく学校に足を運ぶなり、連絡帳に書くなりされてはどうでしょうか。その場合でも、「この前はありがとうございました」とか言って、先生を持ち上げることもある意味大切です。どうしたって、「うちの子をどうしてくれるんや~!」で始めては、できる話もできなくなってしまいますよね。

■司会より
 まだまだ発言の希望がありますが、時間が大幅にオーバーしてしまいましたので、ここで今日の講座は終えたいと思います。今日の講座で、私たちはYMCAでの取り組みを知ったわけですが、まだまだもっと詳しく知りたい、あるいは子どものことで相談をしたい、という場合、直接YMCAに連絡させていただいてもいいのでしょうか。

 もちろん、お受け致します。子ども達のサポートプログラムも実施しておりますので、どうぞ、お問い合わせください。


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