龍刀【朧火】製作所

三章【商業の街ホープクレイン】






家計は自らの生活のため仕事をして、

金を得て

物を買い活用する

企業は元来の物より優れている物を発明し

それを売り、金を得る

そして政府もといギルドは税金を徴収し

街の発展へと活用する

そしてこの果てしなく続くやり取りは

街を大きくし、より豊かにする・・・・





「あぁ~暑い・・・・あちぃ!ベリ~ホット!」

当麻はリース村をあとににして
セントから貰った地図を頼りに
[商業の街ホープクレイン]を目指していた


「あ~!昨日までは色々あって気にしなかったけど
この世界も今は真夏かよ~!!」

当麻はそんなことを叫びながら何にもない上に
果てしなく続くんじゃないかと錯覚するぐらい
街どころか家の一軒もない道を歩いていた。


(丸一日かぁ~・・・飯の心配はいらないし
二日かけて行くかなぁ~)

そして当麻は歩き続ける








その頃将はというと・・・・・

「なぁ~この状況どうしよっか?」

「知るかニャ!これじゃあ逃げるに逃げられないニャ!」

「はぁ油断したねぇどうする?にゃん子、にゃん美」

「どうしろって私に言われてもなぁ~、にゃん美は?」

「私だってわかりませんよ~」


そう、この頃一人と四匹は
青き狩人・・・[ランポス]の群れに囲まれていた

(1、2、3、4、5、6、7匹・・・いや8匹か・・・
でも武器がない・・・どうする・・・)

将が考えているとにゃん吉達が何かを取り出した

「それは?」

「これは僕たち一族に伝わる武器!
その名も[ねこ?ぱんち]ニャ!」

「でもそんなんで大丈夫か?」

「この武器には麻痺属性があってランポスぐらいなら
2、3回斬りつければ痺れて動かなくなるニャ!」

「お~~!」

「関心してる場合じゃないニャ!将の分も
族長から預かってきてるニャ!にゃん子ちゃん!」

「ハイよ~♪」

にゃん子が将にねこ?ぱんちを渡す

「じゃあみんな行くニャ!」

「おし!」

「うん!」

「はい!」

3匹の声が重なる

そこで将が叫んだ

「目的はコイツ等を狩ることじゃない!
別々に切りかかってもあまり意味がない・・・
一点集中で突破するぞ!」

4匹はうなずく

(やっぱゲームと違ってマジで恐え~よ
防具も着けてねぇしなぁ・・・
あの爪、あたったら痛そ~)

そんなことを考えてる将に1匹のランポスが飛びかかる

(き、来た!)

将は横に飛びランポスの一撃をかわして
ランポスを斬りつける

(1、2、3回だ!)

そのランポスは体を震わせながらその場で
動かなくなる

「よし!」

そこへ背後からランポスが飛び掛ってきた

(しまった!)

将はかわそうとするが気付くのが遅すぎた
ランポスの爪は将の身を引き裂こうとする

(く・・くそ!)

しかしその時爆発が起こりランポスが吹っ飛ぶ
そのランポスはにゃん太に斬られ麻痺する

「い、今の爆発は?」

将の後方から声が聞こえた


「大丈夫でしたか?」

声のした方向を見ると一人の女性が
ボウガンを持って立っていた

(銃?いやこれはボウガンか・・・大きさからして
ライトの方だな・・・・)

「あなたは?」

「話は後!今はとっとと逃げる方が先だよ!」

「あ、ああ」

そう言って二人と四匹はその場から
全力疾走で逃げ出す

ランポスは逃がすまいと追ってくるが
にゃん美が投げたケムリ玉で将達を見失う





「ぜぇ、ぜぇ・・・ふぅ~助かったぁ~」

将がそう言うと四匹とも
逆立っていた尻尾の毛が普通の状態に戻っていく

「いやぁ~さっきは助かったよ、あなたは?」

将がさきほどのボウガンの女性に話しかける

「私の名前はエルス=リコーズ、エルって呼んでね!
職業は見ての通りハンターなんだ」

「へぇ~、オレの名前は将っていうんだ
将って呼んでくれ」

「うん、分かった!でショウはこれからどこに行くの?
もしかしてリース村だったりする?」

将は見事に言い当てられ少し驚きながらも
答えた


「ん?ああ、そうだよエルもか?」

「うん、私はホープクレインって街の
調理場の人からの依頼でここらへんにある
キングトリュフを採りにきたんだけど
もう食料が尽きちゃってね~だからリース村で
買い足そうと思ってさ」

「へぇそうか、じゃあ一緒に行こうか」

「そだね・・・ねぇ?」

「ん?」

「さっきから気になってたんだけどあの
アイルーちゃんとメラルーちゃん達って
ショウのお友達?」

「ああ、そうだよ!コイツがにゃん太で
コイツがにゃん子、んでコイツがにゃん美で
最後にこいつがにゃん吉ニ・・・」

将が言い切る前に何としてもその先は言わせまいと
にゃん吉が叫んだ

「僕はにゃん吉ニャ!」

にゃん吉は自分の名前を見事伝えられ
安堵の息を漏らす

「へぇ~にゃん吉ニャ君ね♪」

「・・・・・・・・・」

メラルーであるはずのにゃん吉が
まるでアイルーのようにセピアに色あせていく







~リース村にて~


「はぁ~、ようやく着いた~」

「この村では僕たちアイルーやメラルーのことを
嫌う人がいないから大好きなんだ~」

にゃん太がそんなことを言うと
にゃん美とにゃん子もそうだねぇ~と言った
しかしまだにゃん吉は放心状態だ


「うん、やっぱこの村はいつ来ても
空気がおいしいなぁ~」

そんなことを言ったエルスに将は
疑問をなげかけてみる

「エルは何度かこの村に来たことあるんだ」

「村長さんとも顔見知りだよ!」

「へぇ~そうなんだ」

「とりあえず村長さんに挨拶に行こ?」

「ああ、そうだな!情報も手に入るだろうし」

「情報?」

エルスが不思議そうな顔をして
聞いてきた

「ああ、そういや言ってなかったね
オレさ今友達を捜してるんだ、訳あって
離れ離れになっちゃってさ」

「へぇ~早く合えるといいね」

「ああ、ありがとう!」

「エル?」

と、そこへ年は20代ぐらいの
女性がやってきた

「あ~!やっぱりエルね!」

「ミリア?ミリア!久しぶり~!」

「ええ、久しぶり~!元気してた?」

「もちろん!もうバリバリ♪」

「そっかぁよかった~最近顔見せなかったから
心配してたんだよ~!今日はどうしたの?」

「ちょっと食料調達にきました~♪
ここだとミリアがわけてくれるから
無料でいいんだよねぇ♪」

「あ・・・ごめん!今日の朝方にね今はもうこの村にはいないけど
昨日この村に迷い込んだランポスを倒してくれた
恩人に食料とお水あげちゃって・・・
今あげられる分ないの~」

「え!?そうなの?ミリアは大丈夫だった?」

「私は平気だよ!ところでその人は?」

ミリアは将に視線を送って一礼すると
エルにたずねた

「あ~ついさっき知り合ったの、離れ離れになっちゃった
お友達を捜してるんですって」

「へぇそうなの、初めましてミリアと申します」

いきなり話題をふられ戸惑いながらも
将は自己紹介をする

「将です、どうぞよろしく」

(うわぁ~ミリアさんチョー美人だなぁ
あぁお茶でもしながら穏やかなお昼の時間を
すごしたい!!)


自己紹介を終えるとミリアは
将の足元にいる4匹に気付く

「あ!にゃん吉君達じゃない!久しぶり~
へぇエルと知り合いだったんだ~」

将と同様いきなり話題をふられ戸惑いながら
答えた


「僕たちもエルとはさっき知り合ったニャ!」

「僕たちは族長にショウさんの旅をサポートするよう
任されたんです」

「それでさっき私達がランポスに囲まれているところを
エルさんに助けてもらって」

「一緒に村まできたんです」


「そう!それでみんなミリアの旦那さんに
用があるって訳♪」

「セントに?、だったらもう一つの家の方に
いると思う」

「あぁ~あの無意味に広い村長の小屋ね
わかった、じゃあ行ってくる!また後でね」

「ええ、もし泊まるなら家を使ってくれて
かまわないわよ」

「うん!ありがと~~」


ミリアと別れたあと将たちはそのまま
村長の小屋に向かう

木造の扉に人の顔の形のような跡がついている

(なんだこれ?でもこの顔どこかで見たような・・・)


コッ コッ コッ

エルが扉をノックする

「は~いどちらさまでしょうか~?」

家の奥から声が聞こえた
どうやら村長はいるようだ

すると扉が勢い良く開け放たれエルスは
慣れたようなステップでそれをかわす

しかしそれはエルスを通り過ぎ将に激突する


ドガ!!

「ぐぁ!」

「あぁすみません!!大丈夫ですか?ああ!私ったらなんて事を、
どうか!どうか成仏してください!!」


「ひ、人を勝手に殺すな!!」



「セント~おっひさ♪」

「エルじゃないか!いや~久しぶり~」

(オレは無視ですか・・・)

「うん、今日は食料調達と挨拶がてらに
立ち寄ったの~」

「あ・・・でも今食料が・・・」

「あぁ~それはミリアから聞いたよ、村の恩人に
あげたんでしょ?」

「ああ、そうなんだ・・・ごめんね?折角来てくれたのに」

「なに言ってんの!いつも無料でもらってるんだから
感謝してるんだよ~?たまには自分のお金で
買わなきゃね♪」

「ははは、そう言ってくれると助かるよ
でそちらの人は?」

「あぁ~さっき知り合ったんだけど
離れ離れになったお友達をさがしてるんだって」

「どうも、将って言います。ちょっと聞きたいことが
あるんですけどいいかな?」

「あ、どうぞ!ここではなんなんで中へどうぞ」

「あ、どうも」

将は家の奥の部屋へ案内された

「自己紹介がまだでしたね、村長のセントです
一応ミリアの旦那です」

とセントは少し恥ずかしそうに言った

(そ、そんな馬鹿なぁー!!オレの
ミリアさんがぁ~!!)

将はなんとか平常心を保ち
露骨に笑みを浮かべながら言った

「へ、へぇ~そうなんですかぁ~
美人な奥さんをおもちで♪」

「あ、いやその・・・・」

セントは話を逸らすように言った

「で、質問とは友達のことですか?」

(話逸らされた・・・・)


「はい、そうです!名前は当麻って言うんですが
知りませんか?」

「!!!!!」

急に村長の顔が照れ笑から
驚きの顔に変わった


「でわあなたなんですね!トウマさんが言ってた
お友達というのは!」

「え?当麻を知ってるんですか!?」

「知ってるも何ももうご存知でしょうが
ランポスから村を救った恩人というのは
他ならぬトウマさんですよ!」

「ま、マジっすか?・・・・」

「ええ!あ・・・・でもトウマさんは
朝早く街を出てしまいました・・・」

(あいつがさっきまでこの村に・・・)


「どこに行ったか分かりますか!?」

「はい、商業の街ホープクレインに行くと
言っていました」

(くそ~入れ違いかぁ~、でも当麻がこの世界に来ているのは
間違いないみたいだな・・・)

「それじゃあ今から追います!!」

そう言って将が席を立とうとすると
セントに呼び止められた

「待ってください!明日の早朝には村の魚屋が
馬車で市場に仕入れに行きます、それに一緒に乗られたほうが
ホープクレインには今から行くより早く着くと思います」

「本当ですか!」

「ええ、ですから今日はもうお疲れでしょう?
ゆっくり体を休めてください」

「あ、どうも」

今まで黙ってたエルが口を開いた

「よかったね、ショウ!」

「ああ!」

「私もホープクレインに帰るところだったから
一緒に行ってもいい?」

「ああ、もちろん!」

将が了解するとエルの顔がしてやったり
といった表情に変わる

「アリガト♪」

(この人思ったことがそのまま
顔にでる人だ・・・・・)



そうして将は先に発った当麻を
追うことになったのだった・・・・


セントは一人考えていた
(彼にクロノの話をするにはまだ信用できないところがある
この話はできないな・・・・・)




その頃当麻は・・・・

「暑い・・・あちぃ!・・・ベリーホット!」

一人叫んでいた・・・・




2部【登録失敗、武器調達】


「え~!?ハンター登録できないって
どういう事ですか!」

「ですから、只今大変込み合ってまして
登録するにしてもアカウントが必要なんです」

この頃当麻はギルドの酒場で
ハンター登録を済ませようとしていた

「じゃあそのアカウントはどこで取ればいいんだ?」

「アカウントでしたらここで行なえますが
取ったとしても最低でもあと一週間は
ハンター登録は行なえません」

「で、でも!」

その時当麻はメイドさんの輝かしい笑顔の裏に
早く帰りやがれ!こっちは忙しいんだよ!
と言わんばかりの表情を見た気がした・・・

「何か?」

「い、いや何でもないです・・・・」

「お急ぎなのでしたらこの街の北門から出て
北東へ8kmほど行ったところに[レイナス]という街が
ありますので、そこでしたらすぐに登録できると思いますよ」

「え?本当ですか!?ありがとうございました!」

そう言って酒場を出ようとすると

「あ、待ってください!あなた武器はお持ちですか?」

「いや、まだだけど・・・それが?」

メイドさんはやっぱりといった顔で言った

「ハンター登録時には使用武器を用紙に書き込まなくては
なりませんので武器がなくてはどのみち登録はできませんので
お気をつけ下さい」

「あ、はい!親切にありがとう」

「いえ、ではまたのご来店をお待ちしております♪」


(武器かぁだったらこの街の工房でも覗いてみようかなぁ)

そして当麻は工房へとやってきた


ガンガンガン!

ゴー!

シュー!

工房のなかは熱気と騒音が
飛び交っている

「うわ!この中暑すぎ・・・・」

そこへ炭まみれのお爺さんがやってきた

「おう!にいちゃん、何かお探しかい?」

「ああ、武器が欲しくてさ」

「ほぉ、ハンター用か?」

「そうそう、何かいいのないか?」

「良いのねぇ、オレんとこの品は全部良いのばっかだが
どんなのがお望みかい?」

(片手剣じゃあちっとリーチが短すぎたよなぁ)

「できればリーチが長くて使いやすいやつがいいな」

「リーチねぇそれじゃあ大剣かランスだな
遠距離がいいんだったらボウガン何かもあるぜ?」

(たしかにボウガンだったら安全かもしれないけど
オレ射撃に自信ないんだよなぁ~)

「じゃあ大剣かランスで」

「でもよぉにいちゃん!アンタ見た感じだと
まだ若いし大剣やランスが持ち上がるのかい?」

「あ・・・・」

(しまったぁ重さの事考えてなかったぁ!)

「考えてなかったみてぇだな!なっはっはっは!
じゃあ今持ってきてやるからためしに
持ってみるか?」

「ああ!よろしく頼む」

それから数分がたってさっきのお爺さんが
大剣とランスを軽々と持って帰ってきた

お爺さんと言っても体格はよく
いわゆるマッチョである

(ゴリポンと同じ位だな・・・)

「まぁ試しに持ってみろって!」

大剣の柄をつかみ思いっきり持ち上げようとする

「おりゃあああああ!!」

何とか持ち上がるものの身動きがとれない・・・

「う、ぐぐぐ!」

「だっはっは!これじゃあケルビだって狩れやしねぇよ!」

ズドンという音とともに大剣が床に落ちる

「はぁはぁじ、じゃあ今度はランスだ!」

そして当麻は持ち上げてみる

「これなら何とかいけそうだぜ?」

「おいおい!にいちゃん!盾忘れてるぜ」

そう言うとお爺さんは当麻に盾を持たせる

「う、ぐぐぐ!」

やはり身動きがとれない

「ちきしょー!」

ドスン

「はっはっは!動けないんじゃあしかたねぇよ」

「でも片手剣じゃあリーチが・・・」

当麻がそう言うとお爺さんは何かを思い出したように
立ち上がった

「あぁ!アレがあった!ちょっとついてきな」

言われるがままに当麻はついていく

工房の裏側の倉庫のようなところに案内された

「どうしたんだ?爺さん!」

「え~と確かこの辺に保管してあったんだがなぁ」

そう言いながら爺さんは倉庫をあさっている

「あぁ、あったぞ!」

お爺さんが取り出したのは
形状は刀のようで全体的に黒い
刃の長さが大剣とも片手剣とも言えない
中位の長さのものなっだった

「それは?」

「え~とまぁ見ての通り中位の長さの剣だ
これならにいちゃんでも使えるだろーぜ!
まぁ試しに持ってみろって」

そう言われ当麻は持ち上げてみる

(なっ!思ったより全然軽い!)

「どうだ?すごいだろ!?)

「ああ!スゲーよ爺さん
これ貰っていいのか!?」

お爺さんは笑って言った

「馬鹿言っちゃいけねぇ!
ここは工房だ、ちゃんと金は貰うぜ!」

「ああ、もちろんだよ!いくらだ?」

「それよりにいちゃん、お金はどれ位持ってるんだい?」

(あ、まだセントから貰ったお金いくらか見てない・・・
え~と一、十、百、千、万・・・・3万z!?
こんなに貰ってたのか!)

「え、え~と3万かなぁ」

「ほぉでもハンター用の武器は高いぜぇ~
普通でも3万以上する武器なんて100とあるぞ!
しかもこの武器は他では売ってないレア物!
通常だったら15万は下らないねぇ」

「じゅ、15万!?」

「あぁそうだとも、でもにいちゃんの持ち金は3万ぽっきりだ」

「そ、そんなぁ!はぁしかたないか・・・」

当麻が諦めかけたその時お爺さんが口を開いた

「まぁ普通じゃやらないが分割払いでもいいぜ!」

「ま、マジ!?」

「あぁ本気と書いてマジだ!最初はそうだなぁ
1万位でいいぜ、次この街に来ることがあったら
また1万貰うぞ」


「で、でも何でオレにそこまでしてくれるんだ?」

「それはだな~見たところお前はハンターじゃあない。
でもそんな奴がハンター用の武器を欲しがる理由はただ一つ!
これからハンターになる奴って訳だ!」

(うわ~すげー洞察力・・・)

「それにさっきギルドの酒場からしょんぼり出てくるところも
見たしな!どうせ登録しようとしてダメだったって
ところだろ?」

「大当たり・・・・」

「まぁでもな、こんな若いのにハンターになろうってのは
立派だなぁと思ってよ!つい手助けしたくなったって訳よ!」

「あ、そりゃあどうもありがとうございます」

「だっはっは冴えない返事だなぁ!
そういう時はだっはっはありがとよ!って言うんだよ!」

「だっはっは!ありがとよ!」

「そのいきだ!」




数分後には会計を済ませた

「そうだにいちゃん、名前は?」

「ああ、そういや言ってなかったな
オレの名前は当麻だ」

「トウマか!俺はダイグだ、まわりからは
竜ジイって呼ばれてるけどな!」

「そうか、じゃあ竜ジイ色々とありがとう!
また来る時には1万用意しとくよ!」

「ああ、もしその剣を強化したくなったり修理したくなったら
どの街でも俺からの紹介だって言えばやってくれるぜ!」

「だっはっは!アンタどれくらい有名なんだよ」

「だっはっは!さあな?
それと訳は言えないがこの街を出るまでその剣は袋から
出すなよ!」

「何で?」

「訳は言えねぇーって言ったばかりだろうが!」

「あっそうか」

「だっはっは!道中気をつけな!」

「ああ!本当にありがとう」

そして当麻は工房をあとにした





「なぁ竜ジイさん!ギルドのへリング大佐に渡すはずだった
中位の長さの剣知らないか!?
ギルドの人がまだかってうるさいんだよ」

「さぁ?知らねぇ~な~」

「そうか・・・あぁ!どこいったんだ~!?」




(トウマ・・・大事に使えよ!)





3部【エルスの決断】



「ん~これからどうする?」

「どうって言われてもなぁ・・・」

将はリース村からの馬車でホープクレイン到着していた
現在地は東門で丁度小高い丘のようになっていて
街を一望できた。


数分前
「僕たちはこの街でやらなきゃならない事があるから
少し別行動ニャ、夜にはにゃん太が宿をとってくれてるから
とりあえずこの街の中央広場の噴水の前で待ち合わせニャ」

「やらなきゃならないことって?」

「それは秘密ニャ!」

「えー?にゃん吉ニャのいけずぅ~」

にゃん吉は怒ったようなでもどこかあきらめたような
顔で言い返す

「僕はにゃん吉ニャ!これは一族の機密ニャ!」







と、言うわけで今はエルスと二人である

「じゃあ、とりあえずギルドの酒場に行ってみる?
そこだったらアタシの仲間もいるし
ショウの捜してる友達の情報もわかるかもよ?」


いきなり酒場と言われても将は未成年だ
もと居た世界でも行ったこともない
将にはガラの悪いオッサン達が酒を飲んでる
イメージしかなかったのでちょっと気が引けた

(でもまぁ当麻の居場所が分かるかもしれないんだ
行ってみるか)






その頃当麻はと言うと


「この武器軽いって言っちゃあ軽いけど
やっぱ鉄でできてるんだよなぁ」

当麻は街の北門を捜して歩き回っていた

「腰にさせれば一番楽なんだけどなぁ~、でも
竜ジイは袋から出すなって言ったけどなぁ」

なにやら知らないが出すなと言われて
出すほどバカでもないし好奇心はあったが
街を出るまでの我慢だ

すると当麻の脳裏に自分がこの剣を持ち
群がる敵をバッサバッサとなぎ倒すシーンが思い浮かぶ

「ふふふふふ」

自分でも気持ち悪いと思う笑い声を上げた後
今の自分の状況に気付いた

「ここ・・・どこだ?」







(うわ!酒臭ッ!)

しかしエルスはそんな様子も見せず
酒場へと入っていく

酒場で飲んでる男達はエルスを見ると
鼻の下を伸ばしてにやけるが
隣の将を見た途端顔つきが険しくなる

(し、視線が痛い・・・)

「ハロ~♪キャミィ!頼まれた依頼は成功したよ~」

キャミィと呼ばれた女性はカウンターに立っていて
エルスを見た途端まんべんの笑みを見せる

「おかえりなさい!まだブレイズのみんなは帰ってきて
ないよ、今はリオレウスの討伐依頼に行ってるわ」

「あーそう、依頼期間は?」

(リ、リオレウス!?う、嘘だろ・・・)

将は二人の会話はただの雑談のような口調だが
話してる内容に半端なく恐怖を覚えた

「2日前から明後日までだったと思う」

「じゃあ今日の夜には帰ってくるね、リオレウスくらいだったら
3日あればあいつ等だったら狩れるだろうし」

「ところでさっきから気になってたんだけど
横の人は誰?彼氏?」

将はいきなり話題をふられ動揺する

「え、だから、その~ねぇ」

「ねぇじゃないわよ、彼氏じゃなくてお友達!
この依頼中にちょっと色々あってね、それでこの街まで
一緒に来ることになったの」

酒場の連中の視線が将から離される

(こ、コイツ等エルスのファンなのか?)

「へぇところでその格好流行ってるの?
今日もその人みたいな格好の人がハンター登録に来たわよ」

「な、に!?名前は言ってなかったか!?」

将の驚きっぷりにキャミィも驚いた様子で
答える

「え~っとたしかトウマって言ってたと思う
でも今ハンター登録する新人が一気に来る時期でしょ?
だから込み合っててねぇアカウントが必要なのよ」

「それでそいつはどこに行ったか分かるか!?」

「さぁ?何かすぐハンター登録したいらしくて
レイナスっていう街ならすぐできるって教えてあげたけど
彼、武器持ってなかったみたいで
ハンター登録には武器が必要だって言ったら
ありがとうって言って酒場出ていっちゃたよ」

「ってことはまだこの街にはいるんだな」

将は安堵したようにため息を漏らす

「多分工房に行ったんだと思うけど
もう4時間くらい前の事だから工房にはいないと思うわよ?」

「ショウ、だったらあなたもここでハンター登録しちゃえば?
ね、いいでしょキャミィ?」

将もキャミィもエルスのいきなりの提案に唖然とする
しかなかった

「・・・・はい?」

「だからショウの友達の~トウマ君だっけ?
ハンターになりたいみたいだし
工房に行ってトウマ君の事聞くついでに武器買っちゃおう」

そこでキャミィがちょっと待った!と言わんばかりに
手を前に差し出す

「だから言ったでしょ?ハンター登録はアカウントが必要だって
だから無理!」

「でもランク15以上のハンターの紹介があれば
優先されるんじゃなかったっけ?」

キャミィは少し真剣な表情で言う

「紹介と言っても彼の実力を見ての紹介じゃないでしょ?
例えハンターになれたとしても長く持たないわよ?」

キャミィの言葉に将の頬を冷や汗が流れる

「だいじょうぶ!将は私が責任を持って面倒みるから」

「お、おいおいそんな勝手な・・・」

将が言い切る前にエルスが睨んでくる
エルスの目が黙ってろと言っている

「う・・・・」

「それならいいけど・・・じゃあ武器を工房で買ってきて
話はそれからね」

キャミィは最後は笑顔をみせて見送ってくれた






「ここはどこだ?」

当麻は妄想に夢中でどこを歩いてるか分からなかった





4部【ダイグの想い】


「・・・・・・どうしよう・・・・・」


妄想好きのバカな少年の声が
むなしく響く


「まぁでも人に聞けばいいだけの話か」

しかし当麻のまわりには人がいない
いるのは黒猫が一匹
この世界がモンスターハンターなのだから
おそらくメラルーだろう

「・・・・・」

「・・・・・」

一人と一匹の間に沈黙の時が流れる

「な、何か用かニャ?」

(し、しゃべった・・・・道を聞くべきなんだろうか?
でもなぁ~何か盗まれそうだし)

当麻はゲームで一度だけ折角お金をためて
ようやく手にした肉焼きセットを一度も使うこともなく
盗まれたことがあり、少なからず警戒していた


(な、何ニャ!?コイツは~、何で何も言わないのニャ)


「・・・・・」

「・・・・・」


でもこのままではしゃくなので当麻は話しかける事にした

「あ、あのさ・・・この街の北門ってどこにあるか
分かるか?」

「も、もしかして迷子さんニャ?」

「ま、迷子とか言うな!ただ感情の赴くまま
歩いてたらどこかわからなくなっただけだ!」

「それを世間一般では迷子と言うのニャ!」

「ふっ、迷子ではなく流離いの美青年とでも言ってくれたまへ!」

そのメラルーは諦めたように話を変えようとする


「で、北門ニャか?この街は入り組んでるからニャ
しかたないから案内してやるニャ」

「ふっ、礼はいらねぇよ・・・・」

「礼を言うのはお前ニャ!」


当麻は無視してメラルーをうながす

「オレの名前は当麻だ、お前の名前は」

メラルーはある一つの嫌な予感を抱きながらも
名乗られたのだからこちらも名乗るしかない

「僕の名前はにゃん吉ニャ」

「わかった!よろしくな、[にゃん吉ニャ]君!」

にゃん吉は予感が的中したと言わんばかりに
顔がアイルーの如く白くセピア色へと変わる

「・・・・・・」

「・・・・・・」

また二人の間に沈黙の時が流れる


          ◇    ◆





そのころ将とエルスは工房の人に聞き込みを開始していた



「あの~オレくらいの年で似たような格好をした男が
来ませんでしたか?名前は当麻っていうんですけど・・・」

「さぁ~知らんねぇ~」

これで4人目
たいした人数には聞き込みはしていないが
工房に立ち込める熱気に頭がクラクラしてきていた


「ふぅ~見つからないなぁ・・・・ハハハ・・・」

熱気にあてられたせいか自分でもよく分からないうちに
笑ってしまう

「ち、ちょっと大丈夫?少し休憩した方がいいんじゃ・・・」

横ではエルスが心配そうな顔をしてこっちを見ている

「い、いや大丈夫・・・あと2人はいけるから」


そこへさっき聞き込みをした内の一人がやってきた

「お~いお前等ー!知ってる人見つけたぞー!」

意外な一言に暑さも忘れて元気になる

「で、その人はどこに?」

そこには老人・・・いや体格がすごく
いわゆるマッチョな老け顔の人がでてきた

「おう!おまえがトウマを捜してるって奴だな
アイツとはどんな関係だ!」

「アイツはオレの友達で、行方不明で捜してたんだ」

そこでエルスがきょとんとした顔でとんでもないことを言い放った

「ふぇ?大人の関係じゃないの?」

「え、エルス・・・こんな時に真顔でヤバイ
発言はしないでくれ・・・・」

「ぐ、ゴォッホン!それならいいんだ、でそのトウマだが
行き先は聞いてないな・・・スマン」

「あぁ~気にしなくていいですよ、行き先はだいたい
分かってますから」

「そうか、いや本当にスマンなぁ・・・」

これ以上この話題だと自殺までしかねないぐらい
落ち込んでるので話題を変えることにした

「それで、武器が欲しいんですがいいのあります?」

その瞬間マッチョお爺さんの表情が一変
これ以上ないくらいの笑みを見せる

「どんな種類の武器がお望みだい?」

「ん~、片手剣がいいなぁー」

「予算はいくらだい?」

そこで将は大事なことに気付いた

(この世界の金ねぇよ・・・・)

エルスをチラっと見るが苦笑いをいている
そして小声で言った

「ごめん、今手持ちが1000zしか・・・・」

そう言い将に差し出す

「1000zです・・・・」

「1000!?お前さんそれじゃあハンターナイフぐらいしか
買えないぞ?」

「うー・・・それでいいです・・・」

「分かったよ、毎度あり~!今とってくるからな」

そういい工房の奥へ入っていく、その時将は違和感を覚えた
ハンターナイフならあそこに置いてあるのに
マッチョお爺さんは奥までとりにいったのだ



数分後・・・


「またせたな!ほれこれだ」

と言いハンターナイフを将に手渡す

「じゃあこれ、1000zね」

その時将の腕の中のハンターナイフを見ていた
エルスが何かに気付いたように小さく声をあげる

「ぁ!・・・・」

「どうしたの?」

「な、なんでもない!なんでもない!」

その様子を見ながらマッチョお爺さんも何やら
ニヤニヤと笑っている

「そうだ!お前達名前は?」

「将です」

「え、エルスです」

何やらエルスはまだ動揺している
どうしたのか分からず今は無視することにした

「あなたは?」

「ダイグだ、よろしくな!」

その時工房のどこからか鐘の鳴る音がする

ガーンガーン

「おっと、緊急招集だ・・・何事だ?まぁいい
トウマに合えること祈ってるぜ!」

「ありがとうございます!」

「そういう時は・・・だっはっはありがとよ!って言うんだぜ?」

「だっはっはありがとよ!」

そう言うとマッチョおじい・・・ダイグはまた
最高の笑みを見せたあと走り去っていった



           ◇    ◆



ダイグが会議室に着いた時には皆すでに集まっていて
真剣な顔をしていた

「どうしたんだ?」

工房長がその質問に答える

「ギルドナイト大佐へリング大佐に渡す予定だった
中くらいの長さの剣が何者かの手によって
奪われたという疑惑がでているんじゃ・・・」

(やっべぇ~)

話はまだ続くようだった

「問題はそこではなく我が工房の誰かがその行為に
協力したということが問題なんじゃ」

「なんでそんな事わかるんですか?」

「あの倉庫は工房の者しか空けるための方法を知らん
よって疑いがかけられておる・・・・」

工房長は心底困り果てた顔で話を続ける

「ギルドはその行為に協力した者を明日の正午までに
差し出さなければこの工房の運営権を剥奪するそうじゃ・・・」

「な、なんだって!?」

「しかしまだ誰か分かっておらんのじゃ・・・」

一人の仲間の一人が泣きながら言った

「う、う・・・オレまだこの仕事続けてぇよ!
家族のことだってあるしよぉ・・・・」

もう一人が言う

「オレだってそうさ!、ようやくこの仕事に
愛着が持てたところなんだ!なのに・・・なのによぉ・・・」


「・・・・・・・」


しばらくの沈黙


(これ以上は無理だな・・・・)

ダイグは意を決して言い放った







「その行為に協力したのはこのオレ!竜ジイことダイグだ!」




5部【当麻VSへリング、漆黒の硝煙】


エルスと将は工房を出た後街の中心部にある
噴水のベンチで休憩していた

エルスがどうしてもさっき買った剣が見たいと言うので
渡したのだが・・・エルスは食い入るようにハンターナイフを
見つめている


「あぁー!やっぱりそうだよこれ!
これハンターナイフ何かじゃないよ!」

何を突然言い出すのかと思ったが
とりあえずさっきの武器をみる

(どっからどう見てもハンターナイフだよな~」

「どっからどう見てもハンターナイフだよ?」


そう言った途端にエルスが目を血走らせて
将を睨みつける

「ち~が~うーー!!これはねぇ見た感じハンターナイフだけど
全くの別物なんだすたい!」

(何か方言使っちゃってるけど・・・・・ん?)

「別物?」

「そう!べ、つ、も、のぉ!これはね[オデッセイ]っていって
片手剣の中でも上位の攻撃力をもった水属性の剣なの!」


その時将はモンスターハンターの攻略本でみた
ハンターナイフに良く似た武器のことを思い出す


「お、お、お、お、オデッセイ!?で、でも
ダイグさん何で間違えちゃったんだろーねぇ」

エルスは呆れ顔で言った

「はぁ~あの人は分かってたわけ!確信犯なんだよ!
つまりエラク太っ腹なおっちゃんだったわけ!」


「うわぁーじゃあ超お得じゃん!」

「そぉー!超お得だねぇ」

その時将とエルスは二人して大声を上げて
回りの注目を集めてることにようやく気付いた


「「あははははぁ・・・・はぁ~」」




            ◇    ◆



「で、にゃん吉ニャ!こっちであってるの?」


「僕はにゃん吉ニャ!確かにこっちであってるニャ!
ほら、見えてきたニャ」



当麻とにゃん吉は街の北門まで来ていた


「でもおかしいニャ・・・なんで検問なんてやってるのかニャ」

「泥棒でもでたんじゃねぇの?」

「まぁいいニャ僕はここまでニャ」

「あぁここまでありがとな!またどっかで会おうぜ!」

「も、もう会いたくないニャ・・・」



にゃん吉と別れて当麻は検問を受ける

「おい、お前!その袋の中に入ってる物はなんだ?
見せてみろ!」

検問の男はダイグから買った剣の入った袋を指差す


「あ、これ?剣だぜ!オレこれからハンターになるんだ
あぁ~でも見せられないんだよな~、待ち出るまでこの
袋はあけないって約束したんだ!」


「いいから見せろ!」

そう言い袋を奪おうとする

「な、何すんだよ!離しやーがーれー!」

そして当麻も離さない


その時  ブチッっという音とともに袋が切れ
剣が地面に落ちる

「あぁー!切れちまったじゃねぇか」

検問の男は心底驚いたように顔を引きつらせている


当麻は剣を拾い首を傾げる
しかし次の瞬間検問の男が笛を力強く吹いた





ピィィィィーーー!ピィィィィーーーー!




「な、なんだよ!?うるせぇな!」

「き、き、き、貴様が犯人だったとはな!」

「な、何のことだ!?」


次の瞬間どこから現れたのか知らないが
何十人もの兵士のような格好をした人達が当麻を囲む


「な、何なんだよお前等はよー!」

当麻は何がなんだか分からなく
只この状況を見続けることしかできない

そこへある囲んでいる兵隊の一部がその場を退き
片膝をついて頭を下げる

その兵士たちの間から3人
どこぞの貴族が着る様な赤い服を着た自分より3、4つ年上
だろうか、どちらにしてもまだ若く皆凛々しく整った顔は
まさに美青年という言葉がぴったし当てはまった
そんな男達がこちらに向かって歩いてくる



「君が僕の武器を盗んだ犯人だね?」


いきなり現れて自分のことを犯罪者呼ばわりした
相手に当麻は怒りを抑えずにはいられなかった


「何のことだ!盗んだ?はぁ?いきなり変な言いがかり
つけるんじゃねぇよ!」

すると一人の兵士が叫ぶ

「き、貴様!大佐に向かって何ていう口のききかたを!」

大佐と呼ばれた男は気にした様子もなく
言葉を続けた

「言いがかりとは心外だな、証拠として僕の武器を
持っているじゃないか」


「これはオレのだ!ちゃんと工房ダイグのおっちゃんから
買ったんだぜ?お前のだなんて馬鹿な話があるか!」


その時一人の兵士が路地を走ってなにやら叫んでいる

「工房のダイグ=ラージアが犯行に協力したことを
認め出頭いたしました!」


「どうやら君に売ったというダイグは犯行を認めたようだよ?
これでもその武器が君のだと?」


(な、なんで・・・ダイグのおっちゃんが・・・クソ!)

「あぁ!オレのだ!お前には渡さない」


「ふぅ~、これ以上そんな戯言言うと殺すよ?こそ泥君!」

表情が一変し殺気がこもった目となる
回りの兵士たちもボウガンを構える


だが当麻は怯まず言い放つ


「これは、オレのだ!・・・・」


その瞬間大佐と呼ばれている男は驚いた顔をして
笑った・・・


「ほぉー、恐くないのかい?」

「ボケ!恐いに決まってんだろ?」

「じゃあなぜその剣にこだわる?もし今返せば
君のやったことはなかったことにしようじゃないか」


「嫌だね!この剣は形見でもなければオレが作った物でもない!
でもな!ダイグが罪を認めたんだったら罪を犯してでも
オレにあった武器を渡してくれたダイグの想いがこもった
剣なんだ!、お前には渡せない!」

またもや男は笑い言った

「良いだろう!今から僕と勝負しろ、もしそれで
僕に勝てたらその剣はくれてやろう、どうだ?」


「どうだ?じゃねぇ!このまま逃げたって撃ち殺される
だけってか?良いだろう!勝負だ!」


そういい当麻はダイグから貰った剣を鞘から引き抜く


大佐と呼ばれた男も兵士から剣を受け取り引き抜く
その剣を見て当麻は驚く
その剣は色は全体的に白いものの
当麻の持っている黒い剣と形状がそっくりだ
しかしそっくりと言っても多少違うが似ていた


「僕はギルドナイト特殊暗殺部隊大佐へリング=ディアフォールド
どうぞよろしく!」

「俺はただの一般市民当麻だ!」

(こいつ等ギルドナイトの連中だったのか)


そして二人同時に走り出す

「行くぜ!」
「行くよ!」

距離にして約15メートル
しかしその距離をへリングは3歩でつめる

「な、に?」

気付いた時にはへリングの蹴りが当麻の腹部へ突き刺さっていた

「ぐぁ!」

間髪いれずにへリングは剣を当麻に向かって振り下ろす
しかし反射的に剣で受け振り払う

「ちっ」

へリングは3歩後ろへ飛ぶ

「はぁ、はぁ」

「なかなかやるじゃないか」

「はぁ、うるせぇ!」

へリングはにやりと笑い静かに言った

「でも・・・次で終わりだよ・・・」

次の瞬間へリングは一歩で当麻との距離を詰め
2連続で斬りかかる

2発とも防ぐものの剣がはじかれ宙を舞う
へリングはそこを狙い斬りかかる
避けようとするが間に合わない

その時

ドンドン

2発の銃声が聞こえ
来るはずの斬撃は来なかった

へリングは銃弾の1発を剣ではじき
後ろへ飛んで2発目を回避する


「おーー!避けた避けた、流石だねぇへリングちゃん♪」

聞きなれない男の声に当麻は声のした方向を見上げる
建物の屋根の上に3人の男が立っていて
一人の男が持っている銃から煙がでていた
おそらく撃ったのはその男だろう


「ふん、クロノか・・・それとも[漆黒の硝煙]
とでも言うべきか?」

クロノと呼ばれた男はにやりと白い歯を見せ楽しそうに笑う

「そんな事言わないで昔みたいにくろのんって
呼んでくれれば良いのにぃ~」

「よせ!気色悪い・・・鳥肌が立つ」

何がなんだか分からず当麻はポカンとするしかなかった
その様子に気付いたかのようにクロノはこっちを見て
当麻にとって最も予想外のことを言った







「あぁ当麻君だっけ?モンスターハンターの世界へようこそ♪」


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