龍刀【朧火】製作所

三章中編【雪山の魔物】


雪山の洞窟の中でも平気でいられる。

8人のハンター達は二組に別れて行動していて、
4人で固まって行動している。

まだ現れてはいないが、
相手の数はこちらより多いし一体一体がモンスターだ。
戦力は多いほうがいい。

一体ずつ現れることを願いながら、洞窟を進む。
レス達一行はモンスターのねぐらとなっている、
エリア3の崖上のほうにいた。
下は巣によくつかわれていて、モンスターが多い…はずなのだが、
ほかのモンスターも逃げたのか、
そこにはドドブランゴが一体、仰向けで寝ていた。
これはチャンスだと、みんな慎重に下へ飛び下りる。
獅子は気付いていない。

みんなは大タル爆弾を囲むようにして置くと、そこから離れるた。
ガウルが合図し、一人ハンマーに力を溜めながら近付く。
そして最大まで力を溜めると、振り上げ、
おもいっきり地面に叩きつけた!
衝撃がタルを揺るがし、爆発させる。
ガウルはさっと横に回避し、爆風から逃れる。


いきなりの不意打ち、
しかも8個の爆弾を直でうけた獅子はもう死にかけだった。
中央大陸のモンスターならそうはいかないが、
ここは辺境の雪山のモンスター。
そんなに頑丈ではないのだ。

雪獅子は怒りの咆哮をあげるが、
ガウルはひるまず顔に一撃をあたえる。
続いてエレンが回り込み、右後ろ足を裂く。

強烈な爆弾のせいもあって、ドドブランゴはうまく動けない。
容赦なくもう一撃、ガウルの振り下ろしが放たれ、
脳を揺らされた雪獅子は気絶する。
そこを、レスがとどめをさす。
あたりに剣が擦り合わせられる音のあと、一体の雪獅子が絶命した。

「わたくしの活躍がありませんわ……(怒)」
ヴェールが握り拳を震わせる。

「ないだけ幸運だ、相手はまだまだいるからな。」
ガウルがハンマーを背負い直す。

「向こうはうまくやってるだろうか?」
レスが何気なく上をむいて言う。
「あの人達もけっこうなハンターっぽかったし、多分大丈夫よ。」

そうエレンが言うとすぐ、何かが羽ばたく音が聞こえた。
「しずかに!くるぞ。」
ガウルは地面に映った影の位置に、落とし穴を設置する。
プシューと火花を少し散らしたあと、ぶわっとネットが広がる。

ちょうどそこに、
【フルフル】が降りようとしていた。

「なんだ・・・これ・・・」
頂上付近の雪原に黒コゲのドドブランゴ2頭と、
皮膚が裂けたフルフルが死んでいた。
「なにがあったんだ?」
辺りは風すら吹かない・・・


フルフルの野太い鳴き声と、落とし穴の発動音が重なった。
エレン、レスが両翼に斬りかかり、
ガウルの振り上げたハンマーが数本の歯をへし折った。
「まずわ・・・これですわ!!」
レスが斬り裂いた皮膚のど真ん中を、
ヴェールの弾丸が三連続でめり込んだ。
中で弾が破裂し毒液が滲みだした。
ヴェールの撃った毒弾は皮膚の内側で毒液を放出して治癒力を奪い、
強い酸で内側から腐敗させていく。
「さらにこれですのよ。」
大口径専用の装填口に、
ヴェールの腕ほど太さの弾丸を詰めて塞がらない傷口に打ち込んだ。
内部で四連続の爆音が鳴り響き、傷口から大量の血が流れ出た。
大きな口から超音波のような鳴き声をだしフルフルはヴェール睨みつけた。
「マズい・・・」
けたたましい鳴き声にエレン達は耳を塞いで動けない・・・
「ヴェール!!」
エレンの叫びと同時にフルフルの口が光りだした。
体内に電気をため込むフルフルは、
危機にさらされると敵に高圧電流を吐き出す習性がある。
大人でも電流を直撃すればひとたまりもない。
ヴェールの方向に打ち出された電流が地面を走る。
ガウルが音波を無理やり無視してフルフルを止めようとしたが、
遅かった。
すでに放たれた電撃を、三人はただ見ていることしかできなかった。

諦めかけた。
でも諦めることはなかった。
ヴェールの行動がみんなを諦めさせなかったのだ。

ニヤッと笑ったヴェールは胸を張って叫ぶ。

「甘すぎますわ!!」

先ほどまで閉じていたパラソルがバサンと音をたてて開く。
ヴェールはそのパラソルで電撃を[受け流した]のだ。
電撃は傘を伝い落ちていく雨粒みたいに流れていった。
三人は唖然としてしまう。
フルフルは目が退化していて、何も見えないが、
音や臭いで当たっていないことはわかった。
わかるとともに体電気を纏わそうとする。
青白い光にはっと我に帰った三人は急いで逃げる。

「なんで!?なんで受け流せたの!?」
エレンは気になって仕方がなかった。
「話はあとですわ!!」

ヴェールは先ほどつかった弾をもう一度装填する。
ちょうどフルフルが再びヴェールに電流を放とうとしていた。

「懲りない奴ですわね。」

ヴェールは電撃を再び受け流し、
後ろに流れたことを確認するとすぐに引き金を引く。
口の中で弾丸が炸裂し、頭を吹き飛ばした。
「拡散弾おいしかったでしょう?」

動かなくなったフルフルとドドブランゴを解体しながら、
ヴェールのピンクフリルパラソル講座が始まった。
「私のパラソルは特殊加工で開けることが出来ますの、
赤フルフルの皮膚で作ったので電気も弾きますし。
フルフルにはうってつけですのよ。」
「おもしろいわね、あっ!電気袋は私に譲ってくれない?」
エレンはゴムで出来た袋に電気袋を丁寧に入れて口をゴムで縛った。

「そろそろ行こう、向こうに報告もせねばならんしな。」
ナイフをしまった時、
強烈な臭いと赤い煙が洞窟の天井に開いた穴から見えた。
「なにかあったんだな!!あの方向だと・・・エリア8か!!」
その頃頂上では地震の様な振動と、
身を震わす咆哮が鳴り響いていた・・・・・






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