河野一郎に挑戦4


 そしてまた、児玉譽士夫は「生ぐさ太公望」という本の中でもこう言っております。「昭和三十八年の夏、自分は再び支笏湖を訪れた。この時は今は亡き河野一郎先生も一緒で、東京女子医大の榊原任先生ご夫妻もはるばる一緒にやってこられた。」「それから数日間、榊原先生のご夫人は自分の家内と一緒にアイヌ部落や牧場、樽前山などを見物し、北海道情緒を楽しまれ、榊原先生は静かにパレットと絵筆に親しまれたり、あるいは、自分と一緒に姫鱒釣りを熱心に研究されていた。」こういう「支笏湖に遊ぶ」という一章があります。夫妻でもってわざわざ北海道の支笏湖まで数日間行っていらっしゃるという関係であります。
 そして昭和四十八年の六月、榊原さんと吉岡女子医大学長と二人は、児玉と非常に関係の深い東亜相互企業の社長の町井久之さんの経営されていらっしゃる社交クラブTSK・CCCの会員にもなっていらっしゃいます。このことは、児玉と東京女子医大との関係にかかわります。
 女子医大は、四十八年二月にその町井さんのやっていらっしゃる東亜相互企業から福島県の西白河郡西郷村大字小田倉字馬場坂の土地を、私の計算に誤りがなければ最初に買った五倍以上の値段で東京女子医大は買っております。この土地は東北本線白河駅から三十分くらいで、那須・白河高原であります。東北新幹線、東北高速道路等の計画進行中でもあります。そしてこの土地全体は、まだ開拓農家の廃屋があり、山林だけのようなところでありますけれども、その土地を広大にこの東亜相互企業が買っておりまして、幅二十メートルの道路もできております。その一部を東京女子医大は買っておるのであります。
 この土地購入は、うわさによりますと、不動産銀行が、先ほど申しましたTSK・CCCという社交クラブとこの土地購入のために五十四億の融資をしたとうわさされておるところでありますけれども、これはこの東亜相互企業の町井さんと児玉の関係というものを少し説明しなければならぬかもしれません。
 町井さんは、東声会という、あるときに広域暴力団に指定されたところの会長でもありますが、六〇年安保のときに、児玉がアイゼンハワー大統領歓迎の体制を確立するために、当時の自民党の川島幹事長から要請されて関東会を組織しました。その関東会には、北星会、東声会、錦政会、義人党、松葉会、住吉連合等が結集されます。そういう関係にあります。だからそのTSKというのは東声会のことでもあり、あるいは東亜相互企業の頭文字でもあるなんてうわさがされるゆえんでもあるのですけれども、児玉はその東亜相互企業の顧問でもあります。そしてこの広大な土地をいろいろなところに売りつけていらっしゃるようであります。神戸製鋼やあるいは三越等にもいろいろなうわさがあります。その一部の場所を東京女子医大が買っておるのであります。
 これはいま私が質問していることと直接かかわりがありませんから、なんでありますけれども、ところがこの購入する農家のある一人が証言しておりますけれども、その購入の最初に児玉譽土夫がみずからその農家に交渉に行き、その後に東亜相互企業にその交渉は引き継がれておるという経過をたどって、そして幾つかの土地の転がしがあって、私の計算では最初に買った金の五倍以上、もっともっと、十倍近くと計算するのでありますけれども、それで女子医大が買っておるのです。
 そういうことを私は知るに及んで、この背後の田中さんにも及ばないところの力は一体何かということにおよそ確信を得た感じがするのであります。
 この土地のことに関してではないかと言われておりますけれども、つい四、五日前に萩原吉太郎さんが札幌でもって久しぶりに新聞記者会見をされました。あのときの北海道新聞によると、児玉にある土地のあっせんを断ったために一服盛られそうになったと言っていらっしゃる。北海道新聞にはそう書いてある。しかしそのときの記者に聞いてみると、青酸カリという言葉も出たそうであります。そのことはこの土地であろうと言われておるわけであります。農地転用の許可ができないと思ったから断った。その農地転用のために、ここに農地転用のあれもありますけれども、目的は研究施設の一部をつくるということになっておりますけれども、それを利用したのではないかとまた言われてもおります。こういう関係の中でもって、榊原と児玉の間柄、児玉と女子医大との関係、その時期を同じくしておることを見ても、田中総理でも力の及ばないものは一体何であったかということは、私は疑念を持っておっただけに何かわかってきたような感じがするのです。当時、女子医大の理事である、これは申し上げていいと思うのですが、岩本元教授は、この土地の買収や研究棟建設の話は理事会で全く扱われず児玉、町井の絡んだ政治的取引のために一部の理事の独断で買ったらしいと言っていらっしゃることもそのことを裏づける感じがいたします。あの大学の経理状況から見てそう余裕のある大学ではないはずであります。しかもこれは、農地転用によりますと、実は農地転用をいたしましてから一年以内でもって竣工するとなっておるのでありますが、三年間放置されております。福島県は再三にわたって勧告をしております。ことしの四月に初めて起工式をいたしましたけれども、その四億円の金は同大学にはないと言っております。組合との団体交渉の中では、四億円は父母の寄付を仰ぎたいと言っております。それならなぜこの土地を買ったのだろう、私は大変に疑問に思うのです。そういう一連のことから、この副学長問題の背後にあるものは児玉ではないのか。新構想大学という筑波大学が右翼軍国主義者にその出発から支配されたところの大学なんだろうか。私がこのことを言うのは、きようも可決された法律によって大学は新設されます。それらにも何らかの新しい構想が含まれております。確かに大学はいまそういう一つの転換期かもしれません。その出発に当たって、この副学長を通してそのような支配が及んでおるとするならば、これは放置できないと私は思うのです。大臣の御見解をお聞きしましよう。


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