彼の気持ちは?

彼の気持ちは?
一人旅から帰ってくると、彼からメールが来ていました。
彼のメール

こんばんは、順蔵さん。
先日研修から帰ってきて、結構くたくたでした。
でも今日いきなり休みになったのでゆっくりできました。
明日が楽しみです。
明日は、所沢駅で待ち合わせた方がいいですか?
それともいけふくろうあたりで・・。

どうでしょう?

あれ? 行く気あるんじゃない。
じゃ、メールが来なかったのは仕事で忙しかったからなのかな。
でも、急にメールが減ったのはかなり気になっていました。

翌日、彼と地元の駅のホームで待ち合わせをしました。
初めての本格的なデートです。
ナンジャタウンは絶対に楽しめるという自信がありました。
どんなに無口でも、無愛想でも、きっと笑ってくれる。
と同時にこれで最後かもしれない...という不安もありました。

ナンジャタウンは街歩きをしながらアトラクションを楽しめるテーマパークです。
1996年のオープンと同時に順蔵はずーっと通い続けています。
彼は今回で3回目ということで、あまりまだ詳しくない様子。
「彼女と来たんだろうなぁ。」と想像できます。
順蔵は恋人とも来るし、友人と来ることも割と多いですね。
男性同士で来ている人はあまり見かけません。

アトラクションをやって、一休みしたときに初めて彼のフルネームを知りました。
名刺をもらったんです。
会社名と仕事もそのときに知りました。
彼は車の整備士さんだったのですね。

夕方からはスペシャルイベントとして「ミステリーナイト」っていうのがありました。
街を探索しながら謎を解いていくものなのですが、
カップル向けに多少「怖い」演出をしているわけです。
しっかりしがみつけるように。。。
もちろん、順蔵と彼はしがみつけるほどの仲ではありませんから、
微妙な距離を保っていましたが。(笑)
順蔵は怖いものが苦手で「何でもいいからしがみつきたい」という気分でした。
お化け屋敷の中で恐怖がピークに達した順蔵は足がすくんでしまいました。
その時、彼が順蔵の手を握りました。
「大丈夫だよ。怖くないよ。」
ところが、先に進んでいくうちに彼は手を離して順蔵を置いていってしまうのです。
順蔵は恐怖心より彼の心が分からなくて呆然としてしまいました。

たくさん遊んだ帰り道、どこかでごはんを食べようということになりました。
お店は順蔵が選ぶことになりました。
順蔵としては男性にリードしてもらいたかったのに、何故か自分がリードしている。。。
美味しくないお店や妙に高いお店・安いお店には連れていけないし。
順蔵は頭の中でたくさんのお店の候補を考えました。
でも、彼は「任せる」と言ったわりにはYESと言わないのです。
「だったら自分で決めればいいじゃん!」
と言いたいところですが、営業スマイルで次を探す順蔵。
結局、値段で勝負の「天狗」(チェーンの居酒屋さん)にしました。

中に入って飲み物を注文し、乾杯をすると彼が一言。
「順蔵さんは恋愛観はどんなものですか?」
うわ。いきなりディープな質問だなぁ。と焦りつつ、答えました。
「一緒にいて心がほっとするような。...元気がでてくるような、そんな感じかな。」
彼は「ふ~ん」とうなづいてから、
「自分は一人の時間を大切にしたいんです。」と。
それって、恋愛観と関係あるのか?
「じゃ、恋人なんていらないじゃないですか。」(順蔵)
「うん、それもそうなんだよね。」(彼)
え~っ!え~っ! 何よ、それ。

飲み物と料理が行き渡って、そのあともいろいろ話したんだけど、
やっぱり冒頭の会話がインパクト強すぎました。
そして、やたらと彼は順蔵を温泉に誘うのです。
「異性の友人を温泉に気軽に誘うかなぁ。順蔵のこと温泉仲間だと思っているのかな?」
確かに温泉は好きだし、一人旅でもいろんなお風呂に入っているけど。。。

「彼は恋人ではなく、温泉仲間を欲しているんだ。」

つづく。



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