東奔並走。

東奔並走。

2024.08.11
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カテゴリ: 山歩き。
2015年に百名山踏破を目指していた中で北岳、間ノ岳を登るべく農鳥小屋に宿泊したが、すぐそばにある農鳥岳には登っていなかった。3000m峰を踏破する上でもこの農鳥岳(+西農鳥岳)は外せない。ようやく白峰三山、すなわち北岳、間ノ岳、農鳥岳の縦走ができる機会が訪れた。

北岳から。中央は間ノ岳、その奥に西農鳥岳、農鳥岳が連なる(右奥は塩見岳)

縦走の方法としては、主に2つ、奈良田から大門沢ルートで北上するコースと広河原から南下する方法を考えた。大門沢コースは結構きついとのことで上りがいいか、下りがいいかで迷ったが、宿泊先を大門沢小屋にすると翌日の行程が長くなる、農鳥小屋だと自炊の荷物で重くなる、ことから広河原から南下する方法をとった。

​1日目:広河原→北岳肩ノ小屋(泊)
2日目:北岳肩ノ小屋→北岳・間ノ岳・農鳥岳→大門沢小屋(休憩)→第一発電所バス停​

という ​1泊2日のコース​ とした。

まず、広河原へはマイカー規制のため奈良田からのシャトルバスで移動することになる。この時期1便(奈良田駐車場バス停)の出発が5:8:4030となっている。これに乗ろうとすると夜中に自宅を出発するか前泊となる。1日目の宿泊先が北岳山荘であれば迷わず1便だったが、肩ノ小屋なので2便(8:40発)でも十分間に合う。また、2便であれば早朝に家を出てもよかったが、前泊(早川町湯島の湯にあるコテージ)して慌てずバス停に向かうことにした。情報では2便は空いているとのことだったし。

コテージに前泊。自炊だが、温泉は無料

<DAY1>
奈良田駐車場はバス停の側にあり無料で120台駐車できるとあるが、連休もあってかそれ以上の台数がわずかなスペースに停め、それでも収まり切らないクルマは道路脇のスペースに停めるなど溢れていた。宿泊を伴う行程なので1日でクリアになるわけではなく、前日出発分に当日出発分が加算される。以前はこの辺りに第2駐車場があったようだが、今は廃止されている。それだけ利用者が少ないのかと思っていたがとんでもない。なぜ拡張せずに縮小したのだろうか。せめてハイシーズンは臨時に設けるくらいして欲しいものだ。一方、広河原へはもう一つのルートとして、芦安から夜叉人峠経由でのシャトルバスがあるが、こちらを利用するための駐車場は350台と3倍近くの差がある。この扱いの差はなんなんだろうか?
駐車場はともかく、これだけ来る人が多いと奈良田駐車場バス停からの1便のバスはもちろん1台では乗り切れるわけではなく、5台ほど出ていたようだ。
2便目に乗るために7:30ごろ駐車場に行ったが、当然駐車スペースなどあるわけもなく、路肩に停めようかと思ったが、この段階になるとバス停からどんどん離れた場所となる。そこで、翌日下山後宿泊する予定の「民宿えびなや」さんにクルマを先に停めさせてもらえないか事前にお願いしたところ、快くOKをいただいた上に、バス停までの送り&下山後第一発電所から電話したら迎えに行ってあげるよと嬉しい言葉をいただいた。「えびなや」さんから奈良田駐車場バス停まで歩いて約30分くらいかかるので、快いサービスに感謝、感謝だ。

この右上が駐車場だが、すでに所狭しと駐車している。バス停辺りは駐禁なので広々としている

2便目の出発は8:40、1便目からすると3時間も後なのでかなり遅い気がするが、この時期のようなハイシーズン以外(土日を除く平日など)はこれが1便の時間だ。8時ごろ「えびなや」さんにバス停まで送っていただいたが、登山者のほとんどが5:30の便で行ったためバス停には4人の釣り人がいただけだった(この4人は1便が満車で2便に回されたとのこと。回されて3時間待ちはきついな。釣りだから?)。バスも1台すでに待機しており(時間までは乗れないが)、静かに出発時間が来るのを待つだけだった。

2便の8:40発のバスが待機している。2便はこれ1台で空席有状態


ちなみにバス運賃は広河原まで乗車賃1300円+環境保全金300円の1600円。乗車賃はsuicaなどのIC乗車が可能だが、保全金の300円はバスに同乗している車掌さんに現金払いしないといけない。しかも一人一人回収しているので時間がかかる。出発地では出発までに精算できるが、次のここ奈良田では乗り込み者が多いので出発までに時間がかかっていた。以降は追加の乗車がなかったので良かったが、ザックが大きいのでその分車内のスペースが狭くなっていた。
奈良田出発後は大門沢ルートを登っていく4人の外国人チームと出発時にいた4人の釣り人たち途中で降りて行った。8人減るだけでバス内はガラガラだった。
バスは予定通り9:25に広河原に到着した。

最初のつり橋を渡って、9:40にスタート

吊り橋を渡ってまずは白根小池小屋を目指す。大樺沢ルートは通行止めのため、尾根伝いに登っていく。ある程度登れば傾斜の緩い横移動となるものの樹林帯の中なので淡々と進むだけだ。出発して2時間後、小屋に到着。これから登る人、降る人、テン泊する人で賑わっていた。水は無料で補給できたのはありがたかった。
この先は「草すべり」を登っていく。名前からすると草、花があっていい風景をイメージしがちだが、とんでもない。上り、上り&まあまあな斜度。しかも太陽の熱い光を浴びながらなので疲労は増えてくる。

小屋傍にある池の畔にはテントが張られている
ここから太陽を浴びながら高度を上げていく。結構急だ。

ここも淡々と登ると「小太郎分岐」に着く。開けた場所で眼前には鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳などが広がり、疲れを癒してくれる光景に出会える。
小太郎分岐からは宿泊地である北岳肩ノ小屋も見えてくるのでもうわずかだ。ただ、小屋直下あたりも楽に行けるわけではなく、momoは足が攣るなどペースダウン。14:00過ぎくらいに到着かと思っていたが14:30の到着となった。とはいえ、計画では15:00までに到着すればいいかと思っていたので、時間的には全く問題はない。

小太郎分岐より甲斐駒ですね。手前の山が小太郎山
本日ゴールの小屋が見えてきたが、すぐには着かない
仙丈ケ岳をバックに歩くmomo

小屋での手続き後、就寝場所に行ったが、僕らは上下段あるうちの下段端2つだった。また感染症対策もされており、パーテーションでの区切りや隣との間隔も狭くなく休みやすい環境だった。
敷布団、毛布、寝袋が用意されているが、シーツ持参を言われていたのでそれを寝袋に挟んで利用する。ただ、周りを見ても果たしてシーツを持参する人はいたのかどうか。
僕らはもともと持っていたので問題はなかったが、わざわざこのために購入する人は・・・どうかなあ。

北岳は通過しに来ただけ
下段の奥を指定された
窮屈ではない間隔
価値ある一品だ

1泊2食(夕食+朝用の弁当)で12,000円。人によっては高く感じるだろうが、最近はビジネスホテル素泊まりでも同じような金額の場所は多々あるので、そう考えると決して高いわけでもない気がする。また、夕食は三交代制で僕らは二番目の17:30から。名物「肩ロース」焼きだ。うまいし、満足度が高い内容だった。

食後夕景を見に外に出ると富士山が姿を現し、北岳の上には三日月が光っていた。消灯は8:00だが、寝転がっていたら寝落ちしていた。

<DAY2>
山小屋の朝は早い。というか他者により起こされると言った方がいいか。相部屋なのでいびきの大きい人がいると耳栓をしていてもそれを突き破る爆裂音で目が覚める。
3時に起き出す人がいて、僕らも3:20ごろから身支度開始。朝食用の弁当は事前にもらっていたので、それを平らげ、4:20北岳に向けて出発。
小屋から北岳頂上まで約40分。日の出時間ごろの到着で、今日1日の始まりを日本2位の場所で迎えて、次に向かう。

右側北岳。日の出町の人たちが多くいるのがわかる
もう少し雲がなければいいのだが、こればかりは仕方がない

人によってはそのまま広河原へ下山、間ノ岳で折り返して広河原へ下山など行程はいくつかあるが、いずれにせよ南に行くにつれて登山者は徐々に減っていった。


北岳から200mほど下がって、間ノ岳に向かって200mほど登る。天空の縦走路ですけど…
左に北岳。2位と3位

間ノ岳から300mほど下降し、1時間ほど行くと農鳥小屋に到着する。以前泊まった際は有名な親爺さんがいたが、2022年に引退されたようで、もうその姿を見ることはできなかった。しかも小屋は素泊まり&テント泊のみで、大門沢小屋が管理している(ご家族のようです)。人は常駐しているが食事の提供はなし。缶ジュースなども売っているものの空き缶は持ち帰り。でも、ある意味こちらも有名なトイレは以前のままだし、小屋の雰囲気もそのままだった。

さて、懐かしの農鳥小屋に向かっていったん下降
農鳥小屋が見えてきた
以前と変わらぬ姿だが、親爺さんはいない

小休憩をした後、3000m峰残り2座である西農鳥岳、農鳥岳に向かう。
農鳥小屋から40分ほどで西農鳥岳に着くが、200mを一気に登るのでまあきつい。頂上は広くなく、写真を撮ったら次の農鳥岳に向かう。ややトラバース気味に行くので多少はマシか。
出発してから6時間40分。白峰三山最後のピーク農鳥岳に到着。この頃になると東側からガスも湧いてきて、富士山はガスで覆われ、間ノ岳も西側だけしか見えない。南に目を向ければ塩見岳はクリアに見えていたが、辺り一帯徐々にガスで覆われそうな気配になってきた。

momoが雷鳥を発見!
間ノ岳を隠しにかかってきた雲
3000m峰をこれにて踏破
降りるだけなので眺望は関係ないけど

大門沢下降点に着くと進行方向はガスで白くなり、眺望はもう何もなかった。あとは淡々と樹林帯を下っていくだけ。
この時点では体力もまだ十分だったが、水分は摂っても、塩分を摂っていないので徐々にバテが出てきた。休んで塩羊羹を食べようと口にした瞬間吐き気が襲ってきた。何も食えないので、しばらくじっとするしかない。脱水気味?ナトリウム不足?だったのか。
下降点から2時間ほどで大門沢小屋に到着。ここで休憩と行動食補給で多少持ち直す。この先ゴールの第一発電所まで約3時間との表示だったが、ずっと樹林帯の中というのは気が滅入る。キツさは大門沢小屋までの下りほどではないにしろ、変わり映えのしない中を歩いていく。小屋から2時間ほどで登山口に降り、あとはバス停まで30分ほど歩く。

大門沢小屋からは川沿いを歩き、再度山中に入っていく
取水口に到着。ゴールはあと少し
ここからバス停まで約30分。バテてはいるが、気分的に違う

第一発電所バス停には16:50に到着。スタートして12時間30分、22kmか。時間も距離も長かった。

〜メモ〜
・水だけではだめだ。経口補水液などハイポトニック飲料(パウダー)を用意しておくべきだった。塩分摂取するにも行動食を食べられなかったら意味がないので、飲料で補給できるようにしておかないとバテた時のリカバリーが大変だ。
・疲労軽減を考えたら大門沢小屋でもう1泊がいいのだろうが、こればかりは歩いてみないとわからない。下山後の宿を予約してたのもあるし、小屋から3時間以内で下山できるのであれば多少疲れていても降りるという選択をしてしまう。小屋で14時すぎの時間であれば、やっぱり行ってしまうな。
・大門沢下降点からの下りは斜度があるので地面が乾燥していても滑りやすい部分はあるが、雨が降ったりするともっと滑りやすい状態になる。そういう意味では地面の状態で危険度も変わる。かといってチェーンスパイクつけて降りるわけにもいかんしねえ。
​民宿「えびなや」​ さんにはHPがない。Googleマップで見つけて、口コミもみて予約をとった(この辺りには宿泊施設が少ないので、他のHPには紹介されている)。宿なので風呂はあるが、近くの温泉(奈良田温泉or湯島の湯)の無料入浴券をいただけるのでありがたい。夕食の時間は指定されたが、朝食は指定できる。6時と言ったら、その時間に用意してくれた。1泊2食で8,800円。食事も美味いし、登山口への送迎付きなど コスパ良すぎ

「民宿えびなや」さん。この日は僕らだけ。
このログハウスには3組泊まれる。



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Last updated  2024.08.16 17:52:39
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