オトキチ日記

ふたたび平壌へ戻る

北朝鮮旅行記4日目

ふたたび平壌へ戻る

ホテルのロビーで出発時間を待つ。

中国人の子供が10人くらゐ、わあわあぎやあぎやあと騒いでゐる。走りまはつたり、拳法ごつこみたいなこ
とをしたり。
ホテルの係員(男)が朝鮮語で「静かにしろ! こらあ!」と(たぶん)叫ぶが聞きやしねえ。
それにしても中国人の子供はいい服を着てゐると思ふ。流行の最先端といふ感じか。
突然水の音がしたので驟雨かと思つたが、さうではなくて、ロビーにある人工の滝に水が流れはじめてゐて、
子供たちが記念撮影を始めてゐた。

売店にチマチョゴリがあつた。
1着お土産に買ふ約束をしてゐたので、黄色のを買はうかと眺めてゐたが、
キムさんが「その人は何歳ですか?」
「27歳です」
「では、それは子供つぽいですね」
と言つて店員に話して別なものを出してきて貰つた。緑色で、なるほど大人向けか。花の模様あり。
「これはいいですね」と私。
でもキムさんは「う~ん、田舎臭いですね」
あら、さうなの?
どこが田舎臭いかは当方には分らず。
平壌で買ふことに。

中国人の子供たちは修学旅行だらうとのこと。

平壌に向けて出発。

高速道路脇には橙色の花がずつと植ゑられてこれがきれい。
何といふ花か聞くがキムさんも李さんもわからず。
「市の花とか党の花とか、さういふ意味ある花ではないのですね?」
「さうですね。きれいだから植ゑてゐるだけでありますね」とキムさん。


魚獲り

<魚獲りをする子供>


来たときと同じく、高速道路を歩く人、人、人。
エンストしてゐる車、車、車。
牛、牛、牛。
上半身裸で土木作業をしてゐる軍人さんの一群、あちらこちらに。

ところで、平壌市内には電柱がない(全部地下らしい。それが漏電しまくりで電力危機の原因の一環とはネッ
トで仕入れた話)が、郊外に出ると電柱がある。
それが下の写真ですが、

電柱

かう見ると普通のやうだが、ぱつと見の印象は「低い」。
いちばん下の線は背の高い人ならぶつかりさうなくらゐに見えた。
大丈夫かいな? と心配になりました。

写真は三段作りのタイプだが、さらに支線となると、一段だけとなる。
そして、更に村のはずれとなると、自然の木をそのまま電柱にしてゐた。

枝を払つた木を、そのまま立ててゐる。丸太になつてゐない。加工してゐない。
だからそれぞれの木が自然な形で曲がつたまま、電柱のやうに(まさしく電柱なのだが)並んでゐる。

電力事情については初日に李さんがかうも言つてゐた。

「わが国は火力と水力で発電してゐますが、冬は水が凍りますね。水力発電が出来ません。それで冬は停電
が起こることがあります。いまの季節は大丈夫ですね」

そのときはなるほどと聞いてゐたが、たしかに停電はなかつた。
しかし、そもそも電気を点けてゐないし、点けても蛍光灯/電球が切れてゐるわけである。
「いまの季節」でこれなら冬場はどうなるんだ?
電力事情の悪さは想像以上でござんした。

住宅についてふたたびキムさんい聞いた。
「どの住宅になるかは、どうやうに決まるのですか?」
「基本的に職場に近いところが与へられます。いちばん近いところになければ次に近いところですね」

「日本では職場に近いところにはなかなか住めません」と私。「職場は町の中心にあつてさういふところは
家も土地も高いですから。電車で1時間も2時間もかかるやうなところに住む人が多いです。さういふ郊外
は中心に比べれば安いですからね」
「でも、それでは」とキムさん。「家賃が安くても電車賃がたくさん掛かつてしまひますから、同じことに
はなりませんか?」

ほう、鋭いなあ、頭いい子だなあと改めて(略)。

「ところが、日本の多くの会社では通勤にかかる電車賃は会社が出してくれます。給料とは別にですね。で
すから遠くに住んで電車賃が高くなつても労働者の生活には影響はないのです」

検問は例によつてほとんど顔パスだつたが、平壌に入る最後の検問だけは違つた。

通行証を提示、さらにキムさん李さんの身分証明書(たぶん)も提示させられてゐた。
穴の開くほど書類を見つめて、車中の人間をじつくりと確認する軍人さんの鋭い目つき。
なるほど、平壌に入るのは厳重なのだなと実感。

もつともこれにはキムさんはご不満だつたやうす。
うたた寝をしてゐたところだったのだが、(以下は朝鮮語のやりとりを例によつて勝手に推測)、
李さん「おい、キム、身分証出して」
キムさん「え? 何?」(と目を開ける)。
李さん「身分証だよ」
キムさん「え? 私の? なによそれ」とハンドバッグから取り出し、「信じられないわ。なんなのよ」
李さん「文句言ふなつて」
キムさん「分つてゐるわよ、はい」
こんな感じでした。

平壌市内に入ると、不思議なもので、町並みが見慣れたものに見えてきて、
「ああ、帰つてきたんだあ」といふ感慨さへも起きたのには我ながらびつくり。

でも、ほんとにさう思はれたのです。
奇妙なことですが。


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