帰って来たかえるのへや



    「不良少女(猫)と呼ばないで」 (2004年2月19日の日記より抜粋)

ベタ

カンナの子供3匹目。「ベタ」君、雄。
この子はちょっと器量が悪かったけど、男の子だからもらい手がついてホッ。


カンナは当初けして付き合いやすい猫ではなかった。
ベたベたつきまとっては来るのだが、どうも訴えがわかりにくい。
そのうち理由のわからないことで突然切れる。そうして何らかの嫌がらせに走る。
建て具をバリバリするのには一番参った。彼女は普段はきちんと爪とぎ器を使う。
嫌がらせの時だけ、人の見ている前で建具で爪を研いだ。
人の気持ちは良く読む猫だった。

Kaeruはことさらに動物を甘やかしはしないが、
必要なことはちゃんと応じる方だと思っている。
カンナが切れる前にといつも餌がなくなっていないか気を配り、
夜中でも起きて何度でもドアを開けて出したり入れたりしてやった。
というか、カンナが何を求めているのかわからなかったから、毎回両方をチェックした。

Kaeruとしては猫が飼い主に求めるものは
餌とお宿と排泄や遊びのためのドアの自動開閉機能程度だと思っていた。
そのお礼に飼い主は猫を触らせてもらえるというか、猫が飼い主で暖を取るというか。
猫と人間のギブアンドテイクとはそういう程度のものだと、
それまで実家で飼っていた猫達との経験から思っていた。
が、カンナは違うと言うことをある時思い知らされた。

その日カンナは妙にまつわりついて来た。
Kaeruも良くあることだが、忙しく立ち働いていた。
その中を何度チェックしても餌はあるし、外に出してやってもすぐ帰って来てしまう。
もうわからん、と邪険になって相手にしないとふすまバリバリを始める。
怒るKaeru。でももっといらっちなのはカンナの方なのだ。
家中走り回ってはまた同様の事を繰り返す。
もう正直すっかりこんな猫見捨てたくなった。
すると、たまたま背を向けて座ったKaeruをカンナが襲った。
ダッと宙を飛んで、四つ足全部でわたしの背を飛び蹴りして、
跳ね返ってそのまま隣の部屋で背を向けてうずくまった。
何が起こったかと呆然とするKaeruにその背が言った。
「どうせワタシ悪い子なんでしょ!こんな事するんだもの!どうにでもすればいいじゃないの!」

ああ、この子はこれ以上突き放したら本当に気持ちが切れて非行に走ってしまう。
そんなふうに思ったKaeruは正座して膝を叩いて見せ、
「おいで、カンナ!」と呼んだ。
カンナは振り向いて「にゃ~ん」と言って(本当にこう言った)
いちもくさんに膝に入ったのだ....。

カンナは....人に相手してもらわないではいられない猫だったのだ。
その事がようやくKaeruにわかった。
触り過ぎるとうるさがる猫の方が普通だと思うのだが、
カンナに限ってそういう事がその後も一度もない。
眠っているのを邪魔されても、撫でる手にもっともっとと頭を擦り付ける子である。
Kaeruは猫の方は慣れているつもりだったが、それが逆に先入観になったとは言え、
カンナ自身もいろんな要求を素直な形では表現できない子だったと思う。

ともあれ、こういう極限状態で自分が叩かれるのではなく、
受け入れて貰えたと言うことで(わかってみれば受け入れられるのが当然のココロなのだが...)
カンナはKaeruを好きになってくれたのだと思うし、
この後起こることを受け入れてくれる基盤になったのではと思う。








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