黄門

黄門

東電OL症候群


著者名:佐野眞一
出版社:新潮文庫

感想:ノンフィクション

 以前「東電OL殺人事件」を読んだ。エリートOLが売春婦にまで堕ちていった果てに殺されるというセンセーショナルな事件を扱っている。その犯人としてネパール人が逮捕され、一審で無罪判決がでたにもかかわらず拘留され、検察が控訴するまでが描かれていた。
 この本はその続編で、控訴審では無期懲役の判断が下される。この事件にまつわる人々が描かれていて、例えば無期懲役の判決を下した当の裁判官が少女買春で逮捕され、裁判官を罷免される。また東電OLの生き方に自分の闇の部分を見たという読者を訪ねてみたり・・・・
 幾分妄想に近いこじつけの感がしなくもないけど、人間の心に潜むものを表出して面白い。
 それにしても作者はどうしてOLの会社での位置とか働き振りとかを描かないんだろう。「東電OL殺人事件」では彼女の人となりがまったく見えて来ない。今回の作品でもやっとエピローグで出向先の会社の同僚や上司の話が出てくる。逮捕されたネパール人や裁判官などはくどいくらい描いているのに、どうしもっと彼女を描かないのか不思議でしかたがない・・・。



点数:70
スリル  ☆
泣ける  ☆
ドキドキ ☆


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