end of Hypnosis

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ミカンペキ ♯00



とは、なにも凄いことではない。

むしろ、とても

つまらないものである。





「今日教えんのは、クリームソースだ。これはうまくすれば結構使えるもんでな・・・・って夕、聞いてるか?」



オレは朝槻暁(アサツキ アキラ)生まれてかれこれ17周年を迎えたとこだ。

自分で思うに普通の高校生より相当おかしな生活を送ってると思う。



理由は3つ。


1つはオレの両親がいないこと

借金がつみに積み重なったとかで高校生になる前に息子を置いて出て行った。
その借金はすぐになくなったため、今は借金はないのだが両親とはアレ以来まったく連絡をとっていない。


2つ目は今住むこの家が元“寮”であること

外観はただのオンボロ寮だが中は意外としっかりしていて広さも3人で住むには申し分ない。
で、その3人なんだが・・・・今言ったように俺には両親がいない
オレ以外のあと2人ってのは



3つ目のオレが完璧人間である“らしい”と言われていること

に関係してくる。
1人はたった今ここで料理を教えてやっているのに呆けているコイツ。



「え!?あ、き、聞いてますよ!大丈夫です!」


名前は日暮夕(ヒグレ ユウ)。
血の繋がりも何もないのだがまぁ色々あって一緒に暮らしている。

料理を教えてほしいっつうことだから休日の午前中からこうして教えているわけである。



「まぁ、いい。しっかり聞いてろよ。まずいきなり大切なとこなんだが、この玉葱をだな―――」

「いやぁー!!」



2階から聞きなれた叫び声が聞こえる。

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・茜ちゃん・・・ですね。」

「あぁ、わかってる。すまないが見てくるからこの玉葱をみじん切りにしといてくれ」


「・・了解です。」



オレも夕も苦笑いだ。




声が聞こえたのは2階だが庭に歩を進めた。


予想通りソイツは庭に、しかもオレが朝干したはずの布団の上に居た。


「・・何やってんだ?お前。」

「はははは・・・。布団を部屋に入れようと思ったんだけど・・ゴメン」



もう1人はコイツ。

日暮茜(ヒグレ アカネ)今現在台所で玉葱と闘っているであろう日暮夕の双子の妹だ。


「つか、なんで布団なんかいれとうした?34ページ終わらせとけっつったろ?」


「いや~そろそろ部屋に入れたほうがいいかな~って思って」


「・・・勉強嫌いなのはわかるが頼むから30分は続けてくれないか?次のテストで点取らねぇとユウが悲しむぞ。。オレもアイツのそんな顔見たくないがお前の方がもっとみたくないだろ?」


「まぁ・・そりゃそうだけど」



そういって「何で布団とりこむのに2階から落ち来るのか」とは聞かず庭に落ちて汚れた布団を手に取る。


(あ~あ、また洗い直しだなコレ)


というよりコイツが落ちてくる理由はわかりきっている。

ただただコイツが『ドジ』なだけ。それも極度の。



そしてこの二人は『双子』
ということは―――――


「キャー!!」




当然、姉もドジなわけで。


「・・・ユウの声ね。」

「はぁ・・・どうせ、玉葱が目にしみて暴れた末どっかにぶつかったんだろ。」


オレはユウの暴れた台所の状態の不安とアカネが汚した布団を引きずり家の中へ戻った。






どうしてオレがこんな場所で、こんな二人と、こんな生活をおくっているのかというと・・・


ことの始まりは1年ともう少し前ことである。




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