映画『サウンド.オブ.サイレンス』



「サウンド・オブ・サイレンス」を観た.

 今回の映画は先月観た「およう」や「あさま山荘」の時のように年齢層の幅が狭くは無かった.
 十代の若者から中年層,ご年輩に至る方々まで楽しんで居られた.

 前宣伝では「全てのスリラーを越えたスリラー」と有ったのだが,私の数少なく?知る限りにおいてもそれほどまでとは思えない代物.もっと他にいい作品,多々あり.
 ストーリーも初めの20分程度で読め,まるで水戸黄門状態.
 最後は善し悪しにかかわらず,アメリカらしく安心出来る終わり方と相成った.

 途中で「静寂の???エクソシスト」ヤ「クレイマークレマー」の朝食シーンに類似したパロディーもどきに変わったりと,観客の方もそれなりの心構えのいる作品である.
「これはスリラーなんだ」と何度か自分に言い聞かせる必要性に迫られるのである.

 又,台詞の言い回しは「ビュティフルマインド」ほどの輝きやジョーク,掛け合いは無かった.
 しかし,節々に笑わせてくれるところは有った.
 ただしはなからスリラーとしてとらえておられ,笑って無い人々が多い故,くれぐれもひとりで無言且つ含み笑いされたし.

 さて,ここであらすじをあからさまにするという愚弄は控えたい.

 主役の少女役,ブリタニー・マーフィーの演技とメイクは見応えがあった.視線,首の傾け具合,体のふるわせ方とどれをとっても私を満足させるに値するものであった.

 彼女においては先月に観た「ビューティフルマインド」の主役よりも真に迫った演技力と言っていいだろう.ただ悲しきかな,あらすじその物においては,後者の方が映画作品として内容深く,且つ楽しめるものであったのには間違いない.

 マイケル.ダグラスはわたしの好きな俳優のひとりであるが,今回においては精神科医に見えにくい表情も見え隠れしたようだ.まことに惜しい.

 それを隠すかのごとく比較すべく教授付け精神科医を描く.
 彼は恰幅がよく<要するに少し太め>学内の女子学生と関係を持ち,研究や臨床もそこそこに自分の安泰な地位にどっぷりと浸かり満足している人物.
 今の大学事情の描き方が実にうまいのである.

 付け加えるならば,この映画に太めの人物は彼以外には出てこない.
 主役の少女,精神科医の妻や愛娘等ほとんどの人物が神経の鋭そうな知性的に見える女性軍ばかりで固められている.

 ここにも監督で有るゲイリー・フレンダーのスリラーに対する思い入れと僅かな自信のなさが伺えて面白い.


 さて,総合点を付けるとするならば今回の「サウンド・オブ・サイレンス」は,
        あらすじ・・・・・・・・45点
        登場人物の設定・・・・・77点
        美術効果・・・・・・・・68点
        音響・・・・・・・・・・65点
        マイケル.ダグラス度・・70点
        起承転結の結部分・・・・30点
        お楽しめ度・・・・・・・68点

        総合点・・・・・・・・・72点
        <各平均にあらず>

といったところだろうか.
 ただしこれはあくまでもわたしの独断と偏見による評価で有ることを付け加えておきたい.


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