片桐早希 おむすびころりん

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2009.05.09
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカへ出発する前日、僕は会長の墓参りに出かけた。

 海が一望できる小高い丘に、会長の墓はある。


 会長、お久しぶりです。すっかりご無沙汰しています。いかがお過ごしですか。

 僕は墓の前で、会長に話しかける。

 今は亡き人に向かって、いかがお過ごしですか、というのも全くおかしいのだが、僕には

この言葉しか思いつかないのだった。


 僕は会長の何に魅かれて、院へ進むことをやめ会長の下で働く決意をしたのか、本当の

ところ自分でもよく分からないのだ。だから、前世で縁があったのかもしれないなどと、つい

思ってしまう。




 君はいつも一人だ。

 涙を見せない君の瞳には苦い光のようなものがあって、ぼくは好きだ。


 そうなんだ・・・・、会長、あなたこそ、この詩にふさわしい人だ。

 あなたはいつも冷静で、どんな人にでも誠実に接しておられましたが、あなたはいつも

一人でしたね。そして、何事も人のせいにせず、きちんと立ち向かっておられましたね。

 僕はあなたのそういうところに魅かれたです。


 会長、僕はまた新しい道を歩くことになりました。

 がんばってきます。

 でも、その前にしなければならないことがあります。

 きちんと自分の気持ちを伝えてきます。

 見ていてください。






 墓参りを終え、研究室のドアを開けた時、時計の針は夜の九時を回っていた。

 研究室にはパソコンに一人向かう、理生の姿があった。

 その生真面目な横顔を僕はしばらく見ていた。

 理生が僕に気づいてくれるまで、僕は理生を見ていようと思った。





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Last updated  2009.05.09 14:55:27
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