動物の保護を徹底するため、動物愛護法が2000年12月に施行されて1年になる。動物を殺傷したり、捨てたりした場合、1年以下の懲役や罰金が科され、飼い主の重い責任が明確にされた。滋賀県動物保護管理センター(甲西町岩根)によると、県内でこの法律が適用された例はまだないというが、捨てられる犬や猫は後を絶たない。最近は、珍しい外国産のペットが「拾得物」として警察署に届けられるケースも目立っている。
◆外国産の拾得物
10月16日、八日市市の民家の庭で、体長約1メートルのビルマニシキヘビが保護された。ワシントン条約で国際商業取引が規制されているうえ、飼育には県の許可が必要だが、該当者はいない。
飼い主が現れない場合、ヘビは今月中に群馬県の「ジャパン・スネークセンター」に預けられる予定だ。同センターでは、研究用に使うか、「素質」がおとなしければ、首にまいて写真撮影用に育てるという。
このほか、10月23日には草津市でグリーンイグアナが見つかり、4月には水口町でフェレット(ヨーロッパケナガイタチ)も発見された。
いずれも外国産で、飼い主に捨てられたとみられる。野洲町のペット店の店長は「人と違うものを飼いたいという気持ちだけが先行し、飼育方法を知らずに飼ってしまい、手に負えなくなるケースが多いのでは」とみている。
◆犬猫は処分
「珍しいペットは引き取り手がいますが、悲惨なのは犬や猫たちです」と県動物保護管理センターの山中幾治所長(51)。
県内で捨てられた犬や猫は同センターに持ち込まれる。昨年度は約3000匹の犬と約2000匹の猫が収容された。年々、減少傾向にあるというものの、1日に約10匹以上の計算になる。
大半は安楽死させられるが、生後間もない子犬などは同センターが毎月2回開く譲渡会で希望者に引き取られている。広島県や静岡県から駆けつける人もいて、昨年度は361匹の子犬と成犬が新たな飼い主のもとに渡った。
◆人気のペット霊園
犬や猫などの受難が続く半面、ペットを供養する霊園の人気は高い。
甲西町夏見の小高い丘の上にある「琵琶湖動物霊園・心塔」。しだれ桜や白梅の木々に囲まれた中に慰霊塔が立つ。納骨堂の前には生前の写真やペットフード、クッキーなどが並ぶ。ペットブームに合わせて80年代後半に開園されて以来、需要は右肩上がりが続く。
1カ月前に愛犬を亡くし、墓参に来たという地元の主婦(50)は「子どもがおらず、14年間、我が子同然でした。これからも1カ月に1回は来ます」。
霊園を管理する「日本ペットランド」の森田正社長(52)は「捨てた犬がもう亡くなっているだろうから供養をあげてほしい、という相談もあります。自分勝手な気もしますが、ペットをめぐる人の気持ちは複雑なようです」と話していた。
(2001/12/09)


