山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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小野寺秀也

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2012.08.25
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テーマ: 街歩き(651)
カテゴリ: 街歩き

  傷軽きを頼られてこころ慄ふのみ松山燃ゆ山里燃ゆ浦上天主堂燃ゆ [1]
  いつ如何なる時代に平和ありきやとおのれに問ひて心くづれゆく  [2]
  頒けやりし水飲み足りて言ひし一語幾夜聞えき「小父ちゃんは親切ね」  [3]
  相近きゆゑ会ひたしと言ひくれき行きて君が世に必ず会はむ  [4]
  父の日といふはづかしき日のありて昼の畳に酔ひ伏すわれは  [5]
  立ちどまり立ちどまりわが離り来しかの老人 (おいびと) の昏睡 (ふかねむり) はや  [6]
  居合はせし居合はせざりしことつひに天運にして居合はせし人よ  [7]

 朝日新聞土曜版(8/25付け)のコラム「季をひろう」で、高橋睦郎が広島忌、長崎忌に因んで原民喜の俳句と竹山広の短歌を紹介していた。そのほとんどは、原爆の死傷者の悲惨を直截に詠む俳句であり、短歌であった。
 竹山広には原爆にまつわる良歌が多い。たぶん、原爆被災者の悲惨の鮮烈性で高橋睦郎は選んだのだと思うが、選ばれなかったなかにも、もちろん優れた歌がたくさんある。上の短歌は、私の「抜き書きノート」に含まれていた(つまり、私が好きな歌ということ)原爆にこと寄せた竹山広のいくつかの短歌である。
 私たちは、フクシマにおいて3度目の悲惨な歴史を繰り返さなければならないのである。戦争ではなく、経済的強欲さのゆえに(それにしても、『鋼の錬金術師』のグリードは最後には国(アメストリス)と国民のために我が身を捨てるというのに、わが国の経済グリードたちときたら)。

 先週は集会には顔を出しながら、風邪のためデモへの参加は控えた。10日ほど続いた長い夏風邪だった。熱でぼんやりとしながらも病気休養というものは退屈なもので、タブレットPCをベッドに持ち込んでネット空間をうろうろしていたら、twitterで次のようなやりとりを見つけた。

「東京では、ipadとかタブレット端末を電光掲示板にしている人もいるみたい。仙台でもそういうの得意な人いないかなあ。」
「官邸前には結構いて目立ってますよ~暗いから。みやぎデモ主催者にはいないですね~アナログオジサン多いし(笑)目立つアピールなんかないですかね^^」
「うう、わたしもアナログオジサンのひとりです・・・。次回はせめてLEDライトをもっていくことにしよう。」

 そうか、いま手にしているこのタブレットを使えばいいのだ、と教えられたのである。「電光掲示板」というのは参加者への連絡用ということかもしれないが、それは主催者が考えるとして、一参加者としてはプラカード代わりに使えば薄暮のデモには有効だろう。加えて、宮城デモの主催者から「光り物を持って集まれ」というtweetである。
 というわけで、そのままネットからプラカード図案をダウンロードした
[8]。 直截に文字だけのもの、若い母親が作ったらしい子供向けのもの、アート性の強いものなど、よりどりみどりである。アート性の高いものにはオリジナリティ、著作権がらみで「使用はよいが書き換えはダメ」という場合があったが、それは問題ない。書き換える才能がないのだ。
nnk6-1
         いくつかの「脱原発プラカード」  [8]

 今日から集合場所は、宮城県庁前広場である。もちろん、タブレットPCはフル充電である(外出先でバッテリー切れ、ということがしょっちゅうの私にしてはなぜか気合いが入っていた)。

 広場には少しずつ人が集まり始めている。今日は、薄暮のデモ用にと蛍光スティック(ルミライトというらしい)が配られている。乳母車をひいての参加者には、そのお母さんを差し置いて乳母車のルミライト装飾に熱心になっている人がいる。暴走族のバイクやトラック野郎のイルミネーションとは比べものにはならない、ささやかで楽しいデコレーションではある。

nnk6-2      県庁前広場に集まり始めた。 (2012/8/24 18:12)

 首相会見、喫緊の規制委員会問題などのスピーチがあり、カメラマン秋山理央さんの取材やユーストリームの中継放送があることの紹介もあった。
 300人はとっくにオーバーしたと見たが、あとで300人という発表があった。先週も人数の読み違えをしたが、今日になってその理由が分かった。要するに、参加者がだんだん元気になっている、というか、みんなが少しずつアクティブになっているのである。だから、二,三割は実効的に人数が増えているように感じるのだとおもう。それはそれで、立派な運動の進展といってよいのだ。

nnk6-3           一番町を行くデモ。 (2012/8/24 19:04)

デモに移って、その写真を撮ろうとしたら、操作を間違えてほとんど真っ暗な写真を何枚も撮ってしまった。その内の1枚を「フォトショップ」でいじったら、上のような写真にまで修整することができた。今のソフトはすごいといえばすごいのだが、これでは不注意癖をなんとかしようとする努力を放棄する理由がひとつできただけのような気もする。

 タブレットPCをプラカード代わりに使ったのは私一人だけだった(どちらかといえば目立つことが苦手な私としてはすこし戸惑ったが、しょうがない)。何人もやって来てその全員が、「iPadですか?」なのである。アップルが総資産で世界No. 1になるわけである。タブレットPCというのは、あまり普及しなかったけれどiPadよりずっと前から売られていた(iPadとくらべればたいしたことはなかったが)。私が使い始めたはごく最近だけれども。
 結論、「腕が疲れた」。

 今日のデモでは昔の職場の知り合いと出会った。一時期、二人ともずっと若かったころ、互いに組合の少数派として苦労した人である。私たちの主張は、組合のなかでは通らなかったけれども。
 そんなこともあって、デモの帰り足、少し昔のことを思いだし、考えたりした。今日のブログは短歌で始まったので、その思い出したことどもを短歌に託すこともできる。

戦闘的孤に徹するという嘘をまたも信じて飲む昼の酒
                                福島泰樹 [9]

君は君のわれはわれなるたましいの翼たたまむ夏草の中
                               道浦母都子 [10]

 二人とも私と同世代の歌人で、私とは比べものにならないほど激しく誠実に「あの時代」を生きたのである。

 歌人と言えば、新聞記事かtwitterか忘れてしまったが、東電原発事故後、大口玲子さんがお子さんとともに避難された、ということをどこかで読んだ。理不尽でありながら不可避的に襲ってきた「不幸」のなかで取り得るもっとも賢明な選択であったと思う。私は、大口玲子の短歌のファンである。

   表紙にはタゴールの詩を掲げゐつかつてわれらはわれらの夏に  [11]
    平凡な、きはめて平凡なわたくしに秘色青磁の朝は響けり   [12]


[1] 「竹山広全歌集」(雁書館 2001年)p.16。
[2]  同上、p.33。
[3]  同上、p.35。
[4]  同上、p.124。
[5]  同上、p.128。
[6]  同上、p.180。
[7]  同上、p.277。
[8] ブログ 『日々雑感』 に脱原発プラカードをダウンロード(プリント)できるリンク先がまとめて紹介されている。また、「ちひろNO NUKESステッカー」は 安曇野ちひろ美術館 が提供している。
[9] 福島泰樹「歌集 風に献ず」『福島泰樹全歌集 第1巻』(河出書房新社 1999年)p. 180。
[10] 「道浦母都子全歌集」(河出書房新社 2005年)p. 144。
[11] 「大口玲子歌集 海量(ハイリャン)/東北(とうほく)」(雁書館 2003年)p. 20。
[12]  同上、p. 51。






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Last updated  2012.08.25 17:35:24
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