『やがてヒトに与えられた時が満ちて・・・』・池澤夏樹さん

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2004/06/01

『やがてヒトに与えられた時が満ちて・・・』・池澤夏樹さん

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テーマ：今日どんな本をよみましたか?(100306)

カテゴリ：読了本

写真と小説が半々の未来のSFファンタジー。

地球に天災が起き、多分もう人間が住めない状態になっている今。
選ばれた人々は、衛星に人間の住む空間をつくり移住する。
その子孫達の時代の物語。
すべてコンピューター管理された空間。
憲法ファイルには、過去の事（地球について）を考えたり調べたりする事は禁止になっていた。
人々も考えようともしない。
人間に必要なものは、すべて機械的に作られ、人々は働かなくても良い。
でも、ふと疑問に思い始める青年。

地球や過去時代の事（地球に住んでた時代の人間について）について質問しても、詳しく語りたがらないコンピューター。
青年は、何故か指先から金属化していく。
しかし、特に痛みや感覚が無くなるということはない。
そして、コンピューターは過去時代を少し語る。
何故語るのか？禁止のはずなのに・・・
何故　僕に？？？
青年の彼女は、人間的な感性がある・・らしい。
しかし、青年はそれが無い。
だから、コンピューターは語り始めたようだ。
すべてコンピューターが制御しているようだ。

「ヒトは進化という考えに捕らわれすぎたのだ。昨日と違う今日、今日よりも良い明日を願いすぎたのだ。」

それは一つの現象であって、すべての現象に始まりと終わりがある。ただ、ヒトは自分たちの手の中に進化の装置を持ってしまったことの意味を誤解して、先を急ぎ、終末を早めてしまった。」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

近未来を描いたような人間の驕りに対する戒め。
働かなくても良い、食物も安定して豊富にある。
勉強も必要無いし、天災も無い。

何不自由ない生活のようで、実は無味乾燥な人生では？
働いて食物を作ったり、それを購入したり、季節の味わいがあったりするはずのものが無い。
天災もなくて良いようだが、自然のやさしさや怖さもない。
人間について考える・・・哲学も許されず必要がない。

本当にこんな時代を望んでるわけでは無い筈。
自然や命・・・・
もっと真剣に考えないといけない時代が近づいてる。
というか、それは今では？？
いつの時代も今だと思う。
先送りしてはいけない。

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