心あたたまる冬の絵本


 心あたたまるスープとシチューの絵本

 ◆ 『かぼちゃスープ』  ヘレン・クーパー 作 /せなあいこ 訳/アスラン書房

この作品は、1999年にケイト・グリーナウェイ賞を受賞しています。
ケイト・グリーナウェイ賞とは、イギリスで出版された絵本のなかから、その年もっとも優れた作品の画家にたいして年に一度贈られる賞です。1956年、英国図書館協会によって創設され、賞の名前は、今でも世界中で愛されている挿し絵画家のケイト・グリーナウェイ(1846~1901年)にちなんでいます。

ヘレン・クーパーは1963年、ロンドンに生まれ、大人になるまで湖水地方として知られるカンブリア州に住んでいました。10年ほど音楽教師を勤めたのち絵本作家に転身。現在イラストレーターであり作家である夫、娘と共にロンドンに住んでいます。

森の中のふるぼけた白い家に、ねことりすとあひるの三人が、いっしょに住んでいました。 三人が、毎日決まった手順で作るかぼちゃスープは、世界一おいしいスープですよ。

ところがある朝、あひるが「ぼくがスープをかきまぜる!」と言ったから、三人は大げんかになります。ついに、あひるは家出をしてしまいますが、 三人の友情と、スープの味はもとに戻るでしょうか?

大胆でユニークな絵に心惹かれます。この季節にお薦めの一冊です。

◆ 『かもさん どんぐりとシチューをおあがり』 ルース・オーバック 作・絵/くりやがわ けいこ 訳/偕成社

ルース・オーバックは、1941年、ニューヨークに生まれました。保育園の先生をしたり、中学校で美術を教えていました。その後、フリーのデザイナーとしてグリーティングカードやおもちゃのデザインを手がけます。

レノーアという女の子がいました。ぱんくずをつめた大きな袋をかついで、レノーアのいくところは公園のお池。そこにはかもさんがいて、レノーアはえさをあげるのです。

レノーアとかもさんはだんだん仲良くなりました。しかし、秋になるとかなしいことがおきました。

秋がきて寒くなると、かもは、どこか暖かいところへとんでいかなくてはなりません。そこでレノーアは、かもとずっといっしょにいられるように、冬の支度をしてあげることにしました。

そしてとうとうクリスマスもいっしょに迎えることができました。

レノーアのやさしさとあたたかさがほのぼのと伝わってくる絵本です。こちらもこれからの季節にピッタリですね。



  てぶくろとセーターの絵本

◆ 『てぶくろ』  ウクライナ民話/エウゲーニー ・M・ラチョフ・絵/うちだりさこ 訳・福音館書店

世界傑作絵本シリーズ。おなじみのウクライナ民話です。

「おじいさんが もりを あるいていきました。こいぬが あとから ついていきました。おじいさんは あるいているうちに、てぶくろを かたほう おとして、そのまま いってしまいました。」

 さて、冬の寒々した森を背景に、おじいさんの落としていった“てぶくろ”から物語が始まります。
ねずみ、かえる、うさぎ、きつね、おおかみ、きばもちいのしし、くまがつぎつぎとやってきて、てぶくろの中に入ります。
おじいさんの片方のてぶくろの中に、こんなに入れるのかしら?と心配になってしまいますね。

てぶくろの中でそれぞれの動物たちはどんな格好で寄り添っているのでしょう。お互いに体温を感じながら身体を温め合っている様を想像すると、こちらまで、心温まる思いがします。

動物たちのそれぞれのキャラクターが愉快で、繰り返しの言葉がとても楽しい絵本です。

◆ 『セーターになりたかった毛糸玉』 津田直美 作 /ジーシープレス

「夜になって、お父さんやお母さんに おやすみなさいを言ったあと、大きくなったら何になろうかしらとベッドのなかであれこれ考えたことが あなたにもあるでしょう。誰もいなくなった 暗いお店のなかでも 毛糸玉たちが 自分の将来について いろいろ夢を語り合っているのです。」

この世に毛糸と生まれたからには、誰でも一度はなってみたいと あこがれるのがセーターなんですって・・。
ある日、セーターになりたいとあこがれる10個の赤い毛糸玉たちが、おばあさんに買われていきました。おばあさんはおじいさんのために、赤いセーターを編み始めます。ところが、最後の一個を残してセーターは編み上がってしまうのです。

それでも、たった一つ残ってしまった毛糸玉は、いつかはセーターになりたいと願っていました。

ところが、ある日、自分が手袋として編まれていることに気付いて、悲しみでいっぱいになります。
けれども、最後はとっても幸せな結末を迎えるのです。

寒い冬の夜には、こんなお話がきっと心を温めてくれますよ。絵もとても可愛らしくて、やさしい仕上がりになっています。

寒い冬にお薦めの心癒される絵本です。






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