クリスマス絵本



クリスマス絵本

ちいさなもみのき



心の奥底に響いてくる“クリスマス絵本”のご紹介をしたいと思います。

◆ 『ちいさなもみのき』 マーガレット・ワイズ・ブラウン 作/バーバラ・クーニー 絵/上條由美子 訳/福音館書店

マーガレット・ワイズ・ブラウンは、1910年、ニューヨーク市に生まれました。

いつも幼い子どもたちの気持ちを理解するということに心をかたむけて、たくさんの本を書きました。

1952年に、42歳の若さでこの世を去るまで、この名前の他に3つのペンネームを使って、90冊を超える絵本を出版しました。

「おやすみなさいのほん」「おやすみなさい おつきさま」「ぼくはあるいた まっすぐまっすぐ」など、多くの絵本は、今でも世界中の子どもたちの心を捉えつづけています。

この絵本は、彼女らしい、温かくやさしい言葉で、自然の美しさや四季の移り変わりがとても繊細に表現されています。

森のはずれの、大きな緑の木々から少しはなれたところに、小さなもみの木が一本立っていました。

小さなもみの木が、まだ、一粒の種だったとき、ある日、風にふかれて、種は空をとび、森をこえ、野原の土のうえに落ちました。春が7回すぎたある日のこと、男の人が森の方から歩いてきました。

「おまえは これから、すばらしいお祝いに 行くんだよ。

みんなといっしょにお祝いをするんだ。

そして、春がきたら、おまえを見つけたところへ連れて行って、また植えてやるからな。

毎年、冬にはお祝いをしにやってきて、春にはもとの緑の野原へ 帰っていくんだよ。

ここまでやって来られない、私の息子といっしょに大きくなっておくれ。あの子が 元気に なるように 力になっておくれ。」

さて、ちいさなもみのきはどんなクリスマスを過ごすのでしょう。

クリスマスキャロルの歌詞と楽譜もついた、私の大好きなクリスマス絵本です。


クリスマス人形のねがい




◆『クリスマス人形のねがい』ルーマー・ゴッテン 文/バーバラ・クーニー 絵/掛川恭子 訳/岩波書店

この絵本は、原題を「ホリーとアイビーの物語」といいます。このお話の主人公の人形と女の子の名前ですが、実はこの名前は、とても有名な賛美歌“ The Holly and the Ivy ”(ヒイラギとツタ)からとられたものです。

作者のルーマー・ゴッテンが1958年に、子どもたちに書いたクリスマスの物語に、1985年に新たにバーバラ・クーニーの挿絵をそえて大判の絵本にしたのが、この本です。

長い作品ですが、ゴッテンのストーリーテリングの不思議な魅力に引きこまれます。

ゴッテン自身も、子どもが求めているのはストーリーであって、そのストーリーを簡潔な言葉で語り、しかも子どもがこれまで受け継いできたことばをより豊かにするために貢献するのが、作家の役目だといっています。

挿絵を描いたバーバラ・クーニーは、1917年にニューヨークで生まれ、2度のコールデット賞受賞の名誉に輝くアメリカを代表する挿絵作家です。

素朴で、見る人の心をあたたかく包み込む画風がゴッテンの物語をさらに深める役割を果たしています。

内容的には、小学校中学年から高学年以上でないとむずかしいかもしれません。

この絵本は日本では2001年の11月12日に出版されました。

残念なことに、ゴッテンは1998年に、クーニーは2001年の春、亡くなってしまいました。

ゴッテンは、イギリスで生まれましたが、子ども時代の大半を、父親の任地であるインドで過ごしました。

この絵本の中で、“心から強く願えば奇跡は起こる、求めれば願いは通じる”という愛のメッセージを残してくれました。

とても心温まる作品に仕上がっていて、この季節ならではの絵本です。





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