kazu world

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11年8月12日



その日の練習が終了して、後片付けが始まった。

愛媛FCのバルバリッチ監督も自分の近くに散らばっていたボールを集めていた。


見ると、グランドの傍らでトップチームの練習が終わるのを待っていた愛媛FCユースチームの選手(高校生)の前にもボールが一個残っていた。


どちらが声を掛けるという訳でもなく、いわゆる阿吽のタイミングでユースの選手がそのボールをバルバリッチ監督の足元に投げ返した。


その瞬間、私の目の前には私が想像していたものとは違う光景があった。


バルバリッチ監督は、ボールを返したユースの選手に頭を下げたのである。


私はてっきり、御礼に軽く手を上げると想像していたのである。


「礼節」という言葉自体をあまり耳にしなくなった昨今、クロアチア人の監督から日本人らしさを見させて貰った気さえした。

そして、自分の応援するチームに誇りを感じながら、炎天下の練習見学でかいていた私の汗は、その瞬間、とても爽快なものに感じられた。



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