おさるの日記

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風力発電001




省エネ、低価格が人気 新規住宅とのセット売りも

 低価格化と小型化で、一般家庭への導入を実現した 神鋼電機 風力発電システム の売れ行きが好調だ。現在、大都市圏を中心に販売しているが、年明けから順次全国に広げ、生産体制も月産一千台に引き上げる。さらに、新築住宅とのセット販売で住宅メーカーとの連携も強めており、佐伯弘文社長は「大手が参入しない空白地帯で自前の技術を応用し、市場に旋風を巻き起こしたい」と意気込んでいる。
 ≪神鋼電機が開発≫

 風力発電システムは同社が航空・宇宙分野などで培った技術を生かした新事業。開発・発売した風力発電装置「そよ風くん」は、独自設計した直回転軸タイプのジャイロミル型風車を搭載。航空機の翼に似た垂直翼は、航空力学の応用で全方向の風に反応するため、従来あったプロペラ型風車のように風向制御システムを必要としないのが特長。

 しかも翼に当たる自然風を揚力に変え、それを回転力とするため、わずか風速一メートルの微風で作動を始め、風速二メートルから発電を開始する。風切り音もほとんどなく、住宅密集地での利用に道を広げた。また、構造の単純化と自社技術の投入で大幅なコスト削減を実現し、価格も二十万-三十万円と、従来機の三分の一から五分の一に抑えた。

 最大のタイプを月間平均風速が七メートル程度となる沿岸地域で使えば、一家四人の平均的世帯が一カ月に使う電力量二百九十キロワット時に近い二百六十六キロワット時を発電する。単純計算で約六年で初期投資を回収できる見込み。

 こうした点が評判を呼び、今夏の発売発表からの問い合わせ件数は八千件以上。十月下旬の発売以降は、月産の目標販売数を上回り、「生産が追いつかない状態」(同社広報)という。

 同社では、現在、首都圏など大都市圏を中心に販売しているが、年明けからは中四国や九州、春からは東北や北海道などでも販売する。生産体制も月産一千台に引き上げる。

 ≪中国導入前向き≫

 さらに力を入れるのは新規住宅とのセット売り。住宅購入希望者にエコ住宅を提案したいという住宅メーカーとの連携も強める方針だ。

 海外でも内陸開発を急ぐ中国当局が同社の風力発電システムに注目。膨大なインフラ投資が必要な送電システムに比べピンポイントで需要を賄う風力発電は広大な内陸開発にうってつけとあって、視察団を送り込むなど導入に前向きだ。政府開発援助(ODA)の重要品目に選定される可能性もあり、同社は「市場はどこまで拡大するか見当つかない」と期待を膨らませている。

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 ≪日本のシステム普及 米独に遠く及ばず…≫

 風力発電は環境に優しい自然エネルギーとして、一九九〇年代後半から補完電源としての産業用発電として広がり始めた。国内企業では電力各社や神鋼電機のほか、三菱重工業、トーメンなどが風力発電事業に参入している。

 昨年末までに全国で導入された風力発電システムは五百七十六基。しかし、総出力は四六・三万キロワットと原子力発電所一基分の三分の一程度。風力発電の先進国であるドイツの六百十万キロワット、米国の二百六十万キロワットには遠く及ばない。

 家庭用の風力発電の場合、エコ感覚を体験する目的などで導入に踏み切るケースも増えてきた。ただ、高額な設備費や少ない発電量などがネックとなり、普及が進んでいないのが現状だ。


http://www.sankei.co.jp/news/031208/morning/08kei001.htm


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