戦士の休息!? 『完』


   またまた、連絡のつかない滞納者が出てきている。
   とりあえず4名の滞納者を絞り込み管理部のSさんと同行する。

  「Tさん、先に様子見てきて下さい。私はこっちの滞納者の
   支払い交渉にいってきますから。」

   この地域は細い道路をはさんで管理物件がひしめきあっている。
   それも村のごとく。

   私の目指すターゲットは三階である。まず駐車場の車を
   確認するが無い。きっと今日も会えないだろう。
   しかし今日は緊急入室のためスペアキーを持っている。

   築20年以上は経っている物件である。マンション名も
   半分欠けている。
   チャイムを鳴らすが応答がない、次はノックとドアポストを
   あけて呼びかけるが全く応答が無い。

  「●●さん、入室します。」居ないとわかっていても呼びかけ
   ながらの入室である。

   ガチャリとロックの外れる音、ドアをゆっくり開く、いれば
   ドアチェーンがかかっている場合があるがそれも無い。

   開くとすぐ左手に少し大きめの冷蔵庫がある。キッチンである。
   臭いぞ、キッチン周りは鍋やゴミが散乱していて、いかにも
   滞納者の臭いがある。6畳くらいのキッチンの奥にもう一間ある
   のだがカーテンがかかっていて見えない。

   入室といっても入って部屋中が見渡せるのなら玄関までしか入ら
   ないのだが、奥まで入らなければならないのか。

   少し滅入るがしかたがない。

   先の冷蔵庫の中を見てみようとした瞬間!

   「誰や!」カーテンの奥から声がした。 居た!

   「●不動産、法務部だ!緊急入室だ!」

   「チョ、チョット待ってくれ!」

   またか、私のお客はいつも趣味の悪い?柄パンひとつで出てくる。
   身長はかなり大きい、私は177あるが少し上回っている感じがする。

   「●●さん、なぜ連絡出来ないのですか?」

   「だって金がないのに連絡したってしょうがないだろ!」それも一理ある。

   「私は貴方に支払い能力があるかないかをさだめるために
    連絡が欲しかったのです。」

   「出ていけと言うなら出て行くけど。」

   「なら、解約書を書きに来て下さい。」

   「いや、まとまった金が来月の始めに入る。
    10日には支払い出来ると思う。」

   「そう言う話が聞きたかったのです。それに少しずつでも返済して
     いかないと貴方にとって状況は厳しくなるだけなのですよ!」

   「わかったって!」わかってナイゾコイツ。

   「では、10日に来社して下さい。」

   「いや、振り込むわ。」

   「間違いないですか?」

   「もしダメなら11日に必ず。」

   「その時は来社していただけますね!」

   「わかったって!」 『ピキッ!』切れる。
    急にこちらの言葉使いも横柄になる。

   「車はどうしたんだ!」

   「車検で金がないから手放した。」

   「そのまとまった金と言うのは間違いないのか!」

   「間違いない、仕事の入金だ、70万ほど入ってくる。」

   彼は大工職人である。この、充てがあったのだ。

   しかし、居るとは思わなかった。少し法務部もお疲れ気味かな?
   もう、ボチボチ、戦士の休息が必要になって来ているのかも知れない。

   「T、能登の奥にプラント工場作るらしいぞ!
    その営業所の所長でどうだ!」

   子会社のヤンチャ坊主タイプの管理職で友人のMから電話だった。
   戦士の休息かぁ。

            『完』


  短い間でしたがご覧頂いてありがとうございます。
  当初はこれだけ多くの反響?があるとは思いませんでした。
  社長及びH常務の特命であったのですが社内の応援を受けて
   メドがたってきています。

  残念ながら滞納はまだまだ続いていくかもしれませんが、
   大型の滞納は少ないでしょう。

  プラント工場の営業所長の話は彼特有のジョークですが、
   影の法務部はしばらくお休みさせて頂きます。
   しばし、充電期間をおいて再び特命をおびて復活するその時
   まで。
  続、影の法務部をお楽しみに。

バイ、バイ!         by ケイ!

追伸:影の法務部外伝を後日アップします。
   お楽しみに・・・。



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