
人間の進化には、原猿時代に生じた夜行性から昼行性への移行が重要だと言
われる。夜と昼の区分は、ひとの物に対する考え方に大きな影響を与えたこ
とは想像できるところだ。時間生物学の研究は、ひとの生体リズムの機序が
他の多くの生物の間でも共通していると述べており、測り知れない驚きだ。
千葉喜彦「からだの中の夜と昼」は、何度も読んでいるが、読む度に面白い。
「文学は、文脈で読む」。これは、まるで、蛙が柳の枝に跳びついているようなものかも知
れない。
夜は、闘う相手が自分の敵ばかりではない。多くの危険を呼び込んできたことを
教えている。夜を安らかに過ごすことのできないものは、現在でも。本来の
実力を昼間発揮することができないだろう。
殆どの人は、朝がくると起きる。夜の不安が幾分残っていても、それは急速
に薄らいで気分が楽になってくる。また新しい気分で生活を始める。
一日のはじまりは、日の出だと思っていたが、柳田国男は、むかしの日本人
は、「日の入り」を一日の始まりとしていたと言う。夜と昼は別の世界と捉
えていたようだ。
さて、現代は昼夜の区別が無くなりつつあるが、生活リズムの変化は、物事
に対する考えも変化してきているであろう。どうもよくわからない世界がく
るのかも知れない。