


一夜
短編である。漱石には長編はないという。「倫敦塔」「琴のそら音」「一夜」と読んできた。「一夜」の中で二人の男と一人の女が登場する。三角関係であるが、たった数ページの短編である。まるで俳句のように隠喩や比喩が籠められている。
「思う百年は、一年のごとく、一年は一刻のごとし。一刻を知ればまさに人生を知る。・・・
日月は欺くとも己を欺くは智者とは云われまい。・・・」(「一夜」より)
どれだけ長く一緒に暮らしても、百年一緒の夫婦はあるまい。それは一年であり、一刻でしかないかも知れぬ。小説で描かれる三角関係も、聖書のころからあるテーマでもある。いつも書き過ぎるような物語を読んできたし、人が生きている間、物語が終わらないのだろう。
・近未来では、医者は要らなくなるかも知れない。病人は自分の身体の状態をコンピュータで管理できるようになるだろう。データベースをちゃんと持っていれば、機械が病名を教えてもくれるし、薬も治療も的確にされるだろう。これこそ省略してしまえば一片の絵でしかない。