市立病院受診


決まることになる。
今日も張りを感じ、少し出血もしていて。
赤ちゃんはいなくなってしまったお腹だと頭の中ではわかっているけれど
もしかしたら見間違えかもしれない...と、また気持ちがグラグラする。

Kentを学校に送り出し。オットにTactを保育園に送ってもらった後。
市立病院に向かう。
この病院は、1歳になったばかりのKentが急性気管支炎で入院したところ。
高熱が何日も続き、うつろな目をして、食欲も全くないという状態に
あの時はKentが死んじゃったらどうしよう、と心がつぶれていた。
今回は私自身か... 
別におかしくもないのに笑ってしまう。

数年前に全面的に建て直され、最新の設備が整っている病院だ。
駅から遠いのでオットが送ってくれて助かる。
元気になったら、自転車で20分くらいかければ通院もできるだろう、と思って
選んだ。

紹介状があって、婦人科部長の先生の診察を待つ。
待つこと2時間半。このところ横になって過ごすことが多かっただけに
硬い椅子に座って待っているのが辛い。
気持ち悪い、お腹が張る。
だから大きい病院はイヤなのよね... と思いながらひたすら我慢していると
ようやく名前を呼ばれた。

待っただけのことはあるのね。診察はすごく丁寧だった。
たぶん私だけに20分は割いてくれた。

紹介状の内容と添付されていた超音波写真を確認し、内診。
ゆっくり時間をかけてこの病気について説明してくれる。
私がどの程度理解しているかをまず確認。
Internetで調べましたと答えると、どんなことがわかったかを聞かれる。

 □異常妊娠であること
 □二回もしくはそれ以上の手術によって子宮内容の除去を行うこと
 □その後、血液検査によって経過を1年から数年確認すること
 □奇胎が筋肉組織に侵入すると癌になることがあること
 □その場合には、血液検査の数値に現れ、再度手術することもあること
  もしくは癌を発症したためなので、抗がん剤の投与を含む癌治療を
  行うこと
 □絨毛癌になると肺などに転移する可能性があること

という5点を答えると、「だいたい把握されていますね。」とコメント。
そして、以下の情報を追加。

 □胞状奇胎と絨毛癌はいずれも子宮が発症場所であるため、血液検査結果が
  似た内容になること
 □絨毛癌に罹患した人を調べるとほとんどが胞状奇胎の罹病者であること
 □一方で胞状奇胎を罹病した人は10%~20%の割合で絨毛癌になっていること

そんなに高い割合で癌になるんだ... と改めて怖くなる。
だから
「まずは、子宮の中を完全にキレイにすることがとても重要なのです。
 だいぶ、子宮が大きくやわらかくなっているので、一度の手術で
 完璧を期すのは難しいので、2度やります。
 大量の出血に備える必要もありますから、手術室で行います。」
丁寧な説明に納得して、先生にお礼を言い、診察室を後にする。

この後、また待って待って様々な手術前の検査である。
 □尿検査
 □採血 (なんと7本も採った...)
 □胸部レントゲン
 □心電図

すべて終わったのは午後2時過ぎ。
お腹が空いて気持ち悪くてたまらない。

迎えに来てくれたオットとお弁当を買って帰宅し、むさぼるように食べて
眠る。

友達の家に遊びに行ったKentが帰宅した気配はぼんやり覚えている。
オットが「やばい」と言いながら慌ててTactを迎えに行ったのも
なんとなく感じていたがとにかく眠かった。

たぶん気持ちの緊張がピークに達したんだろうな。

夕食はまたコンビニ弁当。オットとKentuckyが買ってきた。
「ママ、どれがいい?」
みんなで選ばせてくれるなんて今までなかったことである(笑)

Kentuckyにお腹の赤ちゃんが死んでしまい、ママも病気になったこと。
だから病院に行ってお腹の手術をしてもらうこと、
病院にお泊りする場合はおばあちゃんが来てくれること、
を話した。
Kentはお腹に顔を寄せて泣く... 「赤ちゃんがかわいそう...」

そうだね。本当にかわいそうだね。
生まれて来てくれたら、みんなでいっぱいかわいがったのにね。
楽しいこともできなくて、一人で神様のところに帰った赤ちゃんはかわいそうだね。
でもきっと優しいお兄ちゃんの言葉を聞いて喜んでるよ...

顔を上げたKentが訊く。
「ママ、手術するって どこ 縫うの?」

あはは、悲しい気分を吹き飛ばしてくれるね、子供達は。
普通、どこ 切るの? って訊かない?

「赤ちゃんが生まれるまで過ごすはずだったベッドが壊れちゃったからね。
 壊れたベッドをお医者さんに取り出してもらうのよ。」

わかったような、わからないような顔をしているKentuckyだったが。

胸が張り裂けそうに悲しいのも本当。
怖くてたまらないのも、叫びだしたいのも本当。
Kentuckyがいることで、そんな中でも彼らにできる限りいつもどおりの
日常を用意するのが辛いのも本当。

でもKentuckyがいてくれるおかげで、日々の暮らしが確実にそこにあって。
笑うこともできる。
彼らの優しさやかわいらしさに感動することもできる。

昨日の夕方。昼に電話で取り乱していた私を心配してくれただろう母が
電話をくれた。
「耐えられない試練を受けることはないのよ。
 神様のなさることだから、正しいと思うようにしてね。」
という言葉をかけてくれた。

そう。だいじょうぶ、ちゃんと乗り切れる。
今回のことも神様にお考えがあって起きたこと。
素直にそう聞けたら少し楽になった。


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